大きなおっぱい触りたい   作:ピノの星型が全く出ません

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今回はIQ53万くらいあります。



ジドリの王女様

 

 

「……あれ、もう日付変わってたんだ」

 

 

 勉強机の横に置いてある小さな時計を見ると、既に短針は1と2の間、長針は6を指し示している。机の上に開いていた問題集とノートを閉じてスマホを確認すると数件通知が来ていた。

 

 

 

 

< ena

 

昨日

ねえ

行ってみたいカフェがあるんだけど明日一緒に行かない?

勉強一段落したらでいいから連絡して

今日

既読
行けるけど

既読
本音は?

買い物したいから荷物持ち

既読
しゃーねーなー

ありがと

明日の9時半にスクランブル交差点前の広場集合ね

既読
起きれんの?

彰人に頼んだ

既読
ちゃんと彰人にお礼言っとけよ

分かってる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の幼馴染みの東雲絵名は、父親───天才画家として有名な東雲慎英の影響もあり昔から絵を描いている。あとは俺の知り合いの中でもおっぱい力が高い方にいる。

 

 …………俺には芸術の素養なんてものは無い。小さい頃に、絵名と慎英さんが描いた絵を見せてもらった時も「絵、うまっ」という感想しか出てこなかった。試しに借りた本を読んでみてもちんぷんかんぷんで「ここの色合いが〜」とか「この構図が〜」とか言われてもよく分からないというのが本音だ。だからこそなにか聞かれても「上手いね」としか答えられなかった。……理解者がいればあの時も少しは変わったのだろうか。

 

 

「…今更か」

 

 

 朝比奈さんを見てたら昔のことを思い出してついネガティブな思考になってしまった。……よくない。人のこと見てネガティブになるとか本当によくない。

 

 

「……切り替えなきゃな」

「なにが?」

「うおっ!!……絵名か、驚かせるなよ」

「驚かせるなってそっちが勝手に驚いたんじゃない……おはよう、椿」

「……おはよう、絵名」

 

 

 後ろから声をかけてきたのは俺の幼馴染み、東雲絵名その人だった。

 日中はあんまり家から出ないから白い綺麗な腕が見えてるのがすばらしくすばらしいと思い──────

 

 

「ねえ、あの映画見た?」

 

 

 そういって絵名が指さしたのは、いつぞやの望月さんの時と同じ映画だった。

 

 

 

 あの時言った『この映画には触れにくい』というものの理由。

 

 それは、この映画は第一志望の美術科に落ちて荒れ気味だった絵名にボロクソに言われてむしゃくしゃしてた俺が、なんかやり返したくて書いたものが原作だからだ。

 

 当時、絵名にボロクソに言われた俺は思ったわけである。『絵名のことモデルにした主人公の小説に絵名の黒歴史書いて見せてやろ。……あとついでに絵名がああなった一端と言えなくもない慎英さんも流石に反省した方がいいから慎英さんの不器用さも書いたろ』と。

 

 とりあえず東雲家ヒエラルキートップの絵名たちのお母さんや彰人、愛莉といった身近な人からだけ許可を取った。そのまま気付いたらなんかの賞を受賞して書籍化してあれよあれよという間に映画化の話までやってきてしまった。

 

 

 ちなみに絵名は原作読んでも一切気付いていなかったし慎英さんも気付いてなかったらしい。

 

 なんで気付かないんだよ。幼馴染みが目の前で車にはねられて目覚ましたと思ったら記憶喪失のフリで騙されて号泣してた画家志望の女子中学生とかどう考えてもお前のことだろ。

 

 

 

 ……それにしても、あの時は本当に危なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ 落ち着いてください

焦ることはありません

あなたにお話があります いいですか?

どうか 落ち着いて

あなたはずっと昏睡(コーマ)状態だった

ええ ええ わかってます

どれくらいの長さか?

あなたが眠っていたのは……

四日間です」

「……!!」

 

 

 彰人と絵名、それから愛莉に「気付いたら病院にいることがあったら『知らない天井だ』と『あなたにお話があります。いいですか』の二つは経験してみたい」と言っていたことが功を奏したのか目を覚ました直後は最高な気分だった。そのテンションでつい起き上がろうとしたら普通に止められてしまったのだが。

 

 しかし、問題はそこからだ。生きてること自体が奇跡なレベルの怪我、全身の怪我の概要、後遺症が残ってもおかしくない等、もう聞けば聞くほどテンションが落ちる落ちる。

 

 

 そんな折に絵名と彰人がお見舞いに来た。時間からして学校が終わってすぐに来たようだった。

 

 

「椿、起きたって本当!?」

 

 

 焦った様子の絵名を見ていたら、心の中に悪戯心が芽生えた。

 事故にあった人間の所に知り合いがお見舞いに来た時のテンプレ────そう、記憶喪失だ。

 だから俺はこう言った。

 

 

「どなたですか」

 

 

 おっぱいのことばかり考えていることを悟られないように鍛え上げた演技力をフルに発揮した迫真の演技は当時の絵名には効果抜群だったらしい。

 

 

「……………え?」

 

 

 俺の寝ているベッドの横で呆然としたかと思った、次の瞬間、明らかに動揺した声色でこちらに声をかけてきた。

 

 

「……私だよ。…絵名、東雲絵名…ねえ、分かるでしょ?………」

 

 

 ポタポタと、シーツに水玉模様ができ始めた。

 流石にやりすぎたかと思い、慌てて訂正しようにも、起きたばかりだった弊害か体力が尽きて思うように声が出なかった。

 

 

「……ぅ…」(訳「待って。悪かったって。嘘だから。……泣くな泣くな!冗談だから!!」)

「……嘘…やだ、そんなのって………」

『彰人、助けて。疲れて上手く声出ない。どうしよう』

『知りません。自業自得でしょ』

『なんかいつもより冷たくない!?』

「絵名、どうしたの!?」

「椿が……椿が……」

 

 

 絵名の後ろにいる彰人に目線で助けを求めても我関せずと言わんばかりに外の景色眺め始めるし、入れ替わりで入る予定だったので病室の外で待機してた愛莉も大慌てで入ってきてちょっとした騒ぎになった。

 ネタばらししたら一週間口聞いてくれないくらいには怒られたとだけ言っておく。

 

 そして、今はそれ以上に怒る可能性がある。

 

 

 

 

 つまり何が言いたいかと言うと、絵名にこのことがバレたら割と本気で命が危ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直後、周りから人が消え失せ、風景が変わっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(この窓からの景色……間違いない、神高だ…しかも俺の通ってる2ーAの教室………………待て…俺はいつ制服に着替えた?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなとき、教室の黒板側の扉を開けて誰かが入ってきた。

 

 

 

『気付いてますよね?どうしてあんなことを聞かれたのか』

「も、───」

 

 

 振り向くよりも早く、鼓膜に空気の振動が到達した。つい先日聞いたばかりの声、俺が聞き間違えるはずがない。

 

 

「望月さん!!!」

『確かにわたしは小鳥遊さんの国語に関することは知りませんでした。しかし、だからこそ聞いたんです』

 

 

 声の先には何度かアップルパイの店で見た宮女の制服の上にカーディガンを羽織った姿の望月さんがいた。

 続けるように教室後方の扉が開けて誰かが入ってくる。

 

 

『……それに私とも違う』

「朝比奈さんまで!?」

 

 

 そこには、望月さんと同じく制服とカーディガンを身にまとった朝比奈さんがいた。

 何故か二人ともおっぱいを強調するようなポーズをしているが眼福なので指摘しないでおこう。

 

 

「二人とは違うって……それは一体……はっ!」

 

 

 そうか!そもそも望月さんはアップルパイ以外で俺のことをあまり知らないから映画の話を振ってきた。そして、朝比奈さんは俺の国語の成績は知っていても小論文なんかは読んだことがない……対して絵名は俺の国語の成績を知っており、中学生の頃に俺の作文を読んだこともある。その上であれを読んでいるのなら……!!

 

 

「俺の文体に気付いている可能性がある、ということか!」

 

 

 そして文章の癖に気付いたということは即ち、絵名の黒歴史(あれ)を書いたのが俺だということに気付いたことにも繋がる!!

 

 

 俺は二人の聡明さに感嘆の声を漏らさずにはいられなかった。

 朝比奈さんの頭の回転が速いのは知っていたが望月さんもここまでできるとは…もしかしたらおっぱいの大きさと頭の回転の速さには何かしらの関係があるのかもしれない。

 

 

 

 ……いやしかし、なんということだ。つまり絵名が原作者が俺だと知った上でこの話を振ってきていたとすると、考えられる理由は一つ。

 

 

 俺に自白させた上で命を刈り取ろうとしている。

 

 言ってしまえば俺が吐くか、絵名が諦めるかのどちらが先かの真剣勝負。

 

 

「クク……ハハハハハ!!…この俺に頭脳戦を仕掛けてくるとは……………………楽しませてくれる…東雲絵名…!!」(この間0.01秒)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知り合いと見たけど、なかなか良かったと思うな」

「そう!特に『馬鹿に……しやがって……!』って言うところとか表情も細かいところまで再現されてたのよね」

 

 

 ごめん、そこ俺が『絵名ならこういうこと言うだろうな』って思って書いたところだわ。

 

 

「それじゃあ行きましょうか」

「だな」

 

 やって来ました、皆さん大好きショッピングモール。ここには天馬くん御用達の服屋から映画館まで大抵なんでもある。

 

 

「これとこれ、どっちの方がいいと思う?」

「……うーん…右」

「じゃあこっちにしようかな」

 

 

 そんなショッピングモール内のアパレルショップで、ときどき意見を聞かれたり感想言ったり、荷物持って後ろついてくだけの便利なロボットになっている。別に荷物持ちでも絵名が楽しそうに服選んでるところとか見てるのは嫌いじゃないからいいんだけど。

 

 普段の鎖骨や腕が見える服装もいいとは思いますがやっぱり清楚系です、清楚系ですよナナチ。

 

 

「ほら、写真撮るからもう少しくっ付いて」

「嫌だけど」

「…なんでよ」

「どうせ自撮りのアカウントに載せるだろ」

「顔は隠すんだからいいじゃない」

「そうじゃないから。前に彼氏いるとか適当なこと言ってちょっと荒れてたの忘れたのかよ」

「あの後フォロワーもいいねも増えたから別にいいし」

「なら彰人に頼めよ」

「は?絶対にいや」

「あっ、おい!」

 

 

 自分が言うだけ言ったら絵名はずいっと体を寄せて写真を撮り始めた。女王様かな?……昔から女王様だったわ。

 

 

 

 

 翌朝、起きてから絵名の自撮りのアカウントを確認すれば誰かとくっついてポーズを決めてる絵名の写真と『彼氏とデート!恥ずかしがり屋で全然ポーズ取ってくれない!』という一文にハートやら怒り顔やらの絵文字と顔文字が添えられていた。反応を得るためなら手段を選ばない…これが承認欲求の塊…。

 

 




オリ主の下の名前は初出しなのでまとめておくと『小鳥遊 椿』です。


東雲絵名→映画の主人公の父親のモデルが自分の父親なことには気付いてない。実は小学校入学以前から仲良かった幼馴染が目の前で車にはねられたのがトラウマになりかけてる。

東雲彰人→記憶喪失だと思って一瞬本気でビビった。その直後に『心配して損した』と心の底から思った。裏でえななんのメンタルケアしてた。

桃井愛莉→幼馴染みの友人。本人たちも友達。記憶喪失のくだりは彰人とオリ主の様子から何となく状況を察した。裏で彰人と一緒にえななんのメンタルケアしてた。

オリ主→えななんが荒れてた時期に売り言葉に買い言葉でお互いにお互いの地雷だと分かりながらわざと踏み抜いて大喧嘩したことがある。
 えななんと愛莉ちゃんセンパイにだけは下ネタが少ないのは一応理由がある。二人のことも美人だと思ってはいるが認めるのは癪なので意地でも口に出さないめんどくさいやつ。
 最近は領域展開が使えないか密かに試してる。

望月穂波(イマジナリー)→本物より少し冷たい

朝比奈まふゆ(イマジナリー)→本物より少し明るい
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