星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#28 ウサギ、調査へと向かう

「ダンジョンとは……いったいどういう事なんですか、お爺様?」

 

 

 スサノの言葉にアリシアが疑問を投げる。

 それを聞いたスサノは、カグナとの話しで確信した内容を伝える。

 

 

「あのザコブリンどもだが、アレはおそらくダンジョンから漏れ出てきたのだろう」

 

「ダンジョンからですか!?」

 

「うん。倒したザコブリンたちの死骸がないからね」

 

 

 スサノはアリシアの疑問に答え、それを聞いたアリシア達は驚きの声をあげた。

 カグナも倒したザコブリンたちが塵になって消えたことから、ダンジョンから出てきたという確信している。

 

 

「あぁ~たしかに、塵になって消えていったな」

 

「ダンジョンのモンスターとおんなじでしたね」

 

 

 カグナの説明を聞いたダリアンとサラが納得した。

 アリシアはザコブリンたちがダンジョンから出てきたと聞いて、入り口が近くにあるのだと理解した。

 

 

「つまり、あのザコブリンたちが出てきたダンジョンの入り口が何処かに……」

 

「それを今から探さなきゃいけない」

 

「でもダンジョンの入り口を探すって一体どうやって……広すぎですよ……」

 

 

 ロランが先ほどまで戦場を見渡すと、見通しの良い平原が続いて遠くに岩山や森が見える。

 眼に見える範囲にはダンジョンの入り口らしきものが見えない。

 

 

 

「大丈夫、探し物に適したのを今から呼ぶから」

 

「え、呼ぶって……?」

 

 

 カグナが魔杖を構えて、魔力(マナ)を溜め始めて召喚魔法を発動する!

 

 

「”召喚(サモンズ)ハットリ・チュウゾウ”!!」

 

 

 展開された魔法陣が眩い光を放つと、魔法陣から一つの小さな影が勢いよく飛び出す。

 

 

「ぬぉぉぉぉぉぉ召喚()ばれて飛びでてぇ!!」

 

 

 手のひらに収まるほどのサイズの影がクルクルと回転しながらカグナ達の身長より高く飛びあがり、重力に沿ってカグナの元へと落ちていくと………カグナの豊満な胸部の間の隙間に頭から突っ込んだ。

 

 

「なッ!?」

 

「んなぁぁぁぁ、暗くて狭くて柔らかい!?主様は何処(いずこ)に!?!」

 

 

 カグナは、いきなり自身の谷間に頭から突っ込んできて小さい足をバタバタさせてる召喚獣のチュウゾウの姿にびっくりしていた。

 じたばたと足掻いてるのを見たマカミが、カグナの胸の間に頭を突っこんでいるソレを慣れた手つきで摘みあげる。

 

 

「なにをしているんだ、お主は……」

 

「ムッ、これはマカミ殿。かたじけないでござる」

 

 

 マカミに摘ままれたチュウゾウは、そのままカグナの手のひらへと降ろされる。

 その姿は忍者のような恰好をしており頭には額当てを付け、背中にサイズにあった忍者刀を背負ったハムスターであった。

 

 

「改めて……主様の忠実なる忍!ハットリ・チュウゾウ、参上にござる!!!」

 

 

 カグナの手のひらの上でちょこんと立っている忍者ハムスターことハットリ・チュウゾウは、カグナの召喚獣の1体だ。

 大きさは現実のハムスターと同じ大きさであるが、その俊敏さはカグナの召喚獣達のなかで断トツだったりする

 自信満々な顔をしているチュウゾウを見て、アリシア達はその小さい姿に

 

 

「ね、ネズミ……?」

 

「わぁ、可愛いネズミさんですね」

 

「いや、ハムスターなんだけど………まぁ、いいか」

 

「よくないでござるよ!?」

 

 

 呼び出された召喚獣が手のひらに乗れるほどの小さなネズミ、もといハムスターであることにアリシアは驚き、サラは可愛いと思っているのか眼をキラキラと輝かせていた。

 アリシアにネズミと言われたチュウゾウのことをカグナが一応訂正したが、今は重要ではないので軽く流すとチュウゾウが抗議してくる。

 だが今は急いでいるので軽く流し、カグナは本題に入った。

 

 

「さて……チュウゾウ、呼び出して悪いんだけど頼みがある」

 

「ハッ!何なりとお申し付けください主様!このチュウゾウ、どのような命令もドンとこいでござるよ!!」

 

 

 カグナはチュウゾウにこれまでの経緯とこれからについてを話す。

 それを聞いたチュウゾウは、自身への使命を察する。

 

 

「ふむふむ、なるほど……主様は、(それがし)にダンジョンの入り口を探せということでございますな!?」

 

「あぁ、そういうことだ。頼めるか?」

 

「おッ安いでござるよ!!!」

 

 

 自信満々に答えると、チュウゾウが小さな両手で手印を組む。

 

 

「では、ご覧あれ!これがハットリ・チュウゾウの秘技!”ネズミ分身の術”!!!」

 

 

 チュウゾウが術を発動させる。

 するとカグナの足元にチュウゾウと全く同じ忍者ハムスターが大量に出現したのだ!!

 

 

「うぉ!なんだコレ!?」

 

「分身?!何体いるんだ!?」

 

「フフフ……これが(それがし)の秘技、その名もネズミ分身の術!!」

 

「効果は見ての通り。分身を大量に作り出すチュウゾウの術だよ」

 

 

 チュウゾウがカグナの手のひらの上でドヤ顔している、分身たちも同じような顔をしていた。

 十分な数の分身を用意できたことを確認すると、カグナはチュウゾウに探索を命じる。

 

 

「それじゃ、チュウゾウ。頼んだぞ」

 

「「「「御意!!!」」」」

 

 

 足元の大量のチュウゾウ達が答えると、各方向に一斉に走り出す。

 そしてその姿は、すぐに見えなくなる。

 

 

「うぉ、速ッ!?」

 

「も、もう見えなくなりましたよ……」

 

 

 チュウゾウの分身たちの目に留まらぬスピードに、サラたちは驚いている。

 その様子を見ていたチュウゾウは、カグナの手の上でドヤ顔で仁王立ちのままであった。

 

 

「あれ、1匹だけ残ってますよ?」

 

「某は本体にござる。分身たちが何か見つければ本体の某に伝わるという寸法」

 

「なるほど……」

 

 

 分身たちが何かを見つければ本体に即座に伝わるとのことだ。

 これなら分身がダンジョンの入り口を見つければ、カグナ達にもすぐにわかる。

 そして分身たちが走り出して数分後、カグナの手の上にいる本体のチュウゾウの様子が変わった。

 

 

「ムムムッ主様!!それらしき扉を見つけたにござる!!」

 

「よし、でかした!」

 

 

 どうやらチュウゾウの分身がダンジョンの入り口を見つけたようだ。

 チュウゾウは遠目に見える森の方向を小さな指で刺している。

 

 

「アリシア達は……」

 

「当然、私たちも一緒に行きます」

 

「もう同じパーティーの仲間じゃないですか!」

 

「そうだぜ、いまさら仲間外れはないだろう」

 

「そうですよ、カグナさん!!」

 

 

 アリシア達も当然ついてくるとのことだ。

 カグナは、戦場の後始末をスサノに丸投げしてチュウゾウの案内にしたがってダンジョンへと向かった

 

 

 *

 

 *

 

 *

 

 

 カグナ達は平原を進んだ先にある森の中にあった岩山の影に石で出来た大きな扉があり、沢山のツタが伸びており所々花も咲いているダンジョンの入り口らしき扉を見つけた。

 扉の近くにはチュウゾウの分身体が数匹おり、扉を見つけたことを自慢するかのようにピョンピョンと飛び跳ねながらカグナ達のことを待っていた。

 

 

「主様、コレにござる!」

 

「よくやった、チュウゾウ」

 

「当然でござるよ~」

 

 

 カグナは扉を見つけたチュウゾウの分身たちの頭を撫でて労いの言葉をかける。

 撫でられている分身は気持ちいのかまったりした顔をしており、それを見ていた本体が某は?某は?という眼でカグナのことを見つめて来たのでカグナはついでに撫でた。

 そんなカグナの横で、アリシアが件のダンジョンなのか確認をしてくる。

 

 

「これが探しているダンジョンなのですか?」

 

「別の分身が、この扉の近くの森の中で大量の足跡をみつけたでござるよ。おそらくはここで間違いないかと」

 

 

 チュウゾウの分身はダンジョンの入り口の近くで、大量の足跡を見たと言ってきた……おそらく王都を襲撃しようとしていたザコブリンの大軍のものであろう。

 だとすればザコブリンたちは、眼の前のダンジョンから出てきたことは確定である。

 カグナは本型のメニュー画面を開き、ダンジョン情報を確認した。

 

 

【 ダンジョン名:”虚ろの花園 ver3” 全3階層  製作者:種撒きオジ3  備考:召喚制限1体――― 】

 

「ダンジョン内での召喚制限あり……か」

 

 

 ダンジョンの仕様に召喚獣は1体までという制限がある、よくある内容だ。

 他にもいろいろと書かれているが、とくに気にする内容ではないのでカグナはスルーする。

 カグナの横と後ろからメニューを覗いていたマカミたちは、召喚制限の文字を見てガッカリしている。

 

 

「ダンジョン内で、召喚制限……ですか」

 

「では我々は同行はできませぬな」

 

「そんなぁ~せっかく呼ばれたでござるのに……」

 

 

 フィールド上で、すでに召喚している召喚獣はダンジョン内で召喚することはできない。

 これにより、マカミたちをダンジョン内で呼ぶ際には送還させる必要がある。

 そのためマカミ、メズ、チュウゾウには心苦しいが帰ってもらった。

 

 

「んじゃ、さっさと片付けようぜ」

 

「ちょっと待ってくれ」

 

 

 いざダンジョンへ行こうとした時、カグナ達は話しかけられて足が止まる。

 カグナたちが振り返ると、そこにはカマッセルと彼の仲間たちが居た。

 

 

「カマッセル?」

 

「そのダンジョン攻略だが……僕たちも同行させてくれ」

 

 

 なんとカマッセルが同行の許可を求めてきた。

 どうやら彼の後ろにいるパーティーメンバーも一緒に来る気のようだ。

 

 

「はぁ?どういうことだよ」

 

 

 カマッセルの言葉に、即座にダリアンが反応する。

 彼らは仲が良いわけではないので同然だろう……冒険組合でケンカをしていたのだから。

 このままではまたケンカが始まってしまいそうな感じだったのか、すかさずアリシアが問いかける。

 

 

「理由を聞いても?」

 

「このダンジョンが、あの騒動の原因なんだろう?なら早急に調査して対策を練る必要がある。それにカグナさんがいるとは言え、君たちは銀星ランクのパーティーだ……ダンジョン攻略に関しては君たちより経験がある!」

 

 

 カマッセルが自信満々に豪語する。

 たしかにカマッセルは金一星の冒険者、ダンジョン踏破の経験はアリシア達よりも多いだろう……彼に付き合っている仲間たちも同様だ。

 カマッセルは、王都にとっても危険なダンジョンは速やかに対処すべきであり実力の高い冒険者たちで対応すべきであるという考えであろう。

 たしかに先ほどのザコブリンの大軍は一歩間違えれば王都の危機に陥ってしまう事件だった、カマッセルたちがそう思うのも納得である…………が。

 

 

「理由は、それだけか……?」

 

「な、なんのことかな……」

 

 

 カグナは、カマッセルがアリシアに特別な感情を抱いていることに気づいている。

 ここでアリシアに自分の活躍を見せたいという思いなのではないか……と、一瞬考えたが口に出すのは止めておこうとカグナは考えたことを飲み込んだ。

 カグナはアリシア達の方をみて、カマッセルたちの同行を承諾するのか確認をすることにした。

 

 

「アリシアにみんな、どうする?」

 

「………」

 

 

 カマッセルの語った同行する理由を聞いたアリシア達はしばらく沈黙して思考している。

 

 

「カマッセルの言った内容は一理ありますが、アナタは私の仲間たちとの軋轢(あつれき)があります。その状態でダンジョンへ同行するのに不安がないとは言えません……」

 

「それは理解している、ただ僕はカグナさんに完敗した身だ。今の僕にキミたちと言い争うつもりは毛頭ない。組合での暴言も撤回するよ。すまなかった」

 

「…………え?」

 

 

 カマッセルの突然の謝罪の姿を見たアリシア達は困惑していた。

 彼の後ろに居る仲間たちもやれやれという顔であった、魔道士の少女は口をへの字にしていたが……。

 

 

「どういう風の吹き回しだぁ?」

 

「カグナさんにボコボコにされた時に、いろいろ考えてしまったというだけさ……そんなことよりも同行してもいいかな?」

 

「………カグナさん」

 

 

 アリシアが助けを求めるかのように、カグナの方を見てきた。

 他の三人もアリシアと釣られてカグナの方を見る。

 

 

「いいんじゃないかな。優秀な人手は多いに越したことはないし……それに今回は悠長にダンジョン攻略するわけにもいかないだろ?」

 

「たしかにカグナさんの言う通りですね……」

 

 

 回答を求められたカグナは、カマッセルたちの同行を容認すると答えた。

 今回のダンジョンへの挑戦は、ザコブリンの大軍の原因となっているであろうダンジョンの調査と対応が目的である。

 それを速やかに行うためにも、カマッセルたちのような実力者が協力するというのであればカグナも楽が出来よう。

 

 

「カグナさんがそういうのなら……まぁ、仕方ねぇか」

 

「そうですね」

 

「なら、決まりだね」

 

 

 カグナの言葉にダリアンも渋々納得、サラもロランも同意した。

 この場に居るカグナ達とカマッセルパーティーがダンジョンへ突入することが決まった。

 

 

「それじゃ、行こうか」

 

 

 ダンジョンへの突入準備が整ったカグナ達は、扉を開けて中へと進んでいく。

 甘ったるい花の匂いが充満している扉の中へと……。

 




・召喚獣 ハットリ・チュウゾウ
忍者の格好をしたハムスターの姿の召喚獣。
分身の術を得意としており、数十~百匹ほどに分身を作り出すことができる。
そしてカグナが呼び出す召喚獣の中でも俊敏性はピカ一。
分身と俊敏さを使って、数にものを言わせてダンジョン内の探索などを行ったりする。
なお戦闘力は低いため、戦いは得意ではない。

不注意で、カグナの胸によく飛び込む。
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