星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~ 作:健全なMTYK
「ダンジョンを消す?」
「そうだ」
カグナはスサノの言葉の意味を理解している。
スサノもカグナの表情から、理解していることを読み取り話を続けていく。
「アリシアのチームと共にダンジョンを処理したと報告を受けている」
「うん、そうだね」
「その際に、ダンジョンの近くの村の被害を見ているはずだ」
「………」
カグナは、ダンジョンから這い出てきたモンスターに襲われた村の惨状を思い出す。
まだ辛うじて復興は可能だが、元に戻るまで時間がかかるだろう。
それを引き起こしたのが、プレイヤーが道楽で作ったダンジョンという置き土産のせいであることもカグナは把握している。
「ここ最近、未確認のダンジョンの入り口の出現が頻発している。それも高レベルのモンスターが出没する規模のヤツがだ」
「高レベルのモンスターがでるダンジョン、か」
「あぁ……今までのは、それなりの冒険者であれば対処できるレベルのダンジョンばかりだったんだが……ここ最近になって規模が跳ね上がっている」
スサノの話しを聞く限り、今まで出てきたダンジョンはアリシアたちレベルの冒険者でも問題なく対処できる程度の難易度だったらしい。
しかしここ最近発見されたダンジョンは、それらのダンジョンよりもモンスターが強かったり難易度が高いダンジョンが多いようだ。
このままでは今の冒険者たちでは対処しきれなくなってしまうことをスサノは危惧している。
「高レベルのモンスターが出現するダンジョンが増え続ければ村や一般人への被害が尋常ではなくなっていくのだ」
「それを防ぐためにも……ってことだな」
「そうだ。母が使うメニューならば、ダンジョンをどうにかするのは可能であろう。すでに一つ削除しているのだから」
「たしかに、そうだな」
「とはいえ、ダンジョンの種類や規模によっては冒険者や周辺の村にメリットとなる場合もある。まずはダンジョンの調査を行い残すべきか消すべきかを判断してから、母にはダンジョンの処理を行ってもらいたい」
「メリットになるダンジョン……そんなものがあるのか?」
「魔石です、カグナさん」
この世界の迷惑な存在と化しているダンジョンにメリットがあるのかとカグナは疑問に思っているとアリシアがダンジョンのメリットについて説明する。
「ダンジョン内で得られる資源や魔石が豊富なダンジョンとかですね。いまやダンジョンで取れる魔石は人々の生活に必要不可欠ですから」
魔石とは魔力の蓄えられた鉱石であり、ダンジョン内のモンスターを退治したりアイテムとして拾ったりすることで手に入る。
世界観設定において魔石はアナザーワールド・オンライン世界での動力源などに使用されていたり武具の作成や様々なモノを作る際にも材料として組み込まれたり、用途は多岐にわたる。
「なるほどね、ダンジョンを魔石発掘場にしているわけだ。それでプレイヤーが適当に作ったダンジョンは邪魔だってことか……」
「下手をすれば、組合が把握していないダンジョンを誰かが悪用する可能性もある」
「たしかに、ありえない話じゃないな……」
カグナは納得した。
カグナもゲームでのアナザーワールド・オンラインをプレイ中に幾度となく魔石不足で困ったことがあるからだ。
それが今のこの世界では
そのためにも、損や被害しか出さないダンジョンは邪魔でしかないというわけである。
「そういうわけだ……それで母よ、冒険者になってくれるか?」
「あぁ、わかった。また冒険者に戻るってのもいいかもしれないな」
「そうか、それはよかった。もし断りでもしたら王国から要注意監視対象として幽閉されかねんからな」
「えぇ、ウソ。マジで……?」
スサノは思わずつぶやいた言葉を笑い声で誤魔化し、その言葉を聞いたカグナは背筋に寒気を感じた。
そんなカグナを後目にスサノは二つの書類をカグナの前に差し出す。
一つは冒険者申請の書類、もう一つは冒険組合長の推薦状である。
「さて、ではこれが冒険者申請をするための書類だ。俺の推薦状もあるから登録は問題なかろう」
「これを下の階の受付に渡せばいいんだね」
「あぁ、それを受付嬢に見せれば、あとは待つだけで終わる」
カグナはスサノから書類を受け取ると軽く目を通す。
こういう書類はちゃんと読まないと後々大変なことになるのを社会経験で知っているのだ。
カグナが申請書を読んでいると、横に座っていたアリシアが真剣な顔で話しかけてくる。
「あの、カグナさん!」
「ん、なんだい?」
「冒険者になるのでしたら、ぜひ……私たちと同じチームに入っていただけませんか!?」
「アリシアたちのチームに、私を?」
アリシアの話は、カグナに自分のチームに加わってほしいという内容であった。
そのことを聞いたスサノがアリシアに確認を取る。
「アリシア。母には、これから危険な依頼も受けてもらうつもりだ。そこのところはわかっているんだろうな?」
「えぇ、わかっております」
カグナをチームに加えるということは、アリシア達もカグナと一緒に高レベルなダンジョンへも挑戦するということになるのだ。
スサノからの依頼や任務によっては危険な場所へ向かうこともある。
そうなった場合、カグナはともかく今のアリシアや他の三人では対処しきれない場合があるかもしれない。
そのことはアリシアも理解しているであろう、それでもカグナにチームに入ってほしい理由が彼女にあるのだ。
カグナはアリシアに理由を聞いてみた。
「一応理由を聞いても?」
「はい、私を……私たちを鍛えていただけないでしょうか?」
「アリシアを、鍛える?」
「えぇ、お爺様に聞いています。お爺様たちを鍛えたのは育ての母だと……つまりカグナさんが、お爺様たちの師匠ということ」
「まぁ……そういうことになる、ね」
「先日のダンジョンでの失態、そしてここまでの道中の一件……私は自分の実力不足を思い知りました。強くなりたいのです」
アリシアは、これまでの経緯で満足のいく結果を残せていないと考えている。
それは実力と経験不足によるものだと自己分析しているようだ。
カグナが知っている範囲ではあるが、アリシアが相対してきたモンスターはアリシア達よりも強かった。
今のままでは、これから増えるかもしれな高レベルのモンスターに勝てないどころか、最悪殺されてしまう可能性が高い。
それを危惧したアリシアは、カグナを師事したいと申し出たのだ。
「カグナさんはお爺様を強く鍛えた実績があり、さらにダンジョンなどの知識や経験も十分にお持ちです。私に不足している物ばかり……」
「だから私に鍛えてほしい……と」
「はい」
自分に足りないものを持っているカグナの元で鍛えることで、今よりも強くなれるとアリシアは考えたようだ。
そしてアリシアの考えは間違ってはいない。
すでにカグナはスサノたちや、他のクランメンバーを強くするための手ほどきをした経験があるのだ。
「たしかに母の元でならば、今よりもずっと強くなれるだろう。それは間違いない……俺という前例があるわけだからな」
「スサノはいいのか?大事な孫娘だぞ」
「それを言うなら、其方の曾孫でもあるのだが」
「そ、そうだな……」
そういえばそうであったとカグナは思い出した、まだアリシアが自身の曾孫娘だという実感があまりないからである。
そういう意味では、親族の面倒を見るのも当たり前なのではないだろうか。
カグナがそんなことを考えていると、スサノがアリシアに再度確認を取っていた。
「いいんだなアリシア?お前が考えているよりも、ずっと厳しい道のりになるぞ?」
「覚悟の上です!」
「……そうか」
アリシアの眼を見たスサノは、彼女の意思は曲がらないということが伝わった
こうなった彼女はテコでも考えを変えないことを、スサノは経験で知っている。
それにカグナと一緒居ることは困難な道のりになるかもしれないが、逆に言えば最も安全な道でもあるはずだ。
カグナがアリシアと一緒に居れば最悪なことは起きることはないであろう、スサノはそう考え孫娘の意志を尊重し母に託すことにした。
「母よ、アリシアを頼むぞ」
「わかった……よろしくアリシア」
「こちらこそ!よろしくお願いいたします!!」
話しもまとまり、カグナは冒険者の申請をするためにアリシアと共に部屋を出る。
二人が部屋を出るの見送るとスサノは自分の椅子に深く腰掛け天井を見つめ、今は亡き二人の家族の顔とアリシアの顔を頭の中で見比べていた。
「まったく……アリシアの何かを決めた時の眼は、お前たちにそっくりだよ。なぁ、
妻と娘と孫娘……そろいもそろって似た者