ポケモン世界を安全に観光するなら   作:ミパデネア

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【レポート】旅をはじめるなら 最初の一歩は

 最初の三匹、またはパートナーポケモン。御三家、というのは公式用語ではないがこっちのが通りがいいかもしれない。

 

 ともかく俺は三匹を前に悩んでいた。

 

 フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ。

 

 いやあ性能的に悩んでるとかそういうのではなく、そもそも転生してから旅に出るまで選ぶべきポケモンは決めていた。まあ例外があるとして、マサラタウンにいるわけだし遅刻してピカチュウなんてことにはならないように寝坊に気を付ける……あるいはイーブイなんて線もあったが、リメイクが多すぎるぞ初代。

 では決めておいて今さら何で迷っているのかというと。

 

「可愛すぎる……!」

「うう、どのコにしよう」

「おいおい二人とも、もう三十分は悩んどるぞ」

 

 ナナミさんと二人、オーキド博士に呆れられる始末。

 そのくらい、生のポケモンの愛らしさというのはなんて暴力的なのか! 顔面種族値600族! これも公式用語じゃないな。

 思えばポケパルレやポケリフレ、ふれあい、ポケモンキャンプにピクニックで散々脳を蕩けさせた俺のようなポケモン好きにとって短い手足でこちらに近寄ってきたり見上げてくる目の前のたねポケモン達のなんと、なんと……ポケモンだいすきクラブになる気持ちも分かるというもの、性別関係なくメロメロ状態だ。

 いっそのこと三匹連れ歩きたい、SVの序盤一緒に歩けたのよかったよね。

 

 悩む俺はナナミさんは誰にしたのか聞いてみたところ、どうやら彼女も悩んでたようで一緒に頭を抱えることに。やっぱりライバルは後から選ぶのが世界のお約束なんだろうか。この場合は普通に性格によるものだろうけど。

 

 じっと見つめてくる三匹はそろそろ飽きてきたのか勝手に俺の身体を登頂してくる始末。なんだこの可愛い生き物は、ポケモンか。最初の三匹は育てやすいと、幾度も作中世界で言及されているがこの人懐っこさや物怖じしない個体が多いのだろうか。

 しかし心をオーガポンにしてそろそろ覚悟を決めなければならない。オニゴーリにしての方が正しいな、多分。

 

 先程から転げ落ちても何度も俺の頭へと登ろうとしていたヒトカゲを抱き抱える。じっと見てたが行動的にこのコの性格は『がんばりや』だろう。

 

「キミに決めたよ、よろしくなヒトカゲ」

「カギャー!」

 

 うんうん、尻尾の炎もゆらゆら揺れて機嫌もよさそうだ。

 

「おおカシアくんは決まったか」

「まあ最初から決めてましたから」

 

 世界中を旅をするつもりなのだ、移動そしてもしものピンチから離脱するためにそらをとぶポケモンは必須といっていい。なみのりのあるゼニガメと悩んだが海路なら大概の場合船はあるだろうし。

 後はメガシンカ二種類なところとか、カロスまでの道は遠そうだけれども。

 

「さてナナミはどうする?」

「私は……フシギダネにする!」

 

 どうやらナナミさんも決めたみたいだ。いいよねフシギダネ、なんといってもあのカエルのようなフォルムと口元が可愛い。

 隣のフシギダネは青くみえがち。

 

 さて、ポケモンは受け取った。それ以外の旅の準備に関しては数年かけて完了しているので問題ない。草むらに入っても平気なわけである。

 

「カシアくん待って!」

「どうしたのナナミさん?」

「ええと、その前にどうしてさん付け? 同い年だよ?」

 

 そんなこと言われてもナナミさんはもうずっとナナミさんでライバルの姉ちゃんなのである。今さら変えられない。

 なんてことを伝えても理解してもらえないだろうし。

 

「初対面だし」

 

 というか俺はこの街の知り合いがほとんどいない。

 マサラタウンはゲーム画面で見るような家二軒と研究所みたいな限界集落ではなくきちんとタウンとして機能するくらいの家や店が存在している。イメージとしては映画キミにきめた! のマサラタウンが近いだろうか。

 幼少より旅に出ることしか考えてなかった俺である。当然同年代の子供との付き合いはほとんどない。

 変な影響を与えてロケット団解散とかできなかったりとかも不安に思い、主人公やライバル、レッドとグリーンがいるかもしれない場所にはなるべく近づかなかったのも原因の一つだ。そりゃファンとしては会いたい気持ちもあるけれどカントーが平和になってからでも可能だし。

 そんなわけだからナナミさんがまさか同世代というのも知らなかったわけだ。そもそもポケモンの中の年齢や年代というのは意図的にぼかされていて想像でしかないというのもある。

 

「そ、そうだよね! 初対面だからか……ナナミでもいいよカシアくん」

「ナナミさん」

「なんで!?」

 

 だから魂に刻み込まれてるからしょうがないんだ。

 

「もう、名前はいいとして、カシアくんもはじめてのポケモンだよね。なら、バトルしておこうよ」

 

 こうしてパートナーポケモンを受けとるトレーナーというのは驚くかもしれないが案外少ない。

 ちょっと草むらに入ればポケモンと出会え、ショップに行けばおこづかいでも買える値段のボールが溢れているこの世界において子供の好奇心が組み合わされば十歳になる前に相棒を見つけるのは当たり前のことなのだ。

 そうでなくとも既に家族の一員であるポケモンと共に旅に出ることだってある。

 俺はこの旅立ちの日まで意図的にポケモンと関わらないようにしていた縛りプレイみたいなもんである。その結果先ほどはタガが外れて危うく三匹全員持ち去りかけたけれど。

 

 つまりパートナーポケモンを受けとる俺とナナミさんは周りのトレーナーと比べて遅れていると言える。目線があったら即バトルがマナーみたいな世界だ、いきなり実戦の前に経験を積んでおくのはいいだろう。

 

「それじゃあお願いするよ、ナナミさん」

「また! 私が勝ったら呼び方変えてよ!」

 

 さて、こうして初めてのポケモンバトルなのだが詳細は省かせてもらおう。

 

 これを読んでるかもしれない誰かも覚えがあるかもしれないが、パートナーポケモン受け取って初めてのバトルなんていうのは戦略も何もあったもんじゃない如何に間違えないかのバトルである。

 それはバトルが選択肢を選ぶコマンド方式ではなく現実となったこの世界でも同じことでようするに、できないことを命令しなければそれだけで優位に立てるような戦いとも言えない何かである。

 

 まあ、ポケモンに命令するという行為自体が新鮮であったし目の前で闘志を燃やし動くポケモン達にはとても興奮したが、こうノウハウ的なところは前述した間違えない程度である。

 前世の知識があるところですごいこのはとか撃てるわけではないのだ。

 

 勝利はできたけれども圧倒したというわけでもなく急所当たらなくてよかったぜ! みたいなバトルだったわけだ。

 悪の組織や時には伝説ポケモンに絡まれても切り抜けるのが目標なのだ、もっと一戦一戦俺が経験値を積まなければならない。

 

「うむ、二人ともいい試合だったぞ。どれ、こちらに来なさい。回復しよう」

「ありがとうございます」

「おじいちゃんありがとう……カシアくん本当に初めて? すごい堂々と指示できてたけど」

「それは、テレビとかの真似っこだよ。ポケモンは本当に初めてゲットしたんだ。ありがとうなヒトカゲ」

「ギャ!」

「というかおまえメスだったんだな、珍しい」

「本当だ、でもヒトカゲのメスが珍しいなんてよく知ってるね」

「楽しみだから色々調べてたんだ」

 

 まあ嘘はついていない、出典が前世の知識ってだけだ。

 

「おお感心感心、将来は私と同じで博士かのう」

 

 いやあ旅ができればそれで、なんならこのマサラタウンから一歩出れば夢は叶ったも同然である。

 

 さて、だいぶ時間はかかってしまったが旅立ちである。

 

 研究所から移動して一番道路手前へ俺とナナミさん、そしてその家族や友人が集まっているところだ。

 俺は友人関係が希薄なので家族だけだが、ナナミさんは流石の顔の広さだ。結構な人数が集まっている。

 ナナミさんに抱きついてる背のちっこいツンツンヘアーがいるがもしやグリーンだろうか。

 

 ともかく旅は始まる。

 

「ちょっと、何で先に行っちゃうの!」

「ナナミさん時間かかりそうだったし」

「だから名前!」

 

 どういうわけか仲間を引き連れて。




ヒトカゲの性格を何にするかで三日悩みました。
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