星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~ 作:健全なMTYK
「「「かんぱぁ~~い!!!」」」
冒険組合の建物の中にある酒場で、大勢の冒険者たちが樽ジョッキを片手に大はしゃぎしている。
ザコブリンの大軍迎撃のための緊急招集に対応したことによる王国からの報酬の一環だ。
「いやぁ~~一時はどうなるかと思ったが、案外何とかなったなぁ」
「そうだな……騎士たちも居たとはいえ、あの規模はさすがにヤバイと思ったね、俺はァ」
「ヤバイと言えばアレだ……組合長の母親だよ。あんなすんげぇ魔法を使えるの、マジでやべぇよ」
「あぁ、やべぇ……やべぇよ。あんな可愛い見た目なのにな……」
樽ジョッキの発泡酒を呑みながら冒険者たちが口を揃えて言う。
酒の肴となる話しはザコブリンの襲撃と原因となったダンジョン、そしてそれらは解決した大型新人冒険者のことだ。
カマッセルとの決闘に討伐戦で見せた大規模の魔法、話しのネタは尽きず冒険者たちは大盛り上がりである。
酒場の1階で多くの冒険者たちが宴を楽しんでいる最中、1階が見下ろせる2階のエリアでアリシアたちとカマッセルたちが酒と料理を堪能しいた。
「まさか、ダンジョンを消すことができるなんてな」
「えぇ……私たちも初めて知った時は驚きました」
カマッセルは樽ジョッキをテーブルに置くと自分の眼で見た光景を思い出して、その内容にアリシアも同意した。
カマッセル達が見たものとは、カグナが今回のダンジョンの入り口を消したことだ。
方法はわからないが、あまりにも非常識なことを目のあたりにしたことで驚きが隠せない。
「でも、そのおかげで今回のような脅威は完全になくなったわけですし。よかったじゃないですか」
「だな……あんなのは、もう勘弁だぜ」
同じ席についているサラとダリアンの言葉に、皆同意する。
「さすがは、なにかと伝説を残してるスサノ組合長の母親ということか……」
「息子が規格外だとしたら、その母親はもっと……ってわけ?」
「……………感動的だ」
酒を呑んでいるバードン、食事を楽しんでいるエリィ、そして何かを思い出し浸っているウツセミが思っていることを呟いた。
「しかし……あれほどの実力を持つ人が、今まで何をしていたんだ?」
「そういえばそうね。あんだけ凄かったら名前ぐらい広がってるはずなのに」
樽ジョッキを手に持ったカマッセルと、食事をしているエリィが疑問を口にする……カグナほどの能力を持つ人が今まで何をしていたのか、っと。
数ある冒険者たちの中でも上位の金一星級冒険者であるカマッセルを軽々と凌駕するほどの実力を持ち、誰にもどうすることもできなかったダンジョンを消去できるすべを持ち合わせている謎の人物であるカグナのことを今の今まで誰も知らなかったのだ、当然の疑問であろう。
同じテーブルに座っているダリアンが肉を頬張りながらアリシアに、カグナについて問いかける。
「アリシア、何か知ってるか?カグナは、アリシアの曾婆さんになるわけだし」
「詳細は私にもわかりません……お爺様もカグナさんも、おそらく教えてはくれないでしょう。そもそも、私とカグナさんの血縁関係も今日知ったばかりですし」
アリシアにとってカグナが自分にとっての曾祖母になることは、カグナがアリシアの祖父であるスサノが再会した時に初めて知った内容だ。
しかしカグナが今までどこで何をしていたか過去に活躍していたらしいことなど、アリシアは解らないことの方が多い。
アリシアが果実飲料を口にしつつ横目で少し離れたテーブルを見ると、カグナはスサノと同席して食事をしているのが見える。
「助かったぞ、母よ。今回の件……其方がいなければ、いつぞやの大惨事と同じことになっていたかもしれぬ」
「いいよ、別に。ダンジョンだって、元をたどれば……ね」
「そうか……時に今回の件で、王家から報酬を出すとのことだ」
「え、マジで?」
「王都の危機を救ったのだ。当然であろう」
スサノの話しだと、ザコブリン討伐を一緒にした騎士たちから王城に話が伝わったとのこと。
それを聞いた王国を収める女王が、王都の危機に対処した勇敢な冒険者たちに報酬を出すと宣言したのだ。
ともあれ特別報酬という言葉にときめかない者はいないであろう……カグナも例外ではない。
しかも国を纏める女王からと来たものだ、ワクワクが止まらない。
カグナはご馳走を頬張りながら、報酬とはどれくらいなのだろうと妄想していると大事なことを思い出す。
「あ、ところで助けた子たちは?」
「処置が適切だったからな、後遺症は残らんだろう。しばらく休ませた後、住んでいたという村まで送らせる」
「そっか……よかった」
カグナはホッとした。
ダンジョンで肉盾として誘拐された二人の子供は無事助け出されて、サラとカトリーナの応急処置と冒険組合が抱えている回復のプロフェッショナルに任せたことで一命をとりとめたのだ。
スサノは冒険組合で一晩様子を見た後で、冒険者たちに住んでいた村まで送ると予定だと語った。
住んでいた村では、一緒に暮らしているはずの親が突然いなくなった子供たちのことを心配しているだろうとカグナは思っている。
「しかし、ダンジョンの中のモンスターがダンジョンの外にいる子供を攫うなんて……」
「俺も驚きだ。こんな事例は、今まで聞いたことがない」
「だよな……やっぱりゲームだった時の感覚とは違うってこと、か……」
ダンジョンの中のモンスターが、外のいる現地の子供を攫う事案なんてスサノも初めてとのことだ。
今回はカグナ達の活躍でなんとか助け出せたが、もしかしたらまた同じことがあるかもしれない。
スサノの悩みの種がまた一つ増えたのであった。
「ところで、母よ」
「うん、なに?」
「いやなに……いつから自分ことを
「え……?」
「うろ覚えだが、昔は違ったような気がしてな……」
「そう言われてみれば……でも自然と出てくるしな」
「まぁ、俺がガキだったころの話だ。記憶違いかもしれんな」
カグナの昔の口調と今の口調で差がある気がすると、スサノが言ってきた。
(そういえば自然と言ってる気がする…………まぁ、困ってないし、別にいいかな……)
カグナは、そうかな?っと思いつつも別に困っているわけではないので、今まで特に気にせずにいた……。
少しカグナが考えていると、スサノが樽ジョッキに入っている酒をグイっと飲み干すと席を立つ。
「さて、そろそろ俺は仕事に戻るとするか。報告書を纏めねばな……」
「あははは、管理職は大変だね」
スサノが残った仕事を片付けるために席を立つ。
冒険組合の管理者として王国への報告義務とかがあるのだろう。
元の世界で社畜だったカグナは、管理職の大変さはとても理解している。
「代わってくれるか?」
「がんばって!」
スサノの素敵な提案を、カグナは笑顔で断ると皿に盛られた肉を食べながら仕事場へと戻る息子を見送る。
話し相手が居なくなってしまったのでアリシア達に合流しようかと皿の上を空にして席を立った。
「やぁ、盛り上がってる」
「カグナさん。……お爺様は?」
「さっき仕事に戻ったよ。席空いてる?」
アリシアが隣の席にカグナを案内する。
案内された席に座ったカグナは、給仕をしていたスタッフに向かって注文をする。
「あ、お酒ひとつ!」
すると営業スマイルニッコニコのお姉さんが、酒が満ち満ちた樽ジョッキを一つ持ってきた。
カグナは置かれた樽ジョッキに口をつけ、一口二口と喉に流し込む。
「ぷはぁーーッ!仕事の後の一杯ってなんでこうも美味いんだろう」
久々の酒の味を堪能すると、カグナの頬が赤らみ熱を感じる。
酒で気分が高揚したのか、皆との会話も弾んでいく。
しばらくするとカグナの最初の樽ジョッキが空になり、次の酒を頼もうとするとカグナは頭がユラユラと振子のようにリズムを刻み始める。
カグナの顔を覗き込むと、真っ赤になっていた。
「カグナさん、大丈夫ですか……顔が真っ赤ですよ?」
「んん~~だぁ~いじょうぶだよ?」
カグナの様子が明らかにオカシイので、アリシアがカグナの意識レベルを確認する。
声をかけられたカグナは、自分は大丈夫だと主張する……が、口調が普段と違う。
明らかに酔っぱらっていた。
「いや、全然大丈夫には見えないんすが……」
「カグナ、酒に弱かったのか」
「私、お水貰ってきましょうか」
ロランとダリアンも心配してきたおり、サラは水を貰いに1階にある酒場のカウンターへと向かう。
そしてカグナはダリアンの酒に弱いという言葉に反応して、ムッとなった。
「よわくわなぁいよ!こぉれでも、前はなん件も呑みあるいたんだからなぁ!!」
卯月 和人は、けして酒に弱い体質ではなかった……だが、今のカグナは樽ジョッキ1杯呑んで顔が真っ赤に染まり呂律が回らなくなってきている……。
「だいじょぉうぶなんだって!みてろぉ、えぇ~~っと……」
自分は正気だ、その証拠を今見せるぞ!と豪語するカグナは何を思ったのか手のひらに
カグナの手のひらに集まった魔力は、野球ボールほどの大きさの火の球へと変わっていく。
それを見たアリシア達が慌てて、ダリアンが叫ぶ。
「バカバカバカ!やめろ!!」
「”
「ぎゃーーー!!!」
酒場に悲鳴が響いた……。
*
*
*
「ん……うぅ……あいたたた……」
『お目覚めですか。主』
カグナは、二日酔いの頭痛を我慢しながら重い身体を起こし周りを見渡す。
どうやら知らない部屋のベッドで寝ていたらしいく、窓の外を見ると太陽は登りきっていた。
「アイ……ここは?」
『冒険組合の施設内にある仮眠室です。昨晩の宴で酔いつぶれた主をスサノ様が担ぎ連れて来たのです』
「スサノ……が?」
『もしや覚えてらっしゃらないのですか?』
「あぁ……そうだっけ……?」
昨晩に何があったのかを思い出そうと思ったが、昨晩の記憶がほとんど残っていないことに気づく。
記憶の欠落と二日酔いの症状、どう考えても酒の呑み過ぎによるやらかしであるとわかる。
「酒の呑み過ぎ……か?だけど1杯しか呑んだ記憶しかないんだがな……」
かつて
その後、反省して呑み過ぎないように心がけている。
だが昨晩の覚えている範囲では、樽ジョッキ1杯分しか呑んでいないはずである。
頭痛に耐えつつカグナは仮眠室から出て階段を下りて1階へと降りると、その光景に驚愕する。
「え……なに、このありさまは……?」
カグナが眼にしたのは、荒れ果てた酒場だった。
壊れたテーブルやイスの破片が散らばり、床や壁に燃えた跡が残っており、まるで何かの事件があったのかと思ってしまう。
そんな現場にカグナが近づくと、そこに居た冒険者たちが怯えた目や怒りに満ちた目で見てきたのだ。
突然の視線にカグナが驚いていると、受付のお姉さんと思わしき女性が近づいてくる。
「カグナ様」
「ふぇ!はい!?」
受付のお姉さんの一人が笑顔で話しかけてきた。
ただ
笑顔の圧力にビビりながらも、酒場で何があったのかを聞いてみる。
「え……っと、なにかあったので……?」
「もしや覚えていないのですか?昨晩、あれだけのことをしておきながら……?」
「昨晩?あれだけ……?」
「覚えて、いないのですね?」
「…………はい……すみません……」
カグナは、ことの顛末を受付嬢から聞いた。
昨晩の宴で泥酔したカグナは、魔法を乱発して酒場を荒らしたとのことだ。
その際にテーブルやイスは破損、床や壁には魔法が当たった跡が残り、泥酔したカグナを止めようと数人の冒険者が試みるも返り討ちにされ負傷したらしい。
さらにカグナがドでかい魔法を放とうとした時に、そのまま床に倒れて眠ったのだ。
そして騒ぎを聞きつけてやって来たスサノが酒場の惨状を見た時、頭を抱え熟睡しているカグナを仮眠室まで連れて行った。
「…………うわぉ」
「うわぁ、じゃありませんよ。起きたら組合長のところまで来いとのことです…………カンカンでしたよ」
「…………行きたくない」
「ダメです」
ショボショボ顔になったカグナは重い足取りで組合長室まで行き
冒険者たちに王国から支払われる予定の報酬だが、一番の貢献者であるカグナは多めに用意されるとのことらしい……が、その大半は泥酔したカグナが壊した施設の修理費や負傷した者の治療費として押収されることとなり、仕方がないと思いつつもカグナは涙目になる。
そして冒険組合の鉄の