星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#35 ウサギ、女王とおしゃべりする

「改めて自己紹介といこうか、妾がオルヴィア・キャン・ガーヴァング。職業は女王をやっている」

 

 

 カグナの眼の前のソファに座った金髪の女性が名乗り、職業は女王だと冗談を言う。

 そんなことを言えるのは、この国で彼女だけであろう。

 

 

「そして妾の後ろに阿呆みたいに突っ立っているのが……」

 

「阿呆みたいに突っ立っている長男のエディオール・キャン・ガーヴァングです。主に内政などを補佐しています、以後お見知りおきを」

 

「他にも妾の子らは居るが、おいおい紹介しよう」

 

 

 女王の軽口に乗っかって自己紹介をしたエディオールは、カグナに軽く会釈をした。

 メガネを掛けたイケメンだが、にこやかな表情から腹が読めない感じのイケメンである。

 オルヴィアが言うに、どうやらエディオール以外にも子供がいるようだ。

 

 

「そして其方の横に座っているのが、妾の叔父のスサノだ」

 

 

 スサノのことを自分の叔父だと紹介しながら、オルヴィアは視線で彼のことを指した。

 女王であるオルヴィアがスサノのことを叔父と呼んだことに対して、驚きのあまりカグナはスサノの襟首を掴んで問いただす。

 

「詳しく……説明をしてくれ……今、おれは冷静さを保てないかもしれない……」

 

「母よ、落ちつけ……とりあえず襟を掴んでいる手をどけるのだ」

 

 

 その様子を見ていたオルヴィアは大笑いし、後ろに佇んでいたオルヴィアの息子のエディオールはヤレヤレといった顔をしている。

 スサノに宥められて冷静さを取り戻したカグナは、そっとスサノの襟元から手を放す。

 首元が自由になったスサノは軽く咳払いをし、息を整えてから話始めた。

 

 

「まぁ……なんだ。俺の妻であるマリアンナは、オルヴィアの母親であり先代女王の妹だ」

 

「先代女王の……妹!?ってことはアレか、おまえ……お姫様と結婚したってことか!?それは聞いてないぞ!!?」

 

「元王族という扱いではあるがな」

 

「元?」

 

 

 スサノの結婚した女性のことと病気で亡くなったことは事前に聞いてはいたが、王族だったとカグナは聞いていなかったのである。

 元が付くということは、お姫様であったが何らかの理由で姫を()めたという意味であるとカグナは察しがつくが何故そうなったのかが分からない。

 カグナの表情から考えを読んだのか、オルヴィアが補足説明をする。

 

 

「マリアンナ叔母上は叔父上と結婚する際に、王位継承権と王族特権を返上しているのだ」

 

「返上って……王族をやめたってことですか?」

 

「その通りだ」

 

「なんでまた、そんなことを……」

 

「叔父上と結婚するために王族と言う立場が邪魔だったから、であろうな」

 

「いやいや、邪魔って……」

 

 

 オルヴィアは軽く言ったが、王族としての立場を捨てるとは簡単なことではないはずだということは、カグナでも理解できる。

 それでもマリアンナという女性はスサノと結婚したかった、一緒に居たかったのだろう。

 何がどうしてマリアンナが、そのような考えに至ったのかをスサノはカグナに語りだす。

 

 

「昔の話だ……俺がツクヨとアマテルと共にまだ冒険者として過ごしていたころに、トラブルに巻き込まれていた王族の馬車を助けたことがあってな……その馬車に乗っていたのが、マリアンナだった」

 

「若き日の叔父上に助けられたマリアンナ叔母上は、その時に叔父上に一目ぼれしたそうだ。それからというもの、なにかとつけては叔父上と接点をもとうとしていたと先代女王(ははうえ)から聞いている」

 

「来る日も来る日も、しつこくてな……」

 

「そして痺れを切らしたマリアンナ叔母上は、ついに行動を起こして…………フフフッ」

 

 

 当時を思い出したのか、スサノはため息をついている。

 そしてオルヴィアが続いて説明をしたが何故か笑うのを必死に堪えており、オルヴィアの後ろに控えていたエディオールにいたっては反応に困るという表情していた。

 

 

「叔父上を……フフッ……()()()んだとさ……」

 

「え……襲った?」

 

 

 スサノを襲った……武力的な襲撃とカグナは一瞬考えたが、話の流れ的に違うと分かった。

 そしてすぐに”襲った”の意味にたどり着く……。

 

 

「襲われたって……お前、まさか夜這いされたのか……お姫様に!?」

 

「…………」

 

 

 スサノは苦い顔をして沈黙をしている。

 だがこれが肯定を意味している沈黙であることくらいカグナには、すぐ理解できた。

 

 

「ツクヨが……ヤツが手引きしていたんだ……」

 

 

 カグナは、娘の一人であるツクヨの名前が出てきて彼女の顔を思い出す。

 桃色の髪の毛をし悪魔の角のような物が頭に生えている、イタズラ好きな小悪魔的性格の魔人種(デーマン)の少女だ。

 どうやらマリアンヌ姫様は、スサノの姉であるツクヨを買収したようである。

 ツクヨもツクヨでノリノリで承諾したのは内緒だ。

 

 

「とまぁ、マリアンナ叔母上は無事に娘を身ごもり、叔父上はその責任を取る形となってしまったわけということだ……フフフッ」

 

「はぁ……その時に生まれたのが、アリシアの母にあたるアレクシアだ」

 

 

 アレクシア……スサノの一人娘にしてアリシアの母親だ。

 生前はスサノに憧れて冒険者となり今のカグナと同じく金二星まで上り詰めたとのこと、そして同じ冒険者仲間だった男性と結婚しアリシアを身ごもったことをカグナは事前にスサノから聞いている。

 

 

「アレクシアとは従姉妹同士ということもあってか、なかなかに話が合う仲でな。何度も我が騎士に誘ったんだが毎度断られてたんだが……」

 

「スサノから聞いた話じゃ、数年前に……」

 

「あぁ……数年前のモンスター大襲撃事件で……な」

 

 

 数年前にとある街に大量のモンスターが襲撃した事件があった。

 そこに当時、金二星の冒険者であったアレクシアも街と人を守るために冒険者仲間と一緒に護衛戦へ参戦していたとのことだ。

 アレクシアを含む冒険者たちの活躍により街と民を無事守り抜くことは出来たがアレクシアと夫は、その戦いにて戦死した。

 アリシアが、まだ10歳のころの出来事だったらしい……。

 

 

「さすがの妾もアレクシアの死には落ち込んだ。我が半身を失ったような喪失感だった……」

 

「アリシアもな……三日三晩泣き続けていた……」

 

「………そうか」

 

 

 カグナには、その時のアリシアの気持ちがよくわかる……自分も両親を幼い時に失っているのだから。

 

 

「だがまぁ……アレクシアの意志は、きちんと娘に伝わっている。今はまだ成長途中のようだがな」

 

「アリシアが冒険者になったのって、もしかして」

 

「俺やアレクシアの影響だろう。俺は一応反対したんだが、アリシアもアレクシアに似て頑固な部分があるのでな……」

 

 

 祖父と母親が一流の冒険者だった影響で、アリシアも冒険者になることを決めたとのことだ。

 そしてサラやダリアン、ロランと出会いチームを組み、着々と実力を上げて行っている。

 

 

「ちなみにアリシアは、自分の血筋のことを……」

 

「もちろん知っている。マリアンナに関しては俺が教えているからな。何、問題はない……あの子は血筋のことを言いふらしたり、変に利用するような娘ではない」

 

「うん、そうだね」

 

 

 アリシアは自身が王家の血が流れていることは知っている。

 スサノは、アリシアを自身の血筋を悪用するような人間に育てたつもりはなく、カグナもまたアリシアがそのようなことをするような娘ではないことを知っている。

 和気あいあいと話している中、オルヴィアが真面目な表情となり先ほどまでの軽い口調とは一変して真面目なトーンでカグナに話しかけてくる。

 

 

「さて他愛のない話で場が盛り上がったところで、そろそろ本題に入らせてもらおう、大叔母上よ」

 

「お、大叔母上……ですか」

 

 

 オルヴィアがカグナのことを大叔母上と呼ぶ。

 彼女にとって叔父であるスサノの母親である以上、大叔母上と呼ぶのは間違っては……いないが、やはりカグナにとってはまだ慣れない感覚である。

 そんなカグナをよそにオルヴィアは、一つ重要なことを確認するのであった。

 

 

「其方、ダンジョンを消せるというのは(まこと)か?」

 

「……あぁ、本当だよ」

 

「組合長として、母には厄介なダンジョンを消す任務を言い渡している」

 

「そうか」

 

 

 冒険組合からの報告でカグナはダンジョンを消せることをオルヴィアは把握しているが、カグナ本人から直接聞き出したかったのだ。

 そしてそのことから、オルヴィアはカグナの正体に気づくのだ。

 

 

「では其方は、”訪遊者(プレイヤー)”で間違いないのだな?」

 

「なッ……なんでそれを……?」

 

 

 プレイヤー……聞きなれているが、今のこの世界で聞いたことがない単語をオルヴィアの口から出てきたことにカグナは驚きを隠せない。

 メニューのことも少し違う形でアリシアが知っていたので、ゲームを遊んでいたプレイヤーのことも何らかしらの形で伝わっている可能性があるのだろうか。

 オルヴィアはカグナに、なぜプレイヤーのことを知っているのか説明を始める。

 

 

「王家に伝わる言い伝えの中に”訪遊者(プレイヤー)”に関する内容がある」

 

「”訪遊者(プレイヤー)創造の神本(メヌゥ)を掲げ、(ことわり)を操る者”……と、我が王家に代々伝わっています」

 

 

 エディオールが伝承の内容をカグナに伝える。

 ”メヌゥ”という名前も以前アリシアから聞いており、これはメニュー画面のことだ。

 

 

「正直昔の妾ならば、おとぎ話の戯言と思っていた……あの者に会うまでは、な」

 

「あの者……?」

 

「妾たちが、初めて会った訪遊者(プレイヤー)だ」

 

「え!?……私以外にも”プレイヤー”がこの世界に居るってこと!?」

 

 

 オルヴィアの言葉にカグナは驚愕し、思わず立ち上がってしまう。

 自分以外にも、こっちの世界に……アナザーワールド・オンラインのプレイヤーが居るというのだ。

 

 

「あぁ、いるぞ。母も良く知っている男だ」

 

「誰……誰なんだ、ソイツは!?」

 

「その者の名は”ジーク”。竜人種(ドラグル)の男だ」

 

「ジー……ク?」

 

 

 その名を聞いたカグナは思考が一瞬停止した。

 そしてすぐさま再起動し、0コンマの速度でカグナが知っているプレイヤーの中で名前がヒットする男の顔を思い浮かべて思わず叫ぶ。

 

 

「はぁぁぁぁッ!!ジーク!!?」

 

 

 頭に竜の角を生やし尻から竜のような尾が伸びえており男女ともに大柄な体型になる種族、それが竜人種(ドラグル)である。

 ジークという名の竜人種(ドラグル)の男は、2mぐらいの身長で背丈と同じぐらいの大剣を片手で軽々と振り回す豪快な赤髪褐色の男。

 そしてカグナも良く知っている男でもあり………。

 

 

「あ、あんの……”アリアドネの糸”の副団長(あんにゃろう)が、この世界(コッチ)に来てるのか!!!?」

 

 

 カグナが所属してたクラン、”アリアドネの糸”の副団長を務めていた男だ。

 そしてNPC育成システムのβテストのテスターにカグナを選び、幼いころのスサノたちを押し付けた張本人である。

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