星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~ 作:健全なMTYK
「カグナさんが帰ってきたと聞いた……のですが……」
砂漠を徘徊する巨大なダンジョンであるシロカブリからカグナが帰ってきたと聞いたアリシア達が部屋にやってくると、そこで目にした光景に絶句した。
「かぁぁぁぐなさぁまぁぁぁぁぁぁぁあ!!再びお会いできて、わたくしめ大変感謝感激感動あめあられでございますぅぅぅぅ!!!この喜びを後世に残すため詩でも歌いたい気分ですわ!!!!いや絵画がよろしいでしょうか、それとも劇にすべきでしょうか!!?我々の愛は古今東西末永く歴史に刻むべきだとわたくしずぅぅっと思っておりますの!!!さぁさぁ、いかがすれば、この愛を形を世界に広めるべきか二人で、このさきずぅぅっとかんがえてみませ(以下略」
「あがががががッ!!」
長い模様のある蛇の尾に身体を巻きつけられつつ、豊満な
「カ、カグナさん!!?」
「この光景……見覚えがあるな」
「奇遇だな、俺もこの街に来る前に見たことがある」
「二人とも!達観していないで、早く何とかしないと!!」
サラが止めるべきだと懇願するものの、キヨノヒメの
あまりにも突然の光景に、シャルクはハウラの方を見た。
「大丈夫なのか……アレは?」
「一応、大丈夫……かと。あの人?もカグナさんの召喚獣らしいので」
目の前の光景に唖然とするシャルクは、ハウラに問いかける
一度見たことのあるハウラは、たぶん問題ないはずと答える……答えるしかなかった。
「カグナさま!カグナ様!!カグナさぁまぁぁぁんぁ!!!ハァハァハァレロレロ――――」
どんどんエスカレートしていくキヨノヒメの姿を見て、シャルクは再度ハウラに問いかけた。
「ほんとうに、だいじょうぶなのか?」
「前言撤回いたします。ヤバい人です」
さすがのハウラも先ほどの言葉を撤回した。
すると時と場所を考えず暴走しているキヨノヒメの顔面に向かって黒い塊が勢いよく飛び込んでいく。
『フラッシャー!!!!!』
「んだぼぉあッ!!!!」
黒い塊ことカグナのサポートAIのアイが、キヨノヒメの眉間にヒットしキヨノヒメは大きく後ろへとよろけた。
しかし、すぐさま姿勢を戻し自分に向かってきたチクショウへと怒りをあらわにする。
「ま、ままま、またまた、なぁ~にしやがるんですか!この黒毛玉助は!!」
『貴女こそ、いつまでバカのことをしているのですか!!いい加減、主を離してください!!!それに周りを見て状況くらい把握してください!!』
「状況って…………あら?」
アイの言葉によって冷静さを少し取り戻したキヨノヒメが周り見渡すと、ちょっと見知った顔に見知らぬ顔がキヨノヒメと抱擁という名の締め付けでグロッキーなカグナを見つめていることに今、気が付いた。
「………」
「………」
沈黙が場を支配する。
しばらくしてキヨノヒメはカグナを床へと降ろし、乱れた服や髪の毛をただすと先ほどまでの態度がウソだったかのように礼儀正しさを見せようとしたのである。
「初めましての方々もいらっしゃいますね……コホン。わたくし、親愛なるカグナ様の召喚獣。名をキヨノヒメと申します。普段は白蛇堂に勤務しております。以後お見知りおきを――」
「おい……この人、さっきまでのを無かったことにしたぞ」
キヨノヒメの豹変にダリアンがつっこんだ……が、キヨノヒメはそれを無視する。
先ほどまでのキヨノヒメの暴走を見た皆が彼女のことを本当に信用していいのか困っている時、シャムスダラがキヨノヒメが呟いた、とある単語に反応する。
「待て……今、白蛇堂と言ったか!?」
「何か知っているのですか、父上?」
「白蛇堂は、この大陸で一番の錬金術組織……つまり、魔法薬に精通している者達ということだ」
「薬……もしや!?」
キヨノヒメの
「え、えぇ……その通りです……。彼女は私の召喚獣の一人で、魔法薬のエキスパートです」
「はい。薬、毒、魔法具などなど……わたくしめは、カグナ様から任されている錬金術師でございます」
「なんと……」
カグナはキヨノヒメを薬の専門家であると皆に紹介した。
呼びだされたキヨノヒメはシャルクの後ろに隠れながら、こちらを覗いているシェノラの姿を見つける。
「あぁ~キヨノヒメ……彼女が、件の姫様だよ」
「は、はじめまして……」
カグナに、いきなり紹介されたシェノラは怯えながら挨拶をした。
さきほどまでのアレを見ていたのだから、いたしかたあるまい。
「これはこれは、初めまして姫様。ふむ……なるほど……そういう……普段お飲みになっている薬は、まだありますか?」
「今、爺が作っている最中だ……たしか薬の名は――」
「なるほど、なるほど……あい、わかりました。内臓系が弱る病の一種ですね……となれば―――」
姫の身体を観察し、シャムスダラから薬の名を聞いたキヨノヒメは何かを考えたのち、胸元から一つの瓶を取り出しカグナ達に見せる。
「こういう薬が、姫様には合うのではないでしょうか」
「それは?」
「最近、白蛇堂にて研究開発した新薬でございます。姫様と似た症状の人に処方したところ症状が緩和したのを確認済みです」
「まことか!?」
「その薬を飲めば、シェノラの身体は治るのか!?」
「あくまでも症状の緩和です。治療には長い年月がかかるでしょう」
キヨノヒメが取り出した薬の効能を聞いたシャムスダラとシャルクは声を荒げた。
求めたいた物が目の前に出されたのだ、無理もあるまい。
しかしキヨノヒメは、興奮した二人を落ち着かせる。
あくまでも薬の効果は症状を抑えるものであると伝えて。
「今お使いになっている薬と使い分ければ、少なくとも日常生活に支障はなくなるかと」
「おぉ、ぜひとも調合を教えてくれまいか」
「申し訳ございません。こちらの薬の調合レシピは極秘となっており、お教えすることはできません……。白蛇堂にて、ご購入をしてもらうしかありません」
シャムスダラが調合の方法を聞き出そうとしたが、キヨノヒメはそれを断る。
カグナはキヨノヒメに教えてもいいのではと言うが、キヨノヒメは首を横に振った。
「教えてくれないのか、キヨノヒメ」
「申し訳ございません、カグナ様。こればっかりは、わたくしの一存で教えるわけにいきませんので……我々もビジネスでから」
ビジネスだから、そう聞いたカグナは納得してしまった。
たしかに秘蔵のレシピなんて社外秘となるのは当たり前である。
いくらキヨノヒメがカグナの召喚獣ではあるとはいえ、そこはきっちりと線引きしているのだ。
それを聞いたシャムスダラは、残念そうな
「いや、当然だな……教えてくれとは、少々虫が良すぎた。白蛇堂へ使いを出し、薬を買わせに行かせよう」
「希少な材料を使っておりますゆえ、少々お高くなっておりますが……」
「構わぬ」
「よいのですか?」
「愛すべき家族のためだ、金など推しまん」
愛すべき家族のため……その言葉が、カグナの耳に刺さる。
自分も家族と言える者との確執があるのを思い出す。
「家族のため……ですか」
カグナはボソッと呟く……しかし声が小さかったのか誰も聞いていなかった。
アリシアがカグナの方を見ていることにカグナは気づていない。
「さようでございますか。では、こちらをどうぞ」
シャムスダラが薬の金額は気にしないという言葉を聞いたキヨノヒメは、持っていた薬をシャムスダラへと渡す。
先ほど貴重な薬と言ったはずなのに、キヨノヒメはあっさりとシャムスダラへ譲ったのだ。
それを見たカグナが思わずキヨノヒメにあげて良かったと聞く。
「え、あげていいのか?」
「サービスというやつですよ、カグナ様。実際に服用して効果があれば、我が白蛇堂にまでお越しくださいまし」
キヨノヒメは初回サービスと言って、薬をシャムスダラへと渡した。
商品を最初は無料で配布して興味を持たせる……営業とかでよくありそうな感じの手である。
薬を受け取ったシャムスダラは、よく観察したのち懐へと仕舞う。
「ちなみに、こちらが指定した材料を持参するのであれば、幾分かはお安くできます」
「そうか、わかった。用意できるものは準備しよう」
「えぇ、お越しになるのを尾を伸ばしてお待ちしております」
キヨノヒメは営業スマイルでシャムスダラに応対する、目元は目隠しで見えないが……。
二人のやりとりが終わると、カグナはアリシアに話しかけた。
「さて、これで依頼は完了……でいいのかな?」
「そう……ですね。元々はシロカブリへの月光草の蜜の採取だったのですが……」
そう、カグナが受けた依頼は砂漠を徘徊している巨大なダンジョンであるシロカブリの背に自生している月光草の蜜の採取だ。
そこになんだかんだで、砂漠の国の王子の様子見まで追加されてしまったが、それも無事クリアした。
「そういやアリシア達は待っている間、なにしていたの?」
「私達がカグナさんを待っている間、シェノラ様に今までの冒険の話しを聞かれまして……」
カグナがシロカブリまで行き、そこから帰ってくるまで一晩かかっている。
その間、待っていたアリシア達は冒険の話しをシェノラに、せがまれていたようだ。
「身体のこともあってか城からあまり出会たことがないんだと、そのせいか外の話しに興味津々みたいでな」
「質問攻めでしたね。身体が良くなったら、いろんな場所に行ってみたいとか」
「まぁ、俺達も凄いおもてなしをされてたしね。ここの料理、美味しかった……」
「なるほど……美味しい料理、ね」
カグナが大変なことになっている間、ダリアン達は宮殿が用意した美味しい料理を堪能していたようだ。
お城の料理……想像しただけで豪華で美味しそうだとカグナは内心羨ましがっている。
「カグナさんの方は、どうでしたか?」
「あぁ~こっちは、もう大変だったよ……」
アリシアが、カグナが言ったシロカブリでのことを聞いてきた。
シロカブリでのこと、月光草の採取、そして遠くの地からやってきた巨大なモンスターのことを簡単に説明する。
「じゃ、ジャイアントパープル!?」
「なんだ、そのモンスターは?」
カグナの説明にアリシア達は驚きを隠せない。
カグナ達が話しをしていると、おどおどした声がカグナに話しかけてきた。
「あ、あの……!!」
「ん?」
カグナが振り返ると、そこには勇気を出して話しかけてきたシェノラ姫の姿があった。
妙にそわそわしている、まるでカグナ達の会話に混ざりたいかのような感じだ。
「その話し……わたくしも、お聞きしてよろしいでしょうか?」
「姫様も聞きたいの?」
「………は、はい」
シェノラの眼には、好奇心の光が見えた気がした。
アリシア達の冒険の話も聞いていたとのことで、どうやら冒険譚とかが好きなようだ。
断る理由もないため、カグナはシェノラのお願いを聞くことにする。
「たいした話しじゃないけど、よろしければ」
「ありがとうございます!!」
シェノラの目の輝きが一層増す。
初めて会った時は気の弱いお姫様かと思ったいたが、実は活気にあふれている今の姿こそが本来の彼女なのかもしれない、あのシャルク王子の妹気味だしな……と、カグナは思った。
「ほぉ、面白そうな話しをしているじゃないか」
シェノラ姫と話しをしていると興味持ったシャムスダラが参加してきた。
こうしてカグナは、王様と姫様にシロカブリでのことを話すこととなり、カグナの話しは思いのほか盛り上がり、これまでの冒険やアリシア達も知らない話しまでも話す羽目となりちょっとした宴会になっていった。
そして気が付けば日も暮れ始め、翌日にカグナ達は砂漠の国を出立しディ・フェウロ王国へ戻ることとなった。
*
*
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シャムスダラから報酬を受け取ったカグナはサンディヒル王国を出て、来た時と同じように召喚獣ハギキラワークに乗り数日でディ・フェウロ王国へと戻ってきた。
カグナ達は、冒険組合長であるスサノへ報告するために冒険組合の建物へと入っていく。
建物に入るやいなや、カグナを見つけた受付嬢が駆け足でやってきた……少し困ったような顔をしている。
「お戻りになれたのですね、カグナさん!」
「どうしたんですか、そんなに慌てて」
「いえ、実はカグナさんを待っている方がおりまして……」
「私を?」
「はい……その方というのが、この冒険組合に所属している金三星の冒険者でして……」
「金三星……!?」
金三星の冒険者と聞いてカグナ達は驚く。
カグナの冒険者としてのランクが金二星なので、カグナよりもランクが上の冒険者となる。
そんな人物がカグナを待っていると聞いて、余計に困惑する……思い当たる人物がいないからだ。
カグナは受付嬢の案内で、その待ち人の元まで行ってみるとカグナは固まった。
そこには浅黒い肌に深い赤髪で背丈は2mほどあり、頭から後ろに向けて生えたドラゴンの角と腰辺りから鱗のある尻尾を生やした
男のすぐ近くには、頭から鳥の翼のような羽が生えているクラシックなメイド服を着た
男がカグナに気づくと、大きく手を振り満面の笑みで声をかけてきた。
「お、久しぶりだな!カグナぁ!!」
アリシア達が、男はカグナの知り合いなのかと思いカグナの方を見る。
そこには目を見開き驚きと怒りが混ざったような表情をして男を見つめるカグナが居た。
今まで見たことない表情をしているカグナを見たアリシア達が困惑していると、カグナは突如身をかがめて地面を思いっきり蹴り、ものすごい勢いで男の元へと駆け抜けていく。
「ジぃぃぃぃクぅぅ!!!」
カグナは男の名前を叫びながら突撃していって、その勢いのまま蹴りを繰り出した。
かつてカグナが決闘した金一星冒険者のカマッセルに仕掛けた蹴りとは段違いの威力である、アリシアでもまとも喰らえば防御してても簡単に吹き飛ぶほどであろう……だが、カグナにジークと呼ばれた男は、カグナの渾身の蹴りを片腕で受け止めた!
しかもジークは微動だにせずに受け止めたのである。
蹴りを仕掛けたカグナは、すぐさま身を翻しジークの目の前に着地して彼を睨む。
睨まれたジークは、そんなこといっさい気にせずに大笑いしてカグナを見る。
「ふはははは!相変わらず、脚癖は直っていないようだな!我が友!!」
大笑いするジークに、やれやれという雰囲気でメイドが溜息をついていた。