がっこうぐらし! 『誉れある死』獲得RTA   作:ハイカスカス

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ちゃんと帰ってきたので初投稿です。

お休みから帰ってきました。おかげでゆっくりできましたよ。
お知らせ周知用の投稿、およびあらすじ部分での説明は削除しました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。


悪夢は続くよどこまでも

 

日が昇り、だんだん校舎に光が差し込んでくる頃。

なんだかもう慣れてきたこの日常に少し辟易しながらも、人数分の朝食を作る。この生活が始まってしまってまだ1週間も経っていないことに少し驚くと同時に、もう慣れてきていることにも驚く。

人間というものは命の危機であれば適応してしまうんだな…などと少し上の空になっていると、後ろからドアがゆっくりと開く音がした。

 

「おはようございます理奈先生。朝食はまだできていないので少し…」

 

振り返ってみると、少し生気のない顔をした理奈先生が居た。

 

「…なんか顔色が悪いですけど大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ、ちょっと立ちくらみをしただけで」

 

「まあ、少し休んでいてください」

「じゃあ、お言葉に甘えてちょっと横になってるよ」

 

そう言って理奈先生は近くの適当な物を枕代わりにして横になった。立ちくらみをしただけであそこまでなるとは到底思えない。

…大体分かっていた。薄々感じてもいた。そうなると、やはり…

 

「おはようございます若狭さん…丈槍さんと恵飛須沢さんはまだ寝てるみたいです。朝早くからありがとうございます…」

「ぅん、おはようめぐみぃ…」

 

私を思考の海から引き上げたのはそんな会話。後ろを向くと、目を擦りながら佐倉先生が開きっぱなしのドアを潜ってきていた。

慌てて取り繕う。

 

「おはようございます佐倉先生。朝食は少し待っていてください」

「いえいえ、毎回ありがとうございます。すごい助かります…」

「気にしなくていいんですよ。私が好きでやっていることですから」

 

心配は、隠せているだろうか。

 

「理奈もおはよう。顔色が悪いし今日は休んでおいて」

「うぅ…ごめん慈、助かる…よっと…」

 

フラフラとした足取りでおそらく彼女の寝室に帰っていく理奈先生を見ながら本当にこのままで大丈夫なのだろうかと考えた。

 

「若狭さん、大丈夫ですか?」

「…あっ、だい、じょうぶです」

「帰ってきたら相談にのりますよ。私は睡眠薬を理奈に届けてくるので少し待っていてください」

 

そう言って薬の箱とペットボトルを片手に部屋を出ていく。

1人残された私は朝食を作る作業に戻った。

 


 

「理奈、大丈夫?」

 

薄暗いままの部屋に入り声をかける。ベッドの前で立ち尽くす理奈はなんでもないかのように大丈夫と言っている。

そんなわけはないだろう?度重なる無理、無茶、無謀…その結果がこれだとでもいうのであろうか。

 

「はい、これ。一応昨日取ってきておいた睡眠薬。よかったら飲んでおいて」

「わざわざありがとう慈」

 

市販の睡眠薬の箱を渡す。

理奈は箱を開けて薬を飲み、すぐに横になった。

 

「…辛かったら、相談して、ね?私たちは友達でしょ?」

「うん、そうだな…頼りにしてるよ」

 

「それじゃあおやすみなさい。今日もちゃんと休んでおきなさい」

 

立ち上がって部屋から出る。部屋から呻き声は聞こえてこなかった。

 

その後、朝食の時間にこのことについて相談した。

会議は踊る、されど進まず。

明確な結論が出ることはなく、時間だけが過ぎていった。

 


 

深夜、誰もが寝静まった時間。

こつりこつりと廊下を鳴らし歩く人影がある。妖しく輝く刀を片手に一本道を練り歩く。

固まった表情からは緊張からくるような初々しさでも微笑ましさでもなく、ただただ鉄仮面を付けているかのような冷たい印象を周囲にばら撒いていた

 

ぐるぐると視界を動かし何かを求める。

しばらく同じ場所を歩いていると鼻を鳴らして眠るように目を閉じて...

 

「あれ、なんで私こんな場所に...」

 

再び目が開いた時、その顔は困惑に満ちていた。

 


 

つぎの日。

なんだかりー先生がいろいろとまずいってことでみんなで話しあったけど、けっきょく上手くまとまらなかった。

 

でも…

 

「ふふふー、りー先生は何を描いてるのー?」

「こうやって絵を描くのもせがまれない限り無かったからなぁ…単純に何を描こうか迷ってるんだよ」

 

いま目のまえでペンを片手になやんでいる先生は、学校にいたときと同じようにみえる。

でも、あさではこわい夢を見たり、ねれなかったり、いろいろ大へんっていうことを聞いた。

 

おねえちゃんがこの前モールからつれかえってきた太郎丸がりー先生の周りをぐるぐるまわっている。

 

「それで、瑠璃は何を描いてるんだ?」

「うーん、うーんとね…」

 

がようしの上でさらさらとクレヨンを走らせる。

 

「これ!みんないっしょにいれたらいいなって!」

 

先生とゆきちゃんにかいていたがようしを見せる。そこにはりー先生、めぐねえ、おねえちゃん、ゆきちゃん…みんなをかいてみた。

 

ちょっとみんな形がくずれちゃってるけど、うまくかけたと思う!

 

「おー、上手い」

「りー先生、これ壁に飾ろうよ!」

「いいなぁ。画鋲とかどこにあったっけ…確かこの前見たんだけど」

 

近くのたなをあけてりー先生はがびょうをとり出した。

 

「あったあった。瑠璃、その絵もらってもいい?」

「うん!分かった!」

 

絵を手わたしてかべにはってもらう。

 

「うん…うん、ずっとこうなるといい、な…」

 

 

 

「ところでりー先生、どんな絵を描いたのー?」

「わたしも見たーい!」

「ゔっ、まぁ仕方ないか…」

 

「…まぁ、うん。いい絵だね」

「きれいだと思う、よ?」

「やめてくれ…そのフォローは心に刺さる」

 


 

教室の扉が開く音がした。

 

「…お、何をしてるんだ?」

「お、理奈先生。いやまぁ、ここ最近武器の手入れとかしてなかっただろ?だから血の処理とかをゆっくりやろうって」

「おぉ、いいねぇ…私もちょっと刀の手入れをしようかな」

 

そう言って理奈先生は私の近くに座った。

今ここに居るのは私、めぐねぇ、貴依といったよく戦闘を熟すメンバーだ。

主に使うのは皆シャベルなので、そこらに広げている予備も含めれば結構な量がある。

理奈先生が鞘から刀を出す。

 

「おぉ、見るたびに思うけど立派な刀ねそれ」

「いいよなぁそういうの。やっぱ憧れるよ」

「いいだろ?これ、私も家宝って言われて渡されたけどなんかよく分かってないんだよね」

 

太陽の光を反射して眩しく光る刀身は一瞬で皆の注目を集めた。

 

「なぁ、それ、少し持ってみていいか?」

 

興味に任せて言ってしまった。仕方ないだろ。あんなかっこいい物、誰でも持ちたくなる。

私はこの先、この選択を後悔するとも知らずにそう言ったのだ。

 

「いいよ。胡桃なら大丈夫だろうけど、刃には気をつけてね」

「っと…重い…っ!?」

 

持った瞬間、頭に流れ込む『ナニカ』。

冷や汗を流して、刀を取り落とす。呼吸は荒くなり、視界が狭くなる。

 

「胡桃、大丈夫!?」

「だ、大丈夫。ちょっと立ちくらみをしただけだ」

「それならいいんだけど…」

 

落とした刀は理奈先生に回収されていた。もし持つたびにあんなのが頭の中にくるのなら…私だったら、耐えられないだろう。

理奈先生が化け物のように見えてしまった。そんなはずはないのだ。あの優しい人が、やつらのような化け物なんてことは。

 

「あ、そういえばだけど食料とかは大丈夫なのか?」

「そっちの方は大丈夫です!いっぱい回収してきたので。コーヒーや紅茶なんかもありますよ?」

「帰ってきて確認した時はびっくりしたなぁ。袋とか箱いっぱいに詰め込まれてるんだから」

「ね、恵飛須沢さん…恵飛須沢さん?」

 

「ん?あ、あぁ。大丈夫だ」

 


 

「「あ、改めてありがとうございます!」」

「わざわざ言ってくれなくてもいいのに…人として当然の事をしたまでだよ」

 

一昨日、昨日とちゃんとお礼を言う機会が無かったので改めて2人でお礼を言う。目の前の恩人はなんでもないかのように軽く笑って流す。

それでも、あの時目の前に飛び出して私達を守ってくれた姿は目に焼きついたままだ。あのままだったらあいつらに噛まれてしまった圭はもちろん、私もそのまま死んでいただろう。

だから、感謝してもしきれない。

だけど、なんだろう、この感じは。

 

目の前で交わされている会話も、どこか歪なように感じてしまう。

 

 

そう、歪んでいる。無理をしているような、そんな感じがするのだ。

 


 

日にちがが変わり、また新しい1日が始まった。昨日の夕食で今日の夜にあの地下室について説明してもらうことになった。

まぁ、それは置いておいて。今日は久々の曇天…いや、雨だ。

 

「雨、ね。確か残りの水も少なくなってきたしちょうどいいわ」

「浄化槽があってもどこかから水を引いてきているわけでもなかったですし、このままだったらペットボトルとかを使う事になってましたね」

 

そんな会話の中、隅で神妙な表情をしているのが1人。理奈先生だ。

 

「誰か、ちょっと一緒に来てくれないか?確認したいことが…」

「私が行くよ。私もちょっと慣れておかないと」

 

私がついていくことを示して先生の後ろをついていく。ちょうど2階の辺りで窓を見ると、大量のやつらがここに迫っている。

 

「なっ、何これ…!」

「まずい…!みんな!武器を持ってこっちに来てくれ!!」

 

悪夢が始まった。

 


 

唐突に始まった防衛戦。

 

「佐倉先生、大丈夫ですか!」

「正直、かなりキツいわ…!」

 

他の場所を見に行っていたであろう若狭さんが救援に来てくれた。

 

1階、玄関部に作っておいたバリケードは容易く突破され1階と2階を繋ぐ階段のバリケードまで防衛線を下げた頃。

普段は武器を持たない若狭さんやついこの前ここに来たばかりの直樹さんや祠堂さんも全力で対応しているが、正直物量に押されてなす術がない。

しかし、私は一つのの違和感を感じていた。

 

(どうして今ここにこんな量が…?もしや、何か理由があるの?)

 

シャベルやモップを駆使して元生徒をバリケードから引き剥がすが、すぐ後ろの元生徒がバリケードに取り付いてくる。

 

「まず…!」

「危ない!」

 

手を取られた祠堂さんの手を掴み、こちらへ引っ張る。

祠堂さんも若狭さんもまだ戦い慣れているとはいえない。こういった事故が起こってしまうのは仕方がない。

幸いバリケードが倒れることは無かったが、ほんの一瞬引き剥がす手が緩んだ。

その一瞬、元生徒が雪崩れ込む。机を補強したバリケードは揺れ始めた。

 

「若狭さん危ない、下がって!!」

「くっ…」

 

幸いすぐにバリケードから離れたため下敷きになることは無かった。

しかし、それはつまりここの防衛が崩されたということ。廊下に大きな音が響く。

 

「すみません、こっちが崩されました!3階に上がります!」

 

「っ、向こうがもう限界っぽい…私たちも下がろう!」

 

未だに腰が抜けたままの祠堂さんを連れて3階へ上がる。

バリケードの前まで来て防衛の準備を整える。

 

「すみません、さっきは助かりました…」

「気にしないで。大人として、当然のことをしただけだから」

 

階段を挟んだ関係で多少は少なく見えるが、それでも数が多い。このまま続けてもジリ貧になるだけ。

シャベルを無我夢中で振りながら策を考えるも、何も浮かばない。

 

「バリケード裏まで下がろう!他ももう限界だ!」

 

その声に従いバリケードを潜る。

 

「何か...何か方法は...!」

 

目の前で若狭さんがそう呟く。全員が必死だ。

考えろ、考えろ佐倉慈…この状況を打破する方法を…!

しかし、現実は待ってはくれない。ついに最後のバリケードが…崩れた。

 

「も、もうこっちは限界です…!」

 

情け無い。その一言に尽きる。なんとか押し留めるが、それでも押されていく。

 

「四の五の言ってられないか…貴依、こっちは私1人で抑える!他に回ってくれ!」

「いやだ、ここで離れたらまた先生無茶するだろ!?」

 

あぁ、理奈の声は聞こえてくる。他のみんなもなんとかその場で押し留めている。

ここでなんとかする策を考えなければいけない。何か、何か…

 

「もうこんなところまで来たのかよ...!」

 

恵飛須沢さんの声が聞こえてくる。

 

『確かに、その辺りの時間から私の所にくるやつらが多くなった気がするな』

 

記憶から引っ張り出せ。

 

『なんか静かですね…校舎内にはかれらもほとんど居ないようですし、昼とは凄い違いですね』

 

何か、ここを切り抜ける方法を…!

がらがらの食堂と大量に居たという証言。毎朝、ぞろぞろと学校へ集まる元生徒。夜間には静まり返る校内。音に大きく反応する性質。

 

『ああ、生前の行動に基づいているって考えると、外に出払っているのかもな…』

 

「…やってみる価値はあるはず…!」

 

すぐに後ろに駆け出し、放送室の機械を起動する。幸いどこも壊れておらず、すぐに放送が可能な状態になる。

 

「下校時刻になりました。校内に残っている生徒は速やかに下校してください。繰り返します_____」

 

ほんの少しの可能性に賭けて、声を出す。何度も、何度も。

この部屋のドアを叩く音がしないように願いながら。

 

 

しばらく経つと大きな音がしなくなり、どさりという音が聞こえてきた。

安心感と達成感で腰が抜けるが、気合いでもう一度立つ。

そして廊下に出て皆を労う。悪夢は終わった。そう思っていた。

 

扉を開けると、理奈が倒れていた。急いで駆け寄る。

 

「ちょっ、理奈!?大丈夫!?」

 

…別に死んでしまったというわけではないらしい。身体中の生傷から少し血が出ているが、その程度で無事なようだ。

 

「さて、私は先生を担いでいくからみんなは先に戻っておいてくれ」

「はい、ありがとうございます恵飛須沢さん」

「いいって。理奈先生をこのまま寝かせておく方が危ないしな」

 

その言葉に甘えて片付けに戻ろうとする。

 

「う、ぐぅァ」

「ん?どうした先生?」

 

呻き声のようなものが聞こえて振り返る。

 

「...」

「うわっ!?なにすんだ先生!」

 

そこでは、理奈が恵飛須沢さんに蹴りを入れていた。シャベルを間に噛ませてなんとか受けたようだ。

 

「理奈!?なにをやって...」

「めぐねえ危ない!近づくな!」

 

悪夢は続く。

 

理奈の目はいつも見ていた親友のものではなく、何かの化け物のようであった。足が竦む。どうにかして止めなければと考えている内に、視界の端を何かが疾った。

 

「あぁっぐ、く、痛い...」

「だ、大丈夫ですか!?」

 

恵飛須沢さんが吹き飛ばされていた。刀で斬られなかっただけ良かった、と考えるべきだったかもしれない。

 

「理奈先生、止まって!!」

「!、私も手伝う!」

 

腕を庇っている。これは…もしかしたら…

 

「恵飛須沢さん!大丈夫ですか!!とりあえず処置を..!」

「いったい...だ、だいじょう...ぐっ」

 

 

 

 

気づけば、騒動は終わっていた。理奈は満身創痍で倒れ伏し、柚村さんと祠堂さんは息を切らせながらしゃがみ込んでいる。

若狭さんたちは理奈の周りで介抱をしている。私は、何かできただろうか。親友も止められず、生徒も守れず私は、私は…

 


 

怖い。得体の知れないものが。

怖い。豹変したその姿が。

怖い。あの優しい笑顔が。

 

だから逃げた。なりふり構わず。

仕方がなかった、なんて言い訳を心の中で並べて。

 

「急に走っていっちゃったけど…だいじょうぶ?」

 

だから天使のように見えた。光の中で手を伸ばすあなたの姿が。




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