星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#23 ウサギ、決闘する①

 かつての話……。

 カグナは、クラン”アリアドネの糸”の拠点にある訓練場の床に大の字で寝っ転がっていた。

 とある特訓の後なので肩で大きく息をしている、VRゲームなので肉体の疲労は少ないが精神的疲労感が半端ない。

 カグナは気力が戻るまで冷たい石畳の上で天井を眺めていると、一人の女性プレイヤーが覗いてきた。

 

 

「やぁやぁ、カグナくんちゃ~ん。特訓は頑張ってるかなぁ?」

 

「んぁ~団長?」

 

 

 床に寝っ転がっているカグナの顔を覗いてきたのは、”アリアドネの糸”の団長であった。

 スラッとした長身で何でも見透かしてきそうな細い眼にメガネを掛けており、前かがみの体勢をしているためか、黒を基調とした色鮮やかな長い髪と大きめの胸部が重力に逆らわずに地面へと伸びている。

 今回はチャイナ服をアレンジした衣装を着て来ているため、スリットからチラリと見える美脚は脚フェチが見たら興奮する妖艶さを感じる。

 

 

「対人戦イベントでボロ負けしたのが悔しくて、それで始めた対人戦闘特訓は順調?」

 

「絶賛、死んでます」

 

「そうか~死んでるかぁ~。おや、特訓の先生は?」

 

「リアル都合で、先にログアウトしましたよ」

 

 

 そっか~ログアウトしたか~っと、軽く呟く団長。

 そんな団長にカグナは一つの疑問を投げつける。

 

 

「ところで、この特訓は本当に効果があるんですかねぇ?」

 

「あるある、本当だよぉ。団長を信じてよぉ~」

 

「俺がただボコられただけの気がするんですけどね………彼女オカシイですって、なんで拳技で最上級炎魔(テラガ・フアム)を殴り飛ばせるんですか………??」

 

「そこはぁ~レイナちゃんだから……としか言いようがないんじゃないかなぁ~」

 

 

 カグナは先ほどまで特訓の相手をしてくれていた、別目線ではボコボコにしてきた相手でもあり同じクランのメンバーであるプレイヤーのレイナとの特訓内容を語った。

 拳闘士の戦種(クラス)であるレイナは、持ち前のスピードと軽やかさでカグナのことを翻弄しつつ拳を繰り出してくるのだ。

 攻撃魔法は躱す避けるし、闘気(オーラ)を込めたパンチで側面を殴って軌道を変えるし、気が付けば接近している恐ろしい相手であったのだ……。

 現実(リアル)では本物のお嬢様とのことなので、そんな彼女に付いた二つ名が……。

 

 

「鉄拳令嬢、おそろしいわ……怖いわぁ……」

 

「ステゴロお嬢様から、学べることは多いと思うんだよねぇ~」

 

 

 カグナはレイナとの特訓で感じた恐怖を思い出していた。

 そんなカグナの様子を見た、団長は特訓の有用性の説明をし始める。

 

 

アナザーワールド・オンライン(このゲーム)では習得しているスキルや装備が重要だけどね、実はVRプレイヤースキルも超重要なんだよ。そのため現実(リアル)で格闘技とかの経験があるだけでも戦闘時の動きは断然に違ってくる。」

 

「だから格闘経験者のレイナと組手をしろって、わけですか」

 

「そうだよ~レイナちゃんは空手全国大会優勝経験者だからね。彼女と特訓すれば身体の動かし方が自然と染みついていくってわけ。それに滅多にないでしょ、同年代の女の子と一緒に特訓するなんて、さ?」

 

「そ、そそんなことないですよ……」

 

 

 まさかの問いに戸惑って変な声が出てしまったカグナを、えぇ~ほんとうでござるかぁ~~?という細い眼でニヤニヤと見てくる団長であった。

 可愛い団員の面白い反応を見れて満足の彼女は説明を続ける。

 

 

「このゲームはVRプレイヤースキルがあるとないとでは動きに雲泥の差が生まれてる、それは間違いない。まぁ、その差を埋めるのがサポートAIの仕事なだけどね~」

 

 

 団長はカグナの横で浮いている、猫耳の生えた黒たまっころの姿のサポートAIを突っつきながら説明を続ける。

 

 

「幸いにもウチのクランには、女子空手全国大会優勝者のレイナちゃんを含めて格闘技とかに関して詳しい人が多いんだよね。古流居合術の達人(おじいちゃん)とかVRゲーム廃人とか、さ」

 

「そうですね……変人の集まりですものね、このクランは……あと最後のは団長のことですよね」

 

「あはははは。ウチ以上に適した人材が居るクランは、そうそう無いんじゃないかな?これ、ちょっとした自慢だよ」

 

「そうですね。ほんと、どうやって集めたんです……?」

 

「う~~ん、企業秘密ってことで♪」

 

 

 怪しい満面の笑みで答える団長。

 メガネが丁度いい具合に光を反射させているから、胡散臭ささあふれ出ている。

 

 

「せっかく都合のいい環境なんだ、活用しない手はないよ?」

 

「そうですね……」

 

「それじゃ、カグナくんのやる気の出る魔法の呪文を教えようかな~~」

 

「魔法の呪文?」

 

「ん~とね、これからレイナちゃん相手に5回戦って1回も勝てなかったら………アタシがデザインしたヒラヒラ増し増し胸元丸出しミニスカメイド服を着てもらおうかなぁ~~」

 

「はぁぁぁ??!ナニ言ってるんだアンタは!?」

 

「勝てればいいんだよ、勝てれば、ねぇ」

 

「ふ、ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 団長によって勝手に罰ゲームを設定されてしまったカグナ。

 これよりクランのメンバーによる特訓を得て、プレイヤースキルを磨き上げることによって戦闘面では上位勢に届くほどに成長することとなった。

 なおカグナがヒラヒラ増し増し胸元丸出しミニスカメイド服を着る羽目になったのは、また別の話となる……

 

 

 *

 

 *

 

 *

 

 

 冒険組合の訓練所にて、カグナの魔法を切り裂いたカマッセルは剣を構えなおしてカグナに相対する。

 だがカマッセルの表情に先ほどまでの余裕はない。

 

 

「どうした、さっきまでの余裕の表情(かお)が崩れているよ?」

 

「君への認識を改めたのさ……手を抜いて勝てる相手なんかじゃないってね」

 

「へぇ……意外と物分かりがいいんだな」

 

「さすがに、さっきの攻撃で君の実力が分からないほどマヌケなつもりじゃない」

 

「私の方も侮っていたよ……魔法を斬り裂く芸当ができるほどの実力があるなんて思ってなかったよ」

 

 

 魔法を斬り裂く……剣士系の戦種(クラス)の高ランクプレイヤーであれば、実のところコツさえつかめば出来たりするのである。

 カグナの友人である”アズマエイ”もやろうと思えば出来るし、同じクランのメンバーであった古流居合術の達人(スケベじじい)が得意としていた。

 ただ魔法を斬り裂くと使用した武器の耐久値を大幅に消費してしまうため、武器で対処するよりも普通に避けた方がコスト的に良いのだ。

 

 

「侮られては困るな……ボクは金一星の冒険者なんだよ」

 

「そうか……それじゃ、その実力をもっと見せてくれ。中級炎魔(メガ・フアム)

 

「くッ!?」

 

 

 カグナは再び中級炎魔(メガ・フアム)をカマッセルへ向けて放つ!

 カマッセルはカグナの魔法を斬り裂くのではなく横へと避けた。

 カマッセルが魔法を避けたのを確認すると、カグナはすかさずカマッセルが避けた方向へ3発目の中級炎魔(メガ・フアム)放った!!

 攻撃を避けた矢先、再び火球が襲ってきたのでカマッセルは急いで、また避ける。

 

 

「ポンポンと……球技のボールじゃあるまいに!!」

 

「あはは、どこまで避けれるか試してみるかい?」

 

 

 カマッセルはカグナの魔法を避けて避けて、またに剣で斬り裂いて対処し続けている。

 しばらくこの攻防が続いていき、それを見ていたカマッセルの仲間たちも唖然としていた。

 

 

「な、なんなのアイツ!詠唱無しで中級炎魔(メガ・フアム)を、あんなに連発するなんて……」

 

「あのカグナって娘。あれだけの魔法を使ってるのに全然余裕ですね」

 

「カマッセルのヤツ……まっずいんじゃねぇか?」

 

「…………ステキだ」

 

 

 カグナは中級炎魔(メガ・フアム)を連発しカマッセルの様子を伺っていたが、まだ簡単に躱す程度には余裕があるようだ。

 このまま続けて相手のスタミナ切れを狙うのも有りだと考えたが、それでは少し時間がかかりそうだと考えたカグナは攻め方を変えることにした。

 

 

『うまく避け続けますね、あの方は』

 

「そうだね。単発攻撃なら避けられるか………それなら、これはどうだい?三重炎魔(トルフアム)!!」

 

 

 カグナが別の魔法を唱えると、カグナの周りに三つの火球が出現する。

 魔法は同時に二つ発動することは出来ない、だが複数の魔法を同時に発動するという内容の一つの魔法であれば発動することができる。

 つまり中級炎魔(メガ・フアム)を二つ同時には発動することは出来ないが、3つの炎魔(フアム)を同時に発射するという魔法なら発動することができるのだ。

 イメージとして蛇口その物を二つ用意することは出来ないが、水が出る口が三又の蛇口ならば用意できるという感じである、その分消費する魔力(MP)は増加する。

 カグナは発動した三重炎魔(トルフアム)の3つの火球をカマッセルに向けて飛ばす。

 自身に向かってくる3つの火の球を見たカマッセルは、脚に闘気(オーラ)を込め始めた。

 

 

「くッ、”ドッジステップ”!!!」

 

「お?」

 

 

 カマッセルは急加速とステップを駆使して攻撃を回避するスキルである”ドッジステップ”を発動して迫りくるカグナの三重炎魔(トルフアム)を避ける!

 さらにカマッセルは回避だけに留まらず、そのままのスピードを維持したままカグナの方へと向かっていったのだ!!

 それを見た周りの冒険者たちが驚愕の声を上げる。

 

 

「カマッセルのヤツ、あの攻撃を回避したぞ!?」

 

「それだけじゃねぇ!その勢いで一気に懐に入る気だ!!」

 

「決める気か!?」

 

 

 カマッセルはドッジステップで、カグナの懐へと潜り込む!

 魔導士は接近戦に弱い、本来なら詠唱中に懐に張り込んで攻撃するのが魔導士との戦い方の鉄則である。

 詠唱なしでバンバンと魔法を放っている規格外のカグナとて、例外ではないだろうとカマッセルは考えたのだ。

 

 

「取った!!」

 

 

 カグナの懐に潜り込んだカマッセルは剣を両の手で握り斬りかかった!……だがカマッセルは違和感に襲われる。

 ドッジステップによる急加速で懐に入ったはずのカマッセルは、カグナと()()()()()のだ……。

 いや辛うじて目線だけがカマッセルを捕らえていただけだ、現にカグナの身体はカマッセルの動きについていけてないはず……と、カマッセルは考え、剣に全力込めてカグナに斬りかかった……だが。

 

 

「……なッ!?」

 

「今のは良い感じだった……でも、ちゃんと見えてたよ」

 

 

 カマッセルの剣は、カグナに届いてはいない……カグナは魔杖で受け止めていたのだ!!

 魔導士が剣士の攻撃を受け止めている光景に周りの冒険者たちは驚きを隠せない。

 

 

「ウソでしょ!?カマッセルの攻撃を受け止めた!!?」

 

「ただ受け止めたってわけじゃ……なさそうですね」

 

「あぁ……普通に受けただけなら、勢いに耐え切れず吹き飛ぶはずの攻撃だが……吹き飛ぶどころか、微動だにしてすらいない……」

 

「…………イイ、足腰だ」

 

 

 カマッセルの攻撃は、カマッセルより小さなカグナを確実に吹き飛ばせるほどの威力を誇っていたはずであり、杖で攻撃を防いだとしても勢いを殺せずに吹き飛ぶはずだった。

 だがカグナはカマッセルの攻撃を微動だにせずに完ぺきに受け止めている。

 

 

「なんだ……この力は……押しきれない……?」

 

「どうした、魔導士相手に力負けかな?」

 

「くッ、舐めるなッ!!!」

 

 

 杖と剣で鍔迫り合いをしていたカマッセルは、カグナから距離を取り剣に闘気(オーラ)を込めた。

 ただの一撃が意味がないでのあれば闘気を込めた技を叩き込む。

 

 

「”ブレイドラッシュ”!!!」

 

 

 カマッセルは、相手に猛スピードで連続斬りを叩き込む剣技スキル”ブレイドラッシュ”を発動した。

 物凄い勢いの連撃がカグナに襲い掛かってくる!

 

 

「おいおい、俺ァ夢でも見てるのか……?」

 

「安心しろ……俺も見てるから夢じゃねぇ……」

 

「マジかよ……なんだ……なんなんだありゃ……!?」

 

 

 カマッセルの連撃は並大抵の冒険者程度であれば防ぎきれずに、その身を切り刻まれる攻撃である。

 しかしスサノを除く、その場に居た者たちは目の前の光景に驚きを隠せなかった。

 それもそのはず……カグナは手に持った魔杖で、カマッセルの怒涛の連撃をすべて同じ速度で捌ききっていたのだから!!

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 右から来る一閃を魔杖で防ぎ、上から来る一閃を身体を逸らして躱し、左下から来る一閃を魔杖で撫で軌道を()らした。

 カマッセルの怒涛の連撃はアリシアなら全てを対処しきれずに無事ではいられないであろう……だがカグナは今だに無傷(ノーダメージ)である。

 アリシアは、二人の攻防を見守っている観客たちと同じ感想が口から零れた。

 

 

「カマッセルの攻撃を……すべて防いでいる!?」

 

「ふむ……あの程度の攻撃であれば魔法を使わずとも対処できるであろうよ」

 

「ま、魔導士が剣士の攻撃を、己の肉体と技量のみでですか!?」

 

「それくらい簡単にできるほどの実力を持っているということだ。それに……」

 

「それに?」

 

「カマッセル相手に思いっきり手加減しているしな。実力の半分も出していないだろう」

 

 

 スサノは他の観客たちと違い冷静な反応で、カグナならこの程度は当然出来て当たり前と知っている。

 アリシアもカグナは本気を出していないと感じてはいたが、実力の半分も出していないとは思ってもみなかったのだ。

 それからスサノが、もっと吹っ掛ければよかったと呟いていたが聞かなかったことにする。

 

 

「どうした、どうした。攻撃がどんどん単調になってきているぞ?」

 

 

 カマッセルは変わらず連撃で攻めておりカグナが防戦一方と思われる光景であるが、優勢なのはカグナの方である。

 カマッセルがカグナの守りの姿勢を崩しきれない以上、これ以上の攻防は無駄であるとカグナは判断し始める。

 

 

「なんで!攻めきれ、ないんだ!?」

 

(ふぅ………そろそろ、きめるか)

 

 

 カグナは杖でカマッセルの剣を受け止めると、杖を思いっきり回転させて刃を流す。

 するとカマッセルの剣が下に、カグナの杖が上から抑え込む構図が出来上がった。

 カマッセルは握っている剣の切っ先が地面に押さえつけられてる状態なっていることに焦って、どうにか打開しようと行動を起こそうとしている。

 しかしカグナにとってはソレは隙であり、見逃すわけがない。

 カグナはカマッセルの顎を目掛けて左脚を思いっきり蹴り上げる!

 

 

「なッ!?」

 

 

 カマッセルは上半身を後ろに傾けることで、カグナの蹴りを何とか回避した。

 もし命中していたら、ひとたまりもない蹴りだとカマッセルは直感で感じ取る。

 だがしかし、この攻撃はカグナの本命ではない。

 カグナは避けられること前提、いやわざと避けさせるために蹴り上げた左脚をすぐさま引き戻して地につける。

 そしてそのまま左脚を軸にして右脚で軽く地面を蹴って身体を回転、その遠心力を利用した右脚でカマッセルの腹に目掛けてへと蹴りを繰り出す。

 そう、回し蹴りだ。

 

 

「はっ!!!」

 

「ぐはッ!!?」

 

 

 カグナはカマッセルの腹に足の裏を当てる感じで、思いっきり蹴り飛ばす!

 蹴り飛ばされたカマッセルは、その勢いで1~2回バウンドして端まで飛ばされた。

 

 

「カマッセル!!!!」

 

 

 魔女風の帽子を被った少女が、蹴り飛ばされたカマッセルの名前を呼び叫ぶ。

 まさか魔導士相手に蹴り技で吹き飛ばされるとは、カマッセルの仲間もカマッセル本人も考えもしなかったであろう。

 だがこの場で一番驚いていたのは、実はカグナの方であった。

 

 

「ふぅ………意外と身体動くもんだな。ブランクで、もっと鈍いと思ってたのに」

 

『私が主の動きをすべて記憶しておりますので、フォードバックし常に全盛期の動きを再現できます』

 

「アイ……おまえ、そんなこともできるのか……」

 

『高性能のサポートAIですので、むふー』

 

 

 カマッセルとの一連の攻防で予想以上に身体が動いて対応できたことに、カグナは驚いている。

 後方ポジションである魔道士のカグナが、接近戦での反応がゲーム時代の全盛期と同じに動けていたことだ。

 ゲーム時代にクランの仲間たちとの特訓で、魔道士の戦種(クラス)であっても接近戦で十分な対応ができるように鍛えられていたが、長い間ゲームから離れていたブランクがあるはずだったのだ。

 どうやらサポートAIであるアイが、カグナの全盛期の時の動きを覚えておりフィードバックしていたようでブランクによる鈍りを解消していたようだ。

 自身の凄さをアピールしたいのか、胸を張っている。胸なのかという疑問を口に出かけたがカグナは押し込めた。

 カグナとアイが話をしていると、カマッセルを蹴り飛ばしたの方から音が聞こえた。

 

 

「くッ、まだ…だ!まだ終わるわけには……」

 

 

 カグナに蹴り飛ばされたカマッセルが、剣を地面に突き立て支えにしてヨロヨロと立ち上がっていたのだ。

 蹴られた時のダメージが大きかったのか、肩で大きく息をしている。

 

 

「実力差はハッキリしてると分かったはずだと思うけど……まだやるか?」

 

「あぁ、もちろん……」

 

「何をそんなに意地になっているんだ」

 

「彼女に……カッコ悪い所を……見せるわけには……」

 

「見せる?なにを……」

 

 

 何とか立ち上がったカマッセルの視線の先にはアリシアが居た。

 カマッセルがアリシアのことを見ている時の眼の雰囲気が、他の人を見るときと違っていることにカグナは不思議に思っている。

 決闘をする前にダリアン達に対する態度とアリシアに話しかけたときの態度の違いのことを思い出す。

 そして先ほどのカマッセルの台詞の相まって、カグナは一つの仮説に辿り着く……。

 

 

「まさかキミ、もしかしてアリシアのことが……」

 

 

 カグナが言ったセリフは、カマッセルにも聞こえたようだ。

 カマッセルの表情からして、どうやらカグナの考えは当たっているようである。

 

 

「あぁ~~そうか……そういうことか……」

 

 

 すべてを把握したカグナは、若さゆえの行動か……などとオッサンじみた思考になっていた。

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