とある呪術の両面宿儺   作:全智一皆

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注意
※オリキャラが登場します。


絶対能力進化②

 

 

■  ■

 最初にも言った通り、彼は決して両面宿儺本人ではない。

 いや、確かに彼の名前も容姿も両面宿儺だが。しかし残念ながら、その根底は全く違うものである。

 より正確に言うのであれば、()()()()()()()宿()()ではない。彼はあくまでも、両面宿儺という名前を与えられた誰かでしかないのだ。

 容姿・能力は確かに両面宿儺のそれ。だが、その人間性までも両面宿儺であるかと言われると、決してそうではない。

 両面宿儺に引っ張られている部分はあるが、しかし両面宿儺という名前を与えられた誰か本来の人間性が半分を占めている。(まぁ、ツンツン頭の少年に少なからず影響されている部分もありはするが)

 冷徹ではあるが残酷ではなく、善良ではないが邪悪でもない。

 そんな彼だからこそ―――本来の両面宿儺ではないからこそ、

 

「おい小娘。貴様にくれてやる」

 

 たった一体の模造品に、偶然にも手に入ったカエルのアクセサリーを手渡した。

 

「これは…? と、ミサカは投げつけられたゲコ太をキャッチして問いかけます」

 

 『妹達(シスターズ)』。

 学園都市に七人しか存在しない『超能力者(レベル5)』の第三位『超電磁砲(レールガン)』御坂美琴のクローン。

 既に凍結されてしまった計画の遺物は、何でもない様に学園都市の街中を歩いていた。

 御坂美琴が大好きな『ゲコ太』と呼ばれるキャラクターのキーホルダーが貰えるというキャンペーンを開催していたクレープ屋をじーっと眺めて、はや五分。

 お金など持っていない彼女にはどうやっても買えない代物であったそれは、しかし意外な事に鬼人の手によって渡され手に入ったのだ。

 当然、彼女は首を傾げた。それはそれとして、キーホルダーは確かに受け取ったが。

 

「好きなのだろう? 俺には不要の物だ。斬り刻むのもいいが、人目につく。しかし態々路地に入るのも面倒だ。だから貴様にくれてやった」

「何故、ミサカがゲコ太を好きなのを知っているのですか? と、ミサカはさらに疑問を呈します」

「貴様が小娘だからだが? というか何だ、その巫山戯た口調は。何なら眼光も。まるでただ言葉を放すだけの人型機械の様になりおって。上条に酷な事でもされたか?」

 

 眼の前の少女と宿儺の記憶の少女が、なんか色々と合致しない。

 服装は同じだ。常盤台の制服。だが、頭には特殊なゴーグルを付けている。

 目には光がなく、また口調もおかしい。何なら声もどこか機械的だ。彼女の男勝りっぽさを全く感じない。

 

「ミサカは御坂美琴お姉様ではありません。ミサカはミサカ9982号です。と、ミサカは自分の型番を発表します」

「貴様…『妹達(シスターズ)』か。レベル5を軍用レベルとして量産する為の研究、計画の為の個体」

「その通りです。と、ミサカは自分の説明を取られた事に不満を覚えながら頷きます」

「……」

 

 心底面倒くさい…という感情を一切隠すことなく浮かべる宿儺。

 御坂美琴の姿形をしているにも関わらず、御坂美琴と全く異なる口調と性格。頭の中の姿と眼の前の姿が全く一致しない困惑に、宿儺は悩まされた。

 

「しかし、何故私達の事を知っていたのですか? と、一般人である貴方が、凍結された上に表には公表されていない実験を知っている事に、当然の疑問を呈します」 

「『暗闇の五月計画』」

「まさか…と、ミサカは探偵の助手の様に口元を抑えます」

「(存外面白いな、この娘)…まぁ、被験者という訳ではなかったがな。あれはあれで愉快ではあったぞ? 試し切りをするには丁度良かったからな」

「その殺し愛で友人を一人作ったのですね。と、ミサカはスッくんのツンデレ属性に萌えを感じながら感心しま」

「解」

「すいませんでした土下座でも追い剥ぎでもなんでもしますから許してください。と、ミサカは大衆の前で頭を下げる事で、周囲からの助けを期待しながら誠意を込めて謝罪します」

「何なんだ、貴様…?」

 

 なんという事だろう、あの両面宿儺が困惑している。

 あまりにも素早く、かつ丁寧な土下座によって斬撃を躱した一人のクローンに。何故避けられたんだ此奴…?

 だが、考えれば考える程に―――面白い。

 

「…良いだろう、興が湧いた。貴様と遊んでやる」

「え? と、ミサカは頭を下げたまま呆けた声を出します」

「いつまでも醜態を晒すな。さっさと面を上げろ。行くぞ」

 

 踵を返し、再びクレープ屋へと歩き出す。

 彼女が欲しかったのはゲコ太だけだったのかもしれないが、女なのだから甘い物は好きだろうという適当な考えの元である。

 直ぐに顔を上げ、御坂妹は鬼人の背を追い始める。

 

「待ってください、スッくん。と、ミサカは初対面の貴方を気軽にあだ名で呼んでみます」

「…呼びたければ好きに呼べ」

 

『いいですか、宿儺ちゃん。あだ名は友達関係の第一歩です!』

 

 渾名で呼ばれる事に不快感を覚えながらも、自らの担任である背の小さな大人の言葉を思い出し、溜め息を吐いて、それを了承した。

 空を漂う、紙飛行機の目を放置しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが、両面宿儺か…」

 

 学園都市第二学区。其処に建てられたビルの屋上で、一人の魔術師が()()()で作られた飛行機を通じて、鬼人を目にしていた。

 男の名前は菅谷玄静(すがや げんせい)

 魔術業界ではそれなりに名を上げている、依頼に見合う金さえ払えば仕事を完璧にこなすフリーの魔術師である。

 

「歩き姿にも一切の隙がない…この相手の戦闘状況を観察しろってか。いつ気付かれるかヒヤヒヤするんだが…」

 

 依頼内容は、『学園都市に住む両面宿儺と呼ばれる男の戦闘状況の観察。最悪、戦闘をしてでも情報を手に入れてほしい』というものだ。

 菅谷は依頼相手が何を思ってそんな事をしたいのか、なんて知ったことではない。

 ただ払われた金に見合う仕事をするだけだ。

 だが―――結論から言ってしまうと。

 

「まぁ、下準備はしてきたんだ。戦闘する事になっても、情報だけ取って逃げ切れば―――」

 

 菅谷玄静は、目につける相手を間違えた。

 

残念ながら、君の出番はないよ

 

 両面宿儺の友人。アレイスター=クロウリーと同じく、魔術をある種一つの科学であると断じた男が、友人の邪魔を許さなかった。

 




宿儺のご友人のヒント
・□□□□魔術復興の象徴

前話の名言で察してる人が居るかも。
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