幼少編→中学1年生編→高校3年生編→大学4年生・結婚・跡継ぎ誕生編→裏切り編→跡継ぎ18歳編(子供達主体の話になります)→解決編
幼少編につきましては若干の子供らしくない言葉使いや表現がありますが、育った環境を考慮しての演出となっております。
この物語は視点が切り替わるので、その箇所では《~side》(~部分には登場人物の名前が入ります)と表記してます。
良ければ感想などを頂けると嬉しいです。
《幼少編》
――1970年5月…
物語は、ここから始まる。
――平安時代から続く旧家・美空の屋敷…
その日の明け方、1人の男の子が産声をあげた。
待望の世継ぎ誕生に、その場にいた誰もが喜んだ。
だが…その喜びも、束の間…
母となった女性の容態が、急変…
一刻を争う事態に、使用人達が慌てふためく。
「何をしておる!早く、御子を連れてこい!」
使用人達を怒鳴り付けたのは、先祖代々主治医を務めている神野家の者。
「僕が連れてくる!」
真っ先に名乗りをあげたのは、主治医・神野の1人息子。
異国の血が、流れているのだろうか…
赤みがかった茶色の髪に、グレーの瞳…
年の頃10歳くらいの男の子が、大人達の間をすり抜けて走って行った。
「……私の…赤ちゃん…は…?」
何もないはずの宙に、手を伸ばして涙を流す。
その目には、ここにいない夫の姿が浮かんでいた。
「間もなく、連れて参ります。あなた様に似て、聡明な男の子ですよ」
主治医の言葉に、女性は嬉しそうに微笑む。
「奥方様!御子様を、お連れ致しました!」
戻ってきた主治医の息子は、腕に抱き抱えていた赤ん坊を女性に見えるように枕元へ。
産まれたばかりの小さな手を握り、母となった喜びを噛み締める。
「【朔也】…朔まり(はじまり)の子…どうか…幸せに…なっ…て…」
女性の身体が力を失い、布団に沈んだ。
主治医が脈をとり、首を横に振った。
次の瞬間…
先程までの歓喜は泡と消え、その場は悲しみが支配していた。
1つの命が誕生し、1つの命が消えた。
産まれた男児は【美空 朔也】と名付けられ、これから始まる物語の主人公となる。
朔まり(はじまり)の子…
その名の通り、全てはこの日から始まった。
――5年後・夏…
【朔也side】
おへやのそとまで、お父さまのおこってる声が聞こえてくる。
「奴の会社を潰せ!徹底的にな!」
心ぞうが、バクバクなりだした。
ここにいてはダメだってわかっているのに、カラダがこの場所からうごかない。
――ガラッ…!
らんぼうに開けられたフスマのむこうには、こわいお顔のお父さまがいた。
「……お父…さま…」
さっきのはウソだって、言ってほしかった。
「何故、ここにいる?高木!何をしている!さっさと、連れて行け!」
「申し訳ございません。すぐに…」
お父さまのおコトバのあとすぐに、1人の男の人がおヘやから出てきた。
その人にだっこされそうになるのをイヤがって、お父さまの前に行く。
「どうして?どうして、あの人の会社をツブすの?」
ボクを見ているお父さまの目は、つめたくてこわかった。
「朔也…よく覚えておけ。これが、この家に逆らった者の末路だ」
マツロ…?
イミはわからないけど、きっといいイミじゃない…
「……お父さまは、この家のことしか…かんがえてないの?」
にぎっていた手が、いつの間にかふるえていた。
この時はまだ、しんじていたのに…
「分かっている事を聞くな。我が家系は、由緒正しい家柄。その家督を継いだ時から、敗北は許されぬ事なのだ。俺の父親も、そうやって俺を育ててきたんだ」
ウソだ…ウソだ!
あのやさしいオジイさまは、こんなことしない!
「……しんじない…」
しんじられない…
「それは、お前の勝手だが…真実を知りたくば、直接本人に聞いてみろ。……連れて行け」
「御意」
男の人にだっこされて、お父さまのおへやからはなれた。
「ねぇ、お父さまが言ってたことは…本当なの?」
【きょういくがかり】のこの人なら、何かしってるかも…
「私の口から、申し上げる事は出来ません。御前様の仰られた通り、直接御隠居様に聞かれるのが一番かと思います」
オジイさまに聞けないから、今あなたに聞いてるんじゃないか…
「……ここでいい。おろして」
オモヤ(母屋)からハナレ(離れ)にいくロウカに、ゆっくりとおりた。
「朔也様!どちらへ、行かれていたのですか!?」
「やまとお兄ちゃん!」
はしってきたやまとお兄ちゃんが、ふしぎそうにボクの顔を見る。
「父上…?何かあったのですか?」
やまとお兄ちゃんはなきそうなボクのことを、つれてきた男の人に聞いた。