黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年目の冒険譚〜   作:白い花吹雪。

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招かれざる客

神殿の入り口で、リヒセロさんが待っていた。

「おっ!」

 

「幾分ぶりですね。その節はお世話になりました」

リヒセロさんはキャルシィさんと違い、大柄な訳でも立派な翼を持っている訳でもない。

でも、言葉遣いが凄く丁寧だし、キャルシィさんに負けず劣らずの美人だ。

そして、全身から爽やかさとカリスマ性を醸し出している。

これこそ、リヒセロさんが外部の人からも人気がある理由だ。

「お帰り、リヒセロ」

 

「お姉様…話は彼らから聞きました。

救出に上がれず、申し訳ありませんでした」

 

「別にいいよ。有能な子達が助けてくれたし。

それで…」

キャルシィさんがそこまで言った時、激しい揺れが襲ってきた。

「きゃっ!」

 

「何?地震!?」

 

「いや、そんなんじゃない…」

龍神さんは、ただならぬ口調でそう言った。

するとキャルシィさんも、

「そう、みたいね。

ろくでもないお客様が、おいでになられたみたい…」

と、重々しく言った。

「…あの、一体なんなんですか?」

 

「喋るより行動だ。

あんた達も来るか?偉大な姉妹さんよ」

 

「ええ、勿論です」

 

「言ってくれるじゃない?

行かないなんて言うわけないでしょ」

という訳で、リヒセロさん達も来ることになった。

 

 

 

 

 

 

龍神さんを先頭にして、町のはずれの方に向かっていく。

よくわからないけど、敵の正体がわかってないのは私だけみたいだ。

一体どんなものがいるんだろう?

そう思いながらついていく。

 

 

やがて、龍神さんは町の門で足を止めた。

そこには…

 

「えっ?」

思わず驚いてしまった。

そこにいたのは、ニラルの山のゲートにいた二人の水兵だった。

「キャルシィさん…ご無事でしたか。よかったです」

 

「長!大丈夫でしたか!?」

二人におかしな所は特にないように思える。

でも…

「ええ、"私は"大丈夫よ」

 

「見ての通り、キャルシィは元通りになったよ」

他の三人には、違く見えるのだろうか。

「それは良かったです」

 

「ところであなた達、ニームが襲われた事をどうやって知った?」

 

「そこのお二人から聞きました」

この瞬間、私も違和感を感じた。

「へえ…」

キャルシィさんは言葉を切った。

「…私、あの男に胚を飲まされた時、ニームとレークの水兵全員に夢を見せたんだけど…

なんで、あなた達は見てないの?」

二人は固まった。

さらに、龍神さんが追い討ちをかける。

「あんたら、俺たちが煌めく清水を手にいれるためにニラルに登るって言った時、私達のためにも…って言ってたよな?

あれは、どういう意味なんだ?」

 

「あ、あれは、長を元に戻して欲しいという意味で…」

 

「誤魔化さないで!」

リヒセロさんが、きっぱりと言った。

「あなた達の本性はもう、バレたも同然です。

潔く、正体を見せなさい!」

すると、二人はにんまりと笑った。

「そうねぇ。もうバレてしまってるねえ…」

 

「そうかそうか。もう隠す必要はないか…」

二人は帽子を取り、その正体を現した。

 

 

 

 

 

 

赤いローブを纏う、炭を塗ったような色の肌をした黄色い目の女。

黒いローブを纏った、白い肌をした赤い目の男。

それが、二人の正体だった。

「やっぱり祈祷師か…」

 

「変身魔法で化けるたあ、小癪な真似をしやがって」

 

「祈祷師…って事は、町を襲った男の仲間!?」

 

「その通り…俺は祈祷師リブー、八大再生者楓姫様を崇める者だ」

 

「そして、あたしは呪術師ユゥル。

楓姫様の忠実なる僕にして、この町を襲う計画を立てた者さ」

呪術師、ということは祈祷師の一つ上の種族か。

元々闇を専門に扱う種族ではあるけど、まさか再生者を崇める邪教を作ってたなんて…

「町を襲った者と、あなた達はどういう関係なのですか?」

 

「あいつは我が同志…

俺とあいつは同じ種族であり、同じ主人に仕える者。

そして…同じ志を持つ者同士だ」

私は、その言葉を聞いて口を開いた。

「同じ志ってのは、ニームを破壊すること!?」

 

「ちょいと違うね。この町はどうでもいい。

我が主は、ある水兵の動きを封じろと我らに命じられた。

我が主の唯一の脅威となり得る、忌まわしい水兵…

メグの血を継ぐ者を、ね!」

メグとは先代のニームの長の名前だったはず。

ということは…

「始めから私が狙いだったのね?

なら、なぜニームまで襲う必要があったの?」

キャルシィさんがそう聞いた。

「別に、大した理由はない。

ただ、ユゥルが水兵どもを我が兵士に出来れば有用だろうと言ったからやっただけの事よ…」

私は歯を食い縛り、弓を出した。

「へえ…それは悪い事をしたわね」

キャルシィさんは両手を開き、

「あんた達は、私以外の敵を作ることになった」

龍神さんのそれにも似た、冷たい目で二人を睨んだ。

それに習い、私達も武器を構えた。

「これはこれは…光栄な事だ。

水兵長姉妹に、大物の殺人鬼…

そして、"例の娘"ともやりあえるとは」

例の娘、というのは言うまでもなく私のことだろう。

「邪魔者をまとめて潰し、しかも大事な子まで持ち帰れる、またとないチャンスだ。

…いいでしょう。楓姫様の力を思い知らせてくれるわ!」

 

 

 

 

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