最強恋愛脳元奴隷ロリとかいう地雷   作:さくらいJAN

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全部読んでます。
ありがとうございます。








6話

 

 

 

もうどうにでもなーれ、

といった感じでふて寝していると側近から報告があった。

ユミルが帰ってきたようだ。

 

まだ1時間だぞ?

もうマーレを滅ぼしたのか?

早すぎる。

口からビームでも撃ったの?

ゴジラみたいに。

 

 

と思ったらどうやら違うらしい。

部屋から出て王座に戻ると、ユミルが誇らしげに胸を張っており、

その横には以前人相書きで見た顔が立っていた。

 

……マーレの皇帝じゃん。

なんでここにいるの?

拘束もされてないし。

もしかして誘拐?

 

 

 

えっとユミルさん?

結構派手に殺しちゃった感じです?

……え、誰も殺してない?

 

 

 

……コホンッ、

よくやったユミル。

 

だが、次からは私に指示を仰いでくれ。

万が一お前の身に何かあったら民も私も悲しい。

妨害をしたいわけではない。相談して欲しいのだ。

分かってくれるか?

 

そうか。

分かってくれてよかった。

ではご苦労であった。

今日はもう休め。

 

 

 

 

 

 

 

……え?

ユミルとか側近の誤解を解かないのかって?

あれはただのプロパガンダ神話だから(笑)

ユミルは巨人になれるだけのただの奴隷だから(笑)

とか言うの?

そんな勇気はないよ。

ここまで信仰を得ちゃったらそれはもう真実のようなものだ。

ワンチャン俺が処刑されかねん。

 

 

元より覚悟してたさ。

これが俺の役目。

上手く操縦してみせる。

あのユミルをな!

 

 

……わるい。

やっぱつれぇわ。

 

 

 

 

 

……ふう。

とはいえユミルが誰も殺してないのは助かるな。

メンタルが多少持ち直した。

 

 

 

それでマーレ帝国皇帝殿、でよろしいか?

なんでここにいるのでしょうか?

エルディアは生まれたばかりの国家ゆえに、貴人の歓待はいささか不得手かと……。

ましてや我らは戦時中。

皇帝陛下単独での来訪など流石に……。

 

 

え?

降伏?

なんで?

 

 

ユミルは天使だから?

何それ。

 

確かにユミルは怖いけど、それでも我が妻だぞ。

くれてやるつもりは……。

え、違う?

帝国の国教をユミル教にする?

 

推し活ってやつ?

なんか適当に流行らせたユミル教が本当に凄いことになっちゃったな。

どうしてこーなった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

********************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我らマーレ帝国はかつてない苦境に立たされている。

これまでただの大きな盗賊団でしかなかったエルディア族。

 

それがここ数年で大きく勢力を伸ばしている。

理由は女の巨人だ。

 

突然現れたソレはエルディア族の抑止力となった。

帝国からでも目視できる大きさの巨人が道を開き、

荒れ地を耕し、峠に橋をかけ、エルディア族を国に変えた。

 

我らはそれをただ見ているしかなかった。

当然だ。

あんなものに喧嘩を売るのは馬鹿のやること。

なんとかして友好条約を結び、違う巨人を探すことを急務とした。

 

力の強い人間は1人だけではない。

足の速い人間も同様だ。

 

つまり巨人になれる人間だって1人だけではないはずだ。

そう思い、スパイを送り込んで巨人化の方法を調べた。

 

 

その結果分かったのは以下の通りだ。

・巨人化するのはユミルという元奴隷の少女。

・手を噛んで巨人化する。

・大きさは70mほど。

・空を飛べる。

・体を鉄のように固くできる。

・巨人の体を残して元に戻ることも可能。

・ユミル教という巨人を神の使いとした宗教が流行っている。

 

 

まるで冗談のような内容だ。

しかし冗談でないのはエルディア王国を見れば分かる。

 

 

エルディア王国は雨が降らなくても困らない。

巨人が巨大な桶のようなものを持って空を飛び、

はるか遠くの湖から水を汲んでくるからだ。

 

台風が来ても困らない。

1時間もかからず農地を覆う巨大な壁を作ることができるからだ。

 

盗賊にも困らない。

砂遊びをするかのように堀を作るからだ。

 

 

 

最近では山に水を溜める大きな施設を作り、

そこから市街へ水を引く事業もやっているようだ。

全て巨人の力あってのもの。

 

 

食糧に困らない故、研究開発のスピードも早い。

蒸気機関という仕組みを作り、尋常じゃない速度で鉱山を掘り起こしている。

そして銃という新たな兵器も開発した。

 

 

なんとかして蒸気機関の設計図を入手することはできたが、

現在の技術力では再現が難しい。

建国してたった数年の国家にここまで差を付けられたと知った時は

愕然としたものだ。

 

野蛮な民族だったゆえ、巨人を使って攻めてくることを警戒をしすぎた。

結果として我が国の防衛費は膨れ上がり、産業は大きく後退したのだ。

 

結局別の巨人を発見することもできなかった。

多くの時間と予算をかけたが、無駄であった。

 

 

そして先の元奴隷が死んだ件で宣戦布告された。

あれは暴走した下級貴族の仕業だが、

抑えられなかった自分の責任であることは確か。

 

 

伯爵以下の貴族連中は戦争で手柄を立てるだのいきまいているが、

上級貴族と我ら王族は気づいている。

勝ち目など無いことに。

 

 

 

なんとか勝ち目を探そうとユミル教を敵視している教会へ援軍を要請したが、

断られた。

マーレが滅んだら地理的に次の標的は教会だ。

そうなったらユミルを聖人認定でもするつもりなのだろう。

何が神の信徒だ。

狡猾な風見鶏どもめ。

 

 

我が国は属国化など認められるはずもない。

そんなことをすれば我は謀殺される。

それどころか一番下の息子以外殺され、傀儡政治が始まるだろう。

そして帝国は内外から食い荒らされて終わる。

 

負けそうだから降伏するなど、国とはそんなに単純ではないのだ。

だからこそ、マーレ帝国は滅びを迎える運命にある。

 

 

国境でなんとか持ちこたえて帝国民に巨人の恐ろしさを知ってもらい、

その上で血の気の多い貴族を前線に送り戦死してもらい、

世論操作して講和に持ち込む。

 

これしかマーレ帝国という名を遺す道はない。

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた。

 

 

 

しかし我らは見た。

 

 

 

 

 

 

帝国民の前で演説をしている時だ。

なんとかして士気を高めようとしていると、

皮膚をはいだ女に翼が生えたような見た目の巨人が飛来した。

 

 

 

スパイからの情報で知っていた。

実際、遠眼鏡を使えば目視できた。

 

 

しかし、この存在感は、あまりにも……。

 

 

我も民衆も声を失った。

後光が射している。

まるでそれは宗教画のような……。

 

 

 

 

そう思っていると巨人はゆっくりと高度を落とした。

そして翼を残して体を少女の姿に戻した。

 

翼をはやした長い髪の少女。

美しく幻想的だ。

兵士たちも皇帝の前に乱入した敵国の人間を前に呆然としている。

だれもが思ったのだ。

この光景に。

 

 

 

 

このお方は本当に天使なのではないかと。

 

 

 

これは駄目だ。

この感情は良くない。

 

宗教とはあくまで道具。

民を効率よく支配する為の建前であって。

為政者たる我が信奉するものでは…………、

 

 

 

 

 

 

気づけば膝まづいていた。

皇帝たる我が。

儀礼的なものではなく。

心から。

 

 

 

 

 

そして彼女は言った。

「私の同胞を殺めたのは貴方ですか?」

と。

 

 

我は頷いた。

 

 

すると彼女は

「では罰を与えます。

争いを止め、これより私に従いなさい。

そしてより多くの民を飢えから救いなさい。

命を賭して使命を果たすのです」

と言った。

 

 

我は涙した。

何を下らないことを考えていたのだ。

帝国の存続?

そんなことに固執して何になる。

 

幼い頃、純粋だった頃の夢は何だった?

みんなが幸せに。

そうではなかったか?

帝国の存続はそのための手段でしかなかったのに。

帝位を継ぎ、多くの挫折をして妥協し、手段が目的へ変わってしまっていた。

 

 

だが、こうして救いが現れた。

我らがいつまでたっても争いを止めないから降臨して下さったのだ。

 

 

 

これより我が身は一信徒。

共に世界に平和と安寧を。

それが我が使命だ。

 

 

 

 

 

 




ユミルさんの言葉はユミル教の聖書の内容をパクったやつです。
まあ子持ちとはいえ思春期ですからね。
そういうお年頃です。


帝国も うおー!しちゃいました。
ユミルは凄いね。

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