黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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序章・始まり
プロローグ ~復活の儀と忌み子~


その昔…

優れた才を持つ一人の魔法使いの少年が、術の禁忌を破った。

それは、死に絶えた肉体に仮の命を与え、術者の思うがままに操る「死霊術法」と呼ばれるものだった。

最初、少年は術を動物に用いて玩具にするのみであった。

しかし彼は次第に気を大きくしていき、人に対しても術を使う事を考え始めた。

ついに彼は友人を殺し、その肉体に仮の命を与えて操り、その知り合いや家族、友人を殺した。

さらに、そこからまた知人を殺していき…人々を次々に自らの人形としていった。

彼の人形どもはみるみるうちに増えていった。

高位の術士や学者らが気づいた頃にはもはや手遅れであり、少年の造り出した生きた屍の軍勢は、日夜どこかの国や町を襲っては、その土地の住民らを自らの同胞に変え続け、領土を広げていった。

 

そして2万年前、少年はとうとう死霊術法の極致である「死の霧」を放ち、世界の全ての生物の3分の1の命を奪った。

やがて彼は世界の支配者を名乗り、世界全域にて恐怖政治を敷いた。さらに他の大陸にも使者を派遣し、領土を拡大させんとした。

そんな彼を、生きた人々は恐怖と戒めの意を込めて「死の始祖」と呼び、彼が死の霧を使って起こした大量殺戮は「復活の儀」と名付けた。

彼の操る屍どもは生きた人々により「不死者」と呼ばれた。

 

 

 

 

以降、1000年後、3000年後、5000年後、7000年後、9000年後、11000年後、と復活の儀は世界を度々襲った。

そしてその都度、かつての彼のように優れた魔道の才を有し、死後に死の始祖の手によって特に強力な力を持つ「再生者」と呼ばれる不死者に変えられる者が1人ずつ現れた。

再生者は他の不死者同様災いをもたらしたため、次第に人々は飛び抜けた魔道の才を持つ異人を「忌み子」と呼び、恐れ、迫害するようになっていった。

 

13000年後、8度目の復活の儀が起こった。

後にやはり多くの優秀な異人が忌み子とされたが、実はそのどれよりも優秀な娘がいた。

彼女は人間でありながら、幼き頃より術の素晴らしい才を発揮し、修行を積んで術士となる事を望んだ。

人々は、かつての死の始祖も元々人間であり、術の修行を積んで魔法使いとなった事から、新たな再生者、もとい死の始祖の再来を恐れ、娘を殺そうとした。

しかし、宿命かあるいは神がそう望んだのか、娘はどうあっても死ななかった。

死をはね除け、闇の誘惑を断ち切った娘は後に世界最強とも伝説とも謳われる陰陽師となり、多くの仲間と共に不死者と戦った。

そして、ついに再生者を全て打ち破り、東方の大陸の各地に封印した。さらに不死者と死の始祖もまた、大陸の北東の不毛の地へと追いやり、封印した。

そんな彼女を、人々は『望み子』『生の始祖』と呼び、讃えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから7000年後、突如として9度目の復活の儀が起きた。

 

ーもう起きないと思っていたのに。

だが大丈夫だ。きっと忌み子が現れ、我々を救ってくれる。

人々はそう信じ、忌み子の出現を待った。

 

しかし、いつになっても忌み子は現れなかった。

そしてある時、1人の司祭が人々に告げた。

「今度の忌み子は生の始祖の子孫。

彼女は死に、再生者となった」

その言葉は、人々を絶望の底に突き落とした。

 

 

 

しかし、その司祭はこうも告げた。

「生の始祖の子孫は確かに死んだ。しかし、彼女には妹がいる。

その子が生きている限り、死の始祖は世界を支配できない」

これを受けて、人々はにわかに希望を持ち、その妹を「生き残った妹」と呼ぶようになった。

 

 

 

それから25年…

生き残った妹は行方不明となっている。

どこかの山奥でひっそり暮らしている、異人になって暮らしている、等様々な噂が乱れ飛んでいるが、何れも真相はわかっていない。

「生き残った妹」。

彼女がなるのは、死の始祖か生の始祖か、あるいは…。

 

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