星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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――― Welcome to AnotherWorld.

 

 

 システムアナウンスを耳にした卯月(うづき) 和人(かずと)は、友人から誘われたVRMMOゲームへログインしようとしていた。

 面倒を見てくれている厳しい祖母を何とか説得して小遣い交渉したり、バイト代をかき集めてVR機器を購入。

 高校進学で他県へと引っ越しした昔からの友人と、また遊べることに少し胸を躍らせている。

 

 

[ プレイヤー名:カグナ  ▼ ]

 

 

 プレイヤー情報を入力し、キャラクリエイトを済ませゲームスタートのボタンを押す。

 心地よい浮遊感に身を任せ、現実の世界(リアル)が遠ざかるような感覚を全身に感じた。

 こうして卯月 和人は、新たなる世界(アナザーワールド)へと足を踏み入れたのである。

 

 

「此処がアナザーワールド・オンラインの世界(なか)……なのか」

 

 

 卯月 和人ことカグナは、目の前に広がる世界に驚愕している。

 いつも見ている日本の街並みとは異なるファンタジーな建物が並ぶ街の中に、カグナは二つの脚で立っていた。

 自分の身体を動かしてみると、思い通りに動いていることに妙な感覚を覚える。

 

 

「これがフルダイブVRの感覚ってヤツか。すげぇな、本当に自分の腕みたいに動かせるぞ」

 

 

 データで出来た身体が手に持って操作するコントローラーではなく自分の頭で考えた通りに動く、現実(リアル)ではない世界を現実のように体験できるのがフルダイブVRの特徴だ。

 カグナは、ひとしきり身体を動かして感覚を堪能し終わると視線を下に移す。

 そこには本来の自分には存在しない、二つの巨峰がそびえたっていた。

 自分で設定した姿とは言え、持ち得ていないはずの柔らかい胸部装甲に手を当てる。

 むにゅっという擬音が聞こえてきそうな感じだたが、揉んでいる感触がない。

 

 

「さすがに感触は、あまりないのか」

 

 

 どうやらVR内では触感は薄いようだ。

 カグナが少し残念がっていると、不意に男が話しかけてきた。

 

 

「おい、そこのウサミミ獣人族(ジューマン)のプレイヤー、あまり公衆のど真ん中で自分の胸を揉みほぐすもんじゃァないぞ」

 

「えっ?うわぁッ!?」

 

 

 いきなり話しかけられたカグナは驚き声をあげる。

 気が付くと男性プレイヤーと思わしき人物が近づいていたのだ。

 カグナは男の声に我に返り、周りを見渡すとカグナのことを見ているプレイヤーが多数いた。

 どうやら注目を集めていたようだ、そりゃまぁ街のど真ん中で胸を揉んでいたらそうであろう……。

 

 

「お前さん、新人か?んでもってリアルは男だろ」

 

「な、なんでわかった……?」

 

「そりゃ、自分の胸を嬉々として揉み始めるプレイヤーは大抵が男だからだよ」

 

 

 男の言葉にウンウンと頷く人が多数いた。

 中には女性アバターのプレイヤーもいたが、どうやら中身は男らしい。

 

 

「あとはプレイヤー名に新人マークがついてるしな」

 

「あっ、本当だ」

 

 

 カグナは自分の頭の上に、プレイヤー名が初心者マークと一緒に表示されていることに気づいた。

 一定のプレイヤーランクになるまで、初心者として扱われる証だ。

 このマークがついている間は初心者支援ボーナスが幾つかつくが、カグナはそのことをまだ知らない。

 

 

「そんなわけで、どうだ。俺がこのゲームについて、いろいろと教えようか?」

 

「えっ?」

 

 

 男がカグナに声をかけてくる。

 ようは一緒に遊びながらアナザーワールド・オンラインについて教えると言ってきたのだ。

 だがカグナに声をかけてきたのは、この男一人だけではなかった。

 

 

「いやいや、此処はリリース当初からプレイしている古参な僕の方が適任だよ」

 

「何言ってんだ、むさ苦しい野郎どもよりアタシの方がいいね」

 

「お前は教え方が下手糞だろ。上級者目線で教えても初心者には伝わんねっての」

 

「え?えッ?」

 

 

 他のプレイヤー達もいつの間にか、カグナの周りに集まっていた。

 いきなり周りに数人のプレイヤーが集まって自分を取り合っているかのような言い合いをしており、その中心に居るカグナはどうすればいいのかわからず困惑している。

 そんな時、カグナは遠くから此方に走ってくる人影に気づいた。

 

 

「待て待て待てぇーい、妖怪沼引きづり共め!そいつは俺のツレだ!!」

 

 

 声の方を見ると、全身甲冑姿のプレイヤーがカグナの元に近づいてきたのであった。

 銀色をメインカラーにして、ヘラクレスオオカブトをモチーフにしたような兜を被っている男性プレイヤーである。

 その見た目から、カグナはすぐに友人のゲームアバターであると気づいた。

 

 

「なんだ、フレンドがいたのかよ」

 

「ちぇ、それなら早くいってくれよ」

 

 

 カグナの周りに群がっていた野良プレイヤー達は、走ってきた甲冑の男の姿を認識すると愚痴を零しながら蜘蛛の子が散るがのごとくカグナの元から離れていった。

 カグナは、あまりにも一瞬の出来事だったので呆然と突っ立っていることしかできずにいた……。

 

 

「一体、何なんだ……」

 

「気にすんな、ただの初心者支援ボーナス狙いのハイエナどもだ。あと沼に引きづりこみたいヘンタイどもだ」

 

「ナニソレ……」

 

「しかしお前、危なかったな。下手すりゃあのまま連れていかれるところだったぜ?」

 

「うぇ~マジか、ありがとう……えぇっと」

 

「”アズマエイ”、ここではそう名乗ってる」

 

「なにそれ、変な名前」

 

「うるせッ!」

 

 

 アズマエイは久々に会ったカグナと軽口をたたき合いながら、カグナの姿を観察する。

 真っ白な髪に背丈は低いが大きく主張している部分が激しい少女の姿のアバターだ、しかも大きなウサミミも生えていた。

 眼の前の少女の中身が、昔から付き合いある男であることをアズマエイは知っている。

 VRゲームを現実(リアル)とは異なる性別の姿でプレイしているプレイヤーは珍しくはないが、まさか昔から知っている友人がそのタイプだったとは……っと思っていたりする。

 

 

「しっかし、なんだお前のその姿は。性別選択式のゲームだと女ばっかり選んでたのは知ってるが……VRゲームでもかよ」

 

「なんだよ、可愛いだろ?」

 

「中身がお前だと知ってるとな……」

 

「そういうお前こそ、今度はなんの特撮ヒーローのを真似たんだ?なんか見覚えある見た目だぞソレ」

 

「ん、あぁ。爺さんの特撮ヒーローコレクションの中にあるカードで変身する奴だな。なかなかカッコいいだろ?」

 

「あぁ~思い出した。お前んとこの爺さんに見せてもらったヤツだ」

 

 

 カグナはアズマエイの甲冑を見て、かつて友人の家で見せてもらった特撮の内容を思い出した。

 その特撮作品に出てくるヒーローの姿とアズマエイの姿は類似している。

 外見を弄れるゲームだと好きな作品のキャラクターなどに似せる遊びをするプレイヤーはよく居る、アズマエイもその一人だ。

 お互いフレンド申請を承認しつつ、アズマエイはカグナにこれからやることを説明する。

 

 

「んじゃ、ひとまずランク上げ行くか。ランク上げないことには、出来ること増えねぇしな」

 

「楽に経験値稼ぎできるとこあるのか」

 

「おぅ、おすすめの稼ぎ場所知ってるぜ。やりながらいろいろと教えてやるよ」

 

「スキルゲームなんだろ、アナザーワールド・オンラインは」

 

「そうだな、スキルの組み合わせが重要。あと装備とかステータスの割り振りとかな」

 

「そういうの俺、大好き」

 

「知ってる」

 

「魔法とか技とか好きに作れるって聞いたぞ」

 

「あぁ、作れるぞ」

 

「いいね、ワクワクしてきた!」

 

 

 今後できることを想像してカグナはニヤニヤしながら経験値を稼ぐためにアズマエイと共にフィールドへと向かっていく。

 こうしてカグナは、アナザーワールド・オンラインの沼に両足をハメていったのである……!

 

 

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