アルティメット・ドリンク〜①
まず最初に言っておかなければいけないことがある。
僕は『岸辺露伴』ではない。ただ、彼と同じ能力……彼風に例えるなら『ギフト』それを得ただけの子供さ。
これから僕が話すのはキヴォトスと呼ばれる学園都市の透き通った青春の話さ。
まあ、僕のことは『岸部ロハン』って呼んでくれると助かる。
まず、この話をしていく前にとても重要なキーワードがある。
それは『先生』だ。先生とは何だろうか、
文字だけで言うと『先に生きる』と書くがそれはあんまりしっくりこない。
僕がしっくりくる先生ってのは『教え導く者』だ。『岸辺露伴』も先生と呼ばれていたが彼が人に物を教え導くなんて様はとても想像できない。つまり何が言いたいかと言うと先生ってヤツは
『格好良い大人』であるということさ。
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「これからよろしくね!! ロハンさん!!」
僕の名前は岸部ロハン、高校1年生だ。とある学園に所属している。ここでは珍しい男なんだが今僕は訳あって愉快な便利屋達の仲間になったんだ。
事の始まりは30分前
とあるファミレスでの些細な出来事だ。
その時の僕はファミレスのドリンクバーを混ぜて究極の液体を作ろうとメモ帳片手に躍起になっていたんだ。そんな中
「あっ……あの! 岸部ロハン先生……ファンです! サイン……サインいただけますか!」
(ほ、本物だわー!)
「そんな畏まられる程僕は偉くないぜ、ロハンさんでいい」
「はい! ロハンさん!」
「くふふ、アルちゃんったらがっつき過ぎじゃない〜? ね! ロハンちゃん!」
「はぁ、アル社長もムツキもグイグイ行き過ぎ」
とまあ、何とも濃いメンツが僕に話しかけてきたものだ。
「構わないよ。サインはどこに描けばいいんだい?」
「こ、このページにお願いします! 私岸部ロハン先生のキャラクターの台詞回しのアウトローさがとても好きで憧れてるんです!」
「いつも鏡の前で真似してるもんね〜」
「言わないで!」
「2人共……もう少し静かにしなよ……」
へぇ…このアルってヤツは中々に見る目があるじゃあないか
それから軽く世間話ってやつをしていると気になるワードが出てきた。
「私達、便利屋をやってるんです」
「へぇ~便利屋ねぇ」
さっきのおちゃらけ集団がまさかの便利屋と言う事で内心興味が湧いてきたがそれを顔に出さないようにして返事をする。
「そうなんです! 私が便利屋68社長の陸八魔アル! そして!」
と陸八魔が目付きの鋭い女の方を指差すと
「はぁ……私が課長の鬼方カヨコ」
「そして! 私が室長の浅黄ムツキ! 好きな事はくふふ…そのうちかも〜」
なるほど、今この場にいるのは幹部級のメンバーのみってことか、一応僕も名乗っておくか
「僕の名前は岸部ロハン、知っているだろうが漫画家と画家をやっている、好きな事は……サイン会だね」
自己紹介も済んだところで僕は1つ気になったことを聞いた
「君達の会社はどのくらいの規模なんだい?」
その質問をした瞬間陸八魔の動きが固まった。まあ、薄々そんなにデカくないとは思っていたがそんなあからさまな反応をされるとは予想外だ。まあ、少なくても10人くらいはいるだろう
「3人です」
マジか……おいおいおい幹部級のメンバーとかじゃ無くて幹部しか社員がいないのか、流石に予想外だ
「マジか」
「マジです……」
「理由を聞いてもいいかい?」
本来なら僕の『ギフト』を使えば問答なんていう面倒くさい事をしなくてもいいんだが生憎ここはファミレス……人目に付きすぎる。
「あの……えーとまだ作ったばっかりで……あと実績もあんまり無いから誰も入ってくれなくて……でも! いつかはキヴォトスで一番のアウトローな会社になるのよ!!」
「あはは! アルちゃん敬語崩れてるよ〜」
「そっちのほうが敏腕社長みたいでいいんじゃあないか?」
「え!? そ、そうよね!」
こういう熱意があるヤツは嫌いじゃあない。熱意ってヤツは漫画家や画家にとって……いや、人間にとって一番大切にしなければいけないものさ。熱意の無い作品ってのは余白が生まれてしまう。そしてその余白がどんどん広がっていって最後は真っ白さ。だから僕は熱意ってのを結構重要視している。
「あっそうだ!」
「どうしたの? ムツキ」
「ロハンちゃん入ってよ! 便利屋に!」
「え!?」
「はぁ……ムツキならそう言うと思ってた」
なるほど……確かに僕の中でこいつ等への興味が湧いてきている。正直魅力的な話だがただで入ってやるのは僕がチョロいみたいで気に食わないね。
「おいおい僕、自分で言うのも何だが結構人気な漫画家だぜ? それに別の学園に所属しているし生徒会のメンバーにも一応入っている、そんな僕がたった3人しかも実績も無いような会社に入るメリットってあるのかい?」
「キヴォトス1の会社の社員になれる」
「気に入った」
──と、いうことがあったのさ
「あの……本当に入ってくれるのよね?」
「ああ、この岸部ロハンが一度いった発言を取り消すとでも?」
「くふふ、アルちゃん良かったじゃん!」
「あの岸部ロハンが入ってくれるとなると結構な宣伝になる」
「確かにそうだけど……なんか実感が沸かなくて……」
「まあ、何にせよよろしく頼むよ陸八魔」
「じゃあまず事務所を案内しようよ!」
「そうね!」
と、陸八魔達が席を立とうとするので僕もそれに合わせ目の前の完成した究極のドリンクを飲み切ろうとする。
「ロハンちゃんそれ何飲んでるの―?」
「ココアカルピスコーラティー」
「えぇ……絶対美味しくないよ」
「究極だぞ究極」
「絶対嘘だぁー」
「じゃあ飲んでみるといい、ほら陸八魔」
「なんで私!?」
事務所内〜
「へぇ~結構立派な事務所なんだな」
いかにも裏社会って感じの内装になっている。北◯映画に出てきそうだ。それに……あれは……『一日一惡』ね……中々上手いじゃあないか。
「でしょでしょ〜」
「お陰で一時期、明日のご飯にすら悩んでたけどね」
「まあ、それでも場所っていうのは大事さ。モチベーションにつながるからな。どんなに優秀な人間でも環境によって能力の上がり下がりが出てくるからな」
「ロハンちゃんってばわかってる〜」
「ところでさ」
「どうした?」「何〜?」
「社長の顔色悪いけど大丈夫?」
「ええ……大分治まってきたわ……」
「あんなの飲むからだよ〜」
「究極の筈なんだがなあ」
「そもそも究極って何?」
なんてくだらない話をしながら僕は3人の位置を確認し頭を打つ可能性が無いことを確認し
『ヘブンズ・ドアー』
そう宣言した。