星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~ 作:健全なMTYK
リアル友人であるアズマエイと共に経験値稼ぎをしていたカグナは、一旦経験値稼ぎを終えて街へと戻ってきていた。
「ランクアップ早いな、もうランク10を超えてる」
「初心者応援キャンペーンで経験値ブースト掛かってるからな、まだまだ上がるぞ」
ベンチに座っているカグナは本型のメニューを開き、自分の上がったランクを見ている。
1時間ほど練習がてら、雑魚モンスターを狩り続けてカグナのプレイヤーランクが一気に上がったのだ。
「ランク10以上になれば、いろいろと解禁されてるはずだが、どうだ?」
「そうだな、ログにいっぱい出てるわ」
プレイヤーランクが上がったことにより、様々なシステムやコンテンツが解禁される。
カグナはメニューに表示されているログに記載されている内容を読んで何が解禁されたのかを確かめていた。
【スキルレベルの上限が解放されました】【
メニューには解放された内容がずらりと並んでおり、カグナは一つ一つ確認していく。
「初心者はランク10を超えてからスタートラインができたって言われるくらいだからな……このゲームは、ここから面白くなっていく」
「まぁ、どのゲームでも最初はレベル上げが基本だしな」
どのようなゲームでも、まず最初は慣れることとレベル上げを進めるのが定石である。
そうすることでプレイヤーのできることの幅も増えていく、アナザーワールド・オンラインもそうだ。
カグナは解禁された内容が書かれているシステムメッセージを読みながら、今後自分がやれそうなことを模索しつつメニュー画面に表示されている自分のステータスを見ていた。
各ステータスの数値は概ね増えていたが、一つだけ数値が変わっていない項目があることに気づいた。
「そういやランクが上がって気になってたんけどよ」
「ん、なんだ?」
「体力の上限が上がらないんだな、このゲーム」
「あぁ……そのことか」
メニュー画面に表示されているカグナのステータスで、体力の数値が最初のころから増えていない。
よくよく見れば、パーティーとして表示されているメンバーであるアズマエイの体力の数値はカグナとあまり変わらなかった。
カグナの疑問にアズマエイはアナザーワールド・オンラインの体力値のシステムに関して答える。
「
「マジで?」
「マジマジ」
「敵の強さが上がったらどうするんだよ」
「守りに関しては防具の性能を高めるとか、防御系スキルを惜しみなくセットしていくしかない」
「そういうタイプのゲームか」
「そうだ。だから上位ランクプレイヤーでも油断してると、すぐ大ダメージを受けることがあるんだ」
体力の上限は変わらない、アナザーワールド・オンラインでの仕様だ。
なので高レベルの敵と戦うためには、性能の高い防具類を装備したり防御系の
「まぁ……このシステムのおかげで防具も防御系スキルもつけずに回避だけで高難易度クエストを渡り歩いている変態プレイヤー達とかも居るんだがな……」
「たまによくいるよな……そういうタイプのプレイヤー……」
プレイ人口が多いと変な遊び方をするゲーマーが稀によく出没する。
アナザーワールド・オンラインも例外ではなく、変態プレイヤーというものは存在しているようだ。
「あぁ……とくに”パンイチ騎士団”ってクランがあってだな、クランメンバーの全員が
「うわぁ……」
「イベントランキングでも常に上位でな……掲示板とかでも、半裸の変態にまた負けた!って阿鼻叫喚になるんだぜ」
「なんというか……ご愁傷様?」
カグナは、半裸のプレイヤー達が野を駆け回るイメージが容易に想像できてしまい、思わず笑いが出てしまう。
ともあれ運営に
なお、”パンイチ騎士団”なるクランには女性アバターのプレイヤーも在籍しているとか……。
カグナは少々脱線した会話を戻すために、アズマエイに質問を投げる。
「ところで
「んまぁ……大方そんな感じであってる。そうだな、たとえば………」
アズマエイは、どう説明しようかと考えを巡らせていると少し離れたところに、とある人物の姿を見つけた。
「カグナ、向こうに
カグナはアズマエイが指さした方向を見る。
そこには、スタイルがとても良く
頭にかぶっているベールから尖った耳がはみ出ているが
「なんだ、あのシスターは知り合いのプレイヤーか?」
「何回か臨時パーティーを組んだことがある」
シスターのプレイヤーはアズマエイの顔見知りらしい。
アズマエイは、シスターのプレイヤーを例にして”
「あのプレイヤーは、メインアタッカーのサブヒーラーでバリバリの前線に出るタイプだ」
「
「普通はそう感じるだろう。だが、ヒーラーは何も味方を回復させることだけに特化しているわけじゃない」
「どういうこと?」
アズマエイの説明にカグナは疑問を持った。
アタッカーとヒーラーの役割はまったくことなるはずだ、なのにその二つをメインとサブで組み合わせることは妙だと感じたのだ。
アズマエイはカグナの疑問を解消するために説明を続ける。
「サブヒーラーはな、自己治癒させるのに持ってこいなんだよ」
「自己治癒?」
「アタッカーのスキルの中に、自分の体力を消費して火力をあげる”命血燃焼”ってスキルがあるんだが……」
「あぁ、わかった。そのスキルで消費した体力をサブヒーラーの自己治癒スキルで回復させるってわけだ」
「その通り。特に敵を攻撃したら回復するってスキルがあってだな……ソレがサブヒーラーの自己治癒量上昇スキルと相性がいいんだ。そんなわけで”命血燃焼”で消費した体力を攻撃しながら回復するやり方を”ヴァンパイア・ビルド”って呼ばれてるんだ」
「敵を殴りながら回復する様子が、まさに”ヴァンパイアの吸血”みたいだってか?」
「そういうことだ。んで、メインとサブの組み合わせによっては他にもいろんなやり方ができるわけだ。タンクアタッカーでカウンター特化とか、タンクヒーラーでゾンビ壁役とか、ヒーラーサポートにして支援超特化とか、な」
なるほどな、とカグナは納得する。
カグナは
他にも
「それからアイツの
「格闘って……じゃぁ、受けたダメージも自傷も拳で敵を殴って治すってことか…………脳筋ですか?」
「同じPTに居た時は、あまり難しいこと考えるようなタイプではなかったな……脳筋だな」
「あら、ずいぶんと
「げッ」
カグナとアズマエイが好き勝手言っていると、後ろから女性の声が聞こえて来た。
二人が振り返ると、そこには先ほどまで例として使っていた
なお彼女は笑顔だが、雰囲気が笑っていない。
「なにやら、私のことを脳筋だのなんだのと聞こえてきましたが……」
「気のせいじゃないか?うん、気のせいだろ!」
「そうですか……おふたりの会話は全部聞こえてましたよ。誰が殴るしか能がない脳筋女ですって?」
「いや、誰もそこまで言ってない……」
アズマエイが彼女に問い詰められ、なんとか誤魔化そうとしたが……失敗に終わる。
彼女からの圧が、さらに強まったのを二人は感じ取った。
「よし、カグナ……逃げるぞ!!」
「え?あ、ちょっと待てよ!!」
誤魔化しを諦めたアズマエイは、すぐさま撤退を実行。
とある特撮ヒーローを模倣した銀色の全身甲冑を鳴らしながら全力疾走でその場から離れていった。
友人の行動を見たカグナは遅れて走り出し、逃げるアズマエイを追いかけている。
「逃げるな、おバカ!!!」