星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#12 ウサギ、再びダンジョンへ

「あ、あの鍛冶師のマヒトツに、その剣を直してもらった!?」

 

「しかも、そのマヒトツがカグナの召喚獣!?」

 

 

 カグナとアリシアは酒場でアリシアのパーティメンバーであるサラ・ロラン・ダリアンと同じテーブルで朝食を食べている。

 その時に軽い話題としてアリシアの壊れた剣をマヒトツに修復してもらった話しをした、するとロランとダリアンが朝食を噴き出して驚愕の声をあげ、サラも手が止まり目が点となって固まっている。

 

 

「キミたち驚きすぎじゃない?」

 

「驚きすぎ……じゃないですよ!この国で鍛冶師マヒトツの名を知らない冒険者は居ませんから!!」

 

「剣士や騎士の人にとって、マヒトツ様が作った剣を腰に差すのは一種の憧れだと、わたし聞いたことがあります」

 

 

 もくもくと朝食を食べていたカグナは、ロラン達の驚き具合にちょっとビックリする。

 基本的に剣を使わない回復役(ヒーラー)であるサラも、マヒトツの名は知っていたようだ。

 サラが言うには、剣士系の戦種(クラス)にとって愛用する剣のブランド等が一種の格を示すらしい、そのため剣士からすればマヒトツが作った剣は、喉から手が出るほどの一品なのだろう。

 

 

「何の変哲もないの短剣でもマヒトツほどの鍛冶師が作ったとなれば、通常価格の数倍から十数倍の値段で取引されるほどなんですよ!?」

 

「へ、へぇ~そうなんだ……」

 

 

 熱弁するロランの熱気にカグナはやや押され気味になっていた。

 まさか、かつての召喚獣であったマヒトツがここまで有名になっていたとは思いもしなかったからだ。

 カグナはサブ装備として腰につけていた短剣を手に持つ、マヒトツが作った短剣だ。

 

 

「こんな短剣が、通常よりも数倍の価格……ね」

 

「あの、カグナさん?その手に持っている短剣はまさか……」

 

「え、あぁコレ?マヒトツに作ってもらった短剣だよ。接近戦用に持ってるんだ」

 

「マヒトツが作った短剣だって!?」

 

「ただの短剣だよ。切れ味と耐久性が多少上がってるはいるけど、特殊な能力は付与していない普通の短剣、ほら」

 

 

 カグナが手に持っていた短剣をロランに渡す。

 ロランは、まるで貴重品を扱うかのように恐る恐る短剣を受け取った。

 

 

「こ、これがあの鍛冶師マヒトツが作った……短剣!!(ゴクリ」

 

 

 だが短剣を握っているロランの手は緊張からか小刻みに震えており、傍から見たら短剣を握りしめた怪しいイヌミミの男だ。

 まるで有名な映画のワンシーンのような絵面だ。

 

 

「キミ、大丈夫……?」

 

「あぁ~こいつ、実は有名な鍛冶師が作った刀剣を眺めるのが趣味な刀剣マニアなんだ」

 

「ロランは剣士系の戦種(クラス)と相性が悪かったせいで、剣の扱いとかは苦手なんですけどね……」

 

 

 ロランの様子を心配するカグナに、ダリアンとサラがロランの趣味を暴露する。

 憧れの短剣を手に持っているからの興奮によるものだとカグナは理解したが、それでも見た目が危ない人であることに変わりないのである。

 あまりのヒドイ見た目にアリシアまでもが苦言をつぶやく。

 

 

「ロラン、少し落ち着いたら?なんか危ない人みたいになっていますわよ」

 

「い、いや……あのマヒトツが作った短剣を握っていると思うと、つい……」

 

 

 ロランもわかってはいるのだろうが、身体が言うことを聞かないのである。

 これ以上はロランがおかしくなりそうなので、カグナはロランから短剣を返してもらった。

 短剣を返したからなのか、緊張から解放されたロランはようやく落ち着く。

 

 

「もしかして、カグナさんが持っている魔杖も……?」

 

「いや、この杖は別の子に作ってもらった杖だよ。マヒトツは魔法系の道具の作成は苦手だからさ」

 

「そうなんですか」

 

 

 カグナがメインで使っている杖は魔具師や錬成師の職種(ジョブ)を習得した召喚獣であるキヨノヒメに作らせたものである。

 属性特化や威力重視などの魔杖もいろいろと所持してはいるが、普段使っている杖は汎用性も高く使い勝手もよい性能なので愛用し続けているのだ。

 

 

「もしかして、サラは魔杖マニア?」

 

「ち、違いますよ!!わたしは、ロランと同じじゃありません!!」

 

「ちょ、なんかひどくない!?」

 

 

 ロランと同じ扱いされたサラが猛抗議して、同じ扱いが不当であると言われたロランはショックを受けている。

 その様子を見ていたアリシアとダリアンは笑うのを我慢できなかった。

 そんな他愛のない会話を続けながらカグナ達は朝食を続けた。

 そして朝食を済ませると、カグナはあることをするためにアリシアに話しかける。

 

 

「アリシア、ちょっといいかな?」

 

「なんでしょう?」

 

「昨日のダンジョンにさ、もう一度行ってくるよ」

 

「え、なにをしに行くんです?」

 

「あのダンジョンを止めてくる」

 

「…………はい?」

 

 

 アリシアたちからすれば、ちょっとコンビニに買い物しに行ってくるノリでわけのわからないことを突然言い出したかのように感じるであろう。

 

 

   *

 

   *

 

   *

 

 

 昨日のダンジョンのラストエリアに、カグナとアリシア一行は来ていた。

 再出現(リスポーン)していたガーディアンゴーレムは、カグナがあっさりと倒したので静かである。

 そしてカグナの目の前には昨日と同じように、ダンジョンの管理メニューが表示されていた。

 

 

【 ダンジョンの機能を停止しますか? >Yes / No 】

 

「はい、っと」

 

【 ダンジョンの停止命令を確認しました。これよりダンジョンを停止いたします。】

 

 

 カグナは、目の前のメニュー画面でダンジョンの停止ボタンをポチッと押した。

 停止命令が承認されたとシステムメッセージが表示される。

 

 

「これで本当に、このダンジョンは止まるのか?」

 

『はい、間違いありません。ダンジョンからシステム停止のログを確認いたしました。』

 

「アリシア!これでこのダンジョンからモンスターが溢れ出てくることはもうないよ」

 

「本当にそんなことが!?」

 

 

 カグナについてきたアリシアたちが不思議そうにカグナに聞いてくる。

 サラ達は、カグナがダンジョンを停止してからダンジョンの内部の雰囲気が徐々に変わっていく様子を感じてとっていた。

 

 

「なんか……静かになったきがします……」

 

「ダンジョン内のモンスターの気配が消えて……る?」

 

「あぁ、なんか雰囲気が変わってきたな」

 

 

 カグナもダンジョン内の雰囲気が、まるでパソコンの電源を落としたかのように消えていくのを感じ取っていた。

 戻ろうと思っていたカグナの前に、再びシステムメッセージが表示される。

 

 

【 ダンジョン停止と共に、ダンジョンを非公開に変更いたします ▼ 】

 

 

 表示されたシステムメッセージは、停止したダンジョンを非公開設定にするという内容だ。

 アナザーワールド・オンラインではダンジョンを非公開設定にすると、フィールド上にダンジョンの入り口は表示されないようになっている。

 つまり他のプレイヤーがダンジョンに挑戦できなくなるということだ。

 そして今の世界だとダンジョンの入り口が出てこないと言うことは、中のモンスターも出てこないということになるであろう。

 

 

「それじゃ、戻ろうか」

 

 

 カグナはメニューを操作して、前回のようにダンジョン脱出を行う。

 以前のように光に包まれたカグナとアリシアたちは、ダンジョンの入り口の前に戻っていた。

 

 

『無事、全員戻りましたね』

 

「そうだな」

 

 

 アイが全員の帰還を確認する。

 ロラン達はダンジョンからの帰還に慣れていないためか、ダンジョンの入り口にいきなり戻る感覚に困惑していると、サラがダンジョンの入り口を指さしながら叫んだ。

 

 

「み、見て!ダンジョンの入り口が!?」

 

「なッ!?」

 

 

 ダンジョンの入り口が光と共に消え去っていた。

 その様子を見ていたアリシアたちは、目の前で起きたことに頭が追いつかずに一瞬思考が停止したようだ。

 

 

「ダンジョンの入り口が……消えた……?」

 

「こんなことがあるのか……?」

 

 

 ダリアンが先ほどまでダンジョンの入り口があった岩の壁をぺたぺたと触ってみるが、只の岩の感触しか感じなかった。

 ロランとサラもダンジョンの入り口があった場所をダリアンのように確認を始める。

 しかしどんなに確認しても、ただの岩肌の崖であった。

 

 

「あのダンジョン、完全に消えたな」

 

『そうですね』

 

「これで、あの村は安心かな?」

 

『ダンジョンから出てくるモンスターによる被害は無くなるかと』

 

 

 カグナはダンジョンが消えたことで、村がダンジョンのモンスターによる被害がなくなったことがわかると歓喜していた。

 そして、うんうんとうなずいているカグナの様子を見ていたアリシアは頭の中で浮かび上がっていた疑問が確信へと変わる。

 

 

「ダンジョンの消失といい、引き連れている精霊のようなモノといい……やはり間違いない……」

 

「ん、どうした?」

 

 

 アリシアが、真剣な表情でカグナに問いかける。

 あまりにも真剣な表情をしていたので、何事かとカグナは軽く身構えた。

 

 

「カグナさん、貴女は……”創造の神本(メヌゥ)”が、使えるのですね?」

 

「え、めぬぅ……?なんだい、ソレ」

 

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