青空DAYS   作:Ziz555

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楽しくなってきましたね……

やっぱり、若者が仲間と共に苦悩に立ち向かう姿はたまりませんなぁ


忘れ─れ─神─の──:その5

 

 スクワッドにユウカとセンジョウを加えた、アツコ救出チームは現在、カタコンベへと繋がる地下通路へと向かっていた。

 

 

 アリウス自治区への侵入には、特定のルートを通る必要があり、そのルートは一定期間ごとに変化する。

 

 その為、どれだけトリニティが捜索しても、アリウスへとたどり着くことがなかった。

 

 そうしてそれは、現在の彼らにとっても不都合な要素である。

 

 

 彼らが救おうとしている『アツコ』が儀式の贄へと捧げられるのは、夜明け。

 それまでにアリウス自治区へと戻るために、彼らに残されたルートはただ一つであり、加えて、その道が使えなくなるまでの時間はそう長くはない。

 

 故に、この作戦はそのまま、時間との勝負になっていた。

 

 

 

 しかし、『ルートが一つ』しかないということは。

 

 

 

「リーダー。やっぱり待ち伏せ」

「そうですよね!避けられませんよね……!」

 

 

 道を全力で走り続ける彼らの前に、アリウスの生徒達が立ちはだかり、銃をむける。

 

「時間がない!強行突破するぞ!」

 

 自走式車椅子となったヌィル・ヴァーナを駆るセンジョウは、加速して彼女達の前へと出た。

 

「左腕アームドアーマー展開!!」

 

 センジョウは、交戦に備えてミレニアムより呼び出した『ヌィル・ヴァーナ』の腕部パーツ──車椅子モードはジェネレータパーツと脚部パーツのみで構成されているので、腕部はミレニアムで待機中だった──を展開する。

 

 怪我の無い左腕に武装を装着し、戦闘用のバイザーを展開すると、彼は声を上げる。

 

「パルスブレード……ランサーモード!!」

 

 完全展開では無い分の操作性の不足と、脳波補助の補填を目的とした、音声認識モードで武装を展開すると、センジョウは、『炉』に火を入れる。

 

 

「突っ込めェ!!」

 

 

 気合いと共に加速した車椅子は、左腕を起点にバルスフィールドを円錐型に展開することで、全身を砲弾がわりにして突撃する。

 

 

「怯むな!撃て!!」

 

 

 迫り来る車椅子に銃弾を浴びせるが、円錐型に展開されたパルスフィールドに銃弾はいなされ、勢いを殺すには至らない。

 

「「「うわぁぁぁぁ!!」」」

 

 そのままの破壊力をぶつけられたアリウス生は大きく吹き飛び、残りの陣形を組んでいたメンバーも態勢を崩す。

 

 センジョウは、車椅子を横向きにし、ギャリリリリリ!と、地面を擦り威力を殺しつつ、背後を振り返る。

 

「ま、まだだ!あれ程の攻撃!そう何度もできる筈が……!」

 

 隙をさらすセンジョウへ即座に武器を構えるアリウス生。

 

 しかし。

 

「させるわけ無いでしょ!」

 

 センジョウの後から走り込んでくるユウカが彼女達の背後を取るようにして銃撃を与える。

 

「くっ!ならば先に……!」

 

 応戦するために反転した瞬間。

 

「おらァ!!」

 

 Uターンをして、ヌィル・ヴァーナで突撃してきたセンジョウは、左腕を大きく伸ばし、ラリアットの要領で、今度は背後から彼女達を凪払った。

 

「無茶苦茶するわね、ほんと」

「信じろって言ったのはお前だ。責任もって合わせろよ」

 

 呆れたようなユウカに、センジョウはいたずらっぽく笑って返した。

 

 

 

 

「……す、すごい。息ピッタリですね……」

「打ち合わせなしの即興……敵に回したくはないね」

「信頼のなせる技、なんだろうな」

 

 スクワッドのメンバーは、センジョウとユウカの型破りな連携に感心を見せる。

 彼女達も連携を取らないわけではないが、それは鍛練と緻密な事前のコミュニケーションありきの、作戦的なフォーメーションだ。

 

 無条件の信頼からくる、論理もへったくれもない彼らの連携は、彼女達からすれば、非合理的で無鉄砲に映るが。それでも、それが一縷の隙もなく完遂される様をみれば……認めるしかなかった。

 

 

 センジョウが攻め、ユウカが隙を埋め、次の瞬間にはセンジョウが再び攻める。

 

 攻防の息が合致してはじめて成立するコンビネーションを、彼らは当然のようにこなしていたのだ。

 

 

「ひとまず片付いたが、いつ増援が来てもおかしくはない。急ごうぜ」

「……わかった」

 

 センジョウに促され、サオリは再び先頭を走り始める。

 

 

 彼等となら、きっとアツコを助けられると。そう、思い始めていた。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 地下道へと入り、閉鎖された空間の中で、やはりというかなんと言うか、待ち伏せをしていたアリウス生を蹴散らしつつ、センジョウ達は先を急いでいた。

 

「入り口が使えなくなるまで、まだ15分以上ある、このまま進めば問題なく戦線を突破して、カタコンベへ入れる筈だ!」

 

 パルスフィールドを盾とした、車椅子……と言う名の戦車の突撃による防衛ライン上の突破力はすさまじく、予想以上にスムーズな進軍ができていた。

 幸か不幸か、ヒエロムニスとの戦いと、2度の『最大稼働』の経験は、センジョウと『ヌィル・ヴァーナ』の平時の同調率を底上げしていた。

 

 それ故に、最大稼働時程ではないものの、ジェネレータの出力にはまだ余裕があったし、ヌィル・ヴァーナのレスポンスも格段に上昇している。

 

 加えて、片手片足が使えぬ分は、ユウカのフォローが的確にセンジョウの背中を守り、スクワッドの面々の攻撃も、だんだんとセンジョウを起点とした戦闘に慣れ始めていた。

 

 

 順調だった。

 

 

────その災禍が、到達するまでは。

 

 

 突如、眼前の脇道からアリウス生が飛び出して……いや。『吹き飛ばされて』きた。

 

 それに巻き込まれるようにアリウスの陣形は崩れるが、突然の異変に彼らは足を止める。

 

 

 こつ。こつ。

 

 

 突然静まり返った地下道に、1人の足音が響く。近づいていてきている。

 

 

「みーつけた☆」

 

 

 気絶したアリウス生の髪を片手でつかみ、片手に武器を持った少女──

 

 

「……み、ミカ……?」

 

 

 

 聖園ミカが、そこにいた。

 

 

「もう!スッゴい探しちゃったよ!!アリウスがーみたいな話しはセイアちゃんが言ってたから、それかなぁとは思ったけど、大正解!!」

 

 満面の笑みで、返り血で赤く染まる制服のまま、彼女は『何時ものように』明るく話す。

 

「さすがは『トリニティの英雄』だね!困ってるトリニティ生なら見過ごせないんだ!それが例え、敵対するアリウス分校だとしてもキミにとっては一緒なんだ!さっすがぁ~!」

 

 

 ぽい。と気絶したままのアリウス生を脇へ放り捨てる。

 

 

「────魔女(ワタシ)の事は救ってくれないのにね?」

 

 

 深く、深く、歪み、曇り、どす黒い殺意に濁った目で、彼女はセンジョウをみていた。

 

「どうして……セイアはどうした!!」

「どうって……。変なこと聞くね。そんなこと、もう、どうでも良くない?」

 

 

 ミカは、狂ったようにケタケタと笑いながら。

 

 

「どうせ、ワタシも貴方も、死ぬんだし」

 

 

 センジョウへ、銃をむける。

 

 

「約束。ちゃんと守ってよね」

 

 

 銃声。

 

 

 

──次の瞬間、ミカの手に握られていた武器が弾かれ、大きく吹き飛んで床へと落ちる。

 

 

 

「ユウカ、サオリ……!!」

「サオリさん……!」

「──錠前サオリ」

 

 

 センジョウの盾になろうと立ちはだかっていたユウカ、そしてミカはその弾丸を放ったサオリへと視線をむける。

 

 

「悪いが、その男は今の私たちにとって必要な『希望』だ。殺させるわけにはいかない」

「……『希望』とか言っちゃうんだ。私から全部を奪った貴方が?」

 

 酷く冷めた目で、サオリの顔をみるミカ。

 

「神様っているんだね……。まさか最後に、こんなプレゼントを残してくれるなんて」

 

 

「スクワッドに、『英雄サマ』。どっちも私の手でまとめて止めをさせるチャンスをくれるなんて」

 

 

 

 その言葉に、センジョウ達は背筋が凍る。

 

 

 

 それほどのどす黒い感情が、今のミカにはあった。

 

 

「……神様なんていたら、そもそもこんなことにならないか☆」

 

 ミカはそう言い、てへっ!っと自分の頭を小突く。

 

「……センジョウ」

「なんだよ」

 

 

 この状況の経緯を、一つも知らないユウカは、センジョウの前に立ったまま彼に言葉を投げる。

 

 

「後で説教」

「だよなぁ……」

 

 ユウカは弾丸をリロードし、言葉を続ける。

 

「だから、必ず此処を切り抜けて。アツコさんもちゃんと助けて、聖園さんとも必ず仲直りする。……いいわね?」

「……そうだな」

 

────どんな事情が二人にあるかは知らない、彼女がどんな思いで此処まできたかは、私にはわからない。

 

「聖園さん……」

「……だれ?興味ないし、邪魔だから貴方は帰っていいんだよ?」

 

 今まで自分が眼中にすら無かったように振る舞う目の前の我儘で不遜な女に、少し苛立ちを覚えながら、ユウカは宣言する。

 

「悪いけど、センジョウは渡せない。私達は貴方を退けて、先に進むから」

「……ふぅん」

 

 

 ユウカの宣言を、心底どうでも良さそうに聞き流し、弾かれた武器を一瞥する。

 

「……ま、一つぐらい死体が増えても変わらないもんね!!」

 

 

 そうして、そのまま拳を構えて、ユウカへと飛びかかった。

 

 

 

 瞬間、ユウカはその場に伏せる。

 

 

「────悪いがミカ。話は後でだ」

 

 

 その後ろでは、ヌィル・ヴァーナの全身をスパークさせているセンジョウの姿があった。

 

 

「伏せろ!」

 

 

 その声に、スクワッドのメンバーが床へと伏せる。

 

 

 次の瞬間。ヌィル・ヴァーナが『爆ぜた』。

 

 

 すさまじい閃光と、相応の破裂音が地下道へと響き渡り、攻撃態勢を取っていたミカは反応が間に合わず、視覚と聴覚を奪われる。

 

 

「走れ!!」

 

 

 サオリの声と共に、その場にいた全員が走り始める。

 

 

「めんどくさい………なぁっ!」

 

 ミカは手探りでその場にあった何か──気絶していたアリウス生──を掴むと、感覚のままにそれを全力で投げつける。

 

 

 しかし、視覚と聴覚の奪われたままで正確な投擲ができるわけもなく、投げられた少女は無惨に壁へ打ち付けられるのみで、足を止めることすら出来なかった。

 

 

「……逃げられちゃったかぁ」

 

 

 彼等が遠ざかる気配を感じつつ、ミカはぼやけた視界のまま辺りを見回す。

 

 

 呻き声を上げるアリウスの生徒達が辺りに転がり、血に汚れた自分の手が……体が、酷く穢れて見えた。

 

 

「……この方向、『助ける』って言葉」

 

 

 とすれば、彼等が向かった場所に予想はつく。

 

 そうだとすれば、道は知らなくても、『聞き出せば』済む話だ。

 

 

 

 『情報』は、足元にいくらでも転がっている。

 

 

 

 

「ダメだよ。センジョウくん。『英雄』なら、助ける人を選んだりしちゃ」

 

 クスクスと笑いながら、ミカは彼等の去った道を眺めていた。

 

 

 

 

「『先生』は、生徒みんなに、平等に味方しなくちゃ、ね?」

 

 

 

 

 くるくる。くるくる。

 

 世界を回して、自分を回して、彼女は笑う。

 

 

 

 どちらが前で、どちらが後ろか。もう、どっちもわからない。




ブルアカの二次創作、あれだけの人数のキャラを相応にエミュできないとちゃんと回せないの鬼門過ぎません?

ヒヨリとミサキファンの人には申し訳ないんですが、自分のなかですらふわふわしてるので解釈が薄くて割りきった出力が出来ないんですよね……


ミカ?ミカは………

なんかもう、キャラ崩壊しつつあるから……(目そらし)
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