星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~ 作:健全なMTYK
そこは幻想的で神秘的な場所だ。
鏡のように空を映し出すウユニ塩湖のような水面が広がり、その真ん中には陸地と神社のような建物がいくつか建っている。
さらに真正面には大きな鳥居があり、建物の大きさを超えるほどの立派な桜の木が1本生えている。
現実ではありえないような風景、此処はとあるダンジョンの最深部だ。
そして神社の本殿と思わしき一番大きな建物の前で鼻唄混じりに庭帚で掃除している人影があった。
「~~♪」
白い髪の毛は肩に届くかどうかぐらいの長さに揃えて所々黒いメッシュがある。
頭の上にはネコ科のような耳が生えており、顔は可愛らしいトラのケモノ顔で、可愛らしく整った目鼻をしていた。
巫女服を着用し少し膨らんだ胸部の襟の部分から若干胸毛がはみ出ている。
この神社の唯一の従業員である、虎系の
巫女が舞い散った桜の花びらの掃除を続けていると、鳥居の方に異変が起きた。
「……ん?」
鳥居の方に視線をやると鳥居の中が波打つ、誰かが通る合図だ
しばらくすると一人の男と付き人と思わしき女が鳥居をくぐって姿を現した。
男は頭から後ろに向かって伸びた大きなドラゴンの角を生やし、腰ぐらいから鱗の生えた太い尻尾が伸びて、浅黒い肌に深い赤の髪の毛で背丈が2mぐらいであり、背中に身長と同じぐらい大きな剣を背負っている筋肉もりもりな
女の方は頭から鳥の翼のような羽が生えているクラシックなメイド服を着た
鳥居から出て来た二人は巫女の前で歩いてくる。
それを見た巫女は掃除を止めて頭を下げて客人に向けて挨拶をする。
「お久しぶりです。ジーク様、ヒルト様」
「おぅ!また来たぞ、ウズメよ!」
「
ウズメと名を呼ばれた巫女服の
ヒルトと呼ばれたメイド服の女性も会釈で返した。
「どうだ最近は?」
「え、ボクですか?いつも通りですよ。ボクはただ自分の仕事をするだけですので」
「ふむ、そうか」
「それで此度は、どのようなご用件でしょうか?」
「あぁ、いつものだ!」
「畏まりました。では、こちらへどうぞ」
ウズメとジークは慣れたようなやり取りを行い、ジークとヒルトはウズメの案内で本殿の中に入っていく。
本殿の中は広いが奥の壁が無く開けており、そこから鏡のように空を映す水面が広がっているのが良く見える。
三人が本殿の奥まで進むと、ウズメが手を合わせ何かを願うように言の葉を述べる。
「ミズハ様、ミズハ様。試練を突破せし勇士をお連れしました。御姿をお見せくださいませ」
ウズメが言い終わってしばらくすると静寂だった水面が波打ち、底から巨大な何かが浮上しようとして巨大な水柱が立った。
出てきたのはゲームとかでありそうな露出を付け加えたようなアレンジをした和服を身に纏った女性が上半身だけ水面から出してきた。
綺麗な黒髪に東洋の龍の角を生やしキリッとした眼をした整った顔、さらに頭よりも少し大きいくらいの胸部の存在感が凄い。
胸から下は水に浸かったままだが、龍の尾は水上に出している
そしてなによりも驚くべきことは彼女は巨大であった。
片方の乳房の大きさが、身長2mぐらいのジークよりも大きいサイズなのだ。
本殿の床に肘をつき胸を乗せている彼女の名は、ミズハと言う。
ミズハは視線を下げ、ウズメが連れて来た者の姿を見て溜息をついた。
「はぁ、またお主か。ジーク」
「あぁ、まただ!」
「飽きずによく来るものだ……それで、また同じ問いか?」
「そうだ、お前の”権能”ならば容易いだろう!?」
「その通りだが……まぁいい、見事試練を突破した褒美として”クランのメンバーがこちらに来ているか?”という、いつもの問いに答えよう……」
「よろしく頼むぞ!!」
ミズハのとある”権能”を頼るために、ジークは何度もミズハが居るダンジョンへと足を運んでいるのだ。
ミズハの権能とは対価を支払う、もしくはそれに見合う成果を見せることで望んだものを手に入れることができるというものである。
ジークはそれを利用して、”情報”を得ようとしてるわけだ。
「前回と同じく誰も来ていない……………と、言いたいところだが」
「む?」
ジークはいつもの問いにいつもの答えと思っていたが、違う内容が返ってきた。
ミズハは、ニヤリと妖艶な笑みを浮かべて勿体ぶったようにジークへと答えをいう。
「喜べ、ついに
「ほぉ……ほぉ!誰ぞ、来たか!!それで誰が来た!?」
「阿呆。試練1回につき、我への願いは1つのみだ………と言いたいところだが、お主では試練の意味がないな」
ミズハは呆れた様子で、少しサービスをすることにした。
なにせミズハへの願いはダンジョン突破の報酬なのだが、ジークの
一度の質問のために、何度も何度もダンジョンに通われては、対応するミズハもウズメも面倒だと思ったのだ。
「この世界に来たのは、
「!?」
ミズハの言葉を聞いたジークは眼を見開き、すぐに察する。
ミズハと召喚契約をしている人物は、一人だからだ。
「ふ……ふふ、ふふふ。ついに、ついに
かつての仲間であり友が、ようやくコチラの世界に来たことに喜びを隠せないジーク。
ジークの笑い声は、彼のサポートNPCであるヒルデに物理的に止められるまで、カグナが作ったダンジョンに五月蠅く響くのであった。
*
*
*
ディ・フェウロ王国の王城の応接室でスサノからジークが此方の世界に来ていると聞いたカグナは驚愕する。
ジークはカグナが所属していたクラン”アリアドネの糸”の副団長でもあり、変人問題児の多いクランメンバーのトラブルメーカーの一人だからだ。
またアナザーワールド・オンラインの運営管理職にあたる人間でもあり、会社に内緒でプライベートで遊んでいたプレイヤーだったりする。
そんなジークがカグナより先に、この世界居ることに驚きを隠せない。
「い、いったい何時からアイツは此処に居るんだ!?」
「俺が会ったのは十数年前だ。冒険者の資格を得るために組合に来たことがある、その時にな」
「十数年前!?そんな前から!?それでアイツは、今どこに?」
「最後に会ったのは5年前だったかな……今どこで何をしていることやら、俺にもわからん」
スサノは
「ちなみに、母はいずれ戻ってくると俺達に言ってきたのもジークだ」
「なんでジークがそんなことを……?」
この世界にカグナが戻ってくる……ジークはスサノ達にそんなことを言っていたようだ。
カグナが戻ってきた経緯は偶然の産物のはずだが、なぜジークはそんなことを断言できたのであろうか……。
今のこの世界について、カグナよりもいろいろと知っていそうだ……アナザーワールド・オンラインの開発スタッフでもあるのだし、いずれ問いただそうと誓うカグナ。
そのジークの名前にカグナは予想以上の反応をしたことに、オルヴィアは二人が知り合いであることを察する。
「其方、あの者と知り合いであったか」
「えぇ……まぁ………顔見知りではあります。というか、女王もあいつのことを?」
「ん、まぁ……わけあって知っておる」
顔見知りどころか、同じクランに所属していた仲でありジークは副団長だ。
しかも女王であるオルヴィアとも、すでに顔を合わせていたようだ。
(ジークがいるってことは、他のクランメンバーとかプレイヤーもこっちの世界に来ている可能性が……ある?)
カグナやジークが居るということは他にも居るのではと考えるのは必然であろう……もしかしたら知り合いや
むしろ何故今までその可能性に気づかなかったのかと、カグナは疑問を浮かべる。
「オルヴィア陛下、その者と私以外でプレイヤーと思わしき者とあったことはありますか?」
「ふむ、其方たち以外にか……」
カグナの質問にオルヴィアが答えようとした時、コンコンと部屋のドアが大きく叩かれる。
ドアの叩かれる音で部屋の中の全員がドアに注目すると、野太い男の声が聞こえた。
「女王陛下!歓談中、失礼いたします!!」
男の様子から少し焦っている雰囲気を感じる。
声を聴いたオルヴィアは、外していた
「入室を許可する、何用だ」
オルヴィアが入室の許可を出すと、男はドアを開け礼をして部屋に入ってくる。
見た目40代といった男であり、身に着けている礼服からしてそれなりの立場の人のようだ。
「ハッ!実はスサノ組合長に至急会いたいという者が来ておりまして……」
「俺にか?」
部屋に入ってきた男に名を呼ばれたスサノが
スサノが居たことを確認した男は、スサノとオルヴィアたちに向かって続きを話す。
「はい、西方の砂漠の国からの使者がスサノ組合長に至急会いたのだと組合の者が伝えに来まして……」
「西方の砂漠……サンディヒル王国か……ということはアイツの……」
報告を聞いたスサノは手で口周りの髭をなぞっている……何やら心当たりがあるような雰囲気だ。
サンディヒル王国とは、カグナ達が居るディ・フェウロ王国から西に向かったところに砂漠が広がっており、その砂漠にある国がサンディヒル王国である。
そこからの使者が、スサノに会いに来たとのことだ。
男の報告を聞いたオルヴィアは、わかったと伝え男を退室させた。
オルヴィアは残念そうな顔をしながらお茶を飲むと、カグナとスサノに団欒の時間は終了だと言う。
「仕方ない、今宵はここでお開きとするか」
「そうですね。丁度、次の予定の時間も迫っていますことですし」
オルヴィアの後ろに立っていたエディオールが胸のポケットから出した時計で時間を確認しながら言う、女王という立場も多忙なのだ。
女王との歓談会はお開きとなってしまったのでカグナとスサノは冒険組合へと戻ることにした。
*
*
*
客人の来訪という知らせを受けてカグナとスサノは、馬車に乗って急いで冒険組合へと帰っていた。
「サンディヒル王国の人と、何かあるのかスサノ?」
「ん、いやなに……あの国の先代王とは、ちょっとした仲だったのでな」
「どういう仲だよ」
「タダのケンカ友人、と言う奴だ」
「お前……この100年でナニしてたんだよ……」
何やら訳アリのようなことを言い出すスサノ。
冒険者の現役時代に色々と伝説を残しているらしいがコレもその一つなのだろうかとカグナは若干呆れ顔になる。
しばらくすると馬車は冒険組合の建物へ到着した。
馬車から降りた二人が冒険組合の建物に入っていくと、受付の方でサラとロランを見つける。
サラ達は帰ってきたカグナ達と目が合うと急いで駆け寄ってきた。
「あ、カグナさんに組合長!」
「今戻った」
「お帰りなさい。あの組合長……」
「客が来ていると聞いたが?」
「はい、あの人です」
サラが客人の方へと向く、するとそこには褐色肌の女性がおりアリシアと会話していた。
一緒に数名の武装した男もいる、おそらく護衛と思われる。
アリシアが女性と話をしていると帰ってきたスサノ達に気づき、会話を止め女性を連れてスサノとカグナの元へやってくる。
「組合長、この方です」
「始めましてスサノ組合長。私は、ハウラと申します。サンディヒル王国より来ました」
ハウラと名乗った女性は、黒髪褐色肌でメガネを掛け知的な印象を受ける。
スサノはハウラの様子を眺めると、いろいろと察したような雰囲気を隠しつつハウラに問いかける。
「サンディヒル王国からということは彼……国王の命令だな?おおよそ検討はついているが、要件を聞こうか」
「は、はい……突然で申し訳ありません。どうか……どうか、”月光草の花蜜”を、お譲りしていただくことはできませんでしょうか!?」
ハウラは、スサノに向かって深々と頭を下げて懇願する。
月光草の花蜜とは高ランクのポーション等、様々なアイテムを作成したりできる素材アイテムの名前であり、入手方法が面倒でレア度が高く貴重なアイテム。
現実となった、今のこの世界では超高価なアイテムになっているのだ。
「月光草の花蜜か……あいにく、今こちらも切らしていてな。手元に
「そ、そんな……」
スサノの返答にハウラは落胆し、後ろに居る護衛も似たような顔している。
そんなハウラ達の顔を見たスサノはニヤリと見て目線だけカグナに向けた。
カグナはイヤな予感がする。
「落胆するのは、まだ早いぞ」
「え?」
「当てがないわけではない……なぁ?」
「お、おまえ……まさか」
「というわけで、出番だぞ。金二星冒険者殿?」
「こいつ……はぁ……」
スサノは、完全にカグナへ押し付ける気だ。