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ーー放課後…
現在、15時50分…
ある者は部活へ、またある者は帰宅の途についた。
今教室に残っているのは、俺と桐生の2人だけ…
クラスメイト達が次々に教室から出て行く中で、動く気配を見せなかった俺を心配して話しかけてくれた。
『高木が、迎えに来るんだ』と言うと…
『そっか、じゃあ高木先輩が来るまで話していようよ』と返ってきた。
その会話をしてから、20分…
高木は、まだ来ない…
「高木先輩のお迎えって、いつもこんなに遅いの?」
そんなはずはない。
「いつもなら、とっくに迎えに来ている」
あまりにも、遅過ぎる…
もしかして、何か問題でも起きたのか…?
「何か、あったのかな?でも…高木先輩が解決出来ないような事って、そうそう起こらない気もするけど…」
……確かに、そんな気もするが…
「高木にも、突発的な事に弱いという弱点がある」
「あの高木先輩が!?」
ーーガラッ…!!
いきなり開けられた扉の向こうには、待っていた人物が立っていた。
「朔也様…お待たせして、申し訳ございません…」
急いで来たのか、少し息が切れていた。
「……何か、あっ…」
「高木ッ!!今日こそは、ちゃんとした返事を貰いたい!我が空手部には、お前の力が必要なんだ!」
『何か、あったのか?』と聞く前に、問題の方がこちらに来た。
高木に、入部して欲しいという事か…
「その事については、以前から何度もお断りしているでしょう?こんな所まで、付いて来ないで下さい。朔也様に、ご迷惑がかかります」
待たされはしたが、桐生と話していたから退屈はしなかった。
だから、実際には何の迷惑もかかってない。
「朔也様?例の、お前のご主人様か!」
例の…って、何だ?
「あなたには、関係のない事です。お引き取りを………楓…」
『楓』…?
水無月まで、ここに来るとは…
「いつまでも車に来ないから、心配して様子を見に来たら…大和!あなたは、何をしているの!朔也様は、どちらに?」
「………………」
まさかの無言…仕方ない…
「水無月、俺はここだ」
扉の向こうにいる水無月に声をかけながら、桐生に対して手招きをした。
「どうしたの?」
「言っただろう?高木は、突発的な事に弱いって…」
高木を指差しながら、桐生にしか聞こえない程の小声で話す。
「まさか言われたその日その場所で、証拠を見る事になるとは思わなかったよ」
水無月が、こちらに走ってくる。
「朔也様!後で、きつく叱っておきます。どうか、お許しを…」
『許し』も何も、最初から怒っていない。
「問題ない。それより、高木をこちらへ連れて来い」
水無月は命令通り、高木を連れて来た。
……呼んでいない者まで、付いて来ているが…
「アンタが、噂の朔也様か!……なあ、アンタからも、高木に言ってくれよ!ご主人様なんだろ!?」
だから、『噂の』って何なんだ…
先程から『例の』とか『噂の』とか、妙な単語を名前の前に付けられて…おまけに、そんな俺に何を言えと…?
「ア…アンタって…朔也様に、何と無礼な事を!大体、あなたは何なのですか!?大和!どういう事なのか、説明しなさい!」
「こちらの方は、空手部の主将をされてます。半年前から勧誘されていて、ずっと断り続けていたのですが…最近は、更にしつこく…」
空手部…
半年前に編入した人間を、勧誘しなければ成り立たないのか?
「しつこくもなるさ!高木が入部してくれるなら、大会で団体優勝する事も夢じゃない!家で鍛える時間があるんだったら、部活で鍛えても同じだろ!?何で、入部してくれないんだよ!?」
……何か、嫌な予感…
絶対、こちらに来る…
「以前にも、言いましたが…私の時間は、朔也様の為にあるのです。そして、私が鍛えているのも…朔也様を、お守りする為…私の全ては、朔也様の為に存在しているのです」
……言い切った…
『以前にも、言いましたが…』という事は、空手部主将が言っていた『例の』というのは、これか…
「お、俺は諦めないぞ!朔也様!我が空手部には、高木の力がどうしても必要なんです!お願いします!!」
予感的中…
こちらに、来てしまった…
「従者ではない者に、様付けで呼ばれても困る…空手部に入部するもしないも、高木の意思に任せる。それと…俺を理由に、断ろうとするな」
「申し訳ございません…」
頭が、痛くなってきた…
「はぁ…勧誘についての返事は、近い内に必ず本人からさせる。今日の所は、これで帰らせてもらいたい」
現在、16時15分…
予定の時間が、迫っている…
「あ、はい!ありがとうございます!失礼しました!」
……俺に対して敬語を使えとは、誰も言っていないが…
「桐生、迷惑をかけた。自宅まで、送って行こう」
「え!?い、いいよ…そんな遠くないし、迷惑とか思ってないから大丈夫だよ。ありがとう」