青空DAYS   作:Ziz555

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一昨日書き始めて、難しいなーって言いながら書いて。

仕事行って、休憩して、書いて。

「よっしゃ!仕事終わったら書き終わるで!」ってなったら。

公式からお出しされた情報で発狂しました。


2章:災禍の狼煙 -秩序の氾濫-

 ゲヘナの生徒会。と聞いて、万魔殿の名前を、もしくは、マコトの存在を正しく説明できる生徒がいったいどれ程ゲヘナに存在しているのか。

 その問題に関しての答えはこうだ。

 

────なにそれ?

 

 要するに、ゲヘナ生は、ゲヘナ学園の、自分の所属する学園の政治に興味をもつ生徒が、服を着ていない生徒と同等か、それ以上にレアな存在だと言う話だ。

 

 故に、万魔殿はかなり自由に動いているし、どちらかというと『反感』は実働的に戦闘を行う機会のある風紀委員会の方に集まっていたし、それも相まって『ヒナ』という存在のネームバリューの方が圧倒的に高かった。

 

 必要最低限の運営だけをして、適度に、適当に余計なことをして、風紀委員会の邪魔をするだけの、有ってもなくても変わらないような組織。

 それがゲヘナの生徒会、『万魔殿』。

 

 

 

 『だった』。

 

 

 

「キキキッ……!やはり正解だったな、『あの女』と組んだのは」

 

 生徒会の一室で、豪華に飾り立てられた椅子に腰かけたマコトが、満足げに笑う。

 椅子の他にも、その部屋を見渡せば、様々な贅沢の証拠がちりばめられており、いかに彼女たちが充実した生活を送っているかを物語っていた。

 

 その部屋の最も目立つところにマコトがふんぞり返る様はまるで、悪の組織の幹部の部屋というか、なんかそう言う感じのオーラが満ち満ちていた。

 先に断っておくが、別に万魔殿は悪の組織ではない。

 あくまでも彼女達は『悪どい』だけの、ただの生徒会だ。

 

「本当に大丈夫なんですかね。私としてはエデンの時の失敗を思い出して仕方がないのですが」

 

 応接用のふかふかのソファーに座り、自分の膝の上で眠るイブキの頭を撫でながら、イロハは苦言を呈する。

 

 エデンの時の失敗。と言うのは、エデン条約の際、トリニティを嵌める為に、アリウススクワッドと契約を交わし、飛行船等を用意してもらったが、結局スクワッドの狙いはゲヘナとトリニティの両方だった為、積まれていた爆薬で見事飛行船ごと爆散させられた……という過去の話である。

 

 髪の毛全てがチリッチリのアフロ頭になってしまったマコトの姿は笑い種だが、中身としてはこれっぽっちも笑えないような失敗談である。

 

「なにを恐れている、イロハ。我々はこうして『上手く』やれている。何も恐れるような事はないだろう」

「まあ、確かに。……このソファーも実に座り心地はいいですし、今のところは順調そのものと言った状況ですね」

 

 イロハは、マコトの言葉にため息を付きながら、しかし自分もこの状況を満喫している面もあるため、人の事は言えたものではないと、そう考えて口を閉じた。

 

 今の『万魔殿』が行ったことの中で、最も大きいのは『赦免制度』の施行だろう。

 

 これにより、良くも悪くも、ゲヘナ学園の有り様は大きく変わった。

 以前にも増して治安は悪化した反面、それらがあくまでも『赦免制度』を利用した上での行為であるなら、それはある意味管理ができている無法と考えることもできる。

 

 

『管理がまともにできないのなら、管理をしなければ良い』

 

 

 そんな、逆転の発想と言うことすら憚られそうな詭弁を、マコトは実践してしまった。

 とはいえ、いくら生徒会と言えど、先述の通り、マコト達の存在の認知度は極端に低い。

 ゲヘナの生徒会を選定する選挙の投票率など、10%にすら満たない、そんな生徒会の指示や発表が、これ程までに周知され、実践されているのは……マコトが『あの女』と呼んだ存在……『協力者』の影響が大きかった。

 

 ゲヘナにおける、様々な情報を一手に押えるマコトは、まず間違いなく『情報戦』に置いて、目を見張る能力を持っている。

 

 そんな彼女の築き上げた情報網を駆使した『協力者』は、『赦免制度』に関しての認知度の管理、及び、『万魔殿』の影響力と認知度が上がるように暗躍。

 結果として、『赦免制度』はゲヘナに幅広く受け入れられ、その徴収能力が発揮されることで『万魔殿』の財政はこれまでにない贅沢を可能にしていた……という経緯である。

 

 そして。その恩恵を特に大きく受けている組織は、『万魔殿』を除いて2つ。そして、そのうちの一つである『風紀委員会』は現在、過度な治安悪化にたいして大きな負担を強いられており、恩恵以上の負荷がかかっている。

 

 

 となると。『万魔殿の協力者』とは。

 

 

「キキキッ……。(にく)き『空崎ヒナ』はゲヘナを去り、残る風紀委員会も最早虫の息。名実ともに『懲戒委員会』がゲヘナの秩序になる日も近いだろう」

「私としては別に風紀委員会が秩序を維持してくれていても構わないんですが……まあ。マコト先輩が楽しいならそれで」

 

──『懲戒委員会』。それが、万魔殿と手を組み、風紀委員会を追い詰めている『協力者』の正体だった。

 

 だが、その事実を知ることは風紀委員会にはできない。できるはずもない。

 

 その力を、丁寧に、じっくりと、一つ一つ奪われていた彼女達は、その真実にたどり着く力すらないと。そう断じていた。

 

 そうしてそれは、『風紀委員会』だけにとどまらない。

 

「シャーレの『偽物』……いや、『トリニティの英雄』も動いているが、最早個人にどうにかできる規模の話ではない。あくまでも個人規模の『武力』を振るうシャーレなど取るに足りんのだ」

「『赦免制度』による治安の悪化を、『英雄願望』のある蒼井センジョウは見過ごせない。ですか。……本当に、容赦がないというか。徹底的ですよね、彼女」

 

 ゲヘナより外、外的要因の介入すら見越し、その弱点を突く。

 一分の隙さえ見せぬ、その徹底的な『秩序』への執着は、異質にさえ見える。

 

 だが、マコトはそれを知ってか知らずか、『彼女』と手を組んでいる。

 それがどんな意味を持つかを知らず、彼女の『力』に魅せられた。

 

「懲戒委員会と万魔殿がゲヘナを完全な意味で手中に収める日は近い……キキキッ。ゲヘナ学園の歴史は、『万魔殿』によって大きく塗り替えられ、我々はその名を刻むことになるだろう!」

「……偉大な方面で刻まれてほしいですね、是非とも」

 

 高らかに宣言するマコトに水を差すようにイロハは答えるが、マコトはそんな様子を気にも止めず、椅子へ腰かけたまま、机に踵を置いて足を組む。

 

 傲慢ここに極まれり。

 

 いったいどこからそんな自信が湧いてくるのかと、小一時間ほど問い詰めたい欲求に刈られたイロハだが、問い詰めたところでまともな答えが帰ってくる訳もない。

 煽りぐらいにしかまともに使われないマコトの頭を振ったところで、カラカラと軽い音が響くだけだと、そう結論付けて、イロハも思考を止めることとした。

 

 どうせここまで来てしまったなら、後はもう野となろうと山となろうと、鬼が出ようが蛇が出ようが、自分はマコトの後に続く他に道を知らないのだから、仕方がないのだ。

 

 どうしようもないのなら、どうにかなってから考えても結果は同じ。当然、結論も、結末も。

 

 それに案外、今のまま全てが上手く行くかもしれない。そうなればイロハ自身の仕事は間違いなく減る。

 それは、イロハの望むところでもあるし、願ったりかなったりなのだから、それでいいではないか。

 

 そう結論付けて、自分を納得させるため、楽観視と言う名の現実逃避をしていたイロハだったが……彼女の『嫌な予感』が呼び水となったのか、事態は急を告げる。

 

 

 

 バァン!という音と共に、扉が勢い良く蹴破られ、雪崩れ込むようにして武装した懲戒委員会の生徒達が現れる。

 

 

 

 突然の事に、イロハは咄嗟に膝の上で微睡むイブキを庇うように抱き寄せた。

 

「キキキッ。おやおや、これはこれは懲戒委員会様。『万魔殿』に如何なるご用事で?」

 

 マコトは怯むことなく……というか、この場合は『危機感を持つこともなく』、傲慢な態度と姿勢を崩さないままそう問いかけた。

 

 この女は、こんな状況になってもなお、まだ自分が『懲戒委員会』と手を組んだ安全圏にいると、本気で思っていた。

 

「用事。か、そうだな。確かに『御用』だ」

 

 率いていた懲戒委員会の後ろから、袴姿の一人の少女が現れる。

 長く黒い髪を後ろで束ね、額に白い鉢巻を巻いた『岩動キヨミ』が、そこに立っていた。

 

「懲戒委員会の委員長がわざわざとは。何か重要な話でもしに来たのか?」

「……呆れたな。狡猾ではあれど、愚鈍な女だと思ってはいたが、まさかここまでとは」

「は?」

 

 マコトは、キヨミからの突然の罵倒に目を丸くする。

 キヨミは、鋭い眼光をマコトへ向けたまま、口を開く。

 

「私利私欲を肥やすための数々の行い。これまでのわきまえた些細なモノならいざ知らず。民の血肉とも言える金を巻き上げての暴挙。目に余る」

 

 彼女は、腰に差していたショットガンを引き抜き、マコトへ向けてまっすぐと構える。

 

「断言しよう。今の貴様は、『万魔殿』は。私腹のために『秩序』を乱す、『悪』そのものだ」

「……いや、まて。どういうつもりだ。今ここで『万魔殿』に銃を向ける理由などどこにも──」

「理由?理由ならある」

 

 

 マコトの問いに、キヨミは、低く、唸るような声で断ずる。

 

 

「悪・即・斬。……それが私の掲げる『秩序』だ」

 

 

 それは即ち、キヨミが『万魔殿』を『悪』であると、そういい放つことに他ならなかった。

 

「まて!このまま行けば『懲戒委員会』は名実ともにゲヘナ学園の『秩序の番人』となれると言うのに!お前はそれを捨てると言うのかぁ!?」

「与えられた『立場』等に興味も、拘りもない。必要なのは『力』だ」

 

 岩動キヨミが信条としている物は、純粋な『力』と、それによってもたらされる『秩序』だ。

 その為であれば、彼女は手段も、敵さえ選ばない。

 

 例えどれだけそれが不義理でも。例えそれがどれだけ損な役回りだとしても。彼女は彼女自身の掲げる信条にだけは嘘をつくことはない。

 

 マコトには……いや、多くの人には決して理解できないであろう、その渇望が。彼女を突き動かす原動力だ。

 

「貴様は、『力』の為なら同胞さえ敵に回す────」

 

 マコトがそこまで言い掛けた辺りで、キヨミの銃口が火を噴いた。

 響き渡る爆裂音と共に、マコトと、彼女が座っていた椅子、机は木っ端微塵に吹き飛ぶ。

 

「────生憎。当方には貴様のような輩と手を組んだ覚えはない」

 

 キヨミは、白い煙の昇る銃口を、ゆっくりと下ろし、イロハの顔をみる。

 

「仇討ちでもするか?こちらとしては、手荒な真似はこれ以上したくはないのだが」

「……降参しますよ。どのみち腕っぷしで貴女方に勝てるとは思えません」

 

 どこまでも冷たく、冷えきった、重厚な鉄の塊のような威圧感を放つキヨミに、イロハはおとなしく両手を上げて、反抗の意が無いことを示す。

 

「懸命な判断。感謝する。……イブキ嬢と、貴女は丁重に保護させていただこう」

「『保護』。ですか」

 

 軟禁の間違いではないのか?と、言外に伝えると、キヨミは鼻で笑って一蹴する。

 

「組織の長としての判断だ。君達には、私の考える『組織』に必要な瞬間が来ると考えているのでね」

「それはそれは。エリート様の考えることは、私のような怠惰なモノには解りかねますね」

 

 そんな嫌味にも、キヨミは表情一つ変えずに、イロハの事を見下ろしていた。

 イロハにとって、マコトも、彼女とは違った意味で考えていることの読めない相手ではあったが……今、目の前で自分を見下す女には、意地でも従いたくはないと。そう感じていた。

 

 

「────連れていけ」

 

 

 そんなイロハの反抗的な視線を意に介さず、キヨミは部下にそう告げると、踵を返して部屋を後にする。

 

 

「……行くぞ、同志よ。我らの『秩序』を、ゲヘナへ布告する」

 

 

 そう。これは、宣言でも、宣誓でもない。

 

 ゲヘナに蔓延る『混沌』に対する、『秩序(キヨミ)』の、文字通りの『宣戦布告』。

 

 

 

「我々が、『混沌』を制する新たなる『秩序』だ!!」

 

 

 

 彼女の声に応え、彼女に付き従う多くの生徒が声を上げる。

 

 

 

 

 それは、これからゲヘナへもたらされる、災禍の狼煙であるとも知らずに。




マコトォ!!何で今来るんだマコトォ!!
何でお前メイン回苦労して書いて、しかもめっちゃやられ役やらせたタイミングで来たんだマコトォ!!!!

お前これで絆ストーリー読んで解釈違い起こしたらどうしてくれるんだマコトォ!!!!!!


とりあえずうちのキヴォトスのマコトはこれだし懲戒委員会はこんなのです(牽制宣言)(自己暗示)(敗北者)
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