星ウサギの異世界迷宮探索 ~元社畜が、ウサ耳巨乳美少女の姿でVRMMOだった世界へ~   作:健全なMTYK

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#8 ウサギ、村へと着く

「これは……」

 

 

 空に赤色が広がっているなか、カグナが見たものは何かに襲撃されたと思わしき村であった。

 見える範囲の畑は半分近くがダメになっており、村人と思わしき大人達が破壊された建物の瓦礫を片づけている光景を見かける。

 そしてお墓と思わしき石の前に花を添える人の姿が目に映った。

 

 

「この村は、先ほどのダンジョンから出てきたモンスターの襲撃にあった村です」

 

「あのダンジョンからモンスターが出てきて襲われた!?」

 

「カグナさんは、あのダンジョンの中で軍兵アリの大軍はご覧になりましたか?」

 

「あ、うん、見たよ。……まさか、あの軍兵アリがこの村を?」

 

「はい、この村を襲ってきたモンスターは、あのダンジョンから出てきた軍兵アリなのです」

 

 

 アリシアが、なぜこの村がこうなったのかをカグナに説明する。

 先ほどカグナ達が居たダンジョンの道中に湧き出てきた軍兵アリがダンジョンから外へと飛び出し近くにあった、この村を襲ったのだとアリシアはカグナに説明をした。

 一匹一匹はたいした強さのモンスターではないが、数十匹で襲われたら村人達では対処しきれなかったのであろう、目の前の村の現状がそれを物語っている。

 

 

「先ほどのダンジョンの入り口が最近になって発見されて、その調査のために冒険組合が私たちや他の冒険者チームに依頼されたのです」

 

「調査というと具体的にはどんなことを?」

 

「主に勢力の調査ですわね。ダンジョンに出てくるモンスターの種類や強さです」

 

「ダンジョンのモンスターの種類や強さの調査を?」

 

「えぇ、調査してダンジョンの近くにある村や町に、どの程度の冒険者や王立騎士団を配置していれば防衛できるとかの判断基準になるのです」

 

「ふむ、なるほど」

 

「またダンジョンのモンスターの種類によっては、得られる素材で近くの村や街が賑わうこともあるのですが……ただ……」

 

「ただ、どうしたの」

 

「今回のダンジョンですが最下層のガーディアンゴーレムはともかく、道中のモンスターはハッキリと申しまして稼ぎになるようなものではありませんでした」

 

「つまり冒険者目線からすれば、あまり旨味がないダンジョンってことなんですよカグナさん」

 

 

 アリシアがカグナに説明していると、ロランが横から割り込んできた。

 ロランは腰につけている収納魔法が込められたポーチから軍兵アリの素材と思わしきアイテムをカグナに見せてくる。

 

 

「コレあの軍兵アリから取れた素材なんですけど、冒険組合はあまりいい値では買い取ってはくれないんです」

 

「ソレって軍兵アリの装甲だね?使い道あったっけ」

 

『武具の材料などに使用できますが、出来上がる武具のランクはそこまで……』

 

「他のダンジョンでも、それなりに取れるので価値も低いんですよコレ」

 

『主も4桁単位で倉庫の肥やしにしてましたね』

 

 

 アイとロランの話しからして、あのダンジョンに出てくるモンスターを討伐しても冒険者として稼ぎは見込めないらしい。

 それでは、この村を拠点としてダンジョンへ潜ろうとする冒険者は集まることはないであろう。

 稼ぎが見込めない場所に人は集まることはないのだから。

 

 

「ダンジョンを使って村おこしに発展させようとすること自体は珍しくないのですが、見つかるダンジョンのすべてが稼ぎになるかはまた別の問題になるのですわ」

 

「稼ぎたいのなら、他にもっといい条件のダンジョンは沢山あるからな……はっきり言って今回調査したダンジョンはハズレもハズレだ」

 

「あのダンジョンで取れる素材は珍しくないですしね……それに取れる魔石も少ないです」

 

「稼ぎの見込みが薄いダンジョンであるうえに、村への被害が尋常ではありません……本当に厄介ですわ」

 

 

 アリシアのセリフのあとに、ダリアンとサラがため息交じりで続く。

 アリシアたちの話によれば、あのダンジョンは冒険者目線では稼ぎが見込めないが周りへの被害が少なくはない……実に厄介である。

 だが、あのダンジョンを何とかせねば、この村は害獣ならぬ害虫対策を延々と続けなければならないのだ、それも得にもならない害虫相手にである。

 ダンジョンからの被害対策を考えている最中、カグナはとあることが気がかりであった。

 

 

(あの時、ダンジョンのボスを倒した際に出てきたダンジョンのビルドメニュー……もしアレを使ってダンジョンを停止させれば、もしかしたら)

 

 

 先のダンジョンで見たダンジョンのビルドメニューをカグナは思い出す。

 あれはダンジョンの製作者、または管理権限をもった管理者が扱えるダンジョンを操作するためのメニューである。

 それを使えば稼働している、あのダンジョンの活動を停止させられるかもしれないと思ったのだ。

 ダンジョンが停止すればダンジョン内のモンスターも湧き出ることはなくなるはずなのだから。

 カグナがそんなことを考えていると、突然男の声が聞こえてくる。

 

 

「ん?お前たち!無事だったのか!!」

 

「ゴーゼさん!」

 

 

 声の方に顔を向けると、防具を着た純人種(ヒューマン)の中年男性が慌てた様子でアリシアたちの元へと駆け寄ってきた。

 その後ろには似たような感じの男たちが数名付いてきている。

 

 

「どうされましたの、そんなに慌てた顔をして」

 

「あぁ、村の周辺の調査をしていたら、お前たちが向かったダンジョンの方向からドデカい雷が落ちるのを見かけてな。そこに向かったらなんとデカいワイルドベアーが黒焦げで死んでたんだ!」

 

「黒焦げのワイルドベアーですって!?」

 

「そうだ!明らかに自然の雷の仕業じゃないって思ってな、俺達全員で村の周りを見回っていたんだよ。場所が場所だけにお前たちにも何かあったんじゃないかって心配してたんだが、その様子なら全員無事みたいだな」

 

 

 よかったよかったと、ゴーゼは腰に手を当てながら大笑いをする。

 ロランを除くアリシアたちは一体なんのことなのか分からなずにきょとんとしている中、ロランは横目でカグナのことを見てくる。

 

「…………カグナ……さん?」

 

「あぁ~あははは……」

 

 

 ゴーゼのいう黒焦げのワイルドベアーとは、ロランとカグナを襲おうとしてカグナの中級雷魔(メガ・ザンド)で返り討ちされた哀れな熊のことである。

 どうやらカグナがワイルドベアーに向かって放った中級雷魔(メガ・ザンド)は、この村からも見えていたらしくゴーゼ達と村人が何事かと驚きわめいたらしい。

 黒焦げのワイルドベアーのことを考えていたゴーゼが、見慣れないウサギ耳の少女が居ることに気づく。

 

 

「ん?そっちの嬢ちゃんは、知らん顔だな」

 

「こちらはカグナさん。私たち全員の恩人です」

 

「恩人だと?」

 

「えぇ、ダンジョンで絶体絶命のところを助けていただいのです」

 

「へぇ~そうかい」

 

「カグナさん、こちらの方はゴーゼさん。私たちと同じく冒険組合から調査派遣された冒険者チームのリーダです」

 

 

 ゴーゼはカグナの前までやってくると、その横に居たアリシアが彼のことをカグナに説明する。

 無精ヒゲを生やした純人種(ヒューマン)の男だ、軽めの防具を身に纏い片手剣を腰にぶら下げている。

 そして星が三つ刻まれた銀色のネームプレートのようなものを首につけていた。

 

 

「俺はゴーゼ。後ろの馬鹿たれどもを何とかまとめ上げてるオッサンだと思ってくれ」

 

「馬鹿たれは、ヒドイじゃないんですか!?」

 

「そうだ!そうだ!そこは頼れるダンディでいいんじゃないですか!?」

 

「うるせぇ!お前たちのどこがダンディだ!!!」

 

 

 ゴーゼは満面の笑みで自己紹介してるが、後ろの仲間たちのブーイングが飛び交ってくる。

 だがこのやり取りを見ただけで、このチームの雰囲気は何となく感じ取れた。

 悪くない、気軽に冗談を言い合える仲というのは良いチームであるとカグナは思っているからだ。

 

 

「おr……私の名前はカグナです。彼女たちとは……まぁ、成り行きで助けた形になりますかね」

 

「そうか。まっ、なんであれ助けてくれて感謝する」

 

 

 カグナとゴーゼは握手を交わす。

 普段から武器を握り振り回していることを感じ取れる、分厚い手の平だった。

 

 

「よぉ~し、お前たちもダンジョン帰りで疲れてるだろ?時間も時間だし、酒場で飯にしようぜ。詳しい話しは飯を食いながらだ」

 

「そうですね、そうしましょう」

 

 

 カグナとアリシアたちは、ゴーゼの提案通りに村にある小さな酒場へと向かっていった。

 カグナが酒場に入ろとしたとき、酒場の建物の横で黒焦げになった大きな塊を何とか解体しようと頑張っていた人たちが居たのを見かけたが、カグナは苦笑いを浮かべながら酒場へ入っていった。

 

 

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