■ ■
学園都市の
二人は互いに通い慣れた―――通い慣れたといっても不幸な主人公だけだが―――病院へと足を運んでいた。
理由は至って単純。御坂妹の御見舞いである。
そして驚くなかれ。なんと見舞いに行こうと最初に言い出したのは上条ではなく、宿儺本人である。
宿儺本人としては、心配していた訳でもないのは言わずもがな。単なる興味本位、あの後どうなったのかが単純に気になっただけの事である。
だが、それはそれとして御坂妹としては友人が見舞いに来てくれた事は嬉しい限りなのだろう。
「うぅ…! 宿儺が自分から見舞いに行くだなんて…上条さんは感動で涙が止まりませんよ!」
「捌」
「っぶねぇ!? 解じゃなくて捌は殺意が高過ぎじゃありませんか!? しかもマジで撃ってきやがったなお前!?」
「チッ。捌でも下ろせんか…」
舌を打ってうんざりとする宿儺。咄嗟に放った捌を咄嗟の判断で打ち消した上条は、普通にキレた。
どうやら捌ですら、対象の力によって最適な斬撃を浴びせる術式ですら、
あらゆる異能を打ち消す力。魔術の使用によって生じる『火花』をすら振り払う追儺の力。
宿儺の術式ですらも、その力には抗えない。
「まったく、病院では静かにしてほしいね?」
「本当よ、全く…」
「主役なのにスルーされるのは悲しい、とミサカはくしくしとしながら御見舞いの果物を食べます」
不良少年と不幸少年がやり取りをする中、カエル顔の医者とカエル好きの少女はそれを見て呆れていた。
なお、入院している本人は泣き真似(ただ目元を左手で隠しているだけで、表情は変わっていない)をしながら、御坂姉が持ってきたフルーツの皮を剥いていた。
こういう面が宿儺にとっては面白いのだ。
「貴様はとことん面白い奴だな」
「宿儺にも友人が出来て良かったよ。あ、これお土産な。りんご持ってきたよ。っても、宿儺が持ってたやつだけど」
「学園都市の果物は美味くない。薬品の味ばかりで敵わんからな。取り寄せるなら外に限る」
「それ、学園都市製の果物食べてる奴の前で言うか…?」
上条さんの意見は最もである。
外に知り合い(アレイスターに匹敵する魔術師)が居る宿儺だからこそ言えるのだ。
本来なら科学の力で栄養なども調整されている筈の学園都市の食べ物を不味いと言えるのは、ひとえに宿儺がグルメであるからだ。
グルメであるが故に科学の味を許せず、科学が薄い外の食材が好ましいのは、忌み子である宿儺にはある意味では皮肉の様なものだ。
まぁ、そんな事は気にせずグルメをするのが宿儺だが。
「ご安心を。ミサカは全く気にしません、とミサカはすっくんと貴方が持ってきた果物に手を伸ばしながら気にします」
「やっぱこうなるよな!?」
「事実だろう。不味いものを食べたところで意味はない」
「酷い言い様だよ! その不味い食材で毎日を繋いでいる奴が世界には居るんだぞぉ!?」
「偶に分けてやってるだろ」
「ありがとうございます! 出来れば次はお肉が欲しいですインデックスに脅されてるんです!」
上条さんの家計は、今日も今日とてピンチである。