先の使徒との戦いから数週間が経った。しばらく使徒が出てこないことで、出来杉は各チェスターの整備を進めることができた。まだ合体には不安が残るが、これで使徒の解析もすることができるだろう。
「ッ!?」
「どうしたの?」
「反応が……あの時の、ビーストのときと同じ」
「まさか……使徒?!」
のび太の変身アイテム、エボルトラスターが点滅。使徒の襲来を察したドラえもんは、スパイ衛星を使い日本中をくまなく探す。そして、太平洋上から迫り来る正八面体の存在を捉えた。
「すぐに行かないと!」
「まだダメだ!相手の情報が少なすぎる……それに、軍もNERVも動いていない。今でるのは危険だ!」
すぐに飛び出そうとするのび太を出来杉が制止。現段階でのび太を危険に晒すわけにはいかないと判断。代わりに自分とドラえもんがβ機で光学迷彩を使い、情報を可能な限り取ってくることを提案。最悪のとき以外は出るなと言って、2人は飛んでいった。
「改めて見ると、本当に恐ろしいよ……」
「でも、ビーストよりは可愛げがあるよ。どの道、戦いたくはないけど」
ビーストを始めとした多くの化物と戦ってきた2人でさえ、使徒には得たいの知れない恐怖を感じた。しかも、この使徒の「ホー…ホー…」と言う、女性の声の様な高音で一定の間隔、テンポ、音程で放たれる音が、より一層恐怖心を煽る。
「スキャン開始」
正八面体の使徒をスキャン、解析していく。今のところ相手に自分達は気付いていないようだ。だが、攻撃はできそうにない。のび太がいれば可能だったろうが、今攻撃しても確実に例のバリアで弾かれる。得に攻撃に重きを置いていないβ機ならば自分たちがやられるのは間違いない。
「敵のコアは……体の中心か」
「どんな攻撃をするのか皆目検討もつかないよ……」
解析しながら、速度を合わせて横を飛ぶ。本当に迎撃もなにも無く、第3新東京市に到着。すぐにエヴァが出てきた。その直後、使徒の中に高エネルギー反応が。
「まさか……加粒子砲?!」
「回避!!」
撃たれる直前に急速回避。被害は受けなかったが、凄まじい衝撃で一瞬機体のバランスが持っていかれた。当然出てきた直後のエヴァは回避行動を取る間もなく加粒子砲の直撃を胸に受ける。
「うわぁぁぁあああ!!!」
「ディヤ!!」
シールドを展開したウルトラマンが間に割って入った。加粒子砲を受け止めているが、徐々にシールドに亀裂が入ってきた。
「不味い!のび太君のシールドでも加粒子砲は受け止めきれないのか!?」
使徒の砲撃が止むと、すぐに腕を十字に組んでクロスレイ・シュトロームを発射。応戦するように使徒は形状を変えて、更に強力な加粒子砲を放つ。
「グッ!…ハァァア!!…ッ!?」
力を入れるが、押し負けて加粒子砲をその身に受ける。後ろにいるエヴァを守るために、その場に留まり攻撃を受け止め続けた。
(早く!)
「ッ!?」
「……子供の声?」
「誰?……誰なの?!」
(早くパイロットを助けて!!今のボクじゃ!長くは持たない!!早くロボットのパイロットを!!)
「ッ!?早く初号機を戻して!!」
声の正体が誰かなのかはどうでも良い。だが、自分達を守ってくれているのは確かだ。その事に気付き、エヴァをすぐに引っ込めようとする。
「ダメです!使徒の最初の攻撃で回路がやられたようで、此方の信号を受け付けません!」
「なんですって?!」
「使徒の加粒子砲また来ます!さっきより強いぞ!」
今までで一番強力な加粒子砲がウルトラマンとエヴァを襲う。ボロボロになったウルトラマンはまたシールドを展開するが、すぐに砕け散ってエヴァごと吹っ飛ばされる。
「地上のスピーカーに繋げられる?」
「繋げました!」
「聞こえる?上の巨人!聞こえてる!?地面にあるNERVの赤いマークを攻撃して!そこから安全な場所へ逃げられる!!」
どうにか光弾を放ち、言われたマークの地面を破壊する。地下深くまで続く穴ができ、エヴァを掴んで穴に飛び込む。すぐに新たな隔壁が飛び出して穴を塞ぎ、地上と完全に隔離された。
「不味いな……完全にのび太君と分断された!」
「あの傷じゃのび太君もただじゃ済まないぞ……すぐに乗り込もう!」
ウルトラマンが開けた穴から、初号機と巨人が降ってきた。発令所からの指示で、急いでパイロットを救出。施設内の病院への搬送も行われた。
そして、初号機の装甲の上には、ボロボロになった子供も一緒にいたとの報告がミサトに上げられた。
「あの子供は?」
「十中八九、私たちがウルトラマンと呼んでいる巨人の正体ってところね。体にある火傷の跡、直前に使徒の攻撃を受けたウルトラマンと同じに位置にあったのが証拠よ。何より、あの状態で生きている。そんな子供を普通とは言えないわ」
リツコから報告を受け、隔離病棟から立ち去る。敵対の意思が無いのは分かっているが、自分達がパイロットとして戦わせている少年より、更に幼い子供が戦っていたと言う現実が、2人に重くのし掛かった。一体、自分達は何をしているのかと、そう言う考えが頭を巡った。
2人が発令所に戻ると、ようやくバルーンのダミーエヴァを飛ばした。結果、一定の範囲に入ると自動迎撃すると言うことが分かった。
「攻守ともに完璧。想定していたフィールドを中和しつつのエヴァによる白兵戦は不可能……ヤツの掘ってる穴は?」
「速度は相変わらず。明日の午前0時6分54秒には、全ての装甲版を貫く計算です」
「残り10時間ちょい……初号機の状態は?」
「あの攻撃を受けた割には軽微よ。と言っても、胸部第3装甲まで融解してるけどね」
「MAGIの計算では、ここごと吹き飛ばす量のNN爆雷があれば殲滅可能との結果が出てます」
「国連と日本政府はその方向で動いてますね」
「対岸の火事と思って全く……ここが潰れたら全てのパァだってのに……」
「いっそ、白旗でも上げてみますか?」
「はぁ……アレやってみるか。戦自研の極秘資料、確か諜報部にあったわよね?持ってきて」
何かを思い付いたのか、資料を引っ張り出さすように命令した。その直後、オペレーターの1人からNERV本部内に侵入者ありとの報告が飛んでくる。
「一体どこの誰よ。こんなときに」
「映像出します」
「……ん?カメラ間違ってない?」
「いえ。確かにここから反応が……」
「サーモグラフィに変えろ」
「ッ!?……碇司令」
「恐らく光学迷彩の様な何かを身に付けているのだろう。普通のカメラには何も写らん」
最高指揮官、碇ゲンドウの命令でカメラを切り替える。そこには2人組のシルエットがくっきりと写っていた。そして、まるで行き先が決まっているかのような動きをしている。
「すぐに保安部を送って!」
「必要ない。どこの誰であれ、侵入者の目的はハッキリしている。君たちがウルトラマンと呼ぶ巨人。それと確かな関係を持つ子供の元へと向かっている。君たちは使徒撃滅の作戦に集中したまえ。侵入者の相手は私がしよう」
司令官にそう言われては、誰も逆らえない。その指示に従うことにした。ゲンドウはのび太のいる隔離病室内部で待機。数分後、入り口のドアに穴が開き誰かが入ってきた気配がした。
「ようこそNERV本部へ。君たちを歓迎しよう」
その言葉に、のび太を取り戻すためにやってきた2人が姿を現す。片方は拳銃をゲンドウに向けていた。銃口は確実にゲンドウを始末できる眉間を捉えている。
「アナタは?」
「碇ゲンドウ。ここの司令官だ。君たちと取引をしたい」
「何故そんなことを?あなた方にとって、僕たちは得たいの知れない存在。目的も不明。協力を申し出る意味が分からない」
「我々は使徒、あの化物を殲滅するための組織だ」
「だから協力できると?組織の目的は言っても、自分の目的は話さないのに?」
出来杉は直感で感じた。目の前の男は、重大な何かを隠していると。ならここで安易に協力の提案に乗ることはできない。そう思っていた。が、それに答える存在がいた。
「良いですよ。協力しましょう」
「のび太君?!」
「良かった~……体は大丈夫?」
「あちこち痛いけど、大丈夫だよ……えっと、司令さんだよね?僕はそちらに協力します。だから、僕らにも協力してください」
「……良いだろう。君たちの望みを言いたまえ。可能な限り実現させよう」
出来杉はのび太の行動にため息を吐いたが、のび太が良いと言うのであれば、きっとそれは良い方向に進む。今までそれを身をもって体験してきた2人は、素直に協力することにした。
何故ゲンドウがいきなり協力を要請したか?まぁ、彼も人間だからです。ウルトラマンを見たときに多くの人がとる行動や考えは、恐らく大半の人が共通すると思いますので、こうなりました。
ではまた次回。いつか会いましょう。