It is calm and it is a passionate magic boy. 作:桜井舞人
「それで?私に何か用か??」
「随分とつれないじゃない。」
「何の事かさっぱり―――」
反応できなかった。
いや―――しなかった。
俺は仮面をやすやすと素人に取られてしまった。
「久しぶりね叶。」
「俺の名前は花菱叶ではないと、10年前に言ったはずだが。」
「いいえ、それでも貴方は花菱叶よ。」
「お前がそれを望むならそうしよう。」
その言葉を聞いたアリサは驚きを隠せなかったらしい。
ポカンとしている。
しかしそれも予測してたと言わんばかりにすぐに笑顔を見せた。
「随分とあきらめがいいのね。」
「あぁ。君に何を言っても無駄だ。10年も忘れずにいた君にはね。」
「まぁね。その通りよ。」
「すずか。君も覚えているだろう。最初から。」
「うん。その……久し振りだね、叶君。」
10年前姿をくらませてからすぐ調べたが、彼女の出生は特殊だった。
その為かは分からないが、暗示の類は効きづらかったらしい。
「さて……聞かせて貰おうかしら。
何故、私達の記憶を消してまで姿をくらませる必要があったのか。」
「今は任務中だ、片手間になるが構わないか?」
「それはしょうがないわね。すずかもいいでしょ??」
「うん。私は真実が分かるならそれで。」
「では移動する。この近くに花菱の施設がある。
そこに車を用意してある。それで移動する。」
「いや、それならそこにアタシの車が―――」
「スポーツより荷物が乗る車の方がいい。
かなり買い物をするからな。どうせ夜はBBQだ。」
その言葉を聞いて少し二人はあきれ顔だ。
言いたい事は分かってる。
アンタは任務に来てるのにのんきに夕飯の買い物に行くのかと。
「俺は情報を統括しながら動く。
直接動いても動かなくても同じだ。
まぁ俺が動けば動くほど任務が早くかたづくのは間違いないが―――
それも可哀想だろ。折角わざわざ局長が仕組んでくれたのに。」
「どういう事かしら。」
「失言だった。聞き流してくれれば助かる。
何にせよ移動する。
ここから徒歩10分程度だ。散歩だと思ってついて来てくれ。」
少し顔をしかめたアリサだったが、黙って俺についてきた。
勿論すずかも。
二人の会話に苦笑いしながら。
二人ともあまり関係は変わってないらしい。
本当に良かった。
「さて―――どこから話そうか。」
「まずはどうして記憶を消す必要があったか……それを聞きたいわ。」
「それは俺のエゴだよ。」
「「エゴ??」」
「俺が花菱叶でなくなるために必要だった。その為に存在を消した。
もっとも君達の事だ。
君達以外にも何人かは俺の存在を覚えている人達の事を見つけただろう。」
「もちろんよ。浪漫巣館の人達、花菱エンタープライズの社員。
そしてパパと―――「私の家族だね。」そう。」
そう実はかなりの人間は俺の事を覚えている。
が、その出生は一切の不明。
顔も画像から、写真の一枚も出てこない。
社の人間からも空想の人ではないのかと言われてる存在だ。
「結構いるもんだろう?」
「えぇ、詰めが甘いと思ったわよ。」
「でも実際は?」
「かなり良い詰めだったわ。」
「だろ?」
「えぇ。悔しくて涙が出る位に。
まさか、今言った名前が最低限の人間とは思わなかったわ。」
そう、この世界で俺が動くための最低限の人間だ。
やはり、今まで使えて貰っていた浪漫巣館の方々の給料を確保したい。
しかも小学生の時に作った花菱エンタの給料も確保しなくてもならない。
しかも確保したら渡さなくてはならないから、記憶は消せない。
デビットさんには花菱エンタの名誉顧問をしてもらっている。
本来なら何の権限も持たない名誉顧問だが、僕が表に出ない以上誰かが出るしかない。
そういう意味の表面の顔。
花菱エンタの顔になってもらっている。
会議などはその他の重役がでる。
そう、つまり簡単にいえば保証人だ。
そしてご意見番になってもらっている。
「それで?」
「花菱叶の存在を消すことでこの世界に未練を無くした。
そうすることで俺はミッドで生きるしか無くなった。
そうすることで俺は仮面を外す事が出来なくなったという事だ。
俺はマスケラという存在になった。
花菱叶という存在は蜃気楼となったのさ。」
「成程ね。次の質問よ。
何故はやての部隊にいる訳??折角記憶を消したのに。
リスクが大きすぎるでしょう。」
「それは後で分かる。他に質問は?」
「花菱叶を消してまでアンタはあっちで何をしたかったの?」
核心か―――
こればかりはあまり大声で言えないな。
八神のサーチャーがこちらに向かってきてる事だしな。
「これは他言無用だ。が―――まずはこの車だ。」
「コレ??」
「あの、この車って―――」
「もとはメルセデスのC250のステーションワゴンだ。
もっともエンジンやら内装やらは違うがな。」
最大出力2,200馬力、ツインターボ5,686cc Duttweiler Hellfireエンジンだ。
入口速度が時速728.9km、出口速度が時速744km、平均速度が時速737km。
1秒間に200m以上も走る。
エンジンの音は飛行機を想像して欲しい。
つまりかなりうるさい。
が、それは臨界位まで出した場合だ。
出さなければそうでもない。
「いや外装もかなりカッチリ系なのにかなり鋭利で―――」
「これちゃんと車検通ってるの??」
「勿論だ。それよりも行くぞ。もうすでに市場で競り落とした者の受取。
そして業務用スーパーと浪漫巣館だ。」
「あ、案外色々行くのね。」
「馬鹿みたいに食う奴が二人程な。後はたまには甘やかしてやらないとぐれるしな。」
「ふっ、アンタも案外ちゃんとやってるのね。」
「案外とは心外だ。俺はいつもちゃんとやっている。」
「そういう意味じゃないと思うよ。」
普通な会話をしながらサーチャーがどっかに行ったことを確認して俺は話を戻した。
「俺があちらでやっていること―――だったな。」
「ええ。」
「時空管理局 本局1096航空隊 部隊長ってのが肩書だ。
で、仕事内容は特務。
通常の隊員では処理できないような仕事を主に扱う。
特に危険な任務などな。が―――」
「そういう事を聞きたい訳ではないわ。」
「だろうな。
俺が、マスケラを名乗りあちらでやっていること―――
時空管理局という組織の闇を調べ上げてクーデターを起こす事が俺の目的だ。」
「ソレが―――」
「俺が10年の時をかけて準備をしてきた。実行の時は近い。
もう誰にも止められはしないさ。例え俺が死んでもな。」
「そう―――それでその後は??組織をつぶしてどうする訳?」
「軍隊・警察・裁判所の3つを統合した、強大な組織―――
そんな物腐るに決まっている。
一度解体して三権分立を図る。
そしてその後は犯罪者裁きまくって、総選挙を行い、トップを決める。
そして時空管理局を軍隊と警察にする。
これが俺の目的だ。」
「そこの犯罪者は貴方も入るかしら。」
「勿論だ。俺も時が来たら裁かれよう。
だがな、まずは局の中にいる腐った連中を裁くっ。」
「貴方が殺すの??」
「それでは何も変わらない。法によって裁く。
が、人は簡単には変わらないだろう。
だから俺が一石を投じようというのだ。
ソレが俺に出来る―――いや、俺にしかできないだろう。」
そこでアリサ達の表情は変わった。
「「そんなことはない!!」」
「アンタじゃなくたって!」
「叶君じゃなくてもそんなことはできる!!」
「志が高い奴らは確かにいる。が、闇を知っているのは一握りだ。
係わっている人間は多いのにな。
その中で権力者は俺位だ。
俺が中心となってやっていくことが手っ取り早い。
そういう風にもう組織が出来上がっているんだ。内も外もな。」
「そんな!そんなことって!!」
「この話は終わりだ。一生平行線をたどる。それに―――
市場にもついた。」
車内の暗さ酷い事になっている。
流れゆく時は残酷にもこうも都合よく行かない。
逢えただけでも幸せだったのに―――
最愛の者はこんなにも身を焦がし、遠かった。
最後の言葉はアリサです。
このドラマCDの内容は全て、今までの回収ルートなります。
つじつま合わせをしたい方は見た方がいいと思います。
そして恐らくこの幕間を最後にぱったりとアリサは出なくなりますのでご了承ください。
アリサはヒロインではありますが、この物語は見ての通りダブルヒロイン制を取っています。
誰と結ばれるかはお楽しみでお願いします。
お知らせ
質問等今回の今日の行動であると思います。
しっかりと答えますのであったらもうして下さい。
あと感想は常に募集しております。
是非ください!!
もう、かなり餓えてます。
以上が桜井からのちょっとしたお知らせでした。
では皆さままた来世。