黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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暴走

奴が腕を振り上げて床に叩きつけると、轟音と共に地震が起こる。

いや、正確には地震ではない。

(衝撃波か…)

まともに食らえば足を持っていかれかねないので、タイミングを見計らってジャンプし確実にかわすよう、アレイにも伝えた。

 

「キャルシィさん…!」

衝撃波をかわし、アレイが悲痛な声を上げる。

だが、嘆いている暇はないのだ。

「あいつが長だったことは忘れろ!

じゃないと本当に死ぬぞ!」

 

「でも…!」

そう言っているアレイに、奴は容赦なくボディプレスで襲いかかってくる。

「危ない!」

とっさに彼女を突き飛ばし、

「…っ!」

かわりに奴の下敷きとなった。

口から内臓が飛び出そうになったが、この程度で沈むものか。

「龍神さん!」

 

「心配すんな…こんくらい…」

かなり重いが、これくらいなら何とかなる。

いや、何とかしてやる。

「大丈夫だよ!!」

声を上げ、奴を壁まで投げ飛ばした。

 

 

奴は壁にぶち当てられてもピンピンしている。

対して俺は、奴に潰されただけで胴全体に少々きつい程度のダメージを受けている。

薬を飲む程でもない。弱い治癒魔法をかけて凌ぐ。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ああ、気にするな…

アレイ、武器はやめだ。術で行くぞ」

あのタイプの奴には物理は効きづらいので、術で攻める事にする。

「わかりました…」

 

奴はラグビー選手のごとく突っ込んできた。

アレイはジャンプして、俺は右に避けて回避した。

そしてそのまま、

「[グロウサンダー]」

「[グレイスニア]」

電と氷の術を浴びせた。

多少はダメージを与えられたようだ。

 

次は、複数方面から電撃を同時に浴びせる術だ。

「[ビームゲート]」

奴の周り、6ヶ所に丸いゲートを生み出し、そこから一斉に電撃を撃ち出す。

さらに、

「[グラウァー·トレウ]」

細い雷で奴を囲み、ダメージを与える。

 

 

奴はうなり声を上げ、膝をついた。

これだけやれれば十分。あとは…

 

「奥義 [グレイシャル·イロージョン]!」

言うまでもなく、アレイがやってくれた。

 

 

アレイの奥義がかなり効いたらしく、奴が弱っているのが目に見えてわかる。

 

 

「っ…」

 

「どうした?」

 

「私には、やっぱりキャルシィさんを殺す事はできません。せめて、気絶してもらうくらいなら…」

 

気絶…?

「それだ!」

「え?」

「アレイ、あいつを気絶させる事はできるんだな?」

「ええ、それくらいなら…」

「なら、すぐにやってくれ!」

「は、はい!」

起き上がり、こちらに飛びかかってくる長に、アレイは弓を向ける。

そしてー

 

「弓技 [衝撃射ち]!」

頭を狙った正確な射撃が見事命中し、奴は空中でごろんとひっくり返って気絶した。

 

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