星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#38 ウサギ、砂漠の国へ行く

「よりにもよって、シロカブリか……」

 

「し、シロカブリの古城ですか!?」

 

 

 キヨノヒメから月光草の生息地を聞いたハウラは驚きのあまり声を荒げ、シロカブリを知っているカグナとスサノは険しい表情をしている。

 一方でアリシアたちは、あまり知らないという雰囲気だ。

 

 

「あ、あの……シロカブリって、なんですか?」

 

 

 カグナ達の話しを聞いていたロランが思わず疑問を口にする。

 ロランの疑問にカグナが答えようとしたら、ハウラが先に答えた。

 

 

「シロカブリと言うのは、八大迷宮巨獣に数えられる徘徊するダンジョンの一つです。サンディヒル王国がある砂漠を周回している巨大なモンスターでもあります」

 

「八大迷宮巨獣って……あの空亀と同じの……?!」

 

 

 ロランが八大迷宮巨獣と言うワードに食いつく。

 ロランとサラ、ダリアンの三人が攻略目標としている空亀こと、カグナが友人のアズマエイと共に作ったダンジョンであるサンダータートルドMkⅡと同じカテゴリー分けされているからだ。

 

 

「巨獣ってことは、なんらかしらの生き物の姿をしてるってことか?」

 

「うん、見た目が雲を突き抜けるほどの巨大なヤドカリでね。背中に大きな古城を大地ごと背負ってるんだ」

 

「雲を突き抜けるほどの大きさ!?」

 

「そ、脚が数百mぐらいの長さでね。その長い脚をピンッと伸ばして柱みたいになってるんだ……だからシロカブリのダンジョンを攻略しようとするならば、まずはシロカブリの脚を登らなきゃならない」

 

 

 ダリアンがシロカブリが八大迷宮巨獣の巨獣の部分から生き物の姿を想像したのでカグナが答える……シロカブリとは巨大なヤドカリだと。

 シロカブリのダンジョンの入り口はシロカブリの本体の背中にある古城の中にあり、そこまでたどり着くためには数百メートルはあるシロマガリの脚をロッククライミングしなければならないというわけだ。

 スタミナの管理やアイテムや魔法を駆使しなければ、簡単には登頂できない難易度である。

 そのためか、ゲーム時代にはシロカブリ登頂タイムアタックなる遊びに熱中するプレイヤーとかも少なくはなかった。

 

 

「先ほどの話しからして、あまり時間もない様子……サンディヒル王国から一番近い自生場所がシロカブリの古城というわけでございます」

 

「なるほどね……」

 

「もっとも他に方法があるのであれば、わざわざ取りに行く必要もないのですが……そういえば、ミヅハ様には確認されたのですか?あのお方なら、用意することも容易いでしょうし」

 

「それが……」

 

 

 キヨノヒメがミヅハの名前を出した。

 彼女には、すでにミヅハに頼もうとしたが断れたことは言っていないかった……召喚して、すぐに暴走しだすので言うヒマもなかったのだが……。

 カグナがミヅハの拒否の件を言おうとしたら、ウズメがキヨノヒメにの前に出て来た。

 

 

「ミヅハ様は、カグナ様に召喚されることを拒否しました」

 

「おや、どなたかと思えばウズメさんじゃないですか。お久しぶりですね~あの場所から離れているなんて、お珍しい」

 

「はい、ボクはミズハ様の代理で召喚されたのです」

 

「あぁ……なるほど……そういうことで。ミヅハ様も相変わらずと……貴方も大変ですね」

 

「いえ、ボクも好きでやっていることなので」

 

 

 ウズメの態度によりキヨノヒメはいろいろと察した。

 ミヅハには頼めず、キヨノヒメにも分けてもらうことができないとなると、残された手段は一つだけとなる。

 

 

「直接取りに行くしかないってことか……」

 

『どうやら、そのようですね』

 

 

 月光草が自生している場所まで行き直接採取するということだ。

 つまりキヨノヒメが言った自生箇所、シロカブリの古城まで行く必要らしい。

 

 

「キヨノヒメ、本当にシロカブリが背負っている古城のどこかに月光草が確実に自生しているんだな?」

 

「はい、わたくしどもめが記録している月光草の自生箇所には、そう記載されております」

 

「なるほど……わかった」

 

 

 スサノがキヨノヒメに再度確認をとると何らかしらの案を閃いたのか、スサノはハウラの方へと顔を向けた。

 

 

「さて、ハウラ殿」

 

「は、はい。なんでしょうか」

 

「あいにくと俺の方では、貴殿らの要望を叶えることはできん……だが解決策を提示することはできる」

 

「か、解決策ですか!?」

 

「あぁ、丁度此処に暇を持て余せている金二星の冒険者が居る。しかもシロカブリの登頂も経験済みだ」

 

「なッ、スサノ!お前……!!」

 

 

 スサノがカグナの方を向いた。

 カグナは、その意味を瞬時にスサノの考えを見抜く。

 だが、そんなカグナに構わずスサノはハウラに解決策を提示した。

 

 

「どうだろうか。我が冒険組合に月光草の採取依頼を正式に依頼する……というのはどうだろうか?」

 

「……ッ!!?」

 

 

 冒険組合と冒険者に月光草の採取依頼をしてみないか……と、スサノはハウラに提案してきたのだ。

 その冒険者とは、もちろんカグナのことである。

 

 

「まさか此処まで聞いておいて協力しない……などと言えるわけもないよな?」

 

「………くッ、おまえ」

 

 

 スサノは、カグナのお人好しな部分を知っている。

 なのでここまで話しを聞いてしまったカグナは、簡単に断れないということも知っているのだ。

 一応スサノからのカグナへの信頼でもあるが……。

 

 

「えっと、カグナ……さん?貴女が金二星の冒険者……なのですか?」

 

「ん~まぁ、そうなりますね」

 

「お願いいたします!どうか……どうか、お力をお貸しして頂けないでしょうか!!?」

 

 

 スサノ言う金二星の冒険者がカグナであることを、ハウラが知ると頭を深々と下げて頼み込んでくる。

 その声は建物の中に響いて、周りの人の注目を一気にカグナ達へと集める。

 

 

「ちょッ、ハウラさん!?止めてください、みんなの前でそんな……!!」

 

 

 人目が集中したことに、カグナは耐えられなくなりなんとかハウラを宥めようとするが、彼女の意志は思いのほか固く、簡単には頭は上げない。

 

 

「あぁ…わかった!わかりました!!その依頼を受けますよ」

 

「本当ですか!?ありがとうございます、カグナさん!!」

 

 

 カグナは、ハウラの勢いに負けて承諾してしまう。

 承諾を聞いたハウラは歓喜の声で感謝を述べる。

 

 

「ごめん、みんな。そういうわけになっちゃったんだけど……」

 

「いえ、私たちは構いません。むしろ断ったら、どうしようかと思っていたところです」

 

 

 カグナは隣で話しを聞いていたアリシア達に勝手に依頼を受けたことについて謝罪するが、アリシアは気にはしていないかった。

 

 

「そうですよ!お姫様が大変で、その助けになれるというのならば」

 

「あんな話しを聞かされたら……ね」

 

「それに砂漠の国だろ?一度は行ってみたかったしな!!」

 

 

 サラとロラン、ダリアンもアリシアと同じくカグナを咎めることはせず、むしろ自分たちから依頼を受ける気でいたようだ。

 ダリアンに至っては砂漠の国に行くチャンスとか思っている。

 

 

「さて、では正式な依頼書を記入もらおうか」

 

「わかりました」

 

 

 話しがまとまったのでスサノが、正式な依頼にするためハウラに依頼書を渡す。

 ハウラは依頼書を受け取ると、記入を始める。

 それを見たカグナは、召喚したウズメとキヨノヒメに急に呼びだしたことについて謝罪をした。

 

 

「ウズメにキヨノヒメもごめんね。いきなり呼びだしておいて」

 

「いえ、ボクは構いません。カグナ様の召喚獣ですから」

 

「なッ!カグナ様!?もう出立されるのですか!!?久々の再開というのに後生な!!!?」

 

 

 ウズメは気にしないと言ってくれたが、キヨノヒメは泣きついてきた。

 ナミダ声で鼻水まで垂らして、目元は布で隠れているがおそらく涙もでているだろう……少し演技臭いが。

 

 

「あぁ……ゴメンね、キヨノヒメ」

 

「い、いやです!わたくし、ようやくお会いできたというのに、もうお別れなんて!!」

 

『キヨノヒメ様は、速やかにお帰りください。貴女にも帰る場所があるのでしょう?』

 

「え、いやです。あんな人を人と思わないような場所に帰るなんて……ハッ、この気配は!?」

 

 

 アイとキヨノヒメが言い争っている時だ、突然キヨノヒメの真後ろに魔法陣が展開された。

 スサノがカグナの方を見たが、カグナは首を横に振る……つまりカグナの魔法ではない。

 突然の魔法陣にみんなが困惑する中、キヨノヒメだけ青ざめた表情をして抱き着いている。

 魔法陣から一つの影が出てくる、見た目は巨大な蛇の影だ。

 その影をキヨノヒメが、怯えた声で影の正体を言い当てた。

 

 

「あ、あああ……あね、()()!?」

 

 

 現れた影を姉と言ったキヨノヒメは、凄まじい速さで蛇の影に巻き付かれて身動きが取れなくなった。

 締め付けが強いのか、少し苦しそうである。

 キヨノヒメに巻き付き身動きを取れなくした影は、カグナの姿を見ると頭をカグナの前にまで下げてきた。

 

 

『お久しぶりでございます、カグナ様』

 

「その声……もしかしてクロノヒメ?」

 

『はい、キヨノヒメの姉……クロノヒメにございます』

 

 

 蛇の影から清楚な声で話しかけられるカグナは、彼女の名前を言い当てる。

 クロノヒメ、キヨノヒメの姉の一人だ。

 

 

『此度、我が愚妹が粗相をいたしませんでしたでしょうか?』

 

「あぁ……うん、もんだいないよ」

 

『…………左様でございますか』

 

 

 若干言葉を濁したが、おそらく察しているだろう。

 少し締め付けが強くなった気がする。

 

 

「あ、あねさま……ぎぶぅ」

 

『申し訳ございませんが愚妹には、まだ調合(しごと)が残っておりまして……急用がないのであれば、返却をしていただければと』

 

「あ、うん。大丈夫、聞きたいことは聞いたので」

 

「カグナ様!!?」

 

『では、皆々様。愚妹は連れて帰りますゆえ』

 

「カグナ様!お助けください!このままでは人の心の無い姉にこき使われて、わたくしの主従イチャラブ生活計画がぁぁぁぁ!!!!」

 

『帰りますよ。貴女には、あと114個の調合魔石と514本のポーションの作成があるのですから!!』

 

「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 

 

 抵抗虚しくキヨノヒメは、叫び声と共にクロノヒメに引きずられて魔法陣の中にどんどん沈んでいき彼女の姿は完全に魔法陣の中へと消えていった。

 場は嵐が去ったかのような静寂に包まれる。

 

 

「それでは、ボクもタカラマガハラに戻ります」

 

「あ、ウズメもありがとう」

 

「いえ、なんのお力にもなれずに、すいません」

 

「いいよ、気にしないで」

 

「それでは失礼いたします」

 

 

 ウズメは会釈をすると光に包まれていき、元の場所へと帰っていった。

 

 

「急に静かになりましたね」

 

「騒がしい原因は、ほぼキヨノヒメのせいだったけどね……」

 

『まったくです。主の召喚獣として、もう少し落ち着きを持ってほしいです』

 

 

 キヨノヒメとウズメが送還され、カグナ達だけが場に残る。

 とくに暴走気味であったキヨノヒメが居なくなったことで先ほどまでの騒音は綺麗になくなった。

 キヨノヒメの五月蠅さにアイが溜息混じりで苦情を呟く。

 それを聞いたカグナは一生治らないだろうなと思いつつ苦笑いをしてのであった。

 

 

「ウズメさんとは、もう少しお話したかったです」

 

「ん、サラ。もしかしてウズメとなんか話してたの?」

 

「はい、カグナさん達がお話している時にいろいろと……彼女、博識で面白話しを沢山知っていたので」

 

 

 ウズメが帰ったことにサラが残念がっていた。

 どうやらキヨノヒメとの茶番の裏で、サラとウズメは話しをしていたらしい。

 ミヅハの影響で、ウズメは何かと知識は豊富なのだ。

 それもあってなのか、サラとは話しのうまがあったのか分からないが、わずかな時間で仲良くなったらしい。

 だがサラは一つ勘違いをしている……カグナは勘違いのままにしないために、サラに告げる。

 

 

「サラ……ウズメは、(おとこ)だよ」

 

「………え?」

 

 

 中性的で整った虎顔、可愛らしい声に似合っている巫女服、落ち着きのある仕草、胸毛による胸部の膨らみ、どうみても可憐な虎の人獣種(ビーストマン)の少女に見えるであろう。

 だが、ウズメは(おとこ)だ……()()()()()のだ。

 

 

「えぇ………」

 

 

 カグナの暴露を聞いたアリシア達とハウラは、驚きの表情をしながら固まっている。

 その横では、必死に笑いをこらえているスサノの姿があった。

 のちに冒険組合で、勘違いした男性冒険者たちがウズメに告白する事件が多発したりしなかったりするが、それは別の話しである。

 

 

 *

 

 *

 

 *

 

 

「準備はいいですか、ハウラさん?」

 

「は、はい。大丈夫です。」

 

 

 カグナ達はハウラと共にサンディヒル王国へ向かうため、王都の外壁の外に居た。

 ハウラがカグナ達と共に先に国へ戻り、残りの御付きの人たちは後から出発するとのこと。

 

 

「サンディヒル王国へは、連絡はしたのですよね?」

 

「えぇ、持ってきた通信魔水晶(スフィア)で陛下へ連絡済みです」

 

 

 アリシアがハウラに国に連絡したのかと尋ねたが、ハウラは事前に持ち込んでいた通信魔水晶(スフィア)を使いサンディヒル王国に今回の件について連絡をしていたらしい。

 連絡は大事だ、とても大事だ。

 

 

「今回もよろしく頼むよ」

 

「了解だぜ、姐さん!!!」

 

 

 カグナ達の目の前には、背もたれ付きの(くら)とバイクハンドルを付けた数匹のイノシシ、召喚獣ハギキラワークである。

 リーゼントのような毛を生やしたリーダー格のカタキラは、カグナに呼び出されてヤル気に満ちていた。

 アリシア達は2回目だからか平気な様子だが、始めて見たハウラは困惑の色に染まっている。

 

 

「んで、今回は何処まで走ればいいんスか?」

 

「サンディヒル王国だよ」

 

「あの砂漠の国っスか?」

 

「あぁ、今回はちょっと急いでいてね……五日ぐらいかかるかな?」

 

「五日だぁ!!?冗談じゃねぇ!!!」

 

 

 カグナの五日間と聞いたカタキラは大声をあげた。

 無理かなとカグナは思ったが、どうやら違うらしい……。

 

 

「俺らぁが本気だしゃ、三日もかからねぇっスよ!!なッ!!?」

 

「「「「うっス、アニキ!!!」」」」

 

 

 カタキラが子分のイノシシ達に向かって言うと、子分たちも大声で同意する。

 

 

「しっかしなんでまた、そんなに急いで行きたいんっスか?」

 

「あぁ~まぁ、事情があってね……」

 

 

 カグナは、かくかくしかじかとカタキラ達に事情を話す。

 話しを聞いたカタキラ達は、目をうるうると潤ませると大泣きし始めた……。

 

 

「ぬぉぉぉぉ、なんっつー事情(ワケ)だ!!」

 

「そういうわけなんだ……頼める?」

 

「わっかりやした!そんな話しを聞かされたんじゃ、本気(マジ)本気(マジ)で飛ばしていくしかねぇ!!!」

 

「………安全走行で頼むよ?」

 

 

 感涙のあまり、少し暴走気味になったカタキラ達を宥めて、カグラはカタキラに跨った。

 それを見たアリシア達も子分のイノシシ達に跨り、ハウラはアリシアと同じイノシシで二人乗りの形をとった。

 

 

「それじゃ、さっそく出発しようか」

 

「はい」

 

 

 カグナが指示を出すとカタキラ達はカグナ達を乗せてサンディヒル王国に向けて走り出す。

 砂埃をあげながら走り出したハギキラワークの速度は凄まじく、見る見るうちに王都から離れていった。

 

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