黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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鳥人との出会い

とりあえずシルトたちをつかまえようと思った…のだが、どこにいるのかわからなかった。

カイナに聞いたら、町の入り口の門の前にいると思う、と言われたので町の入り口に向かった。

向こうが来る前に、こちらから迎え撃つ…といった所か。

ところが入り口につくと、2人の姿はなかった。

 

「…」

言葉にならないイライラがこみ上げる。

前もって予想してたことや、聞いてたことと違うことが起こるのは苦手だ。なんだか無性にイライラするし、どうすればいいかわからなくなってしまう。

他にも、結果の見えないことやいつもと違うことも嫌いだ。日々の生活のルーティンを決めているのも、それが理由だったりする。

 

だが、これでも1500年以上生きてきたのだ。こういう時の対処は、心得ている。

それは…

 

 

ずばり、ひたすら待つことだ。

 

 

 

 

 

それから10分ほどして、シルトがアレイと共に現れた。

お二人はムスッとした様子でこちらへやってきたので、すぐに先ほどのことを謝った。

アレイは「まあ…私はいいです」とすんなり許してくれたが、シルトはちょっと違った。

 

「中身のない言葉は信じない。これからの戦での働き次第ね」

 

信用されてないのか…とも思ったが、まあよかろう。

これからの戦いで、見せればいいだけだ。

 

程なくしてカイナも到着し、では向かおうかということになった。

「あれ、兵士たちはどうした?」

 

「術で隠してある。敵の姿を見たら、出すつもり」

なるほど。

確かに町の中を何千人もの兵士がゾロゾロ歩いたらめちゃくちゃ目立つし、町の人達は何事かと思うだろう。

だからなんだ…という話ではないが、もし現在進行系で流未歌たちがこちらを見ていたら、気づかれる。そうなると、一気に攻め込むスピードを上げてくるかもしれない。

一応、こういう戦に参加したことは何度かあるが、数千の敵を相手に城門を守るのはなかなか大変だ。

 

それに、そんなことになれば町の人々にも危険が及ぶ。

リスクは、可能な限り減らしたい。

 

 

 

 

 

半日ほど進んだところで、思わぬ展開があった。

俺達は森の中を進んでいたのだが、そのうちやけに高い木々がまとまって生えている所にやってきた。

その木々は30mほどの高さの所で葉が生い茂っているが、幹はさらに上に伸びている。

この辺は熱帯でもないのに、珍しいな…と思ったのもつかの間。

「あら、これは…」

カイナが一際太い木に走るつたに目をやった。

 

「気づいたかしら。これは"鳥人の木"と呼ばれる木で、この木を登った上には鳥人達の村があるの」

 

「やはり…え、鳥人なのですか?有翼人ではなく?」

 

「ええ。このあたりでは比較的よく見かけるわ」

 

「へえ…」

思わず感心した。

鳥人は有翼人の亜種で、明確に鳥とわかる翼を持っており、その特性も鳥に近い。

有翼人はその名の通り翼を持ち空を飛ぶ異人だが、その翼は天使や悪魔のようであることもある。

また、必ずしも鳥の特性を持っているとは限らない。

 

そして、この2つのうち有翼人はわりといろんな所で見かけるが、鳥人はあまり見かけない。

それはカイナたちも同じなようだ。

「せっかくだから、一言挨拶していきましょう。このつたを登っていけばいけるわ」

 

シルトを先頭にして、つたを登ってゆく。

人間だとちょっと時間がかかりそうだが、俺達は5分もかからずに登りきれた。

 

 

 

生い茂る葉っぱの中を通り抜け、つたを登り切ると、そこには集落のようなものが広がっていた。

あたりを見渡すと、あちこちで空中を飛ぶ鳥人や、木に穴を掘って住処にしたものや、葉っぱや木の実で作った装飾が目に付く。

 

「まあ…本当に鳥人だわ。亜熱帯でなら見かけたことがありましたけど、まさかこのような比較的寒冷な地方にもいたなんて…」

 

「すごい…鳥の翼を持ってる…」

カイナとアレイは感動の声を上げる。

俺としても、カイナの意見には同意だ。

 

「見学は後にして。…行くわよ」

シルトは近くの木に掘られた穴に飛び込んでいく。

 

もちろん俺達も、後を追う。

 

 

複数本の木々の間に張り巡らされたつたや植物を橋代わりにし、木々を行ったりきたりしながら進む。

道中で何人かの鳥人に話しかけられたが、反応を見るに皆、シルトとは面識があるようだ。

 

一方で、俺達に食いついてくるやつもそれなりにいた。

特に、アレイに対してはわざわざ彼女の服の匂いを嗅ぎ、話しかけていた。

「ふんふん…お前さん、なんかいい匂いがするな。もしかして、海の異人か?」

 

「ええ。私は水兵っていう種族なの」

 

「水兵…聞いたことはある。まさか海から離れたこの村で、海の異人に会えるとはな」

 

「それは私もよ。空の異人とこうして話せるなんて、なんか感動」

 

鳥人をはじめとする有翼人は、空を網羅する「空の異人」として知られている。それに対して、水兵含む海人は「海の異人」、俺やカイナのような普通の異人は「陸の異人」とされている。

陸、海、空の全ての異人が揃い踏み…というのは、なんか妙なロマンを感じる。

 

有翼人は海で狩りをすることもあるというが…水兵含む海人は、有翼人をどう思っているのだろうか。

カイナではないが、無性に気になった。

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