ポケモン世界を安全に観光するなら   作:ミパデネア

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【レポート】ニビははいいろ

 トキワの森での激闘に次ぐ激闘、お互い進化した相棒にも慣れて俺たちはいよいよ次へ進むことに。

 ゲートを通ってまず目にするのは先ほどまでの獣道とは真逆の石畳、ニビシティに俺たちは到着した。

 

「すごい、本当に石の街なんだね」

 

 大きな岩山を見上げながらナナミさんは感動したように呟く。森や花に囲まれたトキワシティと比較すると、同じ大自然の中の街でもニビシティは華やかさや生命力よりも、厳かさや荒々しさというものを力強く感じる。

 田舎も田舎であるマサラタウンよりは発展しているがトキワシティの時に感じたような人と自然が調和した都会のような印象ではなく、自然に寄り添って発展した歴史ある街、というべきか。

 しかしマサラタウンからトキワシティ、ニビシティと続けて見てきたがカントー地方には漠然と田舎のイメージがあった。いやそりゃ現実世界ではないゲームの制限された世界、しかも初代の中で表現されたから仕方のないことなのだが。こうして眼前に広がる街は二つとも整備されて発展している。家やビルが並び建てられている中、同じ頻度で考えて残された自然が顔を出すような一歩進んだ都市開発。

 シリーズが進むに連れて発展している地方はいくつも出てきた、例えば人と興業の集うイッシュや、最新と最古の美しさを調和させたカロスなど。

 けれど人とポケモンがそれぞれ住処から近づいて暮らしているここの風景を見るとカントー地方はなるほどこの世界において最先端を進む場所なんだと理解できる。

 

 隅々まで街を探索したい気持ちはあるが、ニビシティにきたら目的は一つ。

 隣で同じようにはやる気持ちを抑えられないであろうナナミさんに告げる。

 

「とりあえずポケモンセンターに寄って、その後は……」

「ジム!」「博物館!」

「「ん?」」

 

 さて、ともかくポケモンセンターにお互い手持ちを預けながら話し合いである。

 

「トキワの森でのノウハウを試すためにもすぐジム挑戦がいいよ!」

「いやいや連日バトルで疲れてるんだしたまには休暇だって必要だよ、今日は観光。大体ナナミさんバトル終わったらすぐ次のバトルしたくなっちゃうでしょ」

「う」

 

 ナナミさんとの付き合いもまだ一週間と少しではあるが段々と分かってきた、この人バトルがかなり好きだ。本編ではポケモンのお世話が好きなお姉さんというイメージしかなかったが、子供の頃の彼女はかなりやんちゃなトレーナーである。トキワの森でのバトルは野良トレーナーや俺との練習も含めて数知れず。いや、そもそもカントー地方全体がバトル好きなのかもしれない。リーグの総本山だしな。

 

「分かったわ、今日は博物館にする。それにしてもなんか余裕ある、というか落ち着いてるよねカシアくん……ニビのジム攻略の作戦閃いたりした? 待ち時間はこっちの話でもいいでしょ、お願い!」

「もちろん、多分イシツブテとイワークが出てくると思うんだけど。作戦と言えるものまでは……」

 

 ゲーム知識というズルは持っているが正直ここから先は通用するかは分からない不確かなものだ。何せ挑む順番が違うせいでどの程度強化されているかが分からない。

 単純に考えれば一番手から二番手になったタケシの手持ちは、カスミ並に強化された状態だと言えるだろうが……まさかスターミーのような進化枠としてハガネールは使ってこない……と思う、流石に。

 

「いわタイプってすごい硬い、ぼうぎょが高いポケモンだよね。ほらあそこのニビあられにも『かたい! イシツブテ並みのかたさ!』だって」

 

 ナナミさんが指差しているのはポケモンセンターの端に設置されたちょっとした購買コーナー。手書きであろうポップの下にはニビあられ。

 見逃していた、後で買わなければ。

 

「そう、特にイワークのぼうぎょは並はずれて高い、だからリザードのメタルクローは多分そこまで大きな威力を発揮しないんだよね」

 

 サカキ戦の時の作戦まんまでは勝てない。おそらくダメージが入ってもそのまま気にせず攻撃されるだろうし、そもそもあの巨体を相手にえんまくで隠れ過ごすのができないだろう。

 

「カシアくん、色々わざマシン持ってるんだよね。その中にイワークに通用しそうなわざは」

「あるにはあるんだけどさ」

 

 背負った荷物を漁って目当てのものを取り出す、「きあいだま」のわざマシン。

 

「えーと、どんなわざなの?」

「気合いを溜めて渾身の力を放出するとくしゅな攻撃なんだけど……ただでさえ命中率が低いのと多分ブレスでさえようやく使えるようになったウチのリザードは外しまくると思う」

 

 トキワの森での修行で口から吐き出すような攻撃はできるようになったが、このきあいだまはさらに一つ上の難易度だ。吐き出すのが炎じゃなくて気合いを込めた力って何? 波動か? 

 まあポケモン世界に通常の物理法則とかを求めるのはナンセンスである、いわばかくとうタイプのエネルギー的なものだろう、それをリザードが感じ取るのはまだ早い。

 

「お待たせしました!」

 

 ジョーイさんからの声で話は終わったが、本当にどうしよう。

 

 さて夢のニビ科学博物館である。

 ここはすごい施設だ、いわゆる化石ポケモンの骨格標本が見れるだけでなく宇宙関連でつきのいし、さらにスペースシャトルの模型まで。ゲームで表現されてるだけでも結構豪華な展示内容だ。時にはホウエンの方に展示物の貸し出しを行うくらいだし、ニビの科学博物館はポケモン世界ではかなり有名なのではないだろうか。

 さて、そんな所の入場料がなんと50円である。子供料金ってすごいな。

 館内には俺たち以外の子供たちも多く、中にはトレーナーズスクールだろうか、大人に連れられた子供たちもいた。

 

「今は『世界のポケモン博覧会』だって、他の地方のポケモンも見れるみたい!」

 

 入り口でパンフレットを手にしたナナミさんが教えてくれる。そういえばゲームでは宇宙博覧会が開催してたはず、時期によって色々と変えているのだろう。となると何度も通いたくなるな、年間パスポートとか売ってないのだろうか。

 

 さてそんな『世界のポケモン博覧会』は中々すごい催しだった。

 季節や場所、環境で姿の変わるポケモンというカントー地方ではあまり馴染みのない『すがた』の説明としてメブキジカやトリトドン。

 カントー地方では確認されていない進化としてジバコイル。

 さらにリージョンフォームのコラッタやベトベター。

 そして収斂進化としてウミディグダ。などなど。

 映像や文献、あるいは再現されたもの、時には連れてこられたであろう本物! 想像以上に色々な地方から選ばれたポケモンたちの生態は俺やナナミさんも含めてどのお客さんも楽しませていた。

 特に前の方にいたトレーナーズスクールの子達は大興奮である。気持ちは分かる、事前に知識がある俺でさえ思わず叫び出したくなるような魅せる演出が施された展示の数々、ナナミさんも次々と好奇心が湧いてくるモードに突入である。

 

「カントー地方でレアコイルを進化させる方法はないのかな」

「やっぱり説明されてたけど磁場の力が必要だから、かみなりのいしをたくさん集めて使えば進化するかもね」

 

 ゲームではソード・シールドでかみなりのいしで進化するようになったが、個人的な解釈ではあれは加工技術が上がってかみなりのいしに宿る磁場の力を損なわず取り出すことができるようになったと考えている。ポケモン世界もシリーズを進めるごとに作中技術が進歩している、一見同じように見えるものでも実は……というのはありそうである。

 とはいえ説が当たってようが、この過去にあたる今ではやはりそれぞれの磁場スポットに向かうしかないだろう。アクセスの悪い場所ばっかりだが。

 

 さて、他にも常設されている展示も楽しかった。

 化石ポケモンの骨格標本はやはり迫力が凄い。というより復元された姿はもう何度も見てるのに比べて骨格のすがたは見る機会が少ないのもあって新鮮だった。古いものを見て新鮮と思うのはチグハグだが。

 

 珍しいいしのコーナー。

 つきのいしの他にもニビシティの周囲で発見された様々ないしが展示されているここで思わぬ出会いがあった。

 中に稲妻の模様が二重で走っているかみなりのいしを見てこれならジバコイルに進化できるのではないかなどと話していると、次の展示物『おおきくてかたいいし』の前に一人の少年が。

『おおきくてかたいいし』はその名の通りものすごく大きくて重そうなかたいいしである。展示の前にいた少年の背丈の二倍ほどの大きさがあり、持てそうなポケモンがいるのかと疑うほど。

 そう少年、いや、少なくとも今の俺たちよりは年上だろう。それでも俺の中のイメージでは少年という他ない、何せ本来彼に持っているイメージはお兄さんや青年ともいうべきものだったのに、若すぎて分からないほどだったのだから。

 

「すいません……もしかしてタケシさんですか?」

「! ああ、いかにもおれはニビポケモンジムリーダーのタケシ! ……ってここで大声出しちゃダメだったな」

 

 声変わりをしたばかりであろう、若きジムリーダーがそこにいた。




ニビ科学博物館楽しそうですよね、ニビシティはそれだけで住む価値があると思います。
でもアクセスがなあ……。
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