黒界異人伝・生命の戦争 〜転生20年目の冒険譚〜 作:白い花吹雪。
「それで、君の話は何だ?」
そう尋ねたが、マーシィはなぜか尻込みをして「やっぱりいいです、後で聞きます」と言ってきた。
何か聞きたい事があったようだが…。
「あ、来ましたね」
神殿の門の前で、アレイが待ってくれていた。
「おう、待たせて悪かったな」
アレイは後ろの二人を見るなり、
「セレン達と、何を話していたんですか?」
と聞いてきた。
「別に大したことじゃない」
とだけ言って終わりにするつもりだったのだが、大人しく締める事は出来なさそうだ。
「セレンがね、吸血鬼狩りになったのよ」
「え!本当!?」
「本当よ…彼に、吸血鬼狩りに入りたいって言ったら、快く入れてくれたの」
セレンはすでに涙をきれいに拭き取っており、さっき赤くなっていた目元も元に戻っていた。
…どうやってんだよ。
「じゃ、セレンもアンデッドを倒せるようになったの?」
「そうなんじゃない?私にはわかんないけど」
「…大丈夫なのよね?」
「そのはずだ。
出来なきゃ、君には資格がなかったってことだな」
すると、セレンの目が険しくなった。
「私に資格がないって、どういうこと?」
「喋るより行動だ。それで結果が出るからな」
セレンは納得してないようだったが、それ以上は喋らなかった。
「マーシィ、探知結界張れるか?」
「ええ…」
マーシィは左手を高く掲げ、探知結界を作り出した。
「どうだ?」
「町の南口にアンデッドが6体。それ以外には、怪しいものはありません」
「わかった」
ここでセレンのほうを向く。
「だそうだ。丁度いいな、力試しと実戦を兼ねてやってみな」
「機会をくれるのね。わかった、やってみるわ」
セレンは微かに微笑み、薙刀をついた。
「アレイ、悪いがちょっと寄り道する」
「はあい!」
アレイはいつもより明るい…というか浮き足立っていた。
「どうした?なんか、嬉しそうだな」
「いえ、セレンの吸血鬼狩りとしての初めての戦いを直接見れるのが嬉しくて…」
「ああ、そういう事か。
てことは何だ、君は吸血鬼狩りに興味あるのか?」
「興味というか…なんか、懐かしいような感じがするんですよ」
懐かしいって…
アレイは前世で吸血鬼狩りだったのだろうか。
「6体くらいなら、速攻で終わりそうね」
「そうだよねー」
セレンとマーシィは軽く見ているようなので、一言だけ忠告しておく。
「油断は…するなよ」
「どういう意味?」
「…ま、行ってみてからのお楽しみだな」
南口で、フェンスの向こうのもみの木の下にアンデッドが6体いるのを見つけた。
「あれは…ゾンビ、ではなさそうね…」
マーシィがそう呟いた。
「そうだな。あれは何かわかるか?」
「えーっと…」
「吸血鬼、じゃない?」
セレンが見事な解答をした。
「正解だ。じゃ、奴らが何でこんな真っ昼間から出てきてるかわかるか?」
「
またもや正解だ。
「お見事。そうだ、あれは
遠距離武器も持ってないみたいだし、あのくらいなら割と簡単に倒せるだろう」
何も言わなくともセレンは構えていた。
「おっ、やる気なのはいいな」
まだ気づかれてはいない。
つまり今がチャンスだ。
「さて、ここからどうやって攻める?」
奴らとの間にはフェンスとゲートがあり、普通に攻撃しようとするとゲートを開けなければならない。
だがそうすると気づかれる。
普通にゲートを開けて強硬策を取るか、あるいは…
「普通にいく」
宣言通り、セレンはゲートを普通に開けた。
「大胆だな」
わざと気づかれ、あえて動かずにこちらにやってくるのを待つ。
そして、誘き寄せたものを切り捨てていく。
「慣れたものね」
「何回か戦ったことあるからね。てか、銀武器じゃないのに殺せてる、ってことは…」
ここで、称賛と歓迎の意を込めて言う。
「君は立派な吸血鬼狩りだ。血で血を洗う組織の、新しいメンバーだよ」
彼女は、感極まったのか笑顔を浮かべて震えた。
そこに、さらに追い討ちをかける。
「だが、君の実力はまだこんなもんじゃないだろ?
ぜひ、その薙刀による絶技を披露してくれ」
するとどうだろう、セレンは大いに喜び、技を繰り出した。
「薙技 [
正面で薙刀を横に構えて相手の後ろに払い抜け、すぐに切り返しを行って仕留めて見せた。
「風法 [風神払い]」
薙刀を左下から右上に払い、風の刃を飛ばして遠くの敵を倒す。
これで、残るは一体だ。
「さて、次はどんなものを見せてくれるのかな?」
期待の言葉を浴びせると、セレンはにんまりと笑った。
「いいわよ…見せてあげる」
そして最後の一体の方を向き…。
「奥義 [
強烈な風の技を放ち、跡形もなく吹っ飛ばした。