黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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戦士との対談

しばらくして戻って来た時、彼は派手な先住民族風の格好をした大柄の女性の他、何人かの男女を連れていた。

 

「ボス、こいつらがそうです」

 

「そうかい」

 

派手な格好の女性…おそらく、部族長だろうか。

彼女は、私達…特に私を、熱心に見てきた。

そして、龍神さんを見て言った。

「あんた、殺人者だね?」

 

「御名答。けど、ここの方々に手を出すつもりはないんで悪しからず」

 

「そうかい。懸命な判断だ。それで…」

次に、女性は私を見てきた。

「確かに、水兵だね。なんでこの町に?」

 

「彼が行きたいと言ったので来たんです」

 

「ほう。ならあんたに聞こうか。なんでこの町に来たんだい?」

 

「ただの観光さ。あと…」

龍神さんは、目を鋭く光らせた。

「再生者王典…の情報を、集めにな」

 

すると、女性はにわかに驚いたようだった。

「なっ…そんな事調べて、どうすんだい」

 

「決まってるだろ…奴を、倒すのさ」

族長は、口をあんぐりと開けて立ち尽くした。

 

「あ…あんた、本気で言ってる?」

 

「もちろんだ。この子を連れて歩いてるのは、そのためだしな」

それには族長だけでなく、周りの戦士達も驚いたようだった。

 

「そのため…って、この子水兵だろ?戦闘の経験はあるのかい?」

 

「いや、あまりない。だが、この子なら大丈夫だ」

 

「どうして言い切れるんだい?あいつは、うちらでもかなわないくらい強いよ。まして、そんな幼い子じゃあ、返り討ちに合うのが関の山だ」

 

「ところが、だな…この子は生の始祖の末裔なんだ」

すると、人々は驚いた。

 

「な、なんだって…?」

 

「それ、本当なのか…!?」

 

「ああ。な、アレイ?」

 

「え、ええ…」

いきなり私に振ってきたので、面食らった。

 

「私はアレイ・スターリィ。彼の言った通り…私は、生の始祖の末裔です」

 

「ああ、そうだったか…

生の始祖様の末裔は、もう死んだとばかり思ってたんだが…まだ、生きてたんだね。よかった…本当に、よかった」

 

族長は、感激していた。

まあ、正確には私は一度死んでいるし、姉に関しても死人なのだけど。

 

「でも、どうして水兵なんかになったんだい?」

 

「それは、よくわからないんです。私は元々人間で、事故で命を落としました。そして気づいたら、水兵に転生していて…」

 

死んだ人間が水兵に転生する原理や基準は、よくわからない。

水兵長…レークで言えばユキさん…が、関係している事は確かだろうけど…なぜ私が水兵として転生したのかに関しては、未だに何も説明されていない。

 

「そっか。まあでも、アンデッドにならなかっただけよかったじゃないか」

 

「それは、まあ…」

よく考えると、本当にその通りだ。

死んだ人間がアンデッドになる、という可能性は死因に関わらず否定できないし、何より私の場合、姉という前例がある。

私も、姉のようにアンデッドとして復活してもおかしくなかった。

 

そうなっていたら、龍神さんやユキさん、町のみんなにも出会えていなかったどころか、命ある存在として生きていく事さえできなくなっていた。

そう考えると、本当に…私は幸運だった。

 

「あの、ボス…そろそろ…」

 

「…あっ、そうだ。せっかく来たんだ。これを食べていきな」

 

族長がそう言うと、一人の男性が平べったい入れ物を持ってきた。

その中には、丸いクッキーのような物が並んでいる。

 

「これは?」

 

「うちらの…戦士の伝統的な食べ物なんだ。口に合うかわかんないけど、ぜひ食べていってくれ」

 

「わかりました。いただきます」

一つ取って食べてみた。

小麦か何かを練って焼いたものっぽいけど、クッキーとはまた違った食感と独特な甘みがあって、美味しかった。

 

「ん、おいしいです」

 

「だろ?」

 

「口に合ってよかったよ。これ、俺の嫁が作ってるものでな。今度店を出すんだが、そこで出そうと思ってるんだ。いけるかな?」

 

「いいと思いますよ。水兵の私の口にも合うので、きっと…」

 

「いやいや、それはないな!」

龍神さんの元気な声で、みんなが振り向いた。

 

「食感微妙だし、味薄すぎな。これなら、普通にその辺で売ってるクッキーの方が全然美味いぜ!ははは!」

 

 

 

 

朗らかに笑う彼の言葉で、場の空気が凍りついた。

 

 

「…えっ?」

彼は、何が起きたのかわからない、という顔をした。

 

 

 

 

 

 




龍神が空気を読めないのは、私自身と同じだったり。
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