星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#4 ウサギ、と森のくまさん

「なんか昔、遊んでたころに戻ってきたような感じがするな」

 

 

 森の中の小道を歩いていると、ふと声に出していた。

 かつてクランメンバーたちと共にクエストや素材集めにあちこち駆け巡っていたころの記憶だ。

 アイテム採取競争だの早いモノ勝ちだのガキンチョか!!と、つっこまれた思い出も懐かしい。

 そんな感じで森の小道を道通りに歩いていると、生えている木の根元に珍しい形のキノコを見つけた。

 

 

「お、調合素材に使えるキノコじゃん。拾っておこう」

 

『主』

 

「ん、どうした?」

 

「フギシャァ!!!」「グゴォォォ!!!」

 

「またか……”雷魔(ザンド)”」

 

「「ギャァァァァァァ」」

 

 

 森の中を歩いていたら目の前に2体のモンスターが立ちふさがってきたので、カグナはすかさず武器である杖を構えて雷系魔法である雷魔(ザンド)を唱える。

 杖の先の魔法陣から発生した雷撃が目の前のモンスターへと襲い掛かかり、モンスターたちは何もできずにカグナの雷魔(ザンド)によって黒焦げとなった。

 

 

「これで何体目だ?さっきからやたらとエンカウント率が高い気がするけど、ちょっと弱すぎじゃない?これじゃ”上級(ギガ)”どころか”中級(メガ)”すら要らないんじゃないか」

 

『”上級雷魔(ギガ・ザンド)”を使用すれば周り一帯が消し飛ぶ可能性がありますね』

 

「あははは、まっさかぁ~。もしもここら一帯を消し飛ばすなら”最上級(テラガ)”……う~ん、”極級(ベルガ)”……いやもっと上のランクじゃないと無理じゃない?」

 

『試してみますか?』

 

「いや、やめとこう……環境破壊は、よくないゾィ」

 

『そういえば主は、ソレらよりもさらに威力が出せる攻撃魔法を持っているではないですか?』

 

「え~っと……アレか?」

 

 

 カグナは自身が使える最大攻撃魔法を思い出す、魔法錬成(ビルドスペル)で作り出した自慢の最大火力のロマン砲を。

 アナザーワールド・オンラインでは、魔法錬成(ビルドスペル)と呼ばれる魔法を作りだすことができるシステムがある。

 魔導士系の戦種(クラス)を持っていると魔法の種類や分類・属性・形態・範囲などをパーツ化してパズルのように組み合わせることによって自分好みの魔法を作り出すことができるのだ。

 カグナもメイン戦種(クラス)が魔導士であるため、魔法錬成(ビルドスペル)によって様々な魔法を作り出しており実戦で有用なものから、いつ使うんだと言われたお遊び的なものまで様々である。

 

 

「いや~アレは一発撃つために、めちゃくちゃ手間が掛かる実用性が皆無なロマン砲だ」

 

『しかし威力は絶大と記録しております』

 

「威力だけならなぁ……アレをきちんと活用できたのは、たったの1度だけだ」

 

 

 なお作った魔法は効果がたくさんあったり威力が高ければ高いほどと消費MPが増えたり発動条件があったりなどのデメリットもきちんとある。

 カグナが作り出した最大火力の魔法はナニをトチ狂ったのか威力・範囲・オブジェクト破壊適正などなど高められる項目はギリギリまで高めていったら消費MPが余裕で100%超オーバーだったり発動まで膨大な時間が掛かるというデメリットがついて、装備やらアイテムやらをやり繰りしないと撃てない破壊魔法が出来上がってしまったのだ……。

 

 

「アレを作った時は、クランメンバー達から”おまえバッッッカじゃねぇの!?”ってバカ笑いされたっけか……自分だって武技錬成(ビルドアーツ)で俺様最強の一撃ィ!!とか言ってロマン技作ってたじゃねぇか、あの脳筋バカは……」

 

『……主』

 

「ん、どうした?」

 

『近くで男性の声と思わしき悲鳴を感知いたしました。おそらくモンスターに襲われているかと思われます』

 

「え?」

 

 

 カグナがクランメンバーとの思い出に浸り始めていた時、アイが真剣な顔をして察知したことを報告してきた。

 垂れていた真っ白で長い耳を立てて、カグナは注意深く周りの音を聞いてみた、するとたしかに男のものと思わしき声が聞こえてきたのだ。

 しかも何やら慌てふためいてる様子。

 

 

「たしかに聞こえるね。モンスターに襲われている人に遭遇って、まるでゲームのイベントみたいだな」

 

『いかがいたしますか?』

 

「知ってしまった以上、見捨てるのは良心が痛む。アイ、案内して」

 

『かしこまりました』

 

 

 

   *

 

   *

 

   *

 

 

 

 カグナはアイの案内により急いで男性の声が聞こえたという場所へと走っていくと、犬の耳と尻尾がある獣人族(ジューマン)の若い少年がそこに居た。

 犬耳の少年は軽装で手には短剣を構え、全長4mもありそうな大きな熊のようなモンスターと相対しているところだった。

 

 

「あの人を襲ってるモンスターは、ワイルドベアーか?」

 

『そのようですね、外見の特徴が一致しております』

 

 

 ワイルドベアー、その巨体から繰り出される薙ぎ払い攻撃や鋭利な爪・牙の攻撃は脅威であり体毛は鉄のように固いため生半可な攻撃ではダメージは通らない。

 また巨体に似合わず意外と早く動き耐久性も兼ね備えている厄介な初心者殺しのモンスターだ。

 なお倒すと熊肉として食材アイテムが手に入り、調理すると美味らしいがゲーム上では味は再現されないので分からなかった。

 

 

「くそッ、来るな!なんでこんなところにワイルドベアーがいるんだよ……俺は急がなきゃならないんだ!!」

 

 

 少年は手に持った短剣で戦っているものの、まともなダメージを与えるどころか傷すらついていない。

 このままでは確実にモンスターにやられるであろう。

 カグナとアイが様子をうかがっていると、ワイルドベアーと戦っていた少年と目が合った。

 

 

「な、なんだアンタは!?ハッ、こっちに来るんじゃない!!」

 

 

 ワイルドベアーに襲われてる少年は、カグナに大声で警告する。

 しかし大声で叫ぶと言うことは、逆にカグナの存在をワイルドベアーに知らせることとなるため……そう、今みたいに振り返ったワイルドベアーとカグナの目と目が合うということになるのだ。

 

 

『おや、こちらに気づいたようですね』

 

「やぁ、こんにちは?」

 

「グゴォォォォ!!!!」

 

 

 ワイルドベアーは突然現れたカグナへと攻撃を繰り出すが、カグナは背後へとジャンプして難なく躱す。

 自身の攻撃をあっさりと躱されたワイルドベアーは、苛立ったのか威嚇する顔でカグナを睨みつける。

 

 

「うわぁ、顔怖ッ」

 

『そういう割には、あまり怖がっていませんね』

 

「う~ん、そういえばそうだな……雰囲気はリアルな感じがするけど、不思議と怖くない」

 

 

 敵意むき出しの巨大熊に睨まれている状況、現実(リアル)だと腰を抜かすほどの恐怖に襲われるはずだが、今のカグナは不思議と恐怖を感じていないのである。

 

 

「さっきの攻撃もビビるどころか冷静に対処できたし、もしかしてレベルが関係してるとか?」

 

『確かめてみましょうか、”生命力視認(シィ・ライファ)”を使用いたします』

 

 

 アナザーワールド・オンラインにおいて敵モンスターのレベルや残り体力といった情報は通常見えず、情報を解析し確認する魔法や技能等を習得し使用することで始めて相手の強さや情報を確認することができる。

 よってアナザーワールド・オンラインを遊ぶプレイヤーにとって情報解析系のスキルは取得必須なのだ。

 アイが解析系魔法の一つである生命力視認(シィ・ライファ)を、カグナの代わりに発動する。

 相手の残り体力やレベルといった簡易情報を解析・確認する魔法だ。

 生命力視認(シィ・ライファ)が発動するとカグナの右の瞳にコンタクトレンズのように魔法陣が浮かび上がり、ワイルドベアーの情報が瞳に映し出される。

 

 

【 ワイルドベアー Lv92 HP99.2% 】

 

「うん、レベル低いな」

 

『初心者卒業の相手と揶揄される相手です、主の敵ではありません』

 

 

 和気あいあいとしているカグナ達の様子見をしていたワイルドベアーは痺れを切らしたのか、再び襲い掛かってくる。

 カグナは余裕がある様子で杖をワイルドベアーへと向けた。

 その杖先には魔力が込められており、バチバチと音が鳴り響く。

 

 

「今のレベルのキミだとこれくらいが丁度いいかな、”中級雷魔(メガ・ザンド)”!!!」

 

 

 カグナの杖の先から太くて大きな雷がドゴォォォォォンッ!!という轟音と共にワイルドベアーへと向かっていく!!

 雷魔(ザンド)よりもワンランク上位の魔法である、中級雷魔(メガ・ザンド)だ。

 

 

「グァァァァァ!!!!!?」

 

 

 中級雷魔(メガ・ザンド)の直撃を喰らったワイルドベアーは大きな悲鳴をあげ、焦げた臭いを漂わせながら倒れこむ。

 横たわっているワイルドベアーの姿は、ちょっとした小さな丘かと見間違いそうだ。

 カグナは杖で巨大な焦げた肉の塊をつついて仕留めたかを確認する。

 ワイルドベアーが息絶えたことを確認すると振り返り、尻もちをついて唖然としている犬耳の少年の元へと駆け寄った。

 

 

「そこの人、大丈夫だった?」

 

「え?あっ…はい、だいじょうぶ……です」

 

「キミは、この近くに住んでるのかい?」

 

「い、いや……俺は冒険者の仕事で近くの村に……」

 

「え、冒険者だって!?」

 

 

 冒険者とは、ゲームでは主にプレイヤーのことであり未開の地の探索から強力なモンスターの討伐、そしてダンジョンを攻略して様々なアイテムやお宝を手に入れる者たちのことを指し示す言葉である。

 ゲームをプレイしていたカグナも、冒険者ということになる。

 

 

「へぇ~キミは冒険者なのか……ん、ということは冒険組合の支部がある村が近くにあるってことに?」

 

「それは……ハッ、そうだ!!それどころじゃなかった!!」

 

 

 突然の出来事に放心していた少年は何かを決心したかのような表情になると、カグナに向かって頭を下げてきた。

 それをみたカグナとアイは驚いた、何故いきなり自分に向かって頭を下げるのか理解が追いつかなかったからだ。

 

 

「あ、あの!突然ですいません!俺の頼みを聞いてくれないでしょうか!?」

 

「頼み?」

 

「はい!俺と一緒に、この近くで見つかったダンジョンに潜ってくれませんか!?お願いいたします!!」

 

「は?ダンジョンだって?!」

 

 

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