星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~ 作:健全なMTYK
「ゴアアアアアアアアア!!!!」
ガーディアンゴーレムが雄たけびを上げている、まるでカグナに向かって威嚇しているかのように。
「ゴーレムが吠えてる」
『弱い敵ほど、という言葉もありますよ』
「ヒドイこと言うね、アイ」
「グ、グガァァァァ!!!」
カグナとアイが和気あいあいと談話をしていると、脅威とすら見られていないことに気づいたガーディアンゴーレムが咆哮と同時にカグナに向かって攻撃を繰り出してくる!
しかしガーディアンゴーレムの攻撃はカグナには届かない、敵の攻撃を防ぐ障壁魔法を展開しているからだ。
一定数のダメージを完全に防げる障壁魔法であり、このガーディアンゴーレムは障壁を突破できるほどの威力のある攻撃を持ち合わせていなかったのだ。
もっとも単純にカグナとガーディアンゴーレムのレベルに差がありすぎるのも要因ではあるのだが。
カグナはもちろんそのことに気づいており、敵が自分の相手にはならないと理解している。
しかしガーディアンゴーレムは、目の前の相手との実力差にまだ気づいておらず当たらない攻撃を続けている。
『ガーディアンゴーレムのレベルは、Lv95……フッ、雑魚ですね』
「さすがにレベル差がありすぎて可哀そうになってきたんだが……」
『でしたら、さっさと倒してしまっても良いのではないでしょうか?』
「そうだね、そうしようか……”
カグナが
まともに喰らえばレベル差のあるゴーレムでは堪えきれずに爆散するであろうと、カグナもアイもそう思っていた……が。
『フフフ、主の中級魔法です。低俗なゴーレムごときでは耐えられませんよ!』
「ちょ、アイ、それフラグ!」
アイが余計なことを言ったせいか、カグナの
だが、ガーディアンゴーレムは倒れず土煙の中から姿を現した。
見た感じがそこまで大きなダメージを受けている様子はなく、まるでカグナの魔法なぞ効かないぞと言わんばかりの雰囲気を見せつけてくる。
『
「アイが余計なこと言うからフラグがたったんじゃない?」
『いえ、まさか、そんな、私は無実です』
フラグを立て小さな猫耳と目をそらしているアイを、カグナが呆れ顔で見ていた。
そんな二人に向かってゴーレムが雄たけびをあげながら再び攻撃をしてくる……が、障壁魔法に阻まれてゴーレムの攻撃はカグナに当たらない。
ダンジョンの製作者から拳による単純な攻撃パターンしか組み込まれていないのか、単調な攻撃が続いていく。
「さっきの
「グォォォォ!!!」
「遊んでてもしょうがないし、そろそろ決めるか」
そういうとカグナの垂らしていた長いウサギの耳がピンと立ち上がる、少しでも本気を出そうとすると耳が立ってしまう癖があるのだ。
そしてウサギ耳を立たせたカグナの身体からオーラのようなものがあふれ出てくる。
ゲームではプレイヤーが強力な魔法を使用する時に発生する運営の考えたカッコいい演出だったのだが、現実世界となった現在だと実際にカグナの魔力があふれ出ているのだ。
身体から凄まじい魔力オーラを放出しているカグナの姿を見た、後ろに居る4人は驚愕する。
「なんだありゃ……」
「なんですの……この魔力は……?」
「す、すごい……」
魔法が使えるアリシアとサラは、カグナからあふれ出す魔力の桁違いの規模に身体が震える。
魔法に関しては基礎知識しかないロランとダリアンも、この光景がトンデモないことであることは肌で感じ取っていた。
カグナが攻撃魔法を放つ準備をしていると、すかさずアイがサポートスキルを繰り出していた。
『”
「さて覚悟は良いかな、ゴーレム?」
「グゴォ!?」
『主の魔法、耐えれるモノなら耐えてみてください?』
「”
先ほどの
それはアイのサポートにより防御が紙くずになったガーディアンゴーレムでは、とてもとても耐えられるはずもないモノだ。
ガーディアンゴーレムは受け止めることも避けることもできずに、その巨体は炎の爆破に飲み込まれていく。
ドゴォォォォォォォォン!!!
カグナの
「ぐっ!!!」
「キャッ!!」
「がっ!!」
凄まじい爆風にアリシアたち4人は吹き飛ばされて壁に激突しないように踏ん張っていた。
しばらくすると爆発も土煙も収まり、先ほどまで立っていたガーディアンゴーレムの姿がどこにも見当たらない。
跡形もなく吹き飛んだのであろう。
「なんですの……これは………」
「あのゴーレムが、跡形もなく吹き飛んだ……?」
「なんなんだ……さっきの魔法は!?」
「あ、あんな魔法……私、知りません……そういえば、あの人詠唱してなかったような……」
なんとか吹き飛ばされなかった、アリシア・ロラン・ダリアン・サラの4人は目の前の光景を見て驚きを隠せなかった。
先ほどまで自分たちが苦戦していたはずのゴーレムが、跡形もなく消し飛ばされたのだから無理もないであろう。
ピンと立てたウサギ耳を再び垂らしたカグナは指で頬をかきながら、ぼそりと呟く。
「あぁ~~、ヤリスギタ?」
『そのようなことはないかと』
「跡形もなくゴーレム吹き飛んじゃったな」
『ガーディアンゴーレムの消滅を確認。無事討伐されました』
「
『えぇ、主の敵ではありませんでしたね』
「そうだな……ん?」
カグナの魔法でゴーレムが消し飛んだ場所に、何かが落ちていることに気づく
それはなんと大量の魔石とドロップアイテムと思わしき素材アイテムであった。
カグナがアイテムに一つを拾って見てみたが、どうやらそこまでレア度があるアイテムではなかった。
「これが設定されていたガーディアンゴーレムのドロップアイテムか…………ショボいな」
『ですが主、保管していたアイテムの大半は消失しております。拾えるものは拾っておいた方が良いと判断します』
「あぁ~そういえばそうだったな……一応拾っておくか」
マイエリアの拠点にアイテムを補完する収納ボックスがあったのだが廃墟と化してる拠点では収納ボックスも劣化破損しており、保管していたアイテムもほとんど使い物にならない感じになっていたのを思い出す。
カグナはメニューを開き、素材アイテムと魔石をアイテム欄へと格納していく。
カグナがアイテムを回収していると、開いた本の形をした自身のメニュー画面とは違うメニュー画面が表示されていることに気づいた。
「ん?まだなにか―――」
【 ダンジョンの機能を停止しますか? →Yes / No 】
「これって……」
『ダンジョン制作するときのダンジョンビルドメニューですね』
カグナの目の前には、プレイヤーがダンジョン内部の調整や公表する情報の設定などを行うメニュー画面が表示されていたのだ。
ダンジョンを制作するうえで必ず触るメニュー画面であり、カグナも
だが、この画面を直接操作できるのはダンジョン制作者や管理権限を持つプレイヤーだけであり、ダンジョンへの挑戦者が触れられるものではないはずなのだが……。
「いやいや、なんでこのダンジョンの製作者でもない俺がコレを触れるんだ?」
『それは……わかりません』
「ダンジョンの停止……停止か……」
カグナは腕を組みながら考える、他人が作ったダンジョンを自分が勝手に弄っていいモノなのかと。
それにカグナが本当に、他人のダンジョンの管理者権限を持っているのかも分からない。
あれこれと考えていると、後ろからトコトコという可愛らしい足音ともにアリシアたちを治療していた羊のヒコナがカグナの元へとやってきた。
「あるじさま~、あるじさまぁ~」
「ん、どうしたヒコナ?」
「あのかたたちの、ちりょうがおわりましたぁ~」
ヒコナの報告を受けてアリシアたちの方を見てみると、確かに先ほどまでのケガや疲労はなかったかのように全回復している様子であった。
負傷していたダリアンや戦闘で疲労していたアリシアは、先ほどまでの状態が嘘だったかのように見える。
カグナがアリシアたちのことを見ていると、視線に気づいたアリシアが金髪のポニーテルを揺らしながらカグナの元へと歩いてくる。
「危ないところを助けていただき本当に感謝いたします。私の名はアリシアと申します」
「おr……私はカグナ、よろしくアリシアさん」
「アリシアで構いませんわ、カグナさん。」
アリシアが感謝の言葉と自己紹介をしてくる。
よくよく見ると十代後半と思わしき若い娘であり、礼儀もよく育ちの良さを感じさせる。
二人のやり取りを見ていたサラとダリアンもカグナの元にやってきて名乗る。
「あの、わたしはサラと申します!先ほどは助けていただき、本当にありがとうございます!!」
「俺はダリアン。アンタは俺たちの命の恩人だ。何かお礼をさせてほしい」
「え、お礼……ね……」
別にお礼なんて気にしない……と思っているカグナだが、ここで彼らの好意を無碍にするもの良心が痛む気がした。
しばらく悩んだあとで一つの案を思いつく。
「そうだな、それじゃ近くの村まで案内してほしいかな」
「村にですか?それは構いませんが」
「それにちょっといろいろと聞きたいこともあるし、情報提供をお礼ということでどうかな?」
「カグナさんがそれをお望みでしたら私たちは構いません。丁度私もお聞きしたいことができましたし」
「それじゃ決まり」
「では、さっそく脱出いたしましょう」
「いや、ちょっと待って」
「はい?」
カグナはメニュー画面で、とある項目をを弄っている。
プレイヤーはダンジョンを攻略するとダンジョンの入り口までワープできるのだ。
「これをこうして……とッ」
「えッ!?」
カグナたちの足元に魔法陣のようなものが展開される。
アリシアたちは何が起きているのか分からずに戸惑っていると視界が魔法陣が放つ光に包まれていく。
光が収まりアリシアが周りを見渡すと、森の木々が生い茂り鳥の鳴き声が時折聞こえてきて上を見上げれば雲が混じっており青空が広がる。
そして目の前には見覚えのある豪華な扉があった。
アリシアたちは、ダンジョンの入り口の前に立っていたのだ。
「ふむ、やっぱりこういう機能はちゃんと生きているのか」
「な、なにが起きたんだ……?」
「ダンジョン脱出機能だけど、もしかして知らない?」
「初耳なんだが……」
カグナ以外は、今何が起きたのか何故ダンジョンの最奥に居たはずなのに目の前にダンジョンの扉があるのか理解できていない様子。
ダリアンが思わず口に出した問いにカグナが答えたが、すぐには理解できないようだ。
そんな中アリシアがカグナに疑問を問いかけようとする。
「カグナ……さん、貴女まさか……」
「ん、なに?」
「……いえ、話は近くの村についてからにいたしましょう、早く出発しませんと夜になってしまいますし」
アリシアが空を見上げる。
太陽がだいぶ傾いており、あと数刻で青空は夜空へと変わる時間になっていたようだ。
『このままですと、また野宿になりますね』
「う~ん、さすがに連日野宿はゴメンこうむりたいな」
「では出発いたしましょう、村の場所はそれほど離れてはいませんので」
カグナたちは村に向かうために、ダンジョンを後にした。
アリシアの言うとおり、歩き出してからそれほど時間をかけずに村と思わしき集落へとたどり着いた。
畑は荒らされて建物は破壊されケガをした村人たちが荒らされた村の片付けをしている、何かに襲われたと思わしき村へと。