今回ちょっと長いです。それでも良いって方は是非読んでってください!
王女誘拐の容疑者になったシドが騎士団に連れて行かれ、学園の生徒全員に外出禁止令が敷かれてから五日が経ち、俺はシドを迎えに行くために騎士団本部まで向かっていた。
ちなみに外出することに関しては、涙ながらに学校側に頼みこんだら(演技)、迎えに行くだけだったらいいとのことで許可を貰えた。
「お、あれが騎士団本部か....ってあれ」
「────おらっ、さっさと行け」
「手間かけさせやがって」
「......」
俺は見覚えのある顔が、騎士団の門からパンツ一丁で締め出されているのを見えたので、そいつに近づく。
「......こっ酷くやられたな、シド」
「あれ、グラスじゃん。迎えに来てくれたの?」
「そうだよ。ほら、剣持っといてやるから、早くその服着ろ」
パンツ一丁でいるシドが通行人達に奇異の視線を向けられながらも服を全部着終わってから、俺は剣を返し、帰路に歩みを進める。
「全身打撲だったり刀傷だったりでボロボロな上に、最後には身包み剥いでパンツ一丁で蹴り出す....って、案外騎士団も盗賊も大して変わらないな」
「まったくだよ。今もずっと痛いし....もう二度と経験したくないよ」
────とまぁ、こんな風に言ってるが当然演技だ。シドが魔力を使えばこんな傷一瞬して元通りだ。しかし、そうしない理由は....
「(......見張りか)」
「(解放はしたけど、まだ疑いは晴れてないってことじゃない?)」
「(無能な騎士様だこと。てかお前、拷問されてたって割には嬉しそうだな、Mなの?)」
「(いやぁ、痛みつけられる度に悶えたり泣き喚いたりするっていうモブっぽい拷問のされ方が出来たからね!彼等には感謝しないとっ)」
「(ロールプレイも程々にな?)」
大体、尾行するにしてももっとバレないようにやれよ。何だあの探偵かぶれのロングコートと新聞って....ベタな格好するのは良いんだけど、あれじゃあ「俺等尾行してます!!」って言ってるようなもんだ。
そんな事を考えながら、シドと何気ない会話をしている風を装っていると、前から金髪をローブに隠した少女らしき人が歩いてくる。
「──────後で」
それだけ去り際に呟くと、そいつは俺達の横を通り過ぎて行く。
背後からの微かな断末魔を聞きつつ、俺とシドは止まることなく足を進める。
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自室に戻った俺は制服の上着と靴だけ脱いで、ベッドにダイブする。
すると、突然ベランダの窓が開いて風が入ってくる共に、俺はベッドから頭だけ起こして見ると、腰まで伸びた長い金髪と綺麗な青い瞳をしたエルフ────アルファがベランダの柵に寄り掛かっていた。
こんな感じでシャドウガーデンの皆は普段は各々が自分の領域で仕事をしているのだが、定期的に当番制で報告に来てくれる。
「────よっ、アルファ。さっきぶりだな」
俺が声を掛けるとアルファはベランダから部屋に入ってきたのだが....
「いや、なんで制服?」
「ちょっと学生の気分を味わってみようと思ってね。似合ってるかしら?」
「すげえ可愛い。正直今すぐ抱きしめたい」
「っ、あ、ありがとう....でも、それは恥ずかしいから、やめて頂戴....」
俺が素直に褒めるとアルファはその白い肌をほんのり赤く染め、照れた様子で身体の腕を組んで身をよじる。そのせいで彼女の幼い頃より立派に成熟した果実が強調されて余計に魅力が増している。
「うん、可愛い」
「~ッ!!も、もう、揶揄わないで....!」
「ごめんごめん。でも本心だぞ?いやぁホント、アルファと恋人になれるやつが羨ましいわ」
「.........」
「え、何でそんな怖い顔すんの」
「......別に、なんでもないわ」
何が不満だったのか、アルファは拗ねた様子でベッドに座ると俺からそっぽを向いてしまう。
何か間違えたこと言ったか....?いやでも、昔好きな人いるかみたいに聞いたら、いるっぽい雰囲気あったし....駄目だ、分からん。
「......はぁ、貴方、そういうところは変わらないわね」
「多分だけど、それ褒めてないよな」
「さぁ?どうかしら」
「......まぁいいや。で、今回はどういう件で?」
俺の言葉にさっきまでの雰囲気は消え、真剣な表情に切り替わる。
「報告は二つ。一つは今回のアレクシア王女の誘拐、やはり教団の人間が関わっていたわ」
「やっぱりか。道理で騎士団が調べても何も出ないわけだ」
「そして、その首謀者は学園講師にして、次期ナイツ・オブ・ラウンズ十二席候補────ゼノン・グリフィ」
ゼノン先生?それってアレクシア王女の婚約者候補だったよな。となると、その結婚云々に関しても王女を手に入れるための計画の内だったってわけか。
「そして彼等の目的は────」
「『王族の血』か」
「ご明察」
昔から王女の政略結婚相手が実は悪いやつだったときの定番の展開だしな、大方『お前の血があれば、俺はラウンズに昇格できる!』みたいな感じだろ。しかし、血が目的となると王女様は監禁されてまだ生きてる可能性が高い、よかったよかった。
「で、二つ目は?」
「このままだと、シャドウ────シド・カゲノーが王女誘拐事件の犯人として処刑されるわ」
「......そりゃそうか」
騎士団の名目上、ごめんなさい見つかりませんでしたじゃ済まされない。国民からの信用が揺らがないようにするには、表面上だけの犯人をでっち上げて見せしめにするってのが無難だろ。しかもそれが、田舎の下級貴族なら尚更都合がいい。
ほんとこういうとこは変わんないな......異世界に来ても
「それを阻止するためにも、今夜すぐ作戦を実行するわ」
「了解。ちょうど俺、シャドウに呼び出されてるから、準備が出来次第、使いを送ってくれ」
「分かったわ」
そう言うとアルファは立ち上がり、一瞬にしてスライムスーツを身に纏うと俺に背を向け、窓から外に出ようとする。
「ところで、シャドウを拷問していたあの二人....先に消しておいてもいいかしら?」
「いや、彼奴等は俺が処理するから手を出すな」
「!!そう....手伝って欲しかったら言って。デルタもいるから」
「デルタ来てんのか」
「貴方に会いたがってたわよ」
そう言い残し、アルファはベランダから飛び降りていった。それを見てから俺も準備を始める。
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「おい、シドこれもうちょいこっちの方が良くないか?」
「うーん....でもそうしちゃうとこの部分に隙間できちゃわない?」
「あー、確かに」
今俺達はシャドウの部屋で、こいつが集めた(ほとんどが盗賊から盗んだ物)『陰の実力者コレクション』っていう、なんか高級そうな酒や宝石だったり、何がいいのか分からないけどなんか凄そうな絵画なんかをどんな風に設置するか二人で吟味していた。ちなみに俺がこいつに呼び出されたのはこれが理由だ。
「じゃあ、これ置いてみるか?」
俺は氷の魔力を使って、青氷の薔薇の花瓶を作り、空いたスペースに置いてみる。
「お、いいね〜。じゃあ、今度は氷の剣出してここに立てかけてくれない?」
「了解〜。ほいっと」
「うんうん、いい感じ。いやぁ、やっぱり便利だね、君の魔法」
「こういうのに使うための魔法じゃないけどな」
とは言いつつも、実は裏でこの氷細工で一儲けしていたりする。
「よしっ。後はここに手紙を
シャドウはやけに発音良くテーブルのグラスの下に手紙を挟む。
「それ、内容はなんだ?」
「呼び出し。差出人不明、何時に何処に来いとだけ書いてある」
間違いなく罠だな。てか場所と日時だけ書いてある差出人不明の手紙になんて、普通従わないって思わないのか。尾行も杜撰だったし、案外教団も抜けてるな。
「そろそろベータも来るから、それっぽい感じで準備しておこっか」
「あぁ....昔のアルファの時みたいな感じね」
シャドウは部屋の明かりをアンティークランプだけにして雰囲気を整えてから、部屋の真ん中に置かれた豪勢な椅子に座り、手近に立てたテーブルの上のグラスに少しワインを入れて、それを持ってカッコよく回し始めた。
「じゃあ、俺はここだな」
俺はお決まりの仮面を着けて、ベランダの窓を開けてから、窓枠の側面に腕を組んで立つ。
「前から思ってたんだけど、その仮面何処で買ったの?」
「そういう感じの商品扱ってるいい店があんだよ」
「僕も欲しいなぁ」
「後で教えてやるよ」
そうして配置について少し立つと、部屋の扉が静かに開かれ、その綺麗な銀髪を窓から入ってくる風で靡かせながらベータは部屋の中まで歩いてきた。
「わぁぁ....」
お、ベータが部屋を見て目を輝かせている。流石ベータだ、このかっこよさが理解できるか....!
俺がそう感心していると、シャドウが口を開く。
「────時は来た。今宵は陰の世界」
「あぁ、月光が闇夜に微かに輝き、俺達を祝福してくれている....」
俺がいい感じにアドリブで合わせると、シャドウはベータに見えないところで俺にサムズアップする。
「......はっ!シャドウ様、ゼロ様。作戦の準備が整いました」
「....そうか」
「アルファ様の命により、動員可能な者は全て王都に集結させました。その数、114」
「....114?」
「っ!!も、申し訳ありません!今動員できるのはこれが最大で────」
「エキストラでも雇ったのかな....」
「えっ」
「えっ」
「......気にするな、ベータ。シャドウの
「は、はい....んんっ。────作戦は王都に点在するディアボロス教団....フェンリル派アジトの同時襲撃です。それと同時にアレクシア王女の魔力痕跡を調査。突き止め次第確保します」
『フェンリル』派ね......その名前、俺の技名に使おうとしてたんだが、敵の組織の名前使うのはやめておこう。
「全体指揮はガンマが、現場指揮はアルファ様が執り、私がその補佐。イプシロンは後方支援、デルタが先陣を切り開戦の合図とします。部隊ごとの構成は────」
「....これを」
ベータの話を遮って、シャドウはさっきの手紙を片手で開いてベータに渡す。
今の開け方かっこいいな....後で教えてもらお。
「これは....」
「デルタには悪いが、
「俺が奏でよう」
「えっ」
「ゼロ様が直々に....!?」
シャドウは素で声を漏らし、ベータは目を見開いて驚く。
「今宵が俺達シャドウガーデンの舞台の始鐘となる。ベータ、各員にそのことを肝に銘じさせろっ!!」
「ッ!!承知いたしましたっ!!」
ベータはそう言うと、急いで部屋から飛び出していった。
「......なんでさ」
「悪い悪い。少しやっておきたいことがあってな。それに....」
俺は姿勢を戻し、かっこつけようとしたのが上手く行かずに少し落ち込んだようにしているシャドウに告げる。
「始まりは、『
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突然だが、俺には人並みの感情がある。
ショックな出来事があれば落ち込むし、嬉しいことがあれば喜ぶし、ムカつくことがあれば怒りもする。
陰の実力者に不必要なものは全て切り捨ててきたシドと違い、夢に関係ないものでも欲しいものには必ず手を伸ばしてもきた。
一つの事を極め抜くことが出来ない半端者だと嘲笑ってくれても構わない。それでも俺は、手に入ったものは、必要でなくても手放しはしない。
中途半端と馬鹿にされようと、得たものは捨てずに、俺は『最強』に至る。そう、かつて決意をしたから。
少し脱線したが、端的に言うと....
「────俺達の頭を辱めたお前等には、それ相応の報いを受けてもらう」
相棒がやられれば、俺は普通にキレる。
俺は手紙にかかれていた場所に行くと、案の定シャドウを拷問した二人の男がそこにおり罠に嵌めようとしたのを理解する。
そこから俺はそいつ等の四肢を氷漬かせて壁に磔にし、その様を仮面越しに睥睨する。
「まず一つ」
氷の剣を二本出すと、これから何をされるか察したのか、凍りついた四肢をなんとか動かそうとする男達の右腕に突き刺す。
「「あがぁぁぁぁぁ!?!?」」
「二つ」
「「うがあああああああぁぁあ!?!!?」」
「うるせえな。鬱陶しいから塞いどくか」
両者の口を手で掴み、そのまま凍りつかせる。
「「〜〜〜〜〜ッッ!!?」」
「いい子だ」
そこから俺は左足、右足と次々と剣を刺し続けたが、刺す箇所が無くなり、両足を切断したところで男達の動きが止まり、なにかと思うと目から涙を流し、白目を剥いて気絶していた。
「....自分たちはシャドウに5日間拷問し続けていたってのに、いざ自分がされるってなったら数分でノックアウトか。まぁいい、もう飽きてきたところだし────死ね」
俺は心臓を刺して完全に息絶えた二人をつまらなそうに見下ろしていると、周囲から建物が崩れたような轟音が響く。
「デルタか....それじゃあ俺も行くとしよう」
────────────────────
『ガァァァァァァァッッ!!!』
土気色の肌をした赤い瞳の巨人は、アイリス王女によってつけられた傷を再生させながら、どこか嘆いているような雄叫びを上げ、目の前で剣を向ける騎士団を威圧する。
「なんだこの化け物はっ!!」
「アイリス様の斬撃でも再生するとは.....!」
「......」
燃え上がるような紅い髪をした女性、アイリスは目の前の化け物に鋭い視線を向ける。
その化け物の正体は教団によってディアボロス細胞を移植され、さらにアレクシア王女の血によって魔神ディアボロスの力を無理矢理顕在化された『悪魔憑き』の末期患者の少女、その成れの果てだ。
彼女は今も移植された細胞の強大な力に身体を蝕まれ、その激しい痛みで僅かに残っていた筈の理性も失い、ただ目の前の存在に襲いかかっている。
「ウ゛オァァァァァァァァァ!!!」
「ッ!!」
アイリス王女は叫び声を上げて向かってくる巨人に合わせて自身も前進する。そこから迫る巨人の巨腕を躱し腕を切断、そのままガラ空きになった巨体を横から壁に剣で突き飛ばす。
「....っ!」
終わったかと思ったアイリスの考えとは裏腹に、巨人は失った腕を直ぐ様再生させて立ち上がる。
「これでも再生しますか。それなら再生できなくなるまで切り刻むだけですッ──!」
さっき以上の魔力を自身の剣に込めて、再度目の前の化け物に攻撃を仕掛けようと足に力を込め────
「────それが苦しめるだけだと、何故わからない」
突如の聞こえた声に思わず足を止め、上から聞こえた声にアイリスは視線を向ける。そこには悠然と建物の上に長い金髪のエルフと奇妙な仮面を着けた男が立っていた。
「貴様等、何者だ!!」
「名乗るほどの者では────」
「アルファ」
「あ、言っちゃうのね....んんっ、俺の名はゼロ」
男の方は一瞬驚いたようにしたが、一度咳払いをして答えると、その二人はそこから飛び降りてアイリスに背を向け、巨人に向き合う。
「ここまで侵食が......大丈夫?」
「問題ない」
二人は何やら会話をすると、男の方が化け物に近づこうとする。
「貴様、何をやろうと....!」
「動くな」
「ッ────!!」
アイリスが声を上げようとした瞬間、男が発した、そのたった一言に気圧され口を噤む。
そうして周囲が押し黙ると、男は何故か動かないでいる巨人の元まで歩みを進める。
「ここまでよく頑張ったな....お疲れ様」
そう呟き、男が化け物の巨体に触れた瞬間、とてつもない量の蒼き魔力が男から発せられる。
「なっ!?何なの、この信じられない量の魔力は.....!!」
アイリスが驚いているのも束の間、溢れ出る膨大な魔力は化け物を中心に渦巻き、発生した冷気によって化け物の身体が凍りついていく。エルフはその光景に微笑を浮かべ、化け物もさっきまで暴れていたのが嘘のようにじっとしている、それはまるで自分の終わりを潔く受け入れているように思えた。
そして....
「──────
収束した魔力の光が天まで立ち上り、その余波で凄まじい突風が吹き荒れ、全員の視界を周辺一帯ごと溢れ出た冷気が包み込む。
突風が止み、アイリスがなんとか目を開けると白い霧が辺り視界をを埋めつくし、その中に二人分の影が微かに映る。
「観客は観客らしく、舞台を眺めているだけで満足していなさい。我ら、シャドウガーデンの邪魔をするな」
「っ!!」
その言葉がアイリスの耳に確かに聞こえたと同時に、白い霧を吹き飛ばす強風が吹き、止んだときにはそこに二人の姿も化け物の姿もなかった。
「あの怪物を消し去ったと言うの....?あの二人....それに、シャドウガーデンって....いや、今はそんなことより、アレクシアを....!」
アイリス王女は頭に浮かんだ疑問を一度頭の隅にやり、足早にその場を後にする。
────────────────────
アイリス王女の元から離れてから、さっき
「────ゼロ様ー!!」
あっ、この声は....
そう思ったのも束の間、正面からとてつもない勢いで黒い物体が俺の腹に突撃してきた。
うおっ!危ない危ない。警戒してなきゃ後ろに倒れてたな。それはそうと....
「久しぶりだな、デルタ」
「はいなのです!!」
俺の腹にしがみついた状態でデルタは顔だけ上を向いて元気に返事をした。
この子はデルタ、昔俺が直接治した子で『七陰』の一人だ。獣人だからか気性が荒く、治そうとした時も皮膚が爛れた状態で俺に襲いかかってきたので、それを軽く返り討ちにしてから治療したら、凄い懐いた。
大人になった今でもそれは変わってなくて、昔みたいに俺を見かけるとこうやって抱きついてくる。結構発育もいいので役得だと思っているのだが....毎回こっちをぶっ飛ばす勢いで飛んでくるのはやめて欲しい。
「ねぇ、ゼロ様っ!!」
「ん?どうした、デルタ」
「デルタね、いっぱい悪い獲物を仕留めたのですっ!!」
「おー、それは凄いな」
「だから、ゼロ様に褒めて欲しいのです!!」
「そうか。よくやったな、デルタ」
「~~♪」
俺が頭を撫でてやると、デルタは気持ち良さそうに目を細め、さらに自分の頭を俺の手に擦り付けてくる。
喜んでる喜んでる。髪の毛が犬の尻尾みたいにブンブン揺れてるし。あっ、風圧でちょっと体浮いた。
「はぁ......ゼロ、あまりデルタを甘やかさないで」
「そうですね。デルタが暴れたことで町の建造物に余計な被害が出てしまいましたから」
アルファとベータがそう言うと、デルタはあからさまに落ち込んだようにして、「くうぅん....」と喉を鳴らす。
「まぁいいじゃないか。その感じからしてデルタはもう叱られたんだろ?だったら少し優しくしてやらないと、やる気もなくなるってもんだろ」
「それはそうですが....」
「ゼロ様、ベータはデルタが撫でられてるのが羨ましいのです!!」
「なっ、わ、私は別にそ、そんなんじゃ....!」
「そうなのか?言ってくれればこんなのいくらでもやるのに。ほらこっち来いベータ」
「ふぇっ!?え、えーとっ、私は....そのぉ」
俺が手招きすると、ベータは驚き、顔を赤くしてアワアワし始める。
うん、可愛いな。アルファにデルタにベータといい、何でうちの子達はこうも可愛いのだろうか....もしかして、ディアボロスの力って美少女にしか適合しないのか?
俺がそんな考えに至っていると、突如王都の一ヵ所から人知を越えた魔力の光が立ち上ぼり、辺り一体全てを飲み込んでいく。
おおすごい威力....まったく、核で蒸発しないためには自分が核になればいいって、かなり無茶苦茶だけど....それでこそお前か。
横を見ると、七陰、いやシャドウガーデンの全員がその光に目を奪われている。
....シャドウ。今回の主役はお前だけど....次があったら今度は俺の番だからな。
そう思いながら、俺はシャドウが研鑽の果てに手に入れた『最強』を前にして、静かに笑みを浮かべた。
評価、感想よろしくお願いします!
→魔力暴走を制御する治療ではなく、ディアボロス細胞のみを凍結し、対象の状態を『ゼロ』に戻す。