黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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再生者の真実

「真実…?」

 

「そうだ。8人の再生者のことは知っておろう。だが、奴らの正体は知っているかな?」

これには、龍神さんも首をかしげていた。

「正体?奴らは高位のアンデッド、それだけじゃないのか?」

 

「いいや、そうではない。今こちらの世界にいるのは、再生者どもの幻だ」

 

「…?どういうことだ?」

 

「死の始祖、というものを聞いたことがあるか?」

 

「ああ。アンデッドと再生者たちをこの世に生み出した、すべての不死者の王たる存在…」

 

「奴は単に不死者を生み出しただけではない。その魔力を以て、こことは異なる『死者の世』を作ったのだ」

 

「死者の世?」

 

「そうだ…またの名を死の国(ネクロワールズ)とも言う。そしてその入り口、ネルガルの門はこの大陸のはるか北…バシトーの山奥にある。すべてのアンデッドは、そこからいずるものだ」

 

死者の世界なんてものがあるとは思わなかった。

それに、死の国(ネクロワールズ)って…初めて聞く名前だけど、なぜだか聞き覚えがあるような気もした。

「ネルガルの門…そこを閉じられれば、アンデッドは消えるのでしょうか」

 

「少なくとも、この大陸からはな。門はまだ完全には開いていないから、再生者はそれを完全に開こうとしている。そうなれば、もう奴らを止めることはできなくなる。奴らを止めるならば、今のうちだ」

 

死の国(ネクロワールズ)…」

龍神さんは、反逆者の言葉を繰り返すように呟いた。

 

「再生者は、その国を分割して支配している。そして、奴らの本体はそこにいる」

 

「えっと…?」

龍神さんは意味がわかっていないようだったので、私がわかる範囲で解説した。

「再生者は、本来は死者の世界におり、今はこちらの世界に幻を飛ばしてきている、ということだと思います」

 

「ああ、そういうことか。しかしだとしたら、なんでこっちに本体が来ないんだ?そもそも奴らは封印されていたはずなんだが?」

 

「そこにこそ、あの陰陽師の残したものが関わってくるのだ。生の始祖…だったか。あの陰陽師は奴らを倒し、封印と結界を残した。再生者の動きを祀具に封じ、結界を張って力を封じた。だが、それはあくまでこの世での話…奴らは滅びたのではなく、本拠地である死者の世に追い返されたに過ぎないのだ」

 

「だとしたら、あの祀具を破壊したのはいいことだったのか?」

 

「あれらは奴らの魂が込められた道具。破壊しなければ、いずれはあれを介して奴らがこちらへやってくる」

 

「ということは、これからも奴らを倒しつつ封印の祀具を壊していけばいいってことか」

 

「だが、一つだけ忠告せねばならんことがある」

 

「なんだ?」

 

反逆者は、目線を私に移してきた。

「幼い割に、大きな力を持った娘だな。まあ当然か…お前は生の始祖の末裔であり、選ばれた子なのだからな」

 

「選ばれた子?」

 

「そうか、自覚しておらぬか…」

そして、彼は信じられないことを言った。

 

「お前は此度の忌み子。25年前の復活の儀で選ばれた、優れた才と呪われた運命を持った人間なのだ」

一瞬、耳を疑った。

忌み子、つまり優れた魔法の才能を持つけど、死後に再生者となる定めを背負った者。

今回の復活の儀で現れた忌み子は姉だと聞いていたのだけど…まさか、本当は私だったなんて。

 

でも、だとするとおかしい。

私は一度死んでいる。なのに、再生者どころかアンデッドにもなっていない。

それは龍神さんも同じようで、彼は困惑していた。

「え、アレイが…?いやでも、この子は一回死んでるぞ。それに、今度の忌み子はこころだって聞いたんだが…」

 

「それは偽りの話だ。第一、星羅こころには優れた術の才はない。真の忌み子は、奴の妹たるお前だ。よもや気づいておろう。自身には、優れた術の才があることに…」

 

確かに、私には明確な術の才があった。

けれど、それはあくまで血統によるものであり、私の運命によるものだとは思わなかった。

「ということは、私が死んだら再生者に…?」

 

「それはわからぬ。少なくとも、人間として死しても再生者にならなかったのは幸いだ。いずれにしてもお前は生きねばならん。自らの呪われた定めに抗い、未来を自身の手で切り開くのだ」

 

「でも、そんなのどうやって…」

 

「言っていなかったな。奴らはお前を捕らえて結界を消し、力を取り戻すつもりでいる。そして門を開き、自身の本体と屍を連れて来るつもりだ」

 

「…!」

 

「だが、そんなことを許してはならん。…忘れるな。運命とは、確約された未来ではない。かつてのシエラが、何よりもそれを証明している。奴らの思い通りにさせるな。何としても奴らの野望を食い止め、この世界を救うのだ」

 

私は返事の代わりに、左手に星巡りの刀を出した。

彼はそれで納得したのか、うっすらと笑った。

 

「それより、俺たちは親父に大事な話があるんだ」

唐突に龍神さんが言ったので、私は驚いた。

 

「…なんだ」

 

「流未歌を倒すのに関してなんだがな…いやまあ、俺たちだけでも行けなくはないんだが…その、ちょっと辛いかもしれないというか。自由に飛び回る相手に挑むってのは、ちょっとばかり難易度が高いかなーと思ってな」

なんか、変に回りくどい言い方だ。ストレートに協力してほしいと言えばいいのに。

 

反逆者は、ふん…と鼻で笑った。

「かつて、我が父は生の始祖はじめとする三聖女と共に流未歌を倒した。だが、今再び流未歌が蘇り、この空を飛び回っている。さらに、こうして我が前に生の始祖の末裔とその仲間たる若人がやってきた。…この状況で、協力しないと言うほうが馬鹿だろう。私とて、奴がこの空を飛び回るのは鼻持ちならん。父に誇れる息子となるためにも、協力を惜しむ理由はない」

 

「おっ…!それじゃ…!」

 

反逆者は浮かび上がり、手を軽く払った。

すると私達の体が白く光り、浮かび上がった。

同時に天井が崩れて光が差し込み、青い空を見上げられるようになった。

「さあ、ついてこい!忌々しいあの悪女を…我らの手で、成敗しに行くぞ!」

 

「…!ああ!」

 

そうして、私達は流未歌の巣目指して飛び立った…反逆者ルーヴァルとともに。

 

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