It is calm and it is a passionate magic boy.   作:桜井舞人

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Ex-2 「死と偽りの愛情と」

「叶。そんな状態でどこに行く気だい??」

「任務です。そうしてた方が気が紛れる。」

「分かった。ゼストの事は任せてくれ。頑張って見せるから。」

「よろしくお願いします。ドクター。」

 

そういってラボを後にして、集合場所へと向かった。

集合場所には1096隊のメンバーと首都航空隊の人達がいた。

その中にはティーダ・ランスターの姿もあった。

 

「お久しぶりです。マスケラ執務官。」

「やぁ、ティーダさん。今日は頑張りましょう。」

「えぇ、違法魔導士の取り締まり……

しっかりやらないとしっかりやらないと地域の皆が安心できませんからね。」

「えぇ、その通りです。やりきりましょう。」

「そういえば……なんで1096隊が??」

「分かりませんが、局長の厳命のようでして。

なにかヤバイ奴でもいなきゃいいのですがね。」

「そうですね。」

 

隊長たちの打ち合わせが終わったようだ。

まずはタレこみのあったアジトをしらみつぶしに潰していく。

逮捕して護送。

それの繰り返しという事になった。

潜入、突撃は1096隊する事になった。

周りを固め、逃げ道を無くすのがティーダ達首都航空隊だ。

 

1つ目。

古く寂れた洋館。

中に人の気配はなく、とてもいるように思えない。

 

「マスケラ。スキャンしろ。」

「Yes, My Lord.」

 

スキャニング結果、地下施設があり、そこに何人かがいる事が分かった。

 

「特務隊、これより潜入を開始する。マスケラ先行しろ。」

「Yes, My Lord.皆さんこちらです。」

 

隠し扉はコンセントカバーを上にスライドし、長い棒でスイッチを押す。

するとクローゼットの床が動き、隠し階段が見つかった。

 

「ヘッ、からくり屋敷かっつーの。」

「見たまんまじゃん。」

 

同僚のルーフ・ケーニッヒとランドローバー・ベントレーは潜入という言葉を知らないらしい。

とにかく階段を下りていく。

 

地下室はおぞましい程の死体があった。

そして咽るほどの腐敗臭。

余りにおぞましく、地獄かと思うほどだ。

地面には白骨化した死体が山ほどあった。

全て幼い子供の大きさ。

こんな所に……いやココにしかいないだろう。

違法魔導士。

ファランクスの幹部ジャン=クロード・ユンケルは。

 

変態とも思える思考……性癖。

男女を問わず、見目綺麗な幼い子供達を犯し殺す。

臓物、顔、喉、性器、精神等を犯していく。

単なる異常者だったらよかったのだが、腕も立つのだ。

その為、局は対応に困っていた。

精鋭を送り込んだという訳だ。

 

「おやおや。ネズミがこんなにも沢山……

全くけしかりませんねぇ。

まぁ良いでしょう。

用こそ皆さん!我が研究所へ!!」

 

何が研究所か。

こんなのただの墓地に過ぎない。

 

「ですが、あなた方などにお相手してる暇はないのです。

悪いですが消えていただきますよ。」

 

何処から現れたのか分からないが、突然人が現れた。

その数実に30人。

そして全員Aランク以上という化け物たちだ。

 

「貴様………人造魔導士を作ったな!!」

「ッ!ご名答。一目で分かるとは流石だな、マスケラとやら。

これは我が兵。伊達に殺し続けてきたわけではない。

こうやって成果が出ているのだしな。」

 

その言葉に対のみんなが次々と罵倒していく。

 

「キチガイが。」

「マジキモイんですけど。」

「喋んな臭せえよテメー。」

「害虫には死を。」

「いくぞ、このような屑には拘束などという事はせん。

“殺せ”」

 

隊長の一言によって火蓋は落とされた。

管理局によって放たれた猟犬達が一斉に飛び掛った。

しかしあの兵隊達もなかなかやる。

この研究……バックアップをとっておこう。

 

「お兄さんは立ったままでいいのかな??」

 

突如後ろから声がする。

振り向くと鎌の先が迫っていた。

 

「悪いが私はサポート系でね。直接戦闘には向かないのだよ。」

「嘘ね、今の動きは達人のソレ。

悪いけど私に付き合ってもらうから。」

「断る。」

 

フープバインドを少女に仕掛ける。

 

「え??」

「クリスタルゲージ。そしてエルキドゥ。」

「ちょっと!?」

 

バインドがかかっている上でピラミッド型の檻を形成。

その中で更に、四方八方からのチェーンバインド。

少女は完全に動けなくなってしまった。

 

「そこが黙って見ていることだな。」

「解きなさいよ!解きなさいってばぁ!!」

 

その言葉を当然のように無視をしてユンケルに向き合う。

その顔は怒りに満ちていた。

 

「やるじゃないですか。アレは私の最高傑作の兵士なのですが。」

「あの程度がか??興ざめだな。」

「黙りなさい!!ックックック……ですがいい時間稼ぎでした。」

 

施設が稼動している!?

何をする気だ。

 

「逃げさせていた代来ます。猟犬には勝てる気がしませんから。」

「待て!!」

「追え、マスケラ。」

「こいつ等久々に手応えがありやがる。

遊んでからいくからとっととやっちまえ。」

「瞬殺。」

「さっさと行きなさい!あいつは航空隊じゃ抑えられませんよ!」

 

確かに止められないと思う。

 

「任務了解。これよりユンケルを殺害する。」

 

僕は洋館を後にした。

 

 

Side out

 

 

Side ティーダ

 

 

「隊長!!洋館から登録外の魔力が迫っています!!」

「よし、敵さんのお出ましだ。いっちょ歓迎してやれ。」

『了解!』

 

四方八方からの砲撃魔法。

これはきいたはず!

 

「ちぃ!害虫度もがぁ!!私の一張羅に埃をぉ!!死ねぃっ!!」

 

殺(・)傷(・)設(・)定(・)の魔法が仲間達を貫いた。

 

「アイシス!アルト!ゼット!!おのれぇ!きさまぁぁぁぁぁ!!」

「駄目です隊長!!そんな真っ直ぐな動きじゃ!!」

「部下の言うとおりです。

雑魚ならば、蟻のように群れてから向かって来いと言うのです。」

 

隊長の心臓が貫かれていた。

 

「たいちょぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

「ただで死ぬかよ……テメーも死にやがれってんだ。」

 

零距離からの収束砲撃。

光が二人に包まれる。

爆発と共に僕は二人を見失った。

 

煙が黙々と立ち込める。

少しずつ晴れていく。

人影は一つ。

それは……

 

 

“隊長ではなかった”

 

 

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

「うるさいですね。貴方も死にますか??」

 

敵から放たれたのは質量武器の弾丸。

肺を貫く。

腸を貫いた。

 

ティアナ……ごめん、帰れそうにないや。

ごめん………な。

 

 

 

Side out

 

 

 

また僕の前で、人がやられていた。

 

「ティーダさん!!」

「ま、マス……さん。妹……たの、ます。」

「待て、待ってくれ!!ティーダさん!!」

 

彼の呼吸は止まった。

体が熱くなる。

心臓が高まる。

血が早くなる。

魔力が高まる。

脳裏で誰かが叫んでいる。

殺せ!殺せ!!殺してやれっ!!!!

 

あぁ、殺してやる。

 

「さて、ここでおいとまs……ゴフッ!!なんで??」

「死ね。」

「私がつらぬか」

「死ねっ!!」

「ありえな」

「死ね。死ね、死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね!!

死ねぇぇぇぇぇっ!!!!」

「マスターもういい!!」

「死ねってんだよ!!」

「もう死んでます!!」

「死ねっ!!」

「マスターッ!!!!」

 

「んぐ……はぁはぁはぁ。」

「マスター……」

「また……また、守れなかった。」

「マスター、しょうがない。最善は尽くしてきたはずです。」

「でも!……………守れなくちゃ、意味がないっ!!!!」

「マスターしばらく休みましょう。ねっ。」

 

こうして今回の任務は終了した。

拿捕した数0。

殺した数79名。

猟犬らしい数字だった。

 

が、事件終了後のとある上官からの発言が問題となった。

 

「犯人を追い詰めながらも逃すなんて、首都航空隊の魔道師としてあるまじき失態だっ!!

たとえ死んでも取り押さえるべきだった!!

任務を失敗するような役立たずはっ、あべしっ!!」

 

ムカついたのでぶん殴ってやった。

 

「貴様これ以上死者を冒涜してみろ……ぶっ殺すぞっ!!」

「な、何だね君はっ!!」

「マルコム・スタンザ……貴様の犯してきた罪のほうが恥知らずだ!!

議長!!私マスケラ執務官はこちらを提出します!!」

「いいでしょう。見ましょう。」

 

10分後。

 

「拝見しました。大変面白い情報です。

今回のこちらをの情報からマルコム・スタンザには偏狭世界勤務。

および降格を命じます。」

「そ、そんな馬鹿な!ありえない!!」

「それからマスケラ執務官。君にも謹慎を命じます。いいですね。」

「覚悟の上です。」

「よろしい。両名には改めて通知を送ります。では。」

 

このようなことが起きた。

そこには当然、ティーダの唯一の肉親。

妹のティアナがいた。

頼むなんていわれてもな。

これしかないな。

 

「君がティアナ・ランスターだね。」

「あっ……さっきの。ありがとう御座いました。」

「いい。ムカついたからやっただけだ。

それより君の今後の事なんだが……

俺の保護を受けるか、それとも施設に行くかどっちがいい??」

「え??」

 

驚きの表情を見せた。

まぁ当然だけどね。

 

「君の兄とは割りと仲良くしてもらっていた。

最後に会話をしたのも僕だし、君を任されたのも僕だ。どうする??」

 

数秒考えた後に、彼女は微笑んでこういった。

 

「貴方について行きたいです。」

「ありがとう。じゃあこっちだ。」

「はいっ!」

 

このときやっと久し振りに笑えた気がした。

 

こうして僕とティアナの共同生活が始まった。

ミッド郊外にある仮住まいに一緒に住んでいる。

といっても僕は表の生活もある。

帰るのは週2・3度が限度だった。

正直心苦しい。

だから帰れない日はゲンヤさんに預けた。

 

「マスケラ……今の俺に預けていいのか??」

「貴方にしか任せられない。

僕は今でもクイントさんの行方を追っています。

あの人はそんな簡単に死ぬ人じゃない。

そう……信じてますから。」

 

こんな嘘を平然とつけるようになってしまった。

今クイントさんはラボに入院中。

しかもICUで未だに目覚めていない。

 

「そ……か。しかし危なくなったら切り上げろ。

今生きている自分自身のこと第一に考えろ。

クイントだって、そういうはずだ。」

「はい。分かりました。

ではすみませんが、週4日。

ティアナの面倒をお願いします。

とてもいい子だから、きっと二人とも仲良くなれますよ。」

「あぁ、任せておけ。」

「ティアナ、いい子でいるんだよ。」

「はい。」

 

その表情は優れなかった。

 

「いい事教えてあげよう。

執務官になるには個人の戦闘技術が必要だ。

個人での戦闘に必要なスキルは接近戦だ。

ギンガを通して学んでみなさい。

彼女はシューティングアーツのかなりの使い手だから。」

 

少し考えてコクンとうなずいた。

 

「お兄さんの夢をかなえるなら、今出来ることを学ぶんだ。

勉強なら僕が教えるし、魔法もそれなりに教えられる。

格闘戦となると話は別だ。

ティアナと僕では得物が違う。

君は無手に近い。

ならギンガからストイクアーツを学んで置きなさい。

護身にもなるし、今以上に強くなれる。

頑張るんだぞ。

何かあったらここに連絡を入れること。いいね??」

「はい。」

「ではゲンヤさん。お願いします。

甘やかさないで、家事とかも仕込んであげて下さい。

そのうち僕の手から離れるでしょうしね。」

「分かった。任務、気をつけろよ。」

 

その顔には心配しかなかった。

多分、クイントさんと僕がかぶっているんだろう。

 

「心配ないですよゲンヤさん。僕がそんな簡単に死ぬたまですか。」

「ふん。ばーか、素直にハイって言っとけばいいんだよ。」

 

僕は手を挙げ、その場を後にした。

そして僕はラボへと戻った。

 

 

「叶。ゼストはこの調子ならちゃんと目を覚ますだろう。」

「本当か!?」

「あぁ、まぁいつ目を覚ますかわからないけどね。」

「そうか……でもうれしいよ。ありがとうドクター。」

「クイントに会ってきなよ。大分混乱しているから、どうにかして欲しい。」

「分かった。」

 

ゼストさんが目を覚ます!

クイントさんはもう目を覚ましてかれこれ3日経つ。

早く会いたくて、会いたくて、会いたくて。

全力で走り出した。

 

そして僕は呼吸を整えてドアをノックした。

がちゃりと開けると、クイントさんが驚愕の表情でこっちを見た。

そして安堵したのかぽろぽろと涙をこぼした。

 

近づいて話しかけようとしたら抱きしめられた。

僕はただ……ただ立っているしか出来なかった。

しばらくして泣き止んだクイントさんに現実を突きつけた。

 

「クイントさん。もう貴方が起きる前から2ヶ月と3日が経った。」

「もうそんなに……それになんで貴方がこんなところに……!」

 

くりくりとした可愛い瞳が俺を見つめる。

 

「おかしいですか??僕がスリエッティと同じところにいちゃ。

でも現実です。

ここが僕のホーム。

僕が顔をさらせない理由は犯罪者の息子だからですよ、クイントさん。

やっと合点がいったでしょ。」

「えぇいったわ。それで??私はどうなるのかしら。」

 

あの瞳で睨まれる。

認識は敵に改められたわけだ。

想いとは裏腹に紡がれる言葉は冷たく重い。

 

「どうにも。このまま自宅に帰っても構いません。

ただし、その後の身の安全は保障できませんし、しません。

しかも貴方はもうKIA登録されている。

戻ったところで家族ごと消されるのが関の山です。」

「隊長は……私は隊長を守り……」

「生きている。生きてはいます。メガーヌさんも生きている。」

「会わせて。」

「それは……できません。」

「何故!?」

「生きてはいるだけで、いえ、簡単に言うと植物人間というべきでしょうか。

そんな状態のあの人達に会いたいですか。」

 

そうと呟いて俯いた。

涙をこらえてるように見える。

 

「貴方は僕が守る。貴方の家族も守ってみせる。

だから待っててくれませんか。

何年経つか分からないけど、必ず会わせて見せます。」

「どう………する気??」

「管理局にクーデターを仕掛けます。

そのための資料はここにあります。

まだ5000しか集まっていませんが、これでも脅威になるでしょう。

暇つぶしに目をとしてみますか??

ここにおいて置きます。さよなら……クイントさん。」

「待って。」

 

僕のことを後ろから抱きしめる。

二人の心臓音が一つになるような錯覚。

 

「貴方は何故そこまでするの??」

「そうしたいからです。僕は今の腐敗した管理局が嫌いですから。」

「それだけ??」

 

抱きしめる腕の力が少し強くなった。

 

「たった一言でいい。

たった一言言ってくれれば私は貴方の味方になる。

ねぇ、お願い。言ってくれないかしら。」

「どんな言葉がお望みなんですか??」

 

抱きしめていた腕が解け、僕を向かせた。

 

「女の私にソレを言わせるの??」

「貴方は人妻だ。それに僕はまだ数えで10才だよ。

それでも貴方は聞きたいのですか??」

「聞かせて。貴方の言葉で。貴方の意思で。お願い。」

「ずるいですよ……そんなの。

僕には言える言葉は2つとないじゃないですか。

………愛しています。きっとこの瞬間、誰よりも貴方を。」

「ありがとう。」

 

そして二つの影は一つに重なり、僕はパートナーを手に入れた。

クーデターのパートナーを。

 

 

 

そして僕は、花菱叶をやめた。




これで終われればよかったのに……

どうも桜井です。
Ex-3に話が続いてしまいました。
そして何とか週一更新が出来そうな感じになってきました。
毎日書き溜め手ようやくこれですから、あんまり期待はしないで下さい。
そしてクイントファンの皆さんごめんなさい。
これにはちゃんと後で分かるような説明が付きますから。
マジで許して……!

今回無理して詰め込んだのでテーマは“別れと再開とこれから”です。
次回は内緒。
まぁ多分みんな予想は付いてるでしょ。

それでは今回もこの辺で。
また来世。
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