星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#21 ウサギ、再び冒険者になる

 カグナはスサノの部屋を出て冒険組合の1階にある受付へとやってきた。

 アリシアはちょっとした用事で少し遅れてくるとのことなので、今はカグナだけである。

 カグナは書類を手にし、申請関連のカウンターに顔を覗かせる。

 

 

「すみませ~ん」

 

「はい、冒険者登録の申請ですね。かしこまりました」

 

 

 受付には可愛らしいお姉さんがおり笑顔で対応する。営業スマイルだろうか。

 カグナは冒険者申請の書類と一緒に、スサノから渡された書類を受付嬢に渡す。

 書類を受け取った受付嬢はマニュアル通りの作業を行おうとして、もう一つの書類を見て驚いた。

 

 

「では申請書をご確認しま……え、組合長の推薦状??」

 

「もしかして書類不備でもありました?」

 

「い、いえ!失礼いたしました!!すぐにご用意いたしますので、少々お待ちください!!!」

 

 

 受付嬢はカグナから二枚の書類を受け取ると、ものすごい形相で奥へと走っていき同僚たちと何やら話し始めた。

 時折、奥の受付嬢たちがものすごい眼でカグナをチラチラと見てくるが、とりあえず無視することにする。

 どうやら冒険組合長(スサノ)の推薦状は、どえらい代物のようだ。

 しばらく待っていると、さきほどの受付のお姉さんが急いで戻ってくる。

 

 

「お、お待たせしましたカグナ様!!こちらがカグナ様用の冒険者ネームプレートです!!」

 

「ありがとうございます」

 

 

 急いだのであろう受付のお姉さんは、荒い息の状態でカグナの前に一つの金属板を差し出す。

 銅色で星のマークが一つ付けられた小さなネームプレートであり、首から下げるようの紐もついている。

 カグナが渡されたプレートを手に取り確認すると裏にカグナの名前が刻まれていた。

 

 

「銅の一星(ひとつぼし)って、たしか……」

 

「はい、銅一星は冒険者のランクとして最低ランクとなります。実力を問わず冒険者となったばかり方は、すべてここからスタートとなります。例外はございません」

 

「へぇ~なるほど」

 

「星の数は功績によって増加し、やがて銀星に。それから金星へと昇格されていきます。また銅星・銀星・金星でも星の数によって細かくランク分けされており、受けられる依頼の目安にもなります」

 

「そういえばアリシアたちは銀のプレートだったな……確かアリシアが銀の星2つだったかな」

 

「アリシアさんをご存じなのですね!アリシアさんは、現在銀二星級の冒険者で期待の大型新人と噂されており、いずれ必ず金星級の冒険者の高みへと噂されているお方なんです!!」

 

「へ、へぇ……そうなんだ」

 

 

 受付のお姉さんは、受付のカウンターを乗り越えそうな勢いでカグナに向かって力説してくる。

 カグナは受付のお姉さんの勢いに押されて身体を引いており、その様子で自身の状況を把握したお姉さんは、ハッとなりすぐさま姿勢を戻す。

 

 

「はっ。す、すみません!」

 

「え、えぇ~っと。星が幾つか増えたら昇格ってことですか?」

 

「はい、その通りです。銅星が3つ、銀星が4つになることで昇格の機会が貰えます。金星は最大星5つです」

 

「なるほどね」

 

「ちなみに我らが組合長は、元金五星(きんごつぼし)の冒険者だったんですよ」

 

「へぇ~スサノが金五星ね」

 

 

 受付嬢が組合長を呼び捨て?という顔をしたが、カグナは気にはとめなかった。

 受付嬢も一瞬疑問を浮かべたが、冒険者とはの説明を続けていった。

 カグナは彼女から一通り冒険者の説明を聞くと渡された冒険者の証を首に下げ、サラ達の元へと向かっていく。

 

 

「あ、カグナさん!」

 

「お待たせ、用事終わったけど……どうした?」

 

 

 カグナがサラ達の元へと歩み寄ると何やら騒がしい。

 何かトラブルでもあったのだろうか、サラは妖耳種(エルフ)の長い耳が若干下を向いて困った表情をしていた。

 カグナはサラの近くにダリアンとロランの姿が見えないことに気づく。

 

 

「なにかあった?」

 

「えぇっと……実はダリアン達が」

 

 

 サラはカグナに説明しようと、とある方向を向く。

 するとそこには見知った顔が二つと知らない顔が一つ言い争っており、周りの冒険者たちも三人の口喧嘩を遠巻きにして野次馬していた。

 カグナはダリアン達の会話に聞くために垂れ下がている長いウサミミを少し持ち上げ、文字通り聞き耳を立ててみる。

 

 

「君たち、いい加減アリシアに付きまとうのは止めたまえ。彼女に迷惑だということがわからないのかい?」

 

「はぁ?お前こそアリシアに、フラれ続けているんだから諦めろよな!!」

 

「フッ、勘違いしないでくれないかな?僕はフラれてなどいない。まだ彼女が僕の必要性に気づいていないだけさ」

 

「いや……見向きもされていない時点で脈は無いってことでしょ」

 

 

 ダリアンとロランと言い争っているのは、見た目が高価そうな鎧を身に纏って腰に剣をぶら下げている金髪で癖っ毛のある純人種(ヒューマン)の少年だ。

 金髪の少年は鬱陶しそうな表情を浮かべ、ダリアンはこみかめに血管が浮かび上がっておりロランは呆れつつもダリアンが暴発しないように宥めていた。

 

 

「あの金髪は誰?」

 

「あの人の名前は、カマッセルさん。金一星(きんひとつぼし)の冒険者で、アリシアさんを自分のパーティに入れるために何度もスカウトをしてるんですが……」

 

「アリシアに断られ続けている、と」

 

「はい」

 

「んで、アリシアが承諾しないのはロラン達のせいと思ってイチャモンをつけている、と」

 

「……はい」

 

「はぁ……なるほどね」

 

 

 状況を見るに、どうやらカマッセルという金髪少年はアリシアを自分のパーティーに迎えいれたいようだが、当の本人に断れ続けている。

 だがしかし、彼は諦めきれずにいるみたいのようだ。

 きっぱりと断られているのなら諦めればいいのにとカグナが思っていると、ダリアンを宥めているロランと目が合った。

 

 

「カグナさん!用事は終わったのですか?」

 

「うん、ほら」

 

 

 カグナは首元の銅色のプレートをロラン達に見せる。

 それを見たロランとダリアンは、その意味をすぐに理解した。

 

 

「冒険者になったんですね、カグナさん!」

 

「まぁね」

 

「ん、なんだ君は?」

 

 

 カグナが二人に銅色のプレートを見せていると、カマッセルがカグナの姿に気づいた。

 カマッセルは新たに現れたカグナの首元のプレート見ると明らかに格下を見るような表情でカグナを見てきたのだ。

 

 

「銅一星……新人か。関係ない人は下がっててもらおうか」

 

「関係はあるよ、一応このチームに入る予定だからね」

 

「本当ですか、カグナさん!?」

 

「うん、アリシアに頼まれたからね」

 

「アリシアに頼まれた……だって?」

 

 

 カグナの口からアリシアの名前を聞いた瞬間、カマッセルの雰囲気が明らかに悪くなった。

 カマッセルは、明らかにカグナに向けて敵意を放っている。

 カグナもそれに気づかないほど鈍感ではない。

 

 

「理解に苦しむな、アリシアがキミのような新人をチームに入れるだなんて」

 

「何が言いたいんだい」

 

「これ以上、アリシアに凡人の御守りをさせるべきじゃないっと言っているんだよ」

 

「なんだと、てめぇ……」

 

 

 明らかにケンカ腰の口調でカマッセルがカグナに向かって苦言を言ってきた。

 その内容からカグナも少し機嫌が悪くなっていく。

 カマッセルの言葉と態度にダリアンも我慢の限界になりかけた時、アリシアが戻ってきた。

 

 

「一体なんの騒ぎですの?」

 

「アリシアさん!!」

 

 

 アリシアは一発即発な雰囲気に疑問に思ったがダリアン達の相手がカマッセルであったことで、すぐに事態を把握した。

 そんなアリシアの様子などお構いなしにカマッセルがアリシアの元に駆け寄り、カグナ達に向けた表情とは全然違う爽やかな笑顔でアリシアに話しかける。

 

 

「やぁ、アリシア。今日こそいい返事を聞きたくてね」

 

「また、その話ですか。何度も断っているはずですが」

 

「それでも僕はキミを必要としているんだ。簡単に諦めるつもりはない」

 

 

 アリシアはカマッセルの言葉に溜息をつきながら答える。

 アリシアの様子からも、このやり取りは何度も行っているようだ。

 二人のやり取りを見たカグナも、思わずカマッセルに文句を言う。

 

 

「しつこい男は嫌われるって言うぞ?」

 

「キミは口を挟まないでくれ、これは上級者同士の会話なんだ。君のような新人冒険者が横やりを入れていい話しじゃないんだ」

 

 

 格下と思っている相手からの文句を聞いたカマッセルはカグナを睨みつけながら言い返す。

 カマッセルにカグナのことを軽く見られていると感じたためか、アリシアの機嫌もよろしくない。

 スカウトしようとしている相手の好感度を全然稼げてないどころか下げていることに気づいていないのかとカグナはカマッセルに思っているものの、カグナ自身もカマッセルに対して良い感情が今のところないので黙っている。

 

 

「はぁ……星のランクだけで相手を見定める悪い癖は、まだ直ってないのですね。カマッセル」

 

「それが何か?星の色と数は我々冒険者の格を表す、とてもわかりやすい指標だ。それこそ彼女が首からぶら下げている銅の一星は、たったいま冒険者なりましたという証ではないか」

 

「たしかにカグナさんは、ついさっき冒険者になったばかりです……ですが」

 

「ですが?」

 

「お忘れですか?冒険者は実力を問わず、最初は誰であろうと例外なく銅一星からだということを」

 

 

 アリシアが冒険者は誰であろうと銅一星から始まると語る。

 カグナも冒険者申請を受けた時に受付嬢から聞いた内容と一緒だ。

 それを聞いたカマッセルは疑いの眼でカグナを見ている、やはりカマッセルはカグナが強者だと思っていないようだ。

 

 

「まさか、彼女が強いとでも?」

 

「えぇ、この私よりもずっと」

 

「へぇ……面白い」

 

 

 カマッセルがニヤリと笑みを浮かべた。

 それを見たカグナはイヤな予感がして思わず半歩後ろに下がるが、カマッセルはお構いなしにカグナを指を刺して叫ぶ。

 

 

「アリシアがそこまで言うのであれば、キミの実力を……この僕が見定めようじゃないか!!」

 

「……はぁ?」

 

「決闘だよ!この僕と、キミとで決闘だ!!」

 

 

 面倒なことになったな、っとカグナは心底思ったのであった。

 

 

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