黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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海人の力

尚佗は手を高く掲げ、魔力を溜める。

 

「雷法 [サンダーランベージ]」

荒れ狂う稲妻を召喚してきた。

 

再び「アイスブロック」で攻撃を止めると、氷を叩き割って飛びかかってきた。

マチェットで受け止めつつ、魔弾を撃って撃退する。

 

「学習したか…」

尚佗はそう言ったかと思うと、すぐに雷の力をまとわせて一突きしてきた。

 

「[バブルシールド]」

攻撃を防御しつつ、触れたものに水で反撃する海術を使って防ぐ。

 

尚佗はダメージを受けても、攻撃の手を止めなかった。

「[切込折留]」

 

薙刀を振り下ろし、斬撃を起こしてきた。

私はそれを躱しつつ、マチェットを振るって斬撃を起こす。

「剣技 [垂直断ち]」

 

今尚佗が起こしたのと同じ、縦の斬撃だ。

横に動いて避けてきたけど、それを見越してさらに術を放つ。

 

「[キラーオーシャン]」

アルノの闘技大会で使った術より強力な術で、激しい水流を起こして攻撃する。

さらに、そのまま水流をまとめて渦巻きを起こす。

 

「[二重海渦(ふたえかいか)]」

 

 

一連の術を受け、尚佗は私を驚きの目で見てきた。

「どうした…なぜ、急に海の術を…」

 

「樹さんのおかげよ。私達は、水に濡れれば能力が強化されるからね」

 

すると、尚佗は感心した、という目をした。

「なるほど…やはり、水兵なんだな…」

 

「記憶とかは、人間のものが残ってるけどね」

 

「海人の術が、ここまでとは思わなかったな…」

 

ここまで使った術は、全て海術…つまり、海人だけが使える術だ。

そして、当然ながら全て水属性を持っている。

 

「海人…いや、水兵…か。侮れないな」

 

尚佗は、不敵に笑った。

「だが、どの道私の敵ではない!

何人も、我が雷からは逃れられん!」

 

そして薙刀を両手で持ち、高く掲げる。

「水兵などになった事が、お前の命取りだ!

奥義 [轟雷の乱れ]」

薙刀を回して激しい稲妻を起こす。

その稲妻は、こちらに向かってきた。

 

まともに食らえば、消し炭にされるだろう。

でも、私達には電気に耐えるための(すべ)もちゃんとある。

 

「[泡沫の防壁]」

大量の泡を生成して壁状にし、電気を受け止める。

泡の一つ一つに電気を吸収させ、被弾を防ぐのだ。

 

大抵の電気攻撃は、これでシャットアウトできる。

でも…

「きゃっ!」

尚佗の電撃は、泡の壁を貫通してきた。

二筋ほどの電撃だったけど、それでも強烈だった。

 

「うぅっ…!」

 

「アレイ…![マリンストライク]!」

樹さんが技を使ってくれたけど、尚佗に当てる前に稲妻に当たってしまった。

 

「がぁっ…!」

 

「樹よ、お前も愚かだな!水使いが、電使いに敵うはずがあるまい!」

 

「ぐっ…!アレイ!大丈夫か!?」

樹さんは、私を一番に心配してくれた。

「え、ええ…」

とは言ったけど、まだ体のあちこちがピリピリ痺れている。

体を濡らすと強化を受けられる反面、電気を食らうとこうなる。

 

「…!」

私は尚佗を睨みつけ、体に鞭を打って飛び上がる。

 

「[グランドウェーブ]」

 

横向きの斬撃を飛ばしつつ、複数の尖った岩を地面から飛び出させる。

斬撃を避けられても、岩が当たればダメージが入る。

 

尚佗は斬撃は避けたけど、岩はもろに当たった。

「くっ…!」

今の技は、当然ながら地属性を持つ。

つまり、電属性である尚佗には有効打になる。

 

さらに私は、続けてマチェットを高く掲げる。

「星具降臨・[セクトス・ローグ]」

 

そして、祈るように振るう。

「[星巡りの(ゼクセクト・)一振り(スティレット)]」

 

白く、派手な斬撃が放たれる。

それは、尚佗の放った電撃をかき消し、奴の体を斬った。

 

「…!!」

 

「すげえ…!さあ、これでどうだ!」

樹さんが叫ぶが、尚佗はまだ倒れていない。

 

息を切らしながら、手を地面について言った。

 「…やはり、その武器は我々にとって脅威だな。

しかし、驚いた。まさかお前が、『星巡りの刀』を持っていたとは」

 

「星巡りの刀?」

これ、そういう名前だったのか。

 

「それは…かつてあの女…シエラ、だったか…?ヤツが、使っていた武器だ。

それがあれば、星巡りの技を容易に扱う事が出来る…

例え、水兵であろうともな…」

 

星巡りの技とは、九星天術から派生した一連の技の総称。

あらゆる属性、あらゆる武器種の力を持ち、これを使えればもはや複数種類の武器や術を扱う必要はないとまで言われる、最高位の技だ。

 

とは言え、九星天術のいずれかをマスターした上で、複数種類の武器を「達人を超えた」と呼べるレベルにまで扱えるようにならないと扱う事は出来ず、九星天術よりさらに少ない数の異人しか扱えないとされている。

 

「…じゃ、今のが星巡りの技だって言うのか!?」

樹さんがそう喚いた。

 

「ああ、間違いない。確かに、あれを手にしてからアレイはやたらと星巡りの技を使えていた。

疑問には思っていたが…そういう事だったか…」

 

龍神さんは、これまで抱いていた疑問の答えに納得したようだった。

 

「だが…その武器は、そう簡単には扱えぬはず。あらゆる種類の剣を使いこなして、初めて使える武器だ。

なぜだ…なぜ、弓使いのお前が、容易くそれを扱える!」

 

「わからないの?」

 

「…そうか、なるほどな。

ならば、なおのことお前を始末せねばならんな」

 

「なに!?」

龍神さんが、目を見開いた。

 

「我らにはお前が必要だ。私は、出来る事ならお前を生かしたまま連れて行きたかったのだが…ここまで力をつけていたとは予想外だった」

 

そして、尚佗は薙刀を強く握る。

 

「この上は、仕方ない。

お前の命を奪ってでも、連れて行く!」

 

私と樹さんが構えた、その時…

 

 

「なあなあ、待てよ」

 

唐突に、龍神さんが喋りだした。

 

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