星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~ 作:健全なMTYK
「俺の名前は、ロランって言います」
「おr……私はカグナです」
ダンジョンへの道すがら二人は簡単な自己紹介をする。
ロランと名乗った犬耳の
身に着けている防具の種類や装備したら効果のある魔法のアクセサリーなどから、ロランは
「ところでカグナさん」
「ん、なに?」
「その……カグナさんの横に浮いてるのはなんですか?」
「アイのこと?えぇ~と、そうだな……」
『私は、主の補佐を行うサポートAIです』
「さぽーとえーあい?」
アイの説明にチンプンカンプンな様子のロラン。
カグナは良くわかっていないロランの表情を見て、そりゃわからんよなっと心の中で思っていたのであった。
「その、さぽーとえーあいってなんですか?」
「それよりもさ、なんでダンジョンへ行くのかな?」
ロランがより詳しく聞こうとしてきたが、カグナがさえぎった。
細かく説明しようとすると長くなりそうなうえ、今は急いでいるからだ。
ロランがアイについて詳しく聞きたそうな顔をしてるが、話を聞くべきなのはカグナの方である。
「あっはい、俺は3人の仲間たちとパーティを組んでいまして、冒険組合から最近発見されたダンジョンの調査を依頼されたんです」
「最近発見されたダンジョン?」
カグナの頭の中にあるダンジョンとはゲーム運営が作成したダンジョン、もしくはダンジョンビルド・システムによってプレイヤーが作成したダンジョンである。
前者に関しては素材回収用の周回ダンジョンやイベントクエスト用のダンジョンであり、お世話になっていないプレイヤーは皆無であろう。
後者のプレイヤーが作成したダンジョンは「クリアできるものならヤッてみろ!?」という感じで作られたモノと、少し作ってセンスの無さに絶望して諦めたか作りかけて放置したかのパターンに別れる。
カグナはかつてダンジョンを作成することを目的としたクランに所属していたため、アナザーワールド・オンラインのダンジョンに関しての知識はちょっと自慢できると自負しておる。
ただ気になるのは――――。
「ちょっと待って。ダンジョンが最近発見されたって、どういうこと?」
「え?小規模のダンジョンは、たまに入口が発見されることがあるじゃないですか」
「えぇ~っと、そうなの?」
「えぇ、はい……常識だと思うんですけど」
ロランは、なんでこんな当たり前な常識を知らないんだ?という表情でカグナのことを見てきたので笑ってごまかす。
だが仕方がないのだ、カグナの頭の中にある知識と今のこの世界の常識は差異があるのだから。
そして、その常識の差をカグナはまだ認識しきれてない。
「ダンジョンの調査ってどういうこと?」
「ダンジョンの内部ではモンスターは無限に出現するじゃないですか。つまり長い間放置され続けたダンジョンだと増えたモンスターがダンジョンの外にまであふれ出してきて周辺の村とかを荒らして危ないんですよ」
「え、そんなことになってるの!?」
『ダンジョン内部のモンスターが外にあふれ出てくるなどという事象はデータにはありません』
「それも知らないんですか……」
ダンジョン内部ではリスポーンタイムがあるとはいえモンスターは基本的に無限湧きである。
ただしゲームでは一定数以上は増えない仕様であったが、今のこの世界ではそうではないらしい。
つまりダンジョン内ではモンスターは絶え間なく生まれ続けるということになるのだろう。
そしてダンジョン内部では、どのような生態系が構築されているのかはわからないがダンジョン内部で増え続け抑えきれなくなったらダンジョンの外にまであふれ出てくる、ロランの説明を聞いたかぎりではそういうことなのであろう。
カグナがその光景を想像したら、うげぇという顔になった。
「そういえば仲間が居るって言ってたけど」
「そうです!それなんですよ!!」
「え、なに?」
「さっきダンジョンの調査って言ったじゃないですか。その調査のために俺たちはダンジョンに入って最深部にまで進んだんです、そしたら……」
「そしたら?」
「巨大なゴーレムが出てきて、俺のダチ……仲間の一人がそいつにやられて重症なんです……サラの回復魔法のおかげですぐに死ぬわけじゃないみたいなんですが……あっ、サラっていうのはウチのパーティーの回復を担当しているヤツでして」
「それで残った仲間が時間稼ぎして、その間に足が速いキミが近くの村にまで救援を呼びに大急ぎで走った……って、とこかな?」
「そ、その通りです!なんでわかったんですか?」
「あははは、昔同じようなことがあってね……」
昔の話だ、カグナがクランメンバーと共にマルチイベントボスと戦っていた時、あと1~2人いれば勝てるが今のままではジリ貧状態になっていた時があった。
その時に行った戦法が「
あの時は大変だったという思い出が溢れてくるが、今はそれどころではないだろう。
「それで一生懸命走っていたらワイルドベアーに遭遇した……っと」
「はい……」
「結構無茶なことをしたね」
『主に出会って運が良かったですね。アナタでは120%勝ち目はありませんでした』
「うぐぅ……」
カグナとアイの言葉にロランは落ち込む。
だがアイの言うとおりロランではワイルドベアーに勝てなかったであろう、カグナに出会ったのが本当に運が良かったのだ。
そんなこんなで、しばらく走っていると岩肌の崖下に石で出来た立派な扉があるところまでやってきた。
「ここです。このダンジョンです、カグナさん」
「ほぉ~」
ダンジョンの入り口だ、もっともカグナからすればすでに見飽きたデザインの扉ではある。
「ありきたりなダンジョンの扉だな、ふむ……」
【 ダンジョン名:ダンジョン 製作者:ぷにぷにぷりん 全4階層――― 】
「あぁ~この雰囲気は作ったはいいけどイメージ通りに作れなかったから、そのまま放置した感じのダンジョンだな」
『ダンジョンの名前がデフォルトネームのままですね』
カグナは本型のメニューに表示されたダンジョン情報を読み取り察する。
威勢よくダンジョン作成に手を出したはいいが自分が思い描くダンジョンがうまく作れずにそのまま投げ出すという、よくあるパターンである。
「それじゃ急ぎましょう、カグナさん」
「そうだね、行こうか」
二人はダンジョンの扉を開き中へと進む。
ダンジョンの中は洞窟となっており、天井が高めで奥に続く道があり壁の松明が灯りとなっている。
ダンジョンとしてはポピュラーな分類であった。
「ふ~ん、よくあるタイプのダンジョンだな」
「はい、ただ出てくるモンスターが厄介でして」
「厄介って、どんな感じで?」
「えぇっと、とにかく数が多くて」
『主、エネミー反応です。こちらに近づいてきます』
アイがモンスターの気配を感知すると、道の奥からカサカサカサッという音が鳴り響いてくる。
その正体はサッカーボール3つ並べたぐらいの大きさのアリである。
それも一面をアリで覆い隠すくらいの数であった。
「ゲッ、軍兵アリ!?俺たちがかなりの数を倒したはずなのに、まだこんなに残ってたのか!?」
「なるほど、物量系ってことか」
「まずいですよ、カグナさん!あの数じゃ!!」
軍兵アリの大軍を目の前にしてロランが狼狽える。
確かにサッカーボールを3つ並べたような大きさのアリが床一面を覆い隠すくらいの大群でやってきたら誰だってそうなるだろう
しかしカグナは狼狽えるどころか、自信満々に杖を構えて前進する。
「ちょ、カグナさん!?」
「大丈夫、そこで見ててよ」
「え?」
「”
無数の軍兵アリがカグナとロランに襲い掛かろうとしたとき、カグナが無数の火の玉を広範囲にまき散らす炎属性の攻撃魔法である
カグナの周りに無数の火の玉が出現したと思ったら、前方から襲ってくる軍兵アリに向かって射出される。
火の玉一発一発が軍兵アリにとって致命的な威力となっており、発動から数秒後には生きている軍兵アリは一匹も存在していなかった。
「ふぅ、これでよし!」
『お見事です、主』
「う、うそ……」
一仕事終えたぁ~という感じで額を拭う仕草をしているカグナと小さな手みたいなもので拍手しているアイの横で、ロランはあまりの光景に唖然としていた。
自分たちのパーティーもそれなりに苦戦して対処した軍兵アリの大軍をたった1回の魔法で殲滅したのだからそうなるのも仕方がない。
こんがり上手に焼けたアリたちを横目にカグナはロランに向かって言う。
「それじゃ先を急ごうか、時間はあまりないはずだろ?」
「え、あ……えぇ!そうですね、急ぎましょう」
二人はダンジョンの最奥に向けて走り出した
カグナが先導し、その後ろからロランがついてくる感じである。
道中モンスターの妨害に遭遇したが、無視するかカグナが魔法で吹き飛ばしたかで障害にすらなっていなかった。
湧いて出てくるモンスターをカグナが魔法で吹き飛ばすたびに、後ろからついてくるロランが何か言っている気がするが気にせずに最深部まで駆けていく。