黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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数分間の防衛

「[マッドスピア]」

 

「[残影斬り]」

アメルと龍神さんは次々に強力な技を繰り出し、ウィスプを倒していく。

対して私は、「拡散氷矢」のようなあまり強くない技しか使えない。

私は能力を使うために集中しなければならないのだけど、それを維持しつつ戦うのはなかなか大変だ。

だから、本当は一思いに異能を使って過去を見切り、それから彼らのサポートをしたいのだけど…そうも言ってられない。

 

龍神さんがいるのにそう思った理由は、自分でもよくわからない。

強いて言うなら…私の中の何かがそう思わせた、といったところだろうか。

 

ウィスプは動きが割と素早く、背後を取られたりすると知らないうちにぐっと近づいてくる。

私も何度か背後を取られ、危なくなった。

でも、その度に龍神さんが助けてくれた。

 

なにも今回だけではない。

彼は、強さはもちろんだけど、私達のこともしっかりと見てくれている。

まさしく、最強の吸血鬼狩りと呼ばれるに相応しいだろう。

 

―本当に、彼のような人がいてくれてよかった。

 

 

「アメル!」

 

「なに…!?」

 

「火使えるんだろ?焼き払ってくれ!」

 

「!?…わかった!」

アメルは背中を私にくっつけてきた。

龍神さんもまた、私に背を向けた。

 

「炎法 [ファイアカーペット]」

アメルが槍を振るうと、その動きに合わせて炎が広がる。

その炎があたりのウィスプを焼き払い、一気に10体近くのウィスプが消え去った。

そして、残ったものは龍神さんが術で消し飛ばした。

これでいいかな、と思ったのも束の間、すぐにまた新たなウィスプがやってきた。

それも、今倒したのより大きな群れで。

 

「…なっ!」

 

「[バーニングストライク]!」

アメルは驚きもせず攻撃を放った。

「ありゃ、驚かないのか?」

 

「そんな暇あったら迎撃よ。驚くのは、安全を確保してからでもいくらでもできる」

 

「ほう…感心だな」

そう言いながら、龍神さんは電撃を放った。

 

二人が一気に大量のウィスプを倒しているのに、私は…。

いや、考えるな。今の私の一番の役目は彼らのサポートではない。

集中して、早く過去を…

 

と、顔を下げた直後、ウィスプが前から襲いかかってきた。

「!」

咄嗟に魔弾を放って撃退したけど、消せてはない。

でも、すぐにアメルが火球を飛ばして追撃してくれたから問題なかった。

 

 

 

その後私は、弓を射って二人の手助けに回った。

正直、霊体のウィスプには効果は薄いだろうなとは思ったけど、仕方ない。

それより、私にはしなければならない事がある。

 

でも、これを完遂するにしても、なかなか上手くいかなかった。

龍神さんとアメルは、私の背を守るようにくっつきつつ、全方位から来るウィスプを迎え撃っている。

私達は3人、対して敵は数十体。

しかも、彼らと背中を合わせている私は弱い物理攻撃しか出来ないため、どうしても倒し損ねて近づかれる事がある。

すると、二人のどちらかが振り向いて倒してくれる。

 

もちろんありがたいのだけど、その隙に私を助けてくれた方が背後から攻撃を受ける事もある。

ウィスプは「霊弾」と呼ばれる弾を吐き出す遠距離攻撃が出来るので、これを受けてしまうのだ。

一撃の威力はそこまででもないのが幸いだけど、それでもあまり長く続けばまずい。

 

あと少しだ。

あと少しで、過去を遡り終わる。

どうか、それまで持ってほしい。

 

 

 

それから程なくして、私は過去を見終わった。

そして、それを二人に報告する前に術を使う。

「[霜降のスノーラル]」

口で言わなくとも、術を使えば察してくれるだろう。

「アレイ…!」

アメルは驚きつつも喜びをたたえた表情で、一気に6体のウィスプを粉砕した。

龍神さんも、刀を振るって7体のウィスプを打ち砕いた。

そして、それを最後にウィスプは全滅した。

もう、新たに寄ってくるものも見えない。

 

「終わった…のね?」

 

「ああ。アレイ、終わったんだよな?今のうちに、結果を教えてくれ」

 

「はい。」

私は空中に映像を映し出す。

それは、実に一ヶ月前まで遡る。

 

 

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