黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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魔法使い

間髪入れず、魔弾がこちらに飛んできた。

当たりはしなかったが、床に立派なクレーターが出来た。

 

「…おっと、危なかった」

 

アレイは俺の無事を確認すると、空中を見上げた。

宙に浮かぶ魔法使いが、杖から微かに煙を立ち上らせていた。

 

その目は虚ろなものになっている。

「メーレイ…さん…」

そう言えば、あいつメーレイって名前だっけ。

 

だが、もはやあれは人々を救うために立ち上がった勇者の仲間ではない。

かつてはそうであったとしても、今はゼガラルに操られる生きた屍だ。

 

魔法使いは、杖をかざして青い五芒星を作り出すと、大量の氷塊を降らせてきた。

 

俺はまともに触れるとそこそこダメージを受けるし、避けるのにも少し苦労したが、アレイはそこまででもない様子だった。

やはり、氷属性だからか。

 

すると、今度は赤い五芒星を生成して地面から火を噴き出してきた。

これはさすがにアレイも当たるとまずいらしく、ジャンプして躱していた。

 

そして、アレイはそのまま空中で、魔法使い目掛けて矢を放った。

しかし、魔法陣を貫通する事は出来ず、弾かれて地面に落ちた。

さらに、カウンターで帯状にした火を食らってしまった。

 

「っ…!」

 

「アレイ…!」

 

「大丈夫です…この…くらい…」

と、魔法使いが再び魔弾を放ってきた。

 

アレイはなんとか避けたが、キツそうな顔をしていた。

彼女にこのまま戦闘を続けさせるのは少々酷だ。

どうにか早めに終わらせないと…

と思った矢先、

 

「[恵みの水]…!」

アレイは術を唱えて青い水滴を空中に呼び出し、それを自身にふりかけた。

すると、アレイの傷がたちまち回復した。

 

なるほど、回復の術だったのか。

水属性…いや、もしかして海人特有の術である「海術」か?

だとしたら、ちょっと驚きだ。

海術は話には聞いた事があったが、見るのは初めてだ。

 

「…!」

アレイはさっきとは別の魔導書を出した。

それを見て、向こうも魔導書を構えた。

 

先に撃ったのは向こうだ。

詠唱はなかったが、砂嵐が飛んできたので、恐らくは地の中級魔法である「デューン」だろう。

 

それに対してアレイは「ウェーブ」、水の中級魔法で応戦した。

砂嵐に水がぶつかると、当然ながら砂に吸収される。

そして、砂嵐はパッと消え去り、泥のようなものだけが残った。

 

すると、魔法使いは杖をかざして魔力を放ち、砂を手のような形にしてアレイ目掛けて伸ばしてきた。

「[スレイブレイト]!」

アレイは魔弾を放って砂の手をかき消しつつ、魔法使いに攻撃する。

やはり、奴はすぐに防御魔法陣を張って防いだが、アレイは続けて技を放った。

 

「弓技 [ブレイクスリンガー]!」

矢とは思えないほど太く、重い矢を撃ち出し、見事に魔法陣を破壊した。

 

呆気にとられる魔法使いに、アレイは一気に畳み掛ける。

「[スコーピオンアロー]!」

 

飛びかかりつつ、空中で高速の矢を放って地面に釘付けにした魔法使いに、一際強力な魔弾をぶつけた。

 

魔法使いは、俄に血を吐いて力尽きた。

 

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