星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#17 ウサギ、再会する

 カグナ達は、道中で助けた商人と共に王都へ入るための門へとたどり着く。

 ハギキラワーク達は一緒に王都に入ることはできないため、此処で送還する。

 走り飛ばしてきたとのことで褒美を所望してきたので、カグナは後で何か美味い物を報酬にするとハギキラワーク達と約束すると彼らは満足して帰っていく……王都で何か買うか、良さげなモノを作るかカグナは思った。

 そして捕まえた盗賊たちは、城壁の門の警備に当たっていた王都の騎士たちに任せることにする。

 いきなり大量の盗賊を押し付けられて扱いに困っていたが、城から応援の人員を呼び出し対応していた。

 盗賊が連れていかれたのを確認して、カグナ達は門をくぐり王都へと入っていく。

 

 

「王都キャン・ピタルグ、か……懐かしいな」

 

 

 ”王都キャン・ピタルグ”、アナザーワールド・オンラインの世界で複数ある国の一つである”ディ・フェウロ王国”の王城の元に栄えた都市だ。

 国を治めている女王とその親族が住まう王城があるだけあって王国で一番栄えている。

 貴族や富豪が住む貴族街、一般住人が住まう複数の一般居住区画に商いが中心とした繁華街など王都は見た目以上に広く、さらに王都は海に面しているので大きな港もあり他の国や地域との貿易も盛んである。

 

 

「いらっしゃい、いらっしゃい!新鮮なのが入荷してるよぉ~!!」

 

「出来立てホヤホヤで美味しいよ!」

 

「ダンジョンで手に入れた便利なアイテムだ!買って損はないですぞ!!」

 

 

 沢山の人で賑わっている大通りを歩いていると、いろんな店や露店が並び店員たちは客の購入意欲を刺激しようと頑張っている。

 カグナも良く知ってる雰囲気だ。

 

 

「この賑やかな雰囲気、変わらないな」

 

『そのようですね主』

 

 

 カグナが知っている王都は、この世界でいうと100年前の王都だ。

 見渡すかぎりに居る人たちは、カグナと同じかつてのプレイヤー達ではなく今のこの世界を生きてる人々だ。

 だが賑やかな雰囲気は変わらない。

 カグナが懐かしい雰囲気を味わっているとサラが話しかけてくる。

 

 

「カグナさんは、王都に来たことがあるんですか?」

 

「あるよ。こっちの感覚だと……えぇ~っと100年ほど前になる……かな?」

 

「え、ひゃくねん?」

 

「あはははは、びっくりするよね。私も実感ないんだけど」

 

 

 カグナにとってはたった10年間の空白という感覚ではあるが実際には100年の空白期間になっているのだが、まだ実感が薄い。

 カグナの百年という単語に、前を歩いていたダリアンが反応する。

 

 

「ってことは……カグナって、その見た目で100歳超えた婆さんってことなのか……?」

 

「ばッ、婆さ……?!」

 

 

 ダリアンからの突然のお婆さん呼びにカグナは驚く。

 見た目は美少女で中身はオッサンだが、さすがにお婆さん呼ばわりされるとビックリする。

 カグナのことをお婆さん呼びしてしまったダリアンは、サラに物凄い眼で睨まれる。

 

 

「…………ダリアン」

 

「あ、いや……すまん」

 

 

 サラに物凄い重圧(プレッシャー)で睨まれたダリアンは、自身の失言に気づき謝った。

 話しを聞いていたアリシアとロランも、ダリアンの失言に溜息をつく。

 女性の年齢を軽々しく口にするのは此処でもマナー違反のようだ、中身はアラサーの男だが。

 

 

「ま、まぁまぁ。サラ、そんなに凄い顔で睨まないであげてよ。謝ってるんだし、ね?」

 

「……カグナさんがそういうのでしたら」

 

 

 何とかサラを宥めて事なきを得る。

 あとでダリアンがこっそりと失言の謝罪とサラを宥めたことの感謝を述べてきた、どうやらサラは怒らせたらダメなタイプらしい。

 しばらく大通りを道筋どおりに歩いていると、一際大きい建物に辿り着く。

 お金が掛かってるのが一目でわかる、立派な建物だ。

 

 

「これが今の冒険組合……か。覚えてる限りでは、受付カウンターとかクエストボードが表に出てただけどな……立派になったなぁ」

 

「行きましょう、カグナさん」

 

 

 カグナは先導を歩くアリシア達に着いていくように広い入り口をくぐり、建物の中へと入っていく。

 建物の内装は、入ってすぐに右側にクエストを受注したりするための受付カウンターがあり反対側は広いロビーと簡単な酒場のような冒険者の溜まり場があり多くの冒険者たちで賑わっていた。

 

 

「クンフーバードの討伐……ありゃ骨が折れたわ……」

 

「どぉーよ、新調した俺の装備。いいだろぉ?」

 

「ねぇ、ポーション足りてる?」

 

「今度こそ……ランク昇格試験……合格してやる!!」

 

「かぁーー!!仕事終わりの酒はまた格別だぜ!!!」

 

依頼達成(クエストクリア)、承認いたしました。」

 

 

 クエストの愚痴を言う者、新調した装備を自慢する者、職務を全うしている組合スタッフなど、冒険組合のロビーは静寂とは程遠い雰囲気であった。

 そんな中、アリシアは受付のカウンターへと向かいスタッフの女性に声をかける。

 

 

「アリシアさん!お戻りになったんですね」

 

「えぇ、任務完了の報告を」

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

「カグナさん。申し訳ありませんが、少し待ってもらえますか?」

 

「オッケーオッケー。報告は大事だからね」

 

 

 受付のお姉さんは、報告するための準備をしている。

 アリシアはカグナに少し待つことを伝えると、カグナは了承する。

 報告は大事なのは、身に染みているから。

 カグナ達が待っていると、冒険者と思わしき男が近づいてきた。

 

 

「ん~、そこに居るのはダリアン達か?戻ってきたのか!!」

 

「おぅ、たった今な」

 

「確か新しく見つかったダンジョンの調査だったよな。で、どうだった?」

 

「ハズレもハズレ。大ハズレだ」

 

「そうか……まぁよくあることだな!」

 

 

 ダリアンたちと顔見知りの冒険者の男は依頼から帰ってきたダリアン達と他愛もない会話を弾ませる。

 冒険者の男はダリアン達としばらく会話していると、知らない少女が一緒に居ることに気づいた。

 

 

「ん?そちらのお嬢さんは見ない顔だな…………ほぉ、立派なものを」

 

「一体どこ見てんだ、おっさん」

 

「おっと、こりゃ失敬」

 

 

 カグナの二つの豊かな実りに一瞬目を奪われていた男はロランの言葉で我に返る。

 カグナも自分の胸を見られていたことにはちゃんと気づいてはいたが、その気持ちはとてもよく理解できるので深く追及はしなかった。

 そんなやり取りをしていると、報告を終えたアリシアがカグナ達の元へとやってくる。

 

 

「カグナさん、こちらへ。組合長の部屋まで、ご案内いたします」

 

 

 *

 

 *

 

 *

 

 

 サラ達と一旦別れ、アリシアと共に冒険組合の建物の3階へと上がった。

 しばらく廊下を歩くと立派な扉の元へとたどり着く。

 いかにも重鎮が仕事してそうな雰囲気が出ている。

 そしてアリシアが扉を3回ノックした、部屋に入る時の作法だ。

 

 

「組合長、(くだん)の方をお連れしました」

 

「うむ、入ってくれ」

 

 

 扉の向こうから渋い男性の声で返事が返ってくる。

 返事を聞いたアリシアが扉を開けてカグナと共に部屋の中へと入っていくと、組合長と思わしき初老の純人種(ヒューマン)の男性が机で書類仕事をしていた。

 組合長は、カグナの姿を見ると椅子から立ち上がり山のように積みあがった書類机からカグナ達の元へと歩いてくる。

 組合長とカグナでは身長差が大きく、カグナが組合長を見上げる形になっていた。

 初老とは思えないほど鍛えられた肉体だ、眼力もすさまじく威圧感を放っている。

 

 

「えっと、初めましてカグナです」

 

「……………はじめまして、か」

 

 

 カグナが手を差し出して自己紹介をすると組合長は少し困ったような悲しいような表情をして、ぼさっと呟く。

 その様子にカグナとアリシアは困惑していた。

 

 

「ふふふ……あはははははッ!!」

 

 

 突如として部屋全体に響くほどの大笑いを始める組合長にカグナ達はどうすればいいのか、分からずオロオロし始める。

 そんな二人の様子を見た組合長はニヤリと笑いカグナに落ち着いた口調で問いかけてきた。

 

 

「やはり気づかないか。まぁ……これだけ歳を取れば、すぐには気づかんか。あぁしまった……賭けは俺の負けか」

 

「えぇ~っと……」

 

「ん、まだわからんのか?」

 

「え?」

 

 

 俺が誰か分からないのか?と問いかけてくる組合長の顔をよく見てカグナは自身の頭をフル稼働して記憶を探る。

 組合長とはたった今初めて会ったはずだと考えるが、顔をよ~く観察しているとなんとなくどこかで見たことのある雰囲気にも思えてくる。

 カグナがしばらく考えていると、ある結論が頭の中に湧き出てきて目を丸くし始めた。

 

 

「え、いや…まさか、そんな…………()()()、か?」

 

「やっと気づいたか、()よ」

 

 

 カグナは組合長のことをスサノと呼び、組合長はカグナのことを母と呼んだ。

 つまりカグナの眼の前に居る男は、かつてカグナが面倒見ていた3人の子供(NPC)のうちの一人”スサノ”だったのだ!!

 そんなスサノがカグナのことを呼ぶ内容に、アリシアが驚きの声をあげる。

 

 

「カ、カグナさんが母って……どういうことですか、()()()!?」

 

「お爺様ぁ!?」

 

「ん?アリシアは俺の娘の子供、つまり俺の孫娘だ」

 

「アリシアがスサノの孫娘ぇ!?」

 

 

 突然の爆弾発言にカグナも声を荒げる。

 冒険組合の長がスサノであり、アリシアはスサノの孫娘。

 頭に詰め込まれてくる情報にカグナは混乱しそうになっていたところに、スサノが追い打ちをかけてきた。

 

 

「うむ、つまりソナタの曾孫ということだ」

 

「ひ、ひまごぉ!?」

 

「カグナさんが、私の……曾御婆様?」

 

 

 アリシアがカグナの方を見つめて、おそるおそる呟く。

 アリシアがスサノの孫娘ということは、スサノの親であるカグナとはそういう関係となるのは当然である。

 

 

「な…なっ……」

 

 

 怒涛の情報開示で、カグナは理解が追いつかずフラフラと膝をついてしまう。

 

 

『あ、主!?』

 

「か、カグナさん!大丈夫ですか!?」

 

「だいじょうぶ…だいじょうぶ……たぶんだいじょうぶ……」

 

「まったくもって大丈夫ではないな。どれ、茶でも淹れるか」

 

 

 スサノは机の上に置いてあったベルを鳴らして、職員を呼びだしお茶を用意させる。

 カグナが落ち着くのにも時間を要したのであった……。

 




※ディ・フェウロ王国
アナザーワールド・オンラインにおいてプレイヤーが最初に選択できる、スタート地点の国の一つである。
ファンタジーによくありそうな中世ヨーロッパ風の王国であり大半のプレイヤーは、この国からスタートしていた。
現在は女王が統治しており、比較的に治安は良い方である。

※王都キャン・ピタルグ
ディ・フェウロ王国の首都であり、国内で一番大きい街である
海に面している街であり他国、他国とも貿易を頻繁に行っている。
冒険組合の本部がありスサノが組合長として働いている。

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