フリーナはフォカロルスと一緒に猫抱えてパスタ食ってりゃいいんだよ。幸せになってろこの野郎。
2023/11/24 指摘を受けて一部文章を修正
彼女と出会ったのは、偶然のことであった。
眠りから覚めたばかりの私が、終着点に穏やかな海に囲まれた鮮やかな地を選んだ時の事だった。
私は偶然、眷属たちの願いを聴き遂げ、水の精霊である彼らを精霊から人へと昇華させていく水神の姿を見ることとなった。
私は思わず、その姿に見とれてしまった。 かつての灰だらけの世界はそこにはなく、そこには絶えず動き続け、進化し続ける命があったのだから。
水神はそんな私に気づくと、私にこう言った。
「私はこの場所に新しい国を作ろうと思う。君にも手を貸してほしいんだ」
世界を回り、かつてできなかったやりたかったことも終わってしまった私は、その言葉を了承した。彼女と共に、新たな国、フォンテーヌを作った。
人となったフォンテーヌの人々、そして水神と共に、国を発展させた。
だが、それが長く続くことは無かった。
「……天理に目をつけられたのか」
「ああ、どうやら彼女は、私が純水精霊たちを人に進化させる過程で、"あの水"を使ったのが気に入らなかったらしい」
「それであの予言を……」
私と水神はその予言の対抗策を調べ続けた。だが天理の予言に逆らう方法など、たった数百年程度で見つかるわけもなかった。
そんな中、水神たる彼女はカーンルイアで突然起こった厄災の対処へと駆り出されることになった。
いくら世界各地にある水を司る権能を持った神とはいえ、彼女は戦いの神ではない。故に、かつてあの悪夢のような灰の時代を生き延びた私は、その役目を変わろうと彼女に言った。
「……ダメだ」
だが彼女はそれを拒否した。
そして私に、水神の後継者を託し、そのまま、犠牲になった。
また、私は友を失ったのだ。
だが、今の私にそれを悲しむ余裕はなかった。
新たな水神の後継者もいる。そして未だ解決しない天理の予言も。
後継者は、その予言からこの国の民たちを守るため、ある策を講じた。
私はその策に反対した。その策は余りにも長い年月を要し、そして後継者には死を強要することになるからだ。
だが後継者は言った。
「……これ以外に方法は無い。そうだろう?」
彼女の言う通りだった。私は渋々その策に手を貸すことを決めた。
そして後継者は、影武者を残し、眠りについた。
私は、その策を成功させるべく、影武者と共にこの国を守り始めた。
私と後継者は、別の道を歩み始めたのだった。
そしてそれから、長い月日が経った。
♢
「……」
フォンテーヌの街並みはかつてのものから随分と変わった。
人工的な手は加わっておらず豊かな水源が溢れる街並みは、今では人の手によって整備され、整えられた街並みへと生まれ変わっていた。整備された街中にはクロックワーク・マシナリーやその他の機械によって作られた大小様々な建物が溢れ、他国に比べても文明は大きく発展したと言えるだろう。
私としてはかつての自然に取り残されたかのような美しい景色も好みだったが、大半の人々にとってはやはり利便性を重視したこの街並みの方が好まれるのだろうか。
「……」
そんな私は今、フォンテーヌ廷の中心部にあるパレ・メルモニアのとある一室に向かっていた。
この建物の本来の機能は国家運営に関わる様々な事項をこなす役所のようなものなのだが、それだけではなく私や一部の人間のために用意された一室があるのだ。
長い廊下を歩き抜いた後、私はその先にある部屋のドアを容赦なく開け、持参したフライパンとお玉(他人を叩き起こすときはこれが最も効率がいいと教えてもらった)をたたき鳴らした。
軽い力でとはいえ、たたき鳴らしたのは私なのだ。当然部屋の中には凄まじい音量の騒音が響き渡り、いまだにベッドで眠っていたこの部屋の主はベッドから転げ落ちた。
私はその様子を見てたたき鳴らす手を止め、転げ落ちた人物に声をかける。
「……おはようフリーナ。よく眠れたか?」
「ああ、ああ、よく眠れたとも……目覚めは最悪だったけどね! なんで毎回起こし方がそれなんだい!? もうちょっとこう、優しい起こし方はできないの!?」
部屋の主……この国の主人である水神を
「普通の起こし方では君が起きることはないと言うのは実証済みだ。いったい何年の間君を起こし続けたと思っている。文句があるのであれば自分で起きたまえ」
「ぐぬぬー!」
「叫んでいないで寝間着から着替えなさい。その格好で外に出るつもりか。今日は大事な日なのだろう?」
頬を膨らませている彼女にそう声をかけると、一瞬の間ののち彼女は慌てて立ち上がる。
「うわぁ!? そ、そうだった! 今日は旅人が来る予定の日なんだった!? ど、どうしてもっと早く起こしてくれないんだよう!」
「今起こしたとしても十分間に合う時間だ。それに君の場合、楽しみにしすぎて前日の夜は眠れないだろうと推測した。それを加味して考えればこの時間に起こすのは最適だろう」
「わ、わかった! それはもうわかったから! 僕の着替え取ってくれない!? そこのクローゼットの中にあるいつものやつを!」
そう言いつつ彼女は大慌てで身に纏っている寝間着を脱ぎ始める。
私は思わずその姿に呆れてしまう。
「……フリーナ。私はいつも君に、着替えるときは他人がいるかどうか確認しろと言っているはずだが」
「べ、別に君ならいいだろ! だってほら、わかりにくいけど君は同性なわけだし!」
「同性であればいいと言うわけでは……はぁ、着替えはここに置いておく、焦りすぎて逆に時間をかけないように」
わかったー! と言う元気な返事を背に、私は部屋を後にした。
全く、いくら言い聞かせても私を全面的に信頼している彼女の感覚は全く変わらない。
私は彼女を苦しませている側の人間だと言うのに。
「……いかんな」
どうもフリーナと共に過ごしていると余計なことを考えてしまう。
このようなことを考えていても仕方がないと言うのに。
「……」
私はその場に少しのため息を残し、何やらやりたいことがあるらしいフリーナの場を整えてやるべくパレ・メルモニアを後にした。
主人公については次話で描写します。
この小説は基本的に原作通りで進めるので次回は4.0最初の埠頭のシーンになりやす。
追記
違っていた場所の指摘クッソ助かりました。ありがとうございます。
筆者割と記憶がばがばなので間違ってる場所あったら指摘してくれるとありがたいです。