星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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続きを書くが遅くなって、申し訳ありません。


#39 ウサギ、砂漠の国へ着く

 王都を出発したカグナ一行は、複数のイノシシで構成されている召喚獣ハギキラワークに乗ってサンディヒル王国へと向かっている。

 草原を走り、森を抜け、時短のために水上走行スキルを駆使し湖の上すら駆け抜けた。

 速度も申し分なく、ホントにカタキラの言うとおりに3日で着きそうである。

 ハギキラワークのリーダーイノシシであり立派な前髪がトレードマークのカタキラに跨り、バイクのハンドルによく似た器具を握ったカグナは、後ろを走っているアリシア達の様子を確認する。

 アリシア、ロラン、ダリアンも2度目のためか、ある程度慣れたようだ……サラに至っては楽しんでいるのか笑顔満載である。

 ただ一人、絶叫している者を除いて……。

 

 

「ふぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

 アリシアと一緒に乗っている……と言うよりも、しがみ付いているハウラは初めてのイノシシへの乗馬もとい乗猪(じょうちょ)を体験することとなった。

 しかも通常の馬を超える速度で走っているためか、叫び声が抑えられていない。

 その様子を確認していたカグナは、カタキラに声かける。

 

 

「カタキラ、もう少ししたら一度休憩しようか」

 

「えッ休憩っスか!?俺らは、まだぜんぜんイケますぜ!!!」

 

「いや、カタキラ達じゃなくて……乗っている人が限界近いみたいだ」

 

 

 カグナは後ろを走っているカタキラの舎弟イノシシの乗っているハウラの様子を見ると、眼を回し始め気絶しかけていた。

 疾走中に気絶されたら、さすがに危ないのでカグナは一旦足を止めて休憩にしようと決めたのだ。

 

 

「あぁ~~まぁ、そういうことでしたら仕方ないっスね」

 

 

 状況を理解したカタキラはカグナの指示に従い、適度な場所を探しカグナ達は休憩に入った。

 爆速を体験することになったハウラは、お尻を大地に付けてサラから貰った水を飲みつつ息を整えている。

 

 

「驚きました……あんな方法があるだなんて」

 

「そうですね、私たちも初めての時は驚きました」

 

「慣れてみると可愛いですよね」

 

「え、えぇ……」

 

 

 アリシアとサラとハウラが休息をしている横で、カグナは走ってくれているハギキラワーク達のために食事を作っていた。

 簡易的な料理セットアイテムを使い、彼らの好物である木の実を炒めている。

 ゲームの時に取得した料理スキルの効果が発揮されているのか、特に苦労するわけでもなくささっと作り上げた。

 カグナが用意した食事を、カタキラ達は部活終わりの運動部の男子生徒の如くと言わんばかりの勢いで貪る。

 

 

「うんめぇ~~!!さすが姐さんの作った木の実炒め!!腹の底から力がモリモリと湧いてくるっス!!!」

 

「お、おれ……これを食べるために姐さんの召喚獣やってるといっても過言じゃないっすよ……アニキ」

 

「オラもオラも!!」

 

「大袈裟だな、お前たちは……」

 

 

 感涙しながらガツガツバクバクと食べているイノシシ達を呆れつつ眺めているカグナ。

 手間暇かけて作ったわけでもないので、そこまで絶賛するほどの出来ではないはずなのだが、やたらオーバーなリアクションを取るイノシシ達。

 その様子をロランとダリアンが携帯食で軽く腹を満たしつつ眺めていた。

 

 

「……美味いのかな、アレ」

 

「いや、どう見ても人用のメシじゃねぇだろ」

 

 

 カタキラ達があまりにも美味しそうに食べているので、何をトチ狂ったのかロランが食べてみたいと言い出した。

 ダリアンの言うとおり人用の料理ではないが、一応人が食べても害はないとカグナも思ってはいる。

 さすがに人に出す気はないが……。

 

 

「さて、それじゃ出発するか」

 

 

 十分な休憩を取った一同は、再びサンディヒル王国へ向かって走り出す。

 長時間の走行と適度な休息を入れながら2日ほど走り続けると、カグナ達は砂漠の入口へとたどり着く。

 そして砂の海の上をハギキラワークが砂埃を立ち上げながら駆け抜け、砂漠の食物連鎖を見学しながら、しばらく走り続けると大きな岩の壁に囲まれた街が見えて来た。

 

 

「皆さん、見えてきました!サンディヒル王国の王都です!!」

 

「あれが……」

 

 

 広い砂漠のど真ん中、岩の壁に囲まれたアラビアンな雰囲気が漂う街、それこそがサンディヒル王国の王都である。

 カグナ達が活動しているディ・フェウロ王国の王都にも負けないくらいの大きさの街であり、街の外側には砂漠を行きかうための砂船を止める港も広がっていた。

 旅商人や観光客のような人々も多々おり、現地の人と共に賑わいを感じ取れる。

 カグナ達が、街へと入る門の前まで近づくと警備している門番に止められた。

 

 

「とまれ!何者だ!?」

 

「い、イノシシか……コレ?」

 

「怪しいな……」

 

 

 門番達は砂漠をイノシシに乗ってやってきたカグナ達のことを不審に思っている、当然の反応であろう……砂漠をイノシシに乗ってやってくる集団なのだから。

 

 

「私達は怪しい物ではありません!ディ・フェウロ王国の冒険組合からやってきた冒険者です!」

 

「いや、どう見ても怪しい以外ないだろう!なんだイノシシって!?」

 

 

 アリシアが身の潔白を証明しようとしたが即座に否定された……イノシシがダメだったのか?

 そんな時、アリシアと一緒に乗ってきたハウラが降りて門番の前に出る。

 

 

「ん?貴女は、もしや……」

 

「外交官のハウラです。この方たちは陛下の命により、私がディ・フェウロ王国よりお連れした冒険者の皆さんです。門の通過許可を要請します」

 

「し、失礼いたしました!!」

 

 

 ハウラの姿と言葉を見聞きした門番達は、ことの内容を理解し即座に道を譲った。

 昨日までハギキラワークのスピードに翻弄されていた人と同一人物とは思えないほどの迫力である。

 

 

「さ、皆さん。どうぞ、街の中へ」

 

 

 ハウラに案内されてカグナ達は街の中へと入る。

 するとカグナ達は、街の外と中との違いをすぐに実感した。

 暑い砂漠とは異なり街の中には涼しかったからだ。

 

 

「うぉ、なんだ!?涼しいぞ!!」

 

「砂漠の街なのに、暑くない?」

 

「特殊な術式を刻み込んだ魔石を街中に配置してあります。そのおかげで街の中は砂漠よりも低い気温を保てるのです」

 

 

 街を道なりに歩くと、たまに大きな魔石で出来たオブジェのようなものが見られる、これがハウラの言っていた特殊な魔石だ。

 近づいてみると確かに涼しい。

 

 

「あの魔石にそんな術式を……?」

 

『冷却魔法の術式が組み込まれており空気をすこし冷やしております。また街の上空に日光をある程度遮断する術式も感知しました』

 

「へぇ~エアコンみたいで便利だな……日本の夏にも欲しかったな、コレ……」

 

 

 カグナの横に浮いているサポートAIのアイが、魔石に込められた術式を解析してカグナに伝える。

 それを聞いたカグナは、街の冷却装置を見て日本に居た頃の夏を思い出していた。

 日中35度を超える猛暑日の日々、夏の日本の街にコレがあれば少しはマシになれたのではと考えていたのである。

 もっとも日本とサンディヒル王国では湿度が全然違うので、カグナが考えているような結果にはならないだろうが……。

 

 

「どうかしましたか?」

 

「ん、いや。なんでもないよ」

 

 

 カグナ達は、街の中央にある一際目立つ建物へと向かって街道を歩いていく。

 人通りも多く出店もたくさんある道だが、馬車などが通りやすいように整理されていた。

 人々の活気も砂漠の熱気に負けないくらいに溢れている。

 

 

「ディ・フェウロ王国とは、違った雰囲気だね。あっちに負けないくらいの活気だ」

 

「えぇ、ちょっとした自慢です……あ、皆さん。見えてきましたよ」

 

 

 ハウラの言葉に、カグナ達が真正面を見た。

 そこには、いかにも砂漠の国の宮殿とばかりの大きく立派な建物が堂々とそびえ立っている。

 サンディヒル王国の国王が住まう宮殿だ。

 一行は城門まで来ると護衛の兵に呼び止められたがハウラが顔を利かせて、すんなりと入ることができた。

 ハギキラワークの面々は、さすがに宮殿の外に待機してもらった……宮殿の兵達が突然のイノシシに困惑していたが、そこは我慢してもらう。

 そしてカグナ達はハウラの案内で宮殿の中へと入っていく。

 宮殿の内装もすごかった、金に金をかけた装飾でいかにも王の住まいという雰囲気である。

 ハウラとアリシアを除くカグナを含めた面々は宮殿の雰囲気に圧倒されつつ、しばらく歩くととある部屋の扉の前まで案内された。

 

 

「こちらが我が国の王の部屋でございます」

 

「此処が……」

 

 

 カグナはディ・フェウロ王国の王の間に来た時のプレッシャーを思い出し、ごくりと唾を飲み込んだ。

 再び国のトップである王に謁見するわけだからだ……一般人だったカグナは、まだ慣れそうにない。

 ハウラが扉をノックすると、中から成人男性の声がし入室の許可を得た。

 部屋の中から許しの声を聴いたハウラが扉を開き、一同は部屋の中へ入る。

 部屋の奥には褐色の肌に立派な髭を生やし、豪華な服装を身に纏ってターバンを巻いた男性がクッションのような椅子に堂々と鎮座していた。

 

 

「よく来てくれた、余がサンディヒル王国の国王。シャムスダラ三世だ」

 

「お会いできて光栄です、シャムスダラ陛下。ディ・フェウロ王国の冒険組合長の命で来ました」

 

 

 サンディヒル王国の国王ことシャムスダラ三世が労いの言葉を言うと、このような場に慣れているアリシアが返した。

 シャムスダラは、ハウラが連れて来たカグナ達を一目見るとハウラに顔を向ける。

 

 

「うむ、ハウラよ。この者たちがスサノ殿が指名した冒険者だな?」

 

「はい。正確にはこちらのカグナさんです」

 

「え~っと、初めまして陛下。カグナと申します」

 

「ほぉ、随分と若い見た目だな……話では、金二星の冒険者と聞いたが」

 

 

 シャムスダラは、ハウラに紹介されたカグナの姿をマジマジと見ている。

 カグナが、まだ若い見た目をしているため、にわかに信じられないからだ。

 そんな雰囲気を感じ取ったアリシアが、シャムスダラにカグナの正体を言う。

 

 

「ご安心ください陛下。カグナさんは、おじい……スサノ組合長の母親です」

 

「何ッ!?あのスサノ殿の母親だと!?本当か!!?」

 

 

 アリシアの言葉を聞いたシャムスダラは驚き声を荒げた。

 その様子からシャムスダラはスサノのことをよく知っているようだ、父親のケンカ友達だから知ってて当然だろう……。

 

 

「あ、あははは……一応、スサノを鍛えたのは私ではあります、はい」

 

「なるほど、そうか……確かに、これは適任と言うわけか……」

 

 

 当のカグナは、苦笑いをしつつアリシアの言葉を肯定した。

 それを聞いたシャムスダラは、スサノが推薦した意味を理解したのである。

 ひとまず本題に入ろうとカグナは、シャムスダラに話かけた。

 

 

「あの、娘さんのお身体が弱いと聞いておりますが」

 

「うむ……余の娘、シェノラは生まれつき身体が弱い。そのため定期的に薬を飲まねばならないのだ」

 

「その薬の材料が足りなくなったと、ハウラさんからお聞きしました」

 

「そうだ、ハウラの話では其方たちが八大迷宮巨獣のシロカブリが背負う土地に生えている月光草の蜜を取ってくる……だったな」

 

「そういう、ご依頼ですので」

 

「わかった……依頼料に関しては余が出そう」

 

 

 カグナの言葉を聞いたシャムスダラは、口周りの立派な髭を撫でながら言った。

 それを聞いたハウラは驚いたような声で王へと確認を取る。

 

 

「よろしいのですか?陛下自ら……」

 

余の娘(シェノラ)の薬のための材料採取依頼だ。父親である余が出すのが当然であろう」

 

「父親だから当然……」

 

「実の娘の苦しむ顔を眺めたい親など、この世におるまい。我が子を助けるためならば親として当然のことよ」

 

「…………そうですね」

 

 

 親が我が子のことを思うのが当然と言うシャムスダラの言葉を聞いたカグナは、ふと自分とアマテルとの関係のことを思いだす。

 アマテルと険悪な関係になり、今の自分に何ができるのか……心の中でずっと考えていたのが、今だ答えが見つからずにいる。

 

 

(親だから……か)

 

 

 まさか砂漠の国に来てまで、家族関係の悩みを掘り返すことになるとはカグナも思いもよらなかった。

 スサノが任せろと言うので言葉に甘えていたが、やはり自分でもなんとかしなければと思いが再び湧き上がってきている。

 依頼のことよりアマテルとの関係改善のことを考え始めてしまいそうになった時、シャムスダラが険しい顔をしているのに気づいた。

 

 

「どうされました?」

 

「あぁ……実は困ったことが起きてだな」

 

「困ったこと?」

 

 

 王が困ったことが起きたと口走りると、カグナ達は互いに顔を合わせて嫌な予感がすると身構えシャムスダラの次の言葉を待つ。

 

 

「余の息子でありシェノラの兄であるシャルクのヤツが、余とハウラとの話を偶然聞いてしまっての……先走ったのだ」

 

「先走った?」

 

「まさかシャルク王子が……」

 

「うむ……」

 

 

 シャムスダラの言葉を聞いたハウラは、シャルク王子がとった行動がわかり青ざめていた。

 そしてカグナも次の王の言葉を聞いて驚愕する。

 

 

「シャルクの奴め、余たちの静止を聞かずに単身でシロカブリの元へ行ってしまったのだ……」

 

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