It is calm and it is a passionate magic boy.   作:桜井舞人

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StS
第01話 「試験と俺と4年前」


新暦75年、4月。

ミッドチルダ臨海第8空港近隣。

そこに存在する、大分前に廃棄された都市街のビルの上に、彼女らはいた。

 

パァン!と小気味良い音を立てて左手に右手を打ちつけ、シャドーをする青髪の少女。

その後ろで、拳銃型のデバイスを弄くる、オレンジ色の髪の少女。

2人はバリアジャケットに身を包み、これから始まる試験にむけてモチベーションを高めていた。

 

「スバル……兄さんの前でヘマなんか許さないんだから。」

「そっちこそ兄いの前でミスショットなんかしないでよねっ!」

 

まるで蛇とマングース。

パートナーである互いを牽制し合っている。

 

「仲のいいのは結構。試験に集中しろ。」

「「はいっ!」」

 

どこからともなく現れた仮面の男……二人が“兄”と慕うマスケラであった。

 

「今回の試験についてはリインフォースⅡ(ツヴァイ)空曹長が説明してくれる。

しっかり聞いて無事にクリアするように。

なお私は先にゴールの方へ向かう。

しっかりやれよ、二人とも。」

 

「「はい!!」」

 

まるで計っていたかのようにスバルの前方上空に銀髪の少女が映ったモニタが現れた。

 

『おはようございます!さて、魔導師試験の受験者さん2名。揃ってますか?』

 

「「はい!!」」

 

『確認しますね。時空管理局陸士386部隊所属の、スバル=ナカジマ二等陸士と』

 

「はい!」

 

『ティアナ=ランスター二等陸士』

 

「はい!」

 

『所有している魔導師ランクは陸戦Cランク。

本日受験するのは、陸戦魔導師Bランクへの昇格試験で、間違いないですね?』

 

「はい。間違いありません。」

 

『はい!本日の試験官を努めますのは、私、リインフォースⅡ(ツヴァイ)空曹長です。

よろしくですよー』

 

そう言って敬礼するリインフォースに、2人は「よろしくお願いします!」と敬礼を返した。

 

すぐさま試験に関する説明をリインフォースから受ける。

2人の前には試験に必要な情報がモニターで表示され、それをリインフォースが説明していく。

 

『2人はここからスタートして、各所に設置されたポイントターゲットを破壊。

ああ!勿論破壊しちゃ駄目なダミーターゲットもありますからね?』

「今回のつくったの……」

「うん、間違いなく兄いだ。」

 

二人がうなずく。

それぞれターゲットの位置など確認していく。

ターゲットの場所一つ一つは大したことはないが、絶妙にいやらしい位置にあった。

 

『妨害攻撃に気をつけて、すべてのターゲットを破壊。

制限時間内にゴールを目指してくださいです。』

 

「「間違いなく兄さん(兄い)が作ったね。」」

 

攻撃があると聞いたことなんてあまりない。

兄がどういうつもりでこの試験を受けさせたのが分からないが、心配されていると思うとうれしい。

 

『一応説明は以上ですけど、質問はありますか??』

「ありません。」

 

あったとしても試験とは別段関係ないもの。

というか時間がもったいない。

 

『それじゃあ、スタートまであと少し。ゴール地点で会いましょう、ですよ。』

 

モニターが消え、

カウントダウン。

5、4、3、2、1

スタートコールが鳴った。

 

「さて、行くわよっ!」

「うんっ!」

 

二人はゴール目指して駆けだした。

 

 

 

 

Side マスケラ

 

「二人は一佐の知り合いなのですか?」

「あぁ、ナカジマ三佐の娘ともう一人は俺が保護観察者だ。」

「へ~そうなのですか~!二人ともいい動きしてますね!」

 

モニターを見て興奮するⅡ(ツヴァイ)。

その表情の変わりかたといえばまさに百面相だ。

 

「ふん、まだまだだな。この程度ウォームアップに過ぎない。

次のターゲットからが本番だ。」

 

驚きの表情から真剣な表情へ。

そして笑顔でモニターを見るⅡ。

 

「でもでも、すごいのですよ!

これだけの動きができるCランクはそうそういないです!

しかも今回だけの特別プログラム……簡単にはクリアできないはずなのです!

それをここまでできるなら、合格間違いなしです!」

「してもらわければ困る。

できるように訓練してやったんだ……できて当然のはずだ。」

「それができるなら苦労しませんよ一佐。」

 

ちらりと視線を後ろにやる。

高町だ。

 

「ふん。あいつ等はこんなとこで舞上がるような奴らはない。

まぁ、うっかりはあるけどな。こんな感じで。」

 

言っているそばから一つのターゲットを撃ち漏らし。

そのまま強襲された。

3発で仕留めるものの、サーチャーに着弾し、見る事が出来ない。

 

「恐らくティアナは捻挫したな。

他にトラブルがないか確認を取るため先行する。

高町も付いてくるか?」

「はい。ついて行きます。レイジングハート、セットアップをお願い。」

「All right.master」

 

クスリと笑う高町。

それに釣られて笑うⅡ。

少し癇に障った。

 

「行くぞ。」

「はい。」

 

ったく、問題ばかり起こしおって……

面倒だ。

 

 

他に問題はないが、試験官への報告を怠っている。

減点だな。

ゴール地点に向かって5分位か……

ティアナを背負って駆けるスバル。

そこまでは良かったが、素っ頓狂んな声が聞こえて台無しだ。

 

「スバルっ!止まる時の事考えてるんでしょうねぇ!?」

「ふぇ!?あ……あぁ!」

「嘘ぉ!?」

 

「あっ、何かチョイやばですぅ。」

 

ゴールしたのはいいが、止まれない……

本当に馬鹿だなスバルは。

 

「アクティブガード……ホーディング「必要ない。俺が行く。」分かりました。」

「行くぞ。ヴァルシオン」

「……Yes.」

 

二人の前におり立ちスバルに足払い。

そのまま襟を捕まえる。

落ちてくるティアナをお姫様抱っこで受け止めた。

 

「油断しすぎだ馬鹿者。」

「兄さん(兄い)……。」

 

二人の表情に安堵の色が見えた。

が、そんな表情壊してやる。

 

「二人に試験官からのありがたいお言葉だ。」

「む~っ!二人とも危険行為で減点です!

頑張るのはいいですが、怪我をしては元も子もないですよ~!!

そんなんじゃ、魔導士としてはダメダメですっ!!

それに一佐のお姫様抱っこ……羨ましいですぅ(ボソッ」

「ちっさ……そして譲らない。」

 

こらこらティアナ。聞こえてるぞ。

 

「まぁ、無事で何よりだ。とりあえず試験は終了だ。お疲れ。」

 

と言って二人を地面に下ろす。

後ろから高町がⅡに声をかけた。

 

「リインもお疲れ様。ちゃんと試験官できてたよ。」

「わーい!ありがとうございます!なのはさん!」

 

体全体を使って喜びを表現するⅡ。

 

「まぁ細かい事は後回しだ。ランスター、怪我を見せろ。

治療をするから脱げ。」

「はい。」

 

すると頬を染めて上着を脱ぎ始めた。

 

「待て、何故上着から脱ぐ。

お前の怪我は足だろ。ブーツを脱げと言っている。」

 

するとしゅんとなってブーツを脱ぎ始めた。

 

「わ、治療なら私がやるですよーっ。」

「分かった。Ⅱ任せる。」

「はいですぅ!」

 

「ランスター二等陸士とナカジマ二等陸士は、なのはさんのことご存知です?」

 

世間話のつもりなのだろう。

Ⅱが二人に話しかけた。

 

「知ってます。本局武装隊のエースオブエース。

航空戦技教導隊の若手ナンバーワンにして泥棒猫の高町なのは一等空尉。」

「はいですぅ。ん??」

 

ぼそっと泥棒猫と言っていた。

何故だかは知らんがね。

 

一方上空では……

 

「知り合いなん?」

「ん、はやてもスバルは分かるよね。ほらナカジマ三佐の娘さんで―――」

「あぁ、その!」

「4年前私となのはが、はやての演習先に行った時の空港火災。」

「あぁ、災害救助の手伝いをしてもらった時の―――」

「うん。その時、要救助者の一人のスバルを私が。

ちなみにマスケラ一佐がスバルのお姉ちゃんを助けたの。」

「あぁ、なんかイチャイチャしててうざかったわー。」

「はは、しょうがないよ。“兄と妹”だからね。

まぁ、その二人は今は管理局員。部隊は別なんだけどね。」

「ふーん、そうなんか。」

 

 

 

 

~4年前~

 

 

 

 

「悪いなマスケラ。手伝って貰って。」

「いい、ついでだ。

それよりもギンガとスバルはどうした。」

「連絡が取れない……恐らくまだ―――」

「分かった。中に入る。以降の指揮は三佐に任せる。」

「お、おい。お前っ!」

「(広域魔法で消火??いや一刻も早く二人の確保がしたい。

確かフェイトも今日はこっちにいるはず。

協力要請をするか。)

フェイト、聞こえるか??」

 

ザザーと砂嵐の音の後、応答の声が聞こえる。

 

「どうしたのマスケラさん。」

「オフで悪いが空港火災……わかるな?」

「うん。今、救助を手伝ってる所。」

「要救助者の中にナカジマ姉妹が入ってる。確保してくれ。」

「それ本当!?分かった。急いで探してみるね。」

「頼んだ。俺も今から突入する。通信終わり。」

「ちょっ―――」

 

フェイトがなんか言っていたが気にしない。

とにかくあの二人の確保が優先だ。

でないとクイントにどやされるし。

てゆーか泣かれちゃうし。

どちらにせよ良くない。

 

「管理局だっ!!」

「こ、ここですっ!」

「もう大丈夫だ。アイギスっ!」

 

曼荼羅に展開された防御魔法陣。

高町のスターライトブレイカ―も防ぎきる一級魔法だ。

 

「過ぎに安全な場所につれていく。」

「あ、あの。」

 

すると、綺麗な……恐らく20代の女性がこちらに何か言いたそうだ。

 

「あの、女の子の魔導士がこのバリアを張ってくれて……

それから妹を探しに行くって、あっちに……!!」

 

と指差した先は火の海。

「分かった、転移魔法で、救助者テントに送る。

すぐに探しに行くから、それでいいか??」

「はい、お願いします。」

 

転移魔法が使えるデバイス……月詠か……

ためらってる場合じゃないよな。

 

「月詠、起動。

転移魔法セット。

対象は、要救助者3名。

転移先は救助者テント。」

「……了解しました。転移。」

 

3人の要救助者が転移した。

 

「お久しぶりですマスター。」

「あぁ、状況は「分かっています。」なら行くぞ。

恐らくその魔導士の娘はギンガだ。」

「えぇ、この結界の構成仕方、かなり似ています。」

「ったく、待ってろよギンガ、動くなよ。」

 

といって、神速を起動させた。

しばらく高速で走っていると。

 

「見つけたっ!!ギンガッ!そこを動くなよ!!」

「お兄ちゃん??お兄ちゃんっ!!」

 

が、無情にも崩れ落ちる通路。

即座に神速を起動、飛行魔法で退避する。

 

「危なかった……悪いな遅れて。もう大丈夫だから。」

 

そう言うとギュッと抱きついてくる。

 

「スバルを確保できたか聞いてみる。

スバル・ナカジマ、11歳だ。

ナカジマ三佐の娘のスバル・ナカジマ救助されてるか?」

「こちら通信本部。スバル・ナカジマ11歳の女の子。

すでに救出されています。救出者はテスタロッサ執務官。怪我もありません。」

「スバル……よかった。」

「こっちは姉のギンガ・ナカジマ13歳を保護。」

 

 

 

そんな事があって、フェイトにもナカジマ家との交流がが増えた。

無論俺も前よりも増えた。

そして結局クイントに泣かれた。

「危ない事ばかり引き受けてもぅっ!!」

らしい。

 

さて今の状況を説明しよう。

試験場近くの本局施設にて、八神はやて二等陸佐とフェイト・テスタロッサ執務官と俺……

その3人があの二人に向かいあって座っている。

話の内容は、八神二佐が主体となって新設する『時空管理局本局遺失物管理部機動六課』。

陸戦魔導師が主軸となるフォワード陣に、ティアナとスバルの2人をスカウトしたいという話だ。

ぶっちゃけ俺がこの場にいる必要はない。

 

「えっと……取り込み中かな??」

「平気やよ。」

 

と言って座る場所を確保しようとするが、3人位しか座れない。

俺は高町の方へ向かい壁に寄り掛かった。

それを見て恐縮そうに高町は座った。

 

「とりあえず、試験の結果ね。」

「2人とも、技術はほぼ問題なし。

だが、危険行為や報告不良は見過ごせるレベルを超えている……だろ?」

「えぇ、自分やパートナーの安全だとか、試験のルールを護れない魔導士が、人を護るなんてできないよね?」

 

「はい。」

 

一気にテンションが下がってるのが目に見えて分かる。

 

「だから、残念ながら二人ともは不合格。なんだけど。」

「2人の魔力値、能力を考えると、半年後まで今のままで居るほうが危険。

というのが、俺と高町と試験官の考えだ。」

「だからこれ。」

 

高町が書類を封筒を机に差し出した。

 

「特別講習に参加する為の申請書と、私の推薦状。

これを持って、本局の武装隊で3日間の特別講習を受ければ、4日目には再試験を受けられるから。

来週から、本局の厳しい先輩達にもまれて、安全とルールを確りと学んでこよう。

そしたらBランクなんて、きっと楽勝だよ。ね?」

 

「「ありがとうございます!!」」

「俺が3日間つきっきりでみっちり安全とルールを叩き込んでやる。覚悟しておけ。」

「「兄さん(兄い)がつきっきり……」」

 

(兄さんと訓練して。)

(兄いと食事を食べて。)

(兄さんと一緒にお風呂に入って……)

(兄いと一緒にお出かけして。)

(兄さんと一緒に寝るっ!!)

 

とか考えていたとかいないとはまた別のお話。

 

「合格までは試験に集中したいやろ??

私への返事は試験がすんでからってことにしとこか。」

 

二人とも立ち上がって敬礼。

 

「「すみません、恐れ入ります。」」

 

そうしてこの場は解散となった。

二人を探していると話し声が聞こえた。

 

「あたしは……どうしようかな。

遺失物管理部の機動課って言えば、普通はエキスパートとか、特殊能力持ちの生え抜き部隊でしょ?

そんな所に行って、あたしがちゃんと働けるかどうか」

「そんなことないだろ。第一俺が教えてるんだ。

通用しないのなら俺を恨めばいいだけの事だろ。」

「「兄さん(兄い)!?」」

 

びっくりしたらしく、がばっと起き上がるティアナ。

 

「そこの部隊に俺も配属される。また俺がみっちり教えてやるから覚悟しておけ。」

「うん、兄さん。兄さんがいるなら行く。」

「二人とも飯位おごってやるからついてこい。」

「「やった!」」

 

 

 

「なんやねん。二人の前では優しいお兄ちゃんかいな。

ウチの前では厳しい上司で合理的主義者のくせに。

なんやねん……何でこんなむかつくんかなぁ……。

もう知らんっ!」

「にゃははは、私達も食事にしよう、はやてちゃん。」

「そういえばフェイトちゃんは??」

「あぁ、それならあそこだよ。」

 

と指差した場所にフェイトはいた。

あの3人の……マスケラの横にいた。

 

「な、なんちゅう早技や。しゃーない、二人で食べにいこか。」

「うん。」

 

4人と2人は別々の道を歩いて行った。

この距離感はのちのち埋めていかなくちゃならないと思うはやてであった。

 

 

 

 

 

 

 




やっとUPできました。
ここからStSです。
いろいろ原作と違うのはもちろんフラグのためです。

さてStSが始まったということは、アリサの存在が薄くなってしまうわけです。
アリサファンの人に申し訳ない。
そこでもちろんアリサ無双する話を用意しますので、そこまでちょいとお待ちください。

感想とご意見とお待ちしてますので、どんどん書いてください。
待ってます。
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