It is calm and it is a passionate magic boy. 作:桜井舞人
前回のあらすじ。
魔力反応を調べに行ったら、一人と一匹発見。
彼女達の動向を探るために、潜入捜査を始める…
まずは…
「デートか…」
「違います。」
いきなりコントをしている叶と月詠。
「男と女が二人で逢引なんてデートじゃないか。」
「前提が間違っています。二人ではありません。
そんなふざけていると、使い魔に噛み殺されますよ。」
「アルフ君にか…それは困る。」
「とにかく、急ぎましょう。もうすぐ刻限です。」
学校が終わってからもう10数分。
急がないと公園に着く頃には3時を過ぎてしまう。
「ちょっと叶!何処に行くのよ!!」
こ・こ・で・邪・魔・が!!
ってアリサかぁ…
「ちょっと野暮用があってね…何夕飯までには帰る。」
すると少し考えるアリサ。
何を考えているかわからないが、こっちには時間がない。
さっさと行ってしまおう。
「じゃぁ、また後で。」
「待ちなさい!と、特別に私もついて行ってあげるわ。」
な、なんだってー!!
「いや…ついて来ないで欲しいんだけど…」
「なんでよ!」
「いや…だから、野暮用なんだって。」
「む~!怪しいわね…」
アリサ君…女の子と会うのに、女の子を連れてはいけません。
というか、魔法関係なんでよけいに無・理。
と、考えていると…
「アリサちゃ~ん!」
すずかちゃんが走ってきた。
「何よすずか。」
「何って、塾だから迎えに来たんだけど…」
あっ!という顔をするアリサ。
よっし!!よ~し、よしっ!!
ナイスすずかちゃん!!
するとすずかちゃんがつやのある唇を僕の耳まで顔を近づけて…
「貸しだからね♪」
と小声で囁いた。
コクンと頷いたてアリサを見たら、真っ赤な顔をしている。
はてな?一体どうしたんだろう…
「叶!アンタって奴は!!」
「なにゆえ!?」
いきなり怒られた!
なぜ!?
訳もわからずまま走って逃げ出した。
振り向くと…クスクス笑うすずかちゃんとなのは。
よし、二人には今度たっぷりと御礼をしよう…たっぷりとね…
(そんなことはどうでもいいですから、急いで下さい。
あと10分です。)
(げ、本当に!?そりゃぁ急がないと!!)
「待ちなさ~い!!」
あぁもう!!アリサの奴、しつこい!!こうなったら…!!
「伏見君!この券あげるから、アリサから逃がしてくれ!!」
翠屋JFCのキーパー、伏見君にお願いすることにした。
「あ、あぁ…わかった…でもこの券って…」
「この前できたばかりの水族館!マネージャー誘ってあげなよ!
じゃぁ、よろしく!!」
手を上げて、公園へと走る僕。
これで間に合えばいいなぁ…
(その前に、変装はして下さいよ、マスター。)
(む、了解した。)
変身魔法を使いながら、フェイトの元へ急ぐ。
変身といっても、顔に傷を作ったりするだけで、顔はあまり変えてない。
まぁ、ようはあまり顔を見えないようにすればいい。
「はぁ…なんとか着いたな…」
「2時56分…ギリギリですね。」
「時計台の下にフェイトは…いた。」
「でも、使い魔の姿が見えませんね…」
確かに…あの犬の姿が見えない。
一体どうしたのだろうか。
まぁ、何はともあれ…
「待たせたな、フェイト…」
声をかけた。
すると顔を上げて、僕を見上げて…
「いえ…まだ時間ではないですから…」
「ふむ…そう言って貰えると助かる。
では…移動するかい??それとも…ここで?」
「私はどちらでもいいです。」
「ならば移動しよう。こんな目のある所で話などできん。
適当な喫茶店にでも行こう。」
「わかりました…アルフもそれでいいでしょ??」
「あたしはフェイトの言うことに従うよ。
でも…あんたの言うことは聞かないからね。」
「アルフ?君が??そうか…人間の姿にもなれるのか…
なかなか綺麗じゃないか。」
「な、何をいきなり言ってるんだい!!
い、いきなり綺麗だなんて!」
顔を真っ赤にして…か、かわいい…
アリサもこれ位かわいければなぁ…
(え?十分かわいくありませんか?)
(性格が…だよ)
(アリサはこの手のお世辞で照れてなんてくれない…
ていうか、アルフ照れすぎ。いつまで頭振ってるんだ??)
(かわいいと思うのですが…まぁアルフについては同感です。)
「まぁ、喫茶店に行こう。おいしいお店を知ってるから。」
という訳で…
やってきました。
花菱家の元執事、那賀川(なかがわ) 秋一(しゅういち)さんのお店に。
この店…浪漫巣館(ロマンス)は、結果的に首になってしまった、花菱家の使用人達が働いている。
お金の使い道のない僕が、オーナーをしている。
コーヒーも紅茶も一級品。
特に売りなのが、スイーツである。
花菱家の料理長だった、瑠璃垣(るりがき) 倭(やまと)が腕を振るう。
特にケーキやタルトがお勧めである。
ちょっと場所がへんぴな場所にあり、知る人ぞ知る名店だ。
まさに、隠れ家と言える場所だ。
「マスター、個室借りるよ~。」
「おや??坊ちゃん、久しぶりですね…どうぞお使い下さい。」
「すごいお店ですね…」
「あぁ…アンティークな家具とか結構いいだろ?
紅茶とかもうまいからね…結構重宝してるよ。」
まぁ日常会話を続けていると…
那賀川さんがメニューとお水を持ってきた。
「失礼します。はい、メニューです。
御用がおありでしたら、ベルをお鳴らし下さい。では失礼しました。」
流石本職とあって、動きが洗練されている。
「さて…何を飲む??私はコーヒーを頂くが…」
「えっと…」
うーん…とすごく悩んで言う。
「えっと…お勧めとかありますか??」
「そうだな…ラズベリーティーソーダなんて面白いぞ。」
色々の味が4層に分かれる。グラデーションの綺麗な紅茶だ。
「じゃぁそれで。」
「わかった。アルフはどうする。」
「え!?あたしかい!?」
「当たり前だ…飲むんだろ?」
「え…よくわかんないからフェイトと同じでいいや。」
「わかった。なら頼むぞ。」
机に置かれた、小さなハンドベルをチリーンと鳴らす。
すると10秒経たずに那賀川さんがやってきた。
「お呼びでしょうか…」
「注文をお願い。
ラズベリーティーソーダを二つに、ローマン・エスプレッソ。
それと、チョコケーキとチーズケーキ。
それから、ショートケーキを一個ずつ下さい。」
ローマン・エスプレッソとは、エスプレッソにレモンがついているもの。
エスプレッソにレモンをひと搾りすると、苦味が丸く変化。
イタリアの家庭で親しまれているメニューだ。
「かしこまりました。では少々お待ち下さい。失礼します。」
「さて…飲み物がきたら本題に入ろう。」
「はい、わかりました。」
ここからが勝負だ。
(マスター早めに決めて下さいね。)
(ん?何でだ。)
(今日は夕飯までに帰るのでしょう?あと2時間半ですよ。)
(了解した。ちゃちゃっと終わらせよう。)
こうして僕らの心理戦、第二幕が始まろうとしていた。