氷結系最強になりたくて!   作:無銘のヲタク

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ちょっと、今回キャラ崩壊かも?


ケモナーにとって獣人は天敵

 

「はぁ....疲れた」

 

学園から出て、自分の宿までの道を隣りにいるシドと歩いている中、俺は口を開いた。

 

クレアとの第一試合が終わり、第二試合を無事棄権して、俺の選定大会は幕を閉じた....のだが。

あれから、色んな生徒から、声をかけられるのが多くなった。

 

『お前、あんな強かったのかよっ!』

 

『グラス君っ!私に剣術教えてっ!!』

 

『お前がクレアをやった一年だな?少し付き合え』

 

『お、おい!グラス、何で棄権したんだよっ!?あの後借金してまでお前に賭けたんだぞっ!!?』

 

『本当ですよっ!!どうしてくれるんですかぁっ!!』

 

同じ教室の人が俺に剣術指南を頼んでくるようになったり、特待生のクレアを倒した一年ってことで血の気の多い生徒が勝負を挑んできたりもした。

ん?最後の二人?さぁ、知らん。その後、明らかに怪しそうな黒服に連れてかれてたけど......アイツ等なら大丈夫だろ、なんだかんだしぶといし。

 

おまけに、生徒だけならともかく先生たちにも上のレベルの授業に参加しないか聞かれたり、選抜大会二回戦敗退なのに特別推薦枠でブシン祭に出てくれないかって頼まれたり、まじで面倒臭かった。

今回はあの二人のせいで溜まってたストレスを解消するためにやっただけだから、もうこれからは自分から目立つようなことはしない......多分。

 

ちなみに特別推薦枠はクレアに譲っといた。

伝統的な剣術を使う彼女こそブシン祭の舞台に立つに相応しいですよ、みたいな感じにテキトーに誤魔化したら、なんか先生方が感心した様子で承諾してくれたわ。

 

 

「お疲れー。大変だったね」

 

「何を他人事みたいな顔してんだ。お前もこうなった一翼担ってんだろうが....」

 

如何にも『私は何も関係ありません』みたいな顔しやがって。

 

「大体、何でわざわざあそこで俺に声かけたんだよ。モブなのに目立つだろ」

 

「いや、最近アレクシアの恋人(偽)になったり、事件の容疑者になったり、ちょっと目立ってからね。この機にグラスには僕より目立ってもらって、僕の影を薄くしようかなぁって」

 

おい。こいつ俺の存在感を強めて、相対的に自分を目立たなくしようとしてんな。

 

「でもいいのかよ。目立つ俺と絡んでたら、結局お前も注目されることになるぞ」

 

「強者の周りを取り巻く腰巾着キャラって、凄いモブっぽくない?」

 

「......なるほどな」

 

相変わらずブレないなこいつ。

よく考えたら、選抜大会の時もこいつ、一回戦でローズ生徒会長相手に『モブ式奥義』とか言って、わざと大げさに吹っ飛ばされる一芸みたいなのやってたし。

 

本人としてはメインキャラに一回戦であっさり敗れるやられ役モブを演じたつもりなんだろうが、こいつ自分が考えた一芸を全部見せたいとでも思ってたのか、一回では終わらずに血(糊)塗れになりながらも十数回は吹き飛ばされ続けてたせいで、周りの生徒には頑張って立ち向かってる感じで見直されてたし、ローズ会長に至っては、

 

『試合には勝ったが、気持ちの勝負は完敗だった......』

 

みたいに勘違いして、審判の判断で強制搬送になったシドを敬意の籠もった眼差しで見てたからな。

こいつには他人を都合のいいように勘違いさせる力でもあるのか?

何だその最強能力、俺にもくれ。

 

────────────────────

 

あの後、シドと別れて自分の部屋に入って、疲れた身体が導くままにベッドに倒れ込んで眠りに就こうと目を瞑った。

すると、突然身体の上に何か柔らかいものが乗っかってきたような感覚に目を開ける。

 

「────久しぶり、ゼロ」

 

俺の身体の上に跨り、紫紺色の瞳をした獣人の女の子がこちらを見つめていた。

 

こいつは()()()、【七陰】の第六席で二つ名は【天賦】。

 

元々金豹族本家の村長の娘、つまるところお姫様だったんだが、『悪魔憑き』を発症したことで、一族の分家によって処刑されることになり、娘を守ろうとした両親と弟一人と一緒に逃げて捕まりそうになったところを偶然居合わせた俺が助けてあげて、その時にシャドウガーデンやらなんやらを話すと、彼女は俺に忠誠を誓い、組織の一員になることになった。

ちなみに他の家族はシャドウガーデンの拠点で保護している。

 

 

「いやまぁ、確かに久し振りだな」

 

こいつ、いつも世界各地を一人で飛び回って諜報活動してるから、あんま他の【七陰】と比べて会うことないんだよなぁ。

 

「というか、お前帰ってきてたんだ」

 

「ついさっきね。あんまり会えてなかったから、寂しかった」

 

「お前、寂しいとか感じるのか」

 

「む、私のことなんだと思ってるの?」

 

「いや、いつも一人で行動してて、そういうのあんま気にしないと思ってたんだよ。だからそう拗ねるなって」

 

こっちをジト目で睨んでくるゼータを宥めるように彼女の綺麗な金色の髪を優しく撫でると、ゼータは心地よさそうに目を細める。

ふっ、獣人はこうやって撫でてあげればどうにでもなるって脳筋バカ(デルタ)で分かってるからな、チョロいもんだ。

 

「......なんか馬鹿にされた気がする」

 

「気の所為だ。それで何の用で来た?ただ俺に会いに来たってわけじゃないだろ」

 

「......それが一番の目的なんだけど......今日伝えに来たのは、最近捕まえた『人斬り』について」

 

あー、あのシャドウガーデンの名前勝手に使ってたクソ雑魚か。

 

「誰か判明したのか。大方教団関連の奴なんだろうが」

 

「正解。『人斬り』の正体は教団が生み出した尖兵、ディアボロス・チルドレン」

 

ディアボロス・チルドレン────魔力適性の高い孤児が教団の専門の施設で訓練を受けて、さらには教団に洗脳教育、薬物投与を行われたことで、そこら辺の騎士を遥かに凌ぐ力を得た....ってベータの資料には書いてあったな。

 

「まぁでも、今回はその中でも『教育』に耐えられなかった出来損ないのチルドレン3rd。洗脳で精神が壊れてて、まともに情報聞き出せるような状態じゃなかったってさ」

 

気楽に切り捨てられるような雑兵に、シャドウガーデンを名乗らせて人斬り活動ねぇ......普段隠れて活動してる俺達に、罪を擦り付けるって算段か。

 

「加えて最近、王都でネームドのチルドレン1st【反逆遊戯】のレックスが確認出来たって報告もあった」

 

そんな中、暗躍する教団の影....

 

「なるほど。世間様の目を俺達に向けて、自分たちはそれに隠れてコソコソ何かの準備をしてるわけだ。実に陰湿な教団らしい手口だな」

 

「近い内に何か行動を起こすかもしれないから、ゼロも警戒しといてって....ゼロならそんな心配いらないよね」

 

「ああ。何が来ても俺達の邪魔をするなら、消すだけだ」

 

俺の言葉にゼータは安心したように微笑む。

 

おお、今のセリフかっこいい。最強語録に保存しとこ。

 

「じゃあ、今回報告はそれで終わりか?」

 

「うん。だからもう行く......って言いたいところなんだけど」

 

「えっ」

 

そう言うと、ゼータは突然俺の胸板に顔を埋めて、スンスンと匂いを嗅ぎ始め、そこから肩、腕、足と順々に匂いを嗅いでいく。

 

「スンスン......やっぱり」

 

えっなに、やっぱりって。もしかして臭いのか?

おかしいな。さっきちゃんとシャワーは浴びたんだが....

 

「私達以外の雌の匂いが沢山する」

 

「えっ?」

 

「肩とか手とかそこら辺が特に。心当たり....ある?」

 

「心当たりって言われてもそんなの......あっ」

 

「......あるんだ?」

 

ゼータはいつもより少し低い声音で言うと、若干ハイライトが消えた瞳で此方を睨み付ける。

 

「いや、あのな......」

 

「答えて」

 

「お、おい。そんな躙り寄ってくるなって....えっとな、最近ちょっと目立つことがあったせいか....女子生徒と近寄られる機会が増えてな....」

 

「....」

 

「それで、剣を持つ手とか、座ってる時に肩とか、軽くボディタッチをされるように....」

 

「......」

 

俺の言葉をじっと黙って聞いているように見えるが、滲み出る負のオーラみたいなのが増大してくゼータに少し冷や汗が出る。

 

加えて、女子から告白されたりするようになったことは言わないでおこうかな、嫌な予感がする。(大正解)

 

というか、何で俺は浮気した彼氏みたいな詰められ方されなきゃいけないんだよっ!!

おいそこ、前世お前彼女いないだろ、とか言わない!

 

「だ、だが、断じて俺からは手を出してないっ!いやなんか手を出すって言い方は変か....?ま、まぁとにかくやましいことは何もない!うんっ!」

 

「......ふーん」

 

明らかに不機嫌といった様子で佇むゼータ。

 

すると突然、何を思ったのか、俺の体を抱き締めて体を擦り付けて始める。

 

「お、おいっ!お前、何を....!?」

 

「ゼロについてる雌共(女達)の匂いを上書きしてるの」

 

まるで意味がわからんぞっ!

今すぐ止めなさいっ!

 

てかこの柔らかい感触....こいつもしかして下着つけてないのか!?

獣人はそういうの着ないってのは聞いてたが....ゼータも同じだったのかよ....!

 

クソっ!耐えろ、グラス!!こんなとこで手出したりしたら......

 

『氷結系最強』ただし『変態』....

 

とかいう、クソカッコ悪いキャッチコピーがつけられる羽目になる!

 

そこから俺は、ゼータというとびきりの美少女の肢体が永遠と()り付けられるのを必死にただ我慢するという地獄の時間が続く。

 

そうやって目を瞑り耐えている中、俺が一瞬目を開けるとそこにあるものが映る。

 

それは金色で大きく、めっちゃフサフサしてるゼータの尻尾。

目の前に揺れ動くそれに俺は目を奪われる。

 

 

そもそも、俺は動物が好きだ。デルタに甘いのも若干それが関係している。

前世では家で、犬と猫、それぞれ一匹ずつ飼っていたし、暇さえあればその毛むくじゃらな体に顔を埋めていた。

 

まぁ、そんな俺が目の前でこんな立派な尻尾(モノ)見せつけられては、もう自制は効かない。

 

いや、駄目だ!落ち着けグラス。ここで手を出したら本当にまずい。いやでも、あまり帰ってこないゼータの尻尾....ほんのちょっとくらい触ってもいいのでは....

 

俺は好奇心と誘惑に耐えることができず、目の前のものに手を伸ばし......優しく掴んだ。

 

 

「にゃうっ!?」

 

 

掴んだ瞬間、体を擦り付けていたゼータの動きが止まり、全身を「ビクンッ!」と羽上がらせた。

 

おお....!この毛並み、素晴らしいっ!!

 

「ひゃんッ!?ち、ちょっと、ゼロっ!?何を....にゃぅ!?」

 

俺はもう片方の手も使って、上等な絹物を扱うように丁寧に繊細に、その尻尾をモフり続ける。

 

「ねっ、ねぇ!し、尻尾は、駄目なん、だって!ゼ、ゼロ?聞いてる....!?」

 

ゼータが何か声を荒げているが、今はそんなことより目の前の至宝を堪能するのが先決だ。

 

俺は今度は尻尾に顔ごと埋める。

 

「ひゃう!?ちょ、ひゃんっ!?本当に、お願ぃ....にゃあぅっ!?だ、だめだって....っ!」

 

うん、最高だ......

 

俺が尻尾を堪能していると、俺の腹の上で声を押し殺したようにしているゼータの頭に付いたモフモフした耳がチラっと目に映った。

 

今度はこっちも....

 

「ふにゃっっ!?」

 

ゼータはまた驚いたように体を震わせ、尻尾に至っては一気に真っ直ぐ立ち上がる。

 

おお、ここもモフモフだ....!

 

そこから俺は何やら口を手で押さえながら、体をずっと震わせているゼータを気にも止めずに、耳を優しくさすったり、尻尾に顔を埋めて頬擦りしたりと、堪能し続けていた。

 

「~~~~~~ッ!!?」

 

「(モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ)

 

────あっ」

 

俺はふと我に帰って、動きを止める。

 

「.....ハァ.....ハァ....」

 

視界に映るのは、顔が高揚し赤く染まり、毛は少しボサボサになり、何処か意識が曖昧で惚けた様子で呼吸を荒くしながら、ボーっと座っているゼータの姿。

 

あ、はい。完全に事案ですね。

 

終わった......俺の最強ライフ......

 

「......」

 

「っ!」

 

呆然としていると、惚けていたのが戻ったようで、ゼータは顔を下に向けた状態でベッドの上を這って俺に近づいてくる。

 

これ、絶対怒ってます。下向いてて表情分かんないけど、確実に怒ってる。

 

俺が心の内で怯えている中、ゼータは俺の目の前で体を止め、顔を俺の耳元まで近づける。

 

 

 

「────乱暴されちゃった

 

 

 

ビクッ!!!

 

耳元で聞こえたその囁きに、流石に動揺し、背筋がビシッと伸びる。

そして、ゼータは今度は目の前にその綺麗な顔を寄せてくる。

 

 

「私をこんな風にした責任.....ちゃんと取ってよね」

 

 

まだ若干顔が赤く、呼吸も荒い状態でゼータが妖艶な笑みを浮かべてそう言う。

 

ふーん、エッチじゃん....って言ってる場合かっ!

 

「せ、責任?何をすればいいかはわからないが、俺が出来ることなら()()()()するぞっ」

 

「.....なんでも?」

 

「あ、ああ!!」

 

「そっか......ならいいよ」

 

意外とあっさり、ゼータは俺の体から離れるとベッドから降りてそのままベランダの柵に跳び乗った。

 

「────ゼロ」

 

「ど、どうした?」

 

 

覚悟しといてね?

 

 

ゼータはそれだけ言うと、夜の闇に飛び立って行った。

 

俺......終わった?あれだけのことをした代償、一体何を要求されるんだ......

 

「ま、まぁ、何が来ようと絶対乗り切れるだろ!なんたって俺は氷結系最強なんだからなっ。は、はは、はははははっ........」

 

────不安だ。

 

────────────────────

 

「────ちょっと積極的過ぎたかな....」

 

僅かな街灯と月明かりだけが照らす暗い夜の町、そこを跳んで移動している獣人の少女。

 

「『なんでも』か....ふふっ。何して貰おうかな」

 

獣人の少女────ゼータは少しワクワクしたような表情で自分の主にするお願いを頭の中で夢想する。

 

「けど......まさかあんな反撃を食らうとは」

 

ゼータは一度足を止め、さっきまで飲まれていた快楽の感覚を思い出し、顔を赤く染める。

 

そして、ゼータはまだあの感触が残った自身の尾を目の前に持ってきて鼻を近づけると、そこにはいつも馴染みのなる自身の匂いの他に、自身が想いを寄せる()の香りがしっかり残っている。

 

少しの間そうしていると、再び体が火照ってきて、ゼータの顔に恍惚とした表情が僅かに蘇る。

 

 

「......今日寝れるかな」

 

 

────不安だなぁ......ふふっ

 

 





てことで、ちょっと危ない回でした。
文章変なとこあるかもですが、御許しください。
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