氷結系最強になりたくて!   作:無銘のヲタク

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最初の暗躍

 

三年程経ち、俺とシドが(盗賊狩りついでに)見かけた悪魔憑きを片っ端から元に戻していって気づけばアルファを合わせて七人のメンバーが仲間になった。

 

ちなみに、仲間になる子は女の子のみなのだが、それには英雄の血族が女のみだかららしい。

まぁ、そこはいいんだ。問題は、その女の子達が誰もが身体ピチピチのスライムスーツを着ているせいで、すごく目のやり場に困るんだよ。

しかも、皆凄え可愛いのがまた....って、これをシドに言ったら、よく分かんないといった顔をしていた。

前世(まえ)から思っていたのだが、アイツには性欲とかそういうのがないようだ。

 

「────ゼロ様」

 

「ん?ガンマか。どうした?」

 

俺が自室で本を呼んでいる中現われたこの藍色の髪エルフの名前はガンマ。

彼女はさっき言った、俺とシドに治療され、さらに直接戦闘技術だったり、地球の知識(彼女等は陰の叡智と呼んでいる)を教えた七人の仲間達の一人である。

ちなみに前世の知識に関しては、ご存知のお洒落な座り方でシドが語っていたが、そのどれもが途中からフワフワしていたので、そういうところは俺が補足して説明した。

 

「シャドウ様の姉君、クレア・カゲノー様が教団の者に拐われました」

 

「え、クレアが?」

 

「はい、おそらくクレア様に『英雄の子』の疑いをかけたのかと」

 

あのクレアがねぇ。

 

悪魔憑きだって話は聞いてないし、結構俺のとこ来て勝負挑んできてたけど....あっ、そういえば、シドがクレアに魔力暴走みたいなのが出たからそれを抑えたって言ってたな。

それがどっからか漏れて、今回狙われた感じか。

 

しかし、あれが英雄の子?あのSっぷり、どう見ても悪魔の生まれ変わりだろ。

 

「それを伝えにきたってことは、助けに行くわけだよな?」

 

「はい。今回の件には教団の幹部クラスの者も関わっているようなので、念のためシャドウ様やゼロ様にご協力を」

 

「了解。実行は今日の夜?」

 

「その予定です。しかし、奴等の本拠点が複数ある内のどれなのかが絞りきれておらず。現在その暗号の解読を──」

 

「いや、場所は分かってる」

 

「え?」

 

俺は宙に、ここら一帯をマッピングした氷の地図を作り、ある一箇所に氷のナイフを一つ飛ばす。

 

「そこだ」

 

「ここですか?しかし、ここはただの洞窟で何も.....!!まさかっ!....やはり、ここに暗号のコピーと照合すれば辻褄が合う....流石です、ゼロ様!」

 

「別に大したことじゃない」

 

昨日、ここら辺を探索してる時に、見つけたアジトは片っ端から潰したし、他に隠れ家的な洞窟も無かったし消去法だ。

別にこれぐらい誰にでも出来るだろ。というか最強を目指すなら出来なきゃ駄目だ。

 

(余談だが、アジトには無数の罠だったりが張り巡らされているので、普通の者では一日で全部潰すなんて所業は不可能である)

 

「では、私はすぐにアルファ様達に伝えに...ひゃあ!?」

 

「!!」

 

帰ろうとした瞬間、いきなり何もないところでコケそうになったガンマを、一瞬で前方に回りその身体を抱きとめる。

その時、発展途上だが確かに感触のある胸が押し付けられるが、鋼の精神とポーカーフェイスで表情には一切動揺は出さない。

 

「っと、大丈夫か、ガンマ?」

 

「う、うぅ......ッ!?!??!も、申し訳ございません!!?」

 

あ、お前そんな急に下がったら。

 

すると、案の定カーペットで足を滑らせ、後ろに倒れそうになったので、今度は正面に身体を近づけ、後ろから肩に腕を回して阻止する。

 

そうこの子、知能とかは優れてるんだが、運動神経が全くと言っていいほどにない。

今のように何もないところでよく転ぶし、階段を歩いていると高頻度で踏み外す。

しかも戦闘センスも皆無でカカシを切らせようとしても、目の前にあるのに掠りもしないし、模擬戦闘では剣が手からすっぽ抜けたりするせいで、着いた二つ名は『最弱』のガンマ。

少し可哀想とも思うが....こればっかりはそう言われても仕方ないとも思う。

 

衝撃に備え、目を瞑っていた状態からガンマが戻り、その髪と同じ藍色の瞳と至近距離で目が合う。

 

「あっ....」

 

「まったく、気をつけろよ?」

 

「......」

 

「え、何で何処もぶつけてないのに鼻血出してんの」

 

俺はポケットからハンカチを取り出して、ガンマの鼻から垂れている血を拭う。

 

「あのなぁ、折角()()()()してるんだから、普段からもぶつけたりしないように大切にしろ」

 

「......」

 

「おい、聞いてるか、ガンマ?」

 

「....ぅ....い」

 

「ん?何だって?」

 

「....もう、限界.....」

 

そう言って、ガンマは鼻から血を流しながら気絶する。いや....!

 

「おい待て....『限界』ってなんだ!?何が限界だったんだよ!!事と次第によっては俺泣くぞ!?おい、ガンマ起きろ!ガンマさーん!....駄目だ、起きない」

 

えぇ、一体何が無理だったんだ....匂いか?それとも顔?もしかして、俺といることそのものが?そうだったら泣くどころじゃすまんぞ。

 

俺は少し、いや結構ショックを受けながらも、何故か幸せそうな顔して寝ているガンマをお姫様抱っこをして部屋の外に出て、他のメンバーを探す。

 

 

「......ゼロ」

 

 

「お、アルファか?ちょうどいいところ、にぃ....!?」

 

呼ばれて振り向くと、腕を組んで立ち、こちらを鋭い目つきで睨んでいるアルファの姿があった。

 

な、なんだ....この威圧感は......!

 

「....何をしているの?」

 

「え、えっと、ガンマがいつものようにコケたら気を失ったから、運んであげようかなぁ....と」

 

「そう....」

 

「あ、あのぉ....アルファ、何か怒ってない?」

 

「いいえ、別に怒ってないわ......お姫様抱っこなんて、私もしてもらったことないのに....

 

「え?」

 

「......とにかく、後は私がやるから、ガンマをこっちに渡してもらえる?」

 

「お、おう......ありがとな」

 

「構わないわ。それじゃあね」

 

そう言ってガンマを肩に抱えるとアルファは何処か不機嫌なまま姿を消す。

 

「......何がそんなに気に食わなかったんだ?」

 

────────────────────

 

舞台は変わって真夜中の教団アジト、いよいよシャドウガーデンによるクレア救出作戦が開始した。

 

襲いかかってくる教団員達を切り捨てながら進んでいくと、『七陰』の前に灰髪と()()の二人の男騎士が現れる。

 

「き、貴様等....一体....」

 

 

我等はシャドウガーデン

 

 

「ディアボロス教団の壊滅を目的とする者」

 

「我々は全てを知っている」

 

「魔神ディアボロスの復活。英雄の子孫」

 

「そして、『悪魔憑き』の真実....」

 

 

「ッ!!その名、その秘密を!何処で知ったッ!!」

 

二人の男は彼女達の言葉に激昂したように攻撃を仕掛けるが、連携した『七陰』達に反撃を喰らう。

追い詰められた二人は懐から赤い錠剤のようなものが入った瓶を取り出しそれを一粒噛む。

すると、彼等の魔力が膨大し、その力のままに暴れまわった後、突然地面に剣で穴を開け、そこから逃亡する。

 

「すぐに追います」

 

「いや、必要ないわ。この先には()()がいるもの」

 

「!!その為に別行動を....!流石はあのお二人です!!」

 

 

 

一方その頃、俺とシドは....

 

 

「「迷った」」

 

 

普通に地下の水路で道に迷っていた。

 

「おい、お前がやたらめったら敵倒そうと走り回ってたせいで迷子になったじゃねえか」

 

「いや、ゼロだって途中から()()()()のやる気になってたじゃないか」

 

「それはお前が、『より多く倒した方が最強だ』!とか言うからだろ。『氷結系最強』を目指す者として負けるわけにはいかねぇな!」

 

ここまでの会話で察しのいい人は気づくだろうが、こいつは今回の誘拐犯はディアボロス教団......ではなくただの盗賊の仕業だと思っている。さらに言えば、こいつはディアボロス教団が実在していることも知らない、というか信じてない。

 

シドにとって教団はあくまで設定上の存在で、アルファ達は自分の設定に付き合ってくれているのだと考えている。

一度、それはどうかと思って、アルファ達が探してきた資料とか証拠とかを俺が見せたんだが、『よく作られた小道具だね』と全く信じようとしないので、俺も諦めた。

 

「はぁ、はぁ....っ!先回りされていたかっ!」

 

そんな事を考えつつ、シドと責任の擦り付け合いをしていると、突然地下道の壁が崩れ、何やら身体のあちこちから血管が浮き出した化け物かぶれみたいな灰髪の男が現れる。

 

「あれなんか、少し強そうな奴が出てきたね。盗賊の親玉かな?」

 

「そだねー」

 

的外れなことを言うシドの事をテキトーにあしらっていると、俺は魔力感知にこいつとは別に地下道を走っている奴の反応に気づく。

 

「シド、もう一人いるっぽいから、俺はそっちに向かう。こいつの相手は任せた」

 

「了解。一応言っとくけど、やられないでね」

 

「誰にもの言ってんだよ....【氷翼(イカロス)】」

 

俺は自分の背中から氷で作った翼を生やし、反応地点に天井に当たらないよう高速で飛行する。少しすると、さっきの同じように膨張した身体の男が視界に映った。

 

「!!もう追いつかれたのか....!けど、一人なら負ける気はしねえ!!」

 

男はそう言うと、逃げていた状態から反転して跳躍すると、空を飛ぶ俺に持っている剣を振り下ろす。

俺はその一撃を翼を交差させて防ぎ、そのまま翼を翻し、相手の体を吹き飛ばすと、その余波で周囲へ冷気を纏った突風が吹き荒れる。

 

「ぐっ....!!」

 

相手が吹き飛ばされ、体勢を整えている間に翼を霧散させ、地面に降り立つ。

 

「貴様、一体何者だ!!」

 

お、お約束の台詞だな。ではこちらもかっこよく名乗らせて頂こう。

 

「俺の名はゼロ。シャドウガーデンの第零席。そして、お前等、ディアボロス教団を無に還す者だ」

 

「戯言をッ!」

 

「ただの戯言かどうか、試してみるか?」

 

いつものように、氷剣を数本射出する。

それを金髪は強化された身体能力のままにそれを全てはたき落とすと、俺に接近して剣を振り下ろす。

 

それをバックステップで躱して一旦距離を取る。

 

「魔力の剣を飛ばすだと....!まぁ、どういう原理かは知らないが、技術もない刃を対処することなど造作もない」

 

このぐらいの速度は処理できるか。このまま射出速度を上げるだけでも倒せるが....

 

「今回は少し趣向を変えてみよう」

 

俺はもう一度氷剣を目の前に出現させて飛ばす。だが、さっきと違い今回は一本だけだ。

 

「はっ!今更、そんな剣一本で何を....っ!?ガハッ!」

 

余裕な表情で男は飛んできた氷剣をさっきと同様に自身の剣で弾こうとした。

すると、氷剣がその剣を()()()()()()()()()()()()()

 

「な、何が....!」

 

「考えている余裕があるのか?」

 

「!!」

 

そのまま氷剣はまるで人が手に持って振るっているように、ひとりでに動いて男の剣とぶつかり合う。

 

これが俺が発明した新技、遠隔魔力操作。

普通ならば自分の手を離れた魔力はその操作を失うのだが、俺の魔法は特別で、遠くに行ってもある程度の操作が効く。

ただ、今の俺の射程距離は精々10メートルで、遠隔操作故に実際に自分で剣を振るうより剣術の質は少し落ちる。

だがまぁ、魔力があるだけで制御がまるで出来ていない今の相手なら十分だろう。

 

「クッ!....このっ!」

 

「案外粘るな。いいぜ、褒美だ。もう一つ追加してやる」

 

「なっ!?き、貴様ぁぁぁ!!」

 

二本に増えた剣を同時に相手取ることで、捌ききれず着実に氷剣によってその身体に傷が付いていく。

 

「ッ!!う、うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

男は何か覚悟をしたように叫び声を上げると、膨大な魔力を放出し、強化された力に任せて二つの剣を無理矢理弾き飛ばすと、その隙に俺の元に接近してくる。

 

「邪魔なものを無視して本体を叩く。悪くない案だが....」

 

突っ込んでくる男に合わせて、俺は地面、天井、両壁の四方向から無数の氷の槍を突出させ、男の身体を串刺しにする。

 

「ぐふっ!!?」

 

「俺に対してそれは通じないな。【氷龍】」

 

俺の背後に現われたのは名前の通り、氷で作られた飛竜。

 

「な、なんだそれは....!!」

 

「喰らえ」

 

氷の龍は磔にされた男を氷の槍ごと喰らいつき、その牙を男の腹に突き立て、苦悶の声を上げる男を咥えたまま奥の壁に急速に衝突する。

 

「.....ぐ、がぁ....!」

 

「......もう終わりか?」

 

「こ、この卑怯者め!アーティファクトの力ではなく正々堂々戦え....!!」

 

あ?こいつ俺の魔法がアーティファクトの力だと思ってんのか。

そもそも、散々人の命を弄んできたお前等が卑怯がどうとか言える立場かじゃないだろ。

 

俺は呆れつつも、男の体を拘束する氷を全て霧散させる。

唐突に身体の自由を取り戻し、ワケの分からないといった表情をする男に今度は手に持った氷剣を突きつける。

 

「どういうつもりで......」

 

「お前が言っただろ。貴方のその力には勝てないからやめてくれって。だから、俺も(こいつ)だけでやってやる。来いよ」

 

「〜〜〜ッ!!ただのアーティファクト頼りの雑魚が、調子に乗るな!!」

 

そう激昂すると、男は何か瓶を取り出し、その中の物を一気に飲み干す。

すると、さっきとは比べ物にならない量の魔力が溢れ出し、気づくと男の体がさっきの三倍程、剣もそれに合わせるように肥大化した。

 

「どうだ、恐れるがいい!これがこの俺の真の力だぁぁ!!」

 

「魔力が多いだけの木偶坊の何を恐れろと?」

 

「ッ!!死ねぇぇぇぇぇぇぇえ!!」

 

物騒な叫び声を上げて、男の繰り出す攻撃を時には躱し、時には受け流すなどして冷静に捌いていく。

 

確かにさっきよりも攻撃の威力も速度も高いし、魔力だけならアルファ以上だ。

だがやはり、魔力が多いだけで使い方はまるでなっていない上に、剣は技術も何もなくただ身体強化に任せて我武者羅に振るうだけ。

こんな全てにおいて無駄ばかりの攻撃を処理するなんて、誰でも出来る。

 

「クソっクソっ!何故だ、何故当たらないっ!!クソクソクソクソクソクソクソ!!」

 

「......はぁ、もういい」

 

全て楽に捌かれている焦燥からか一層攻撃が単調になり始めたので、無造作に振り下ろされた一撃をタイミングよくパリィして、そのまま相手の巨剣を切り刻む。

 

「あ....あぁ...!何なんだ、貴様は一体、何なんだッ!!」

 

「さっきも言っただろ。ゼロ、お前等、教団を滅ぼす者だよ.....だからそろそろ終わりにするか

 

氷剣を頭上に掲げ、その刀身に自身の濃密で洗練された強大な魔力を収束させる。

その魔力が高まっていけばいくほど、極低温の冷気が発せられ、周りのものが凍結していく。

その光景に男は言葉を失い、ただ呆然とそこに立ち竦んでいた。

 

「この一撃がお前たちへの反逆の狼煙となる....」

 

遂に魔力が完全に集約し、俺はその剣を振り下ろす。

 

 

「受け取れっ....!」

 

 

次の瞬間、解き放たれた尋常ならざる凍気の奔流が男ごと目の前に広がる地下道全てを飲み込んだ。

 

開けた光の先にあったのは、目に映るもの全てが凍りつき青氷によって覆われた極寒の凍土と哀れで醜い男の氷の巨像だけだった。

 

「.....この程度か」

 

俺は踵を返すと、ポケットに手を入れて歩き出した。

 

 

 

いやぁ、満足満足!!マジ最高!!これこそが俺がやりたかった最強ムーブ!!!氷結系最強らしい圧倒的蹂躙!あの金髪も俺がやって欲しい通りの動きをしてくれたし、これは上々のスタートだ。

 

待ってろ、ディアボロス教団....!これからもお前等には俺の道の踏み台になってもらう....!

 

 

 

 

 

 

あ、ちなみにクレアは、地下牢に閉じ込められていたので手枷を砕いて、そのままカゲノー家の前まで運んでおいた。いくらクレアでも女子を牢屋に放置するのはいかがなものかと思ってやったんだが......後で合流したシドは「別に置いといてよかったんじゃない?」と言っていた。

 

一応自分の姉なのに、アイツ....人の心とか無いんか?......無いか。

 

 

 





アンケートご協力ありがとうございます!とりあえずアルファとガンマは確定とさせて頂きますが、今のアンケートがある程度までいったところで、他のヒロインのアンケートを取ったりするかもしれないので、よろしくお願いします。
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