僕の名前は岸部ロハン。漫画家と画家をやっている高校1年生だ。
今僕は視えなかった物が視えるようになると噂されている究極の飲み物を探す為に必要な飲み物を便利屋の仲間達と共にショッピングモールに向かっている最中だ。事務所を出てからしばらくすると鬼方が
「あのさ……ちょっと寄っていきたいところがあって、すぐに追いつくから先に行っててもらってもいいかな……?」
ショッピングモールには2人いれば僕の作戦は可能であるため、全然大丈夫なのだがどんな用事なのか気になる…があんまりグイグイ聞いても印象が悪くなってしまってはこれからの関係に影響が出てしまうかもしれないからね。僕はグッと堪えて
「全然構わないさ」
と返事する。
「ありがと、じゃ……また後でね」
「うん! また後でね〜カヨコちゃん!」
「車には気を付けなさいね!」
「くふふ、アルちゃんお母さんみたい!これでエプロンしてたら完璧なのにな〜」
「ちょっとムツキ! 私のアウトローっぽさが!」
「結構似合うと思うぜ? 幼稚園の先生って感じで」
「ロハンさんまで!」
そんなくだらない会話をしながら3人で姦しく歩いていると、段々と目的地が見えてきた。この辺りでだとかなり規模の大きめのショッピングモールだ。すると浅黄がショッピングモールを指さしながら
「ねーねー! 誰が一番速くあそこまでたどり着けるか勝負しようよ!」
「私は構わないけど……ロハンさんは……」
「おいおい陸八魔、君は僕が負けるって言いたいのかい?」
「えっ!? いや……そんなつもりはないのだけれど……」
まあ、陸八魔が言いたい事はわかるさ。なんせ僕にはヘイローが無いからね。勝てる確率はほぼ0に近いだろう。だが僕は『岸部ロハン』だ、勝てないからって勝負から逃げるわけないだろう。
「もし、僕が負ける様な事があればアイスでも奢ってやるよ」
「くふふ、ロハンちゃんったら凄い自信だね」
「ああ、なんせ僕は岸部ロハンだからな」
(今の台詞凄い格好いい! 私も言ってみたい!)
「位置について!」
深く息を吸う
「よーい!」
ゆっくり吐き出す
「ドン! 」
合図が鳴った瞬間、僕は勝利への一歩を強く踏みしめた。
フードコート
「ここのアイスすっごく美味しい〜」
「ええ、とってもひんやりしてて美味しいわね」
「アイスなんだから冷たくて当然だろ」
「ロハンちゃん凄い拗ねてる〜」
「いーや、全っ然拗ねてなんか無いね」
「ウソだ〜」
見ての通り僕は敗北した。確かにヘイロー持ちの彼女たちの方が身体能力が高いのはわかってた。それでも大差で負けると流石にキツイ物がある。まあ、これでヘイロー持ちの具体的な走力ってやつがわかったから、良しとしようじゃあないか。
「何だかんだ言ってロハンちゃん一番高いやつ買ってるじゃん〜」
別に意図してた訳じゃあないが、彼女の言う通り僕が注文したメニューは彼女たちが注文したやつより200円程高い。この200円の差が僕に勝利感を与えてくれている。
「…これが一番美味しそうだったからな」
「確かに! ねーねーロハンちゃん! 一口頂戴!」
「ああ、いいぞ」
「え!?」
「どうしたんだ陸八魔? 急に大きな声出して」
「いや……そういうのってあんまり良くないんじゃないかしら……?」
「別にアイスを分けてやるだけさ」
「まあ、そうなのだけれど……」
「ほら、浅黄食べるなら早く食べないと溶けるぜ」
溶けたアイスってのも中々美味いがな。
「あ、あはは……やっぱりお腹いっぱいだったかも」
「まあ、あんまり食べすぎるとお腹壊すしな」
「ロハンさん…」
おやつタイムも終わったところで僕達はドリンクコーナーに移動した。
ドリンクコーナー
「ドリンクコーナーに着いたけど……種類豊富すぎじゃないかしら……」
「すっごい沢山あるね〜」
「まあ、でもロハンさんならある程度目星は付いてるんでしょう?」
「いや、全く」
「え?」
「全く付いてない」
「えぇー!?」
噂自体具体的な事が全く言われてないからな。そこから目星を付けるなんてことは流石に僕でも不可能だ。
「この中からどうやって見つけるのよー!?」
なんて言いながら陸八魔が僕の肩を掴んで揺さぶってくる。
「陸八魔、落ち着いてくれ、吐きそうだ」
「あっ!ごめんなさい」
危なかった。もう少し遅かったら大惨事だっただろう。
「でも、ロハンちゃん……実際どうやって調べるの? まさか全種類買うわけにもいかないし」
「いや、そのまさかさ」
「えぇー!? ロハンさん流石にいくらお金があるとしても場埒が明かないわよ!?」
「それにお酒とか私達未成年だから買えないよ〜?」
「酒を買う必要は無いさ」
「どうして?」
「僕は噂を生徒から聞いたんだ、生徒たちの間で広がっているって事は流石に酒は無いんじゃあないかって思ってね、まあ、噂の出どころが大人だったり未成年飲酒をしてるヤツだったら意味無いがな」
「もし、お酒だった場合はどうするの?」
「その時は、諦める事にするよ」
まあ、僕個人でこっそりとだったらバレないだろう
「くふふ、そんな事言って諦める気無いくせに〜」
「さあな」
そうして僕達は飲み物を運ぶためにカゴとカートを持ってきて、どんどんと飲み物を入れていく。その作業をやっている最中
「ごめん、ちょっと遅くなった……これどういう状況?」
「カヨコちゃん! お疲れ〜!」
「見ての通り、ここにあるドリンク全種類買っていくのさ」
「えぇ……まあ、手伝うけどさ……というか、社長真顔ですっごい手際良く入れてってるね」
「ああ、どうやら彼女には……この道の才能があるみたいだ」
そうしてカートに入れ終わり会計を済ませ、流石にビニールじゃあキツイと思いダンボールを貰って後は帰宅するだけになったが、
「流石にここから事務所まで、ダンボールを抱えながらはきついよ」
「どうしようね?」
「というか、社長いつまでこのモードなの?」
「……」
「私に任せて! アルちゃんは小学五年生の頃、怖い話を聞いて眠れなくなっむぐッ」
「言わないでぇー!」
「あっ戻った」
「危なかったわ……あれ? ロハンさんは?」
「あれれ? さっきまで確かにそこにいたのに」
バレないように後ろから声を掛ける
「陸八魔復活できたんだな」
「わっ!? ……びっくりした~急に出てくるのやめてよね! ロハンちゃん」
「どこに行ってたの?」
「この店の店長にカートを貸してもらえないかって頼みにな」
「へぇ……許可貰えたの?」
「一週間以内に返すならオッケーだってさ」
「ロハンさんナイス!」
「ナイス〜」
まあ、ほんの少しズルしたがな
岸部ロハンにカートを一週間貸す
「それじゃあ! 事務所に帰りましょう!」
そうして僕達は夕焼けに照らされながら事務所へと足を進めた。